
急拡大するスタートアップの人事の役割とは? 課題の可視化でマネージャーを支援する、ガラパゴスの科学的組織づくり

マルハニチロ株式会社にて研究開発に約8年、人事企画に約3年従事したのち、2021年4月にガラパゴスに入社。前職の、研究で培った科学的な視点を活かし、組織開発や人材育成の仕組みづくりに取り組んだ経験から人事の仕事に面白さを感じる。網羅的に人事業務全般の経験を積むことができる点、また、社名に込められた「独自の進化を遂げる」という考えや社風に共感し、同社に入社した。
AIを活用した広告クリエイティブ制作サービス「AIR Design for Marketing」や、スマートフォンアプリの開発・運営事業を展開するガラパゴスのエンゲージメントストーリーをご紹介します。
2009年に創業し、2019年の「AIR Design for Marketing」サービス提供を契機に売上が急拡大、採用を強化している同社。2021年3月に74名だった従業員数も180名まで増加、今後もさらなる組織強化を目指しています。組織拡大に伴うチームづくりや仕組みづくりにWevoxをどのように活用されているのか伺いました。
安心して長く活躍できる会社であるために、科学的に組織状態を可視化
―貴社は、2021年7月にWevoxを導入されました。導入の経緯を教えてください。
私が入社したのは2021年4月なのですが、まず、経営ボードと共に組織づくりを改めて一から考えるところから始めました。それは、「人事として今後何を目指すのか?」「メンバーが入社からパフォーマンスを発揮するまで、丁寧に支援していくプロセスをどのようにつくっていくのか?」といったことなのですが、その中で「日本一科学的な人事で、安心して長く活躍し続けられる会社を作る」という人事ポリシーを策定しました。

(※詳細はnote記事を参照)
次に考えたのが、ポリシーの実現に向けて、今後整えていく仕組みや制度が、健全に機能しているかどうか可視化する方法です。さまざまなツールを調べたのですが、Wevoxが最適と考え導入に至りました。
―Wevoxのどのような点を評価してくださったのでしょうか?
まず、ツールの選定にあたって、メンバーと経営ボードそれぞれの目線で検討しました。メンバー目線では、サーベイ1回あたりの質問数が負荷にならず無理なくありのまま回答できること。経営ボードの目線としても、サーベイ結果によって注目したい指標が可視化されているかが重要でした。
具体的な指標としては、経営ボードや人事側のニーズとして、人間関係や働く環境に対するメンバーの認識、ポリシーやミッション、ビジョン、バリューといった自社の方針への共感度合いなどを的確に捉えたいという考えがあったのですが、Wevoxのサーベイ結果は、ベンチマーク(エンゲージメントスコアの到達指標として、利用企業のスコアを元に算出した数値)と自社のスコアとの乖離状況を、全社単位だけでなくチーム単位、勤続年数別、役職別など、多様な切り口から分解して見ることができ、その点が特に魅力的でした。
スコアをもとにマネージャーが現状を把握し、課題と改善案をメンバーに宣言
―実際の運用状況を教えてください。
運用ルールとして、毎月4週目の月曜日にサーベイを配信し、1週間の回答期間を経て、翌月1週目にマネージャー全員で集まり「改善アクションミーティング」の場で現状の分析と対策の検討を行っています。
「改善アクションミーティング」は、以下3つのプロセスで実施しています。
①事前に、各マネージャーがその月のサーベイ結果を確認。
②過去のスコアと今月のスコアを比べながら、個々人の感覚を踏まえて自チームの状態を分析。
③組織の課題について仮説を立て、その仮説をもとにしたアクションプランを設定。
人事としてはマネージャー陣と共に悩みながら、課題や仮説の設定支援をし、まとまったアクションプランは、翌週月曜日の全社での週次ミーティングにて、各マネージャーが1人ずつ全メンバーに向けて内容を共有するようにしています。

サーベイをただ実施して終わりにするのではなく、サーベイ結果をもとに各マネージャーが具体的な施策に落とし込むプロセスを含め発信することで、メンバーの皆さんに「回答が組織の改善に活かされているんだな」と実感してもらうことが大切だと考えています。
―マネージャーの皆さんはどのような仮説とアクションプランを設定していますか?
チームのフェーズによって様々です。例えば、社内で比較的スコアが高い営業チームなどは、「あるべき姿の実現に向けてロードマップをひく」「マネジメント手法を確立する」など、先々の理想的な組織づくりを見据えた目標を設定しています。一方で、新設されて間もない、社歴も浅いメンバーが集まっているチームでは、「まずはチームの方針を言語化する」「承認するコミュニケーションをとる」など、まずは、組織の存在意義や役割を定義する目標を設定しています。
―最初からこの形で進めていらっしゃったのでしょうか?それとも、試行錯誤を経てこの形になったのでしょうか?
組織状態を見える化することを第一の目的にWevox導入開始から、3ヶ月ほどは様子をみながら、並行して具体的な活用方法を模索しました。
数ヶ月分のデータが蓄積され、各組織の課題が明確になってきた段階で、組織課題を真剣に話し合う場をつくろうとこのサイクルを始めました。
―マネージャーの皆さんの理解や協力はどのように獲得していかれましたか?
弊社は、フィロソフィーとして「プロセスとテクノロジーで人をよりヒトらしく」を掲げています。

感覚で仕事をしていくのではなく、 テクノロジーを活用してプロセスを数値化・可視化し、合理性を重視して仕事をしていく文化があるため、Wevoxを活用して組織の課題も数値化・可視化していく方法が合うのではないか、と考えていました。
その前提を踏まえ、マネージャー陣に丁寧に説明をするようにしました。そもそもWevoxとは何か?、取り組みの狙いは何か?、スコアから何が見えるのか?、それをどう解釈すればいいのか?さらに「スコアがKPIになってはいけない」「マネジメントツールとして活用してもらいたい。1on1などを通じて得ている定性的な感覚と、スコアという定量的なものを組み合わせて見ることで組織運営の様々なヒントを得られるはず。」といったことも伝えていきました。
今ではメンバーが回答を完了するごとにマネージャー陣がログインし、結果を見てくれているので、マネジメントツールの一つとして浸透しつつあると感じています。
―従業員の皆さんの回答率が実質100%だと伺いました。どのような工夫をされているのでしょうか?
導入当初から、弊社が可視化・数値化を重視する文化であるということと、チームの健康状態の可視化も組織を良くする上で大事な取り組みだからぜひやっていきましょう、ということを繰り返し伝えています。
代表の中平も、全社ミーティングでスコアを共有しながら組織の状態を伝え、「この項目のスコアを上げていくためにみんなでこういうことに取り組んでいこう」と浸透を図ってくれています。
並行して毎回、各チームのマネージャーに未回答者の一覧とリマインドしてほしい旨を伝えて協力してもらっています。それでも回答がないときは、最終的には私が直接「回答お願いします」と未回答者へDMを送ったり、正直ここは少し力技ですね(笑)。
Wevoxの浸透については個人的にはやり切りたいですね。回答率100%もその一つで、やはり一人でもデータが欠損すると正確な情報にならなくなってしまうし、組織の一体感も生まれにくくなると感じています。メンバーには多少負担をかけてしまいますが、ここはやり切りらなければと。その甲斐あってか、最近ではリマインドも以前と比べて減ってきています。忙しい中、メンバーには協力してもらって本当にありがたいですね。
経営ボード・マネージャー・人事が一体となって組織づくりに取り組む文化の醸成
―現状把握による課題設定と行動計画の策定、実施、振り返りという毎月のサイクルを回すようになり半年弱が経過しましたが、スコアや組織に変化は見られますか?
スコアは徐々に上がってきていますね。弊社はフルリモートという勤務形態であるため、導入当初より「職場環境への満足度」のスコアが非常に高く表れています。

(千葉さんとお子さんのお写真。以前より家族との時間が増え、フルリモートの良さを実感しているとのことです。)
また「挑戦する風土」や「部署間の協力」のスコアも高く、弊社のValueである「Fail & Grow」や「Work as Team」が浸透していることを感じました。

しかし一方で、スコアに表れた課題として、「事業やサービスへの誇り」「仕事仲間との関係」「ストレス反応」などのスコアが相対的に低い傾向にありました。
「事業やサービスへの誇り」については、自分たちがつくったものやサービスが世の中にどのように貢献しているのかが見えにくいことが要因の一つだと考え、代表やGM陣が全社ミーティングなどでお客さまからいただいた声や、サービスを提供したお客さまに表れた成果などを意識的に発信しています。
「仕事仲間との関係」については、オンラインでありながらもなるべくオフライン環境にいる感覚に近づけるために、「oVice」「Remo」などのバーチャルオフィスツールの使用を試験的に始めました。また、感謝や称賛の言葉をさらに気軽にやりとりできるよう、貢献に対する称賛のメッセージなどのやりとりができるツール「Unipos」の利用も12月から始めています。

(「oVice」にて開催した2021年オンライン忘年会の様子。「Unipos」も活用されています)
「ストレス反応」については、事業の急成長に伴う事業部への負荷が要因となっていたようなので、採用の優先度を上げたり異動で人員をカバーするなど努めてきました。また、勤怠情報を全体に共有し、マネージャーやメンバーが状況を把握してお互いをカバーし合える状態をつくることを目指しています。
経営ボードやマネージャー陣と協力して改善を続けてきたことが、スコアに表れているのかもしれませんね。
―毎月のサイクルは、マネージャーの皆さんがマネジメントについてじっくり考える機会にもなっているように思います。
そうだと嬉しいですね。先ほども話しましたが、チームの成熟度やメンバーの職種、目標の違いなどによってチームごとに課題は変わってきます。「スコアが良い組織から活かせるものは何か?」と考えたり、「同じ項目のスコアが低くてもチームによって真の原因は異なり、改善策も変わってくる」という学びを得たりする機会になっていればいいなと思います。
Wevoxを活用した組織改善の取り組みを通じて、マネジメントへの意識の高まりを実感していて、これを更に加速させる取り組みとして、現在、ガラパゴス独自のマネジメントの教科書作りを進めています。「普遍的に通用するマネジメントとは?」「実際にあった事例をもとに、各自がどのように考え対応するか?」といった議論を通じて、マネジメントの型化を目指しています。
成長段階にある組織における課題の変化を素早く検知していく
―今後の組織づくりの展望と、そこにWevoxをどのように活用されるかを教えてください。
弊社では、EHS(Employee Health Score)という言葉を、エンゲージメントに類するものとして定義していて、EHSの要素を分解すると、大きく3つあると考えています。
①「成長感(組織に入って、自分が成長している・活躍しているという実感)」
②「貢献感(組織や社会に貢献している実感。この組織にいていいんだなという安心感にもつながる)」
③「報酬上がる感(成果が正しく報われ、報酬に結びつくという実感)」

これら一つひとつを実現するため、入社時のオンボーディングに始まり、1on1、マネジメントスタイル確立、成果が報酬につながる仕組み、感謝や称賛の可視化・流通の仕組み作りなど、この1年で組織づくりの種をたくさんまいてきました。
今期は、組織の成熟がテーマだと考えています。これらの種から芽が出て、成長・成熟していくフェーズであり、Wevoxはそれをきちんと機能しているかを検証してくれるツールとして期待しています。
組織全体の課題も、これまでとこれからではまったく異なってくるでしょうから、課題の変化を素早く検知できるツールとしても、Wevoxを引き続き活用していきたいですね。







