経営×現場が挑む!Slerの働きがい変革!一斉導入しない選択から始まるWevox全社展開の戦略と実践【Teamwork Sessionレポート】

経営×現場が挑む!Slerの働きがい変革!一斉導入しない選択から始まるWevox全社展開の戦略と実践【Teamwork Sessionレポート】

株式会社エーピーコミュニケーションズ
永江 耕治氏
永江 耕治氏
株式会社エーピーコミュニケーションズ
取締役副社長

Webエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、2002年にエーピーコミュニケーションズに入社。SIベンダーでプリセールスから設計・構築までを行うプロジェクトにエンジニアとして参画しながらマネジメントも兼務。その後、人事部門に異動。業務と並行して、MBA(2012年卒。中央大学大学院/人的資源管理専攻)を取得。2016年にITインフラ部門へ戻り、部下250名を抱える事業部責任者を務める。2018年に取締役副社長に就任。

澤田 将人氏
澤田 将人氏
株式会社エーピーコミュニケーションズ
戦略人事本部 Wellbeing室

2015年にエンジニアとしてエーピーコミュニケーションズに中途入社。2020年に主力事業部の運営支援・企画を担う部署に異動。その活動のなかで働きがい向上への関心が高まり、当時取締役副社長と人事で進めていた働きがい向上プロジェクトへの参加を経て、2023年に新設となったWellbeing室にて全社の働きがい向上推進の役割を担う。

Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回は株式会社エーピーコミュニケーションズ様から永江 耕治さんと澤田 将人さんをお招きし、同社がWevoxを全社導入するにあたって実施した取り組みをご紹介いただきました。一斉導入とは大きく異なる背景にご注目ください。

本日のテーマは「経営×現場が挑む!Slerの働きがい変革!一斉導入しない選択から始まるWevox全社展開の戦略と実践」です。よろしくお願いいたします。

澤田:株式会社エーピーコミュニケーションズ(以下、APC)は1995年の設立から今年でちょうど30周年を迎える会社で、従業員数は470名ほどです。事業はITインフラを中心に、セキュリティデータAI自動化、開発環境支援など、主に5つの事業でシステムインテグレーションから技術支援、内製化支援、トレーニングの実施などを行っています。

こちらはWevox個人特性診断を使用して私たちの特性を診断したものです。私が創造的な挑戦者タイプで、永江がエネルギッシュなコミュニケータータイプという結果が出ました。2人の関係性も見られるようになっていて、似たもの同士で違いを尊重しながら、オープンな関係で活動を行っています。

まずは、我々が働きがい向上に取り組む理由についてお話しします。こちらはSIerやSES事業者が抱える悩みを表にしたものです。左側はSIerあるあるかなと思うのですが、下請け構造になっているため、自分たちの仕事が誰の笑顔に繋がっているのかが想像しにくいという悩みと、クライアントワークでは自社との繋がりが希薄化しやすいという2つの悩みを長らく抱えていました。これらの悩みに対しては、2つの方向性から解決を試みている最中です。

1つ目は、事業や顧客を変えることです。これは独自サービスを創出し、より顧客の笑顔に近いポジションへ移っていくための取り組みです。2つ目は会社と社員の繋がりを強めることで、ここ2年ほどは働きやすさ、最近ではやりがいにフォーカスした活動を続けています。

働きやすさの追求によって生まれた予想外の問題

APCには大切にしている価値観というものがあり、パーパス、ビジョン、ミッションにも幸せ、笑顔、熱狂といった働きがいにも関連深い言葉が並んでいます。

これは、2021年に経営層で行った合宿での議論内容のうち、全社員向けに公開した内容の一部です。弊社は、情報は極力オープンにすること、そして事業戦略と同じくらい自分たちの考える「幸せ」についても真剣に議論することを大切にしています。星印が付いている部分に「幸せ=楽ではない」「一緒に成長できるお客さんが大切」「APCの人、関わるみんなを幸せにしていきたい」と書かれているように、まさにこういったことについて真剣に話し合います。このマインドは、経営判断においても重要視されています。

続いて、コロナ禍を経て変化した環境についてです。それまでは全員が出社していましたが、コロナの流行と同時にリモートワーク中心の働き方へと移行しました。現在はリモートワークを行っている社員が92%、そのうちの80%以上がリモートワーク中心の働き方、50%以上がフルリモートで業務を実施しています。フルリモート勤務の導入により、地方在住での勤務が可能となったことで、現在では全社員の約18%にあたる約85名が首都圏以外に居住しています。その結果、APC社員の居住地は全国36都道府県にまで広がりました。また、働く場所の柔軟性も含め、福利構成の充実にも毎年取り組んでいて、5年前を知る社員からも「かなり働きやすい会社になってきた」との声があがっています。

黄色の枠で囲まれているのがコロナ禍以降に導入されたものです。また、この資料には記載されていませんが、平均年収の引き上げにも力を入れて取り組んでいて、この5〜6年で約130%弱アップしました。こういった様々な取り組みは採用面にもプラスの効果を与えていて、社員数も順調に増加している状況です。

これまでのWell-beingに関連する取り組みは、ブログ「INSIDE APC」でご覧いただけます。
https://www.ap-com.co.jp/blog/archives/tag/wellbeing

ここまでいいことばかりをお話ししてきましたが、実は色々な課題も発生しています。全てが表層化しているわけではないものの、働きやすさ偏重による問題が出てきており、様々な懸念を抱えています。

1つ目は、働きやすさのみを追求することの限界です。事業成長のスピードを上回るペースで福利厚生の充実が進み、最初こそみんな喜んでくれていましたが、次第にそれが当たり前になってしまいました。働きやすくはなりましたが、会社との関係性の希薄化によって、社員の主体性や、共同体感覚の喪失が少なからず起きていると考えています。現在では、経営を中心に「働きやすさと事業成長は両輪である」との考え方が浸透し始めて、働きやすさは重要だと捉えつつも、やりがいにフォーカスした働きがい推進への転換を図っているところです。

ただ一斉に導入するのではなく、現場の納得感を重視

弊社ではWevoxを全社展開していますが、その導入目的には、企業理念や企業戦略に基づく「各組織のありたい姿」の実現がテーマとしてありました。Wevoxを導入する2年ほど前から、Great Place To Work®の「働きがいがある会社」調査を導入しており、2つのサービスを目的別に使い分けながら、より良い会社作りを目指しています。具体的には、Wevoxはボトムアップの組織改善、「働きがいのある会社」調査はトップダウンの組織改善のイメージで活用しています。

こちらは直近のWevoxの活用状況です。総合スコアの73点はベンチマークとしている200〜500人規模のSIer・受託開発企業の上位約20%と同水準で、回答率も94%となっています。ログイン率は53%で、約120名が1ヶ月で複数回ログインをしているため、何かしらの活用を試みていることが伺えます。

弊社のWevox導入には、3つのユニークポイントがあります。1つ目は、全社一律ではなく、事業部など部単位で導入を進めてきたこと。2つ目は、Wevoxの閲覧権限の設定を、部単位でカスタマイズしていること。3つ目は、我々Wellbeing室からの事業部や部への支援内容を、事業責任者との対話を重ねながらカスタマイズしていることです。「分散と修繕」という戦略コンセプトの下、この数年間で事業部ごとの特性や独立性が高まった結果、トップダウンで一律の営みを実施することが非常に難しい状況となりました。あえてこのような非効率で、複雑性が高い進め方を採用しているのは、エンゲージメント活動は現場の納得感が何よりも大事だと考えるようになったためです。

導入の際に注意したことは、事業責任者との対話を通した「目的とゴールの言語化による納得感の醸成」です。対話をする際には事業成長を意識しつつ、お互いの目的とゴールの重なりの形成を大切にして、これまで進めてきました。

活動の推進体制については、私が所属するWellbeing室の2名が別組織も兼務する形で、Wevoxに関連する企画から実行までを担っています。またそれとは別に、サポートチームには人事、情報システム、事業サイドから計5名の責任者クラスの社員が入ってくれています。サポートチームの役割はディスカッションへの参加がメインで、実際に手を動かすことはほとんどありません。そしてもう1つ、各事業部には1〜4名の推進担当者がいて、彼らと共に各事業部内での具体的なWevox活用の推進を進めています。

組織のニーズや運営ポリシーに合わせた柔軟な閲覧権限

ユニークポイントのご紹介の際に部単位でカスタマイズしているとお話ししましたが、その一例がこちらです。ご覧の通り、1つの事業部の中に組織規模やフェーズが異なる4つの部があります。A部は成長フェーズ、B/C部は安定フェーズ、D部は創業フェーズといったように分かれています。さらに組織長のリーダーシップスタイルや個別ニーズも関係してきます。例えば成長フェーズのA部には、短期のトレーニング、目標管理として導入しているOKRの策定支援、運用設計支援や施策企画まで入り込んで支援する。安定フェーズのB/C部には、ありたい姿の言語化支援を。D部では管理者向けの説明会を開催するなど、グラデーションのある支援を実施しています。また、推進者も、組織能力開発担当のグループマネージャーが務めているケースもあれば、意欲の高いアンバサダー的な存在を設けている部門や、部長本人が推進者になっているケースもあります。それぞれの部の、組織規模・フェーズ・組織長・推進者の違いを加味し、カスタマイズするようにしています。

このようにWevoxのサーベイを利用する組織を段階的に増やしていった結果、2024年8月に回答者74名からスタートし、2025年2月には439名と、ほぼ全社員への展開が完了しました。特に、回答率が常に90%を上回る形で推移している点は、定着が上手くいっていることを示す1つの証だと考えています。サーベイは、正社員と契約社員、そして一部のパートナー社員を対象としています。配信頻度は毎月1回で、回答方式は実名です。また、閲覧権限は事務局だけではなく、現場の管理職やメンバーにも付与しています。

事務局は全組織・全社員を閲覧できるようにしています。管理職の場合は、組織スコアは所属組織の1回層上まで、個人スコアに関しては所属組織全員分を閲覧できます。管理職ではない人は所属組織の平均スコアは閲覧できますが、個人スコアは自分のスコアのみが閲覧可能です。ここからさらに組織のニーズを聞きながら様々なカスタムも加えているので、かなり柔軟な権限設定となっています。

トップダウン・ボトムアップの取り組みで深まる相互理解

このような形式でWevoxの全社展開を進めてきた弊社では、エンゲージメント推進の取り組みがいくつかあります。1つ目はトップダウンの取り組みとして全社展開のタイミングで行った、全社向けの勉強会です。夜間開催だったにも関わらず130名もの社員が参加してくれて、内容にもかなり満足してもらえたイベントとなりました。事後アンケートの結果は後日取りまとめをして、全社員向けにレポートとして公開する予定です。

2つ目のトップダウンの取り組みは、休職や離職に繋がるリスクを抱える社員を早期に発見して適切にフォローアップする仕組みの導入です。以前から部分的に実施していた取り組みではありますが、リスク情報が部署内に閉じがちだった上に、社員が顧客環境下で業務を行っているケースも多いことから、これまでは事業部主体のフォローアップになりがちでした。そこで、Wevox、1on1のアンケート、キャリア面談や事業部側から寄せられる個別の相談内容について、本人と相談し関係者へ共有することに同意を得た場合に限り、「Backlog」と「Slack」を活用し、情報の集約と共有を行うようにしました。これまで事業部側に閉じて対応していたところを、人事・総務・育成部門とWellbeing室が一丸となって、優先順位や対応方針、対応者を定例会議で確認しながら、事業部とは違う観点からの能動的なフォローアップをしています。

続いてボトムアップの取り組みです。1つ目は、複数の部署で発信しているWevoxレポートとエンゲージメントコラムです。ここでは、部単位のスコアや変えていきたい点、Engagement Run! AcademyのCEEP(※)に参加した社員が得た学びなどを、全社向けに発信しています。
(※Wevoxが提供する、エンゲージメント実践認定プログラム

全社説明会を経て「win-winの関係づくりが大事」という結論に至り、そのためには自己理解を深めることが大切だと考えた部署がありました。それをきっかけに、Wevox Board(※)を用いて自己理解を深め、お互いに開示し合うワークショップを開催していました。なかなか良い内容のものが出来上がったので、今後テンプレートにして全社員が使えるような状況を作っていきたいと思っています。これが2つ目のボトムアップの取り組み事例です。
(※Wevoxが提供する、対話を彩るツール

そして3つ目。最近、弊社ではマネージャーコミュニティというものが誕生しました。これは、心身不調による休職を経験したマネージャーが、管理職が抱える様々な問題を仲間と一緒に解決すべく立ち上げた事業部横断型のコミュニティです。先日キックオフ懇親会が実施されたのですが、地方在住のマネージャー数名も上京し、総勢19人が参加した、盛況なイベントとなりました。これについてはINSIDE APCという社内の情報を発信するサイトにも掲載されていますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。

マネージャーによる、マネージャーのための新たな挑戦 ——「Manager Meetup Vol.1」開催レポート

4つ目の取り組みが、組織の「ありたい姿」やエンゲージメントに関する考えを言語化しメンバーに周知・浸透させる営みです。部長や事業部長が、重要視する指標や組織のありたい姿を言語化して、それを社員に直接伝えています。

ボトムアップの取り組みは、他にも生まれてきています。このように、ボトムアップの取り組みが生まれやすい環境になっている理由のひとつは、Wevox導入の際に、「納得感の醸成」に注力してきたからだと考えています。また、「とりあえずやってみよう」のカルチャーがあるのも理由かもしれません。

今後の展開としては、2025年の第1四半期で目的の共有を改めて行った上で、この1年間を通して方針の設計や実践・形式知化、ロールモデル展開まで進めていきたいと考えています。Wevoxの導入時期が組織ごとに異なっていたこともあり、現在も各組織の状況にばらつきがあります。そのため、引き続き個別のアクションが必要な状況です。また、働きがい向上が事業成長にとって重要だという認識は、すべての組織が持ち合わせているものの、必要とされる知識やそれに費やせる時間は組織の状況によって大きく異なります。そこでWellbeing室では、全社向けの取り組みに加え、各組織が自らの状況に応じて必要なコンテンツを選択できるよう、個別のアクションも並行して進めていく予定です。

今後ボトムアップの活動をより加速させるために、Wellbeing室が一番重要だと考えているのは、「働きがいについて考える社員」を増やしていくことです。この数を1年後に1人でも多く増やしていくことを目指して、引き続き活動していきます。私からの発表は以上となります。

ありがとうございます。Wevoxの導入時に、事業成長を意識しながら対話を行ったというお話がありましたが、難しいと感じた点や、やってみたけど上手くいかなかった点などはありましたか?

澤田:上手くいってる組織とそうでない組織の両方が出てきていますが、上手くいっていない組織に関しては、働きがいの向上を誰が担うのかという点においてなかなか理解が合わない部分があります。「経営・上司になんとかして欲しい」という気持ちを抱いている人も少なからずいるので、現在も対話を重ねている最中です。また、事業の状況が好調な組織ほど積極的に取り組みに参加している感覚があります。実際、事業自体に課題を抱えていたら、働きがい向上よりも、その課題解決が先になると思うんですよね。それ自体は悪いことではないので、そういった組織に関しては見守りつつ、軌道に乗った時にまた改めて話すといったようにタイミングを意識しながら推進を進めています。

実名での回答に加えて、管理職に対して、各メンバーの個別スコアを閲覧できる権限を付与されているというお話がありました。開示して社員の皆さんに出来る限り情報を共有していく上で、良い効果などがありましたか?また、社員の方から心理的安全性の面などでの不安の声はあったかについても是非お伺いできればと思います。

永江:実名での回答については、つい最近の動きだけではなく長い経緯があります。2018〜2019年頃、経営から社員へのコミュニケーションスタイルを「統制型」から「自立型」へと転換するにあたり、情報を積極的に開示し、社員が「必要な情報に自らアクセスできる状態」をつくるとともに、社員には「意見は責任をもって発信する」ということを意識してもらうようにしました。こうした背景があるので、実名回答や上長が自分のスコアを見ることに対して、あまり抵抗感を持たないのだと思います。

澤田:私の方からは社員視点での話になるのですが、弊社の管理職と経営は、ネガティブな情報に対する受け止め耐性が高いなと感じるところがあります。アンケートを取った際、実名にも関わらず経営層に対するかなりストレートな批判的意見も上がってくることがあります。これは、「そういった意見を書いたとしても不利益を被ることはない」という共通認識が全社の中にあるからなのではないかなと。経営・管理職も「ポジティブな意見とネガティブな意見の両方が出るものですよね」と受け止めているので、実名でも安心して回答できるのだと思います。

永江:社員の皆さんからは本当に多くのフィードバックをいただきますね。私や経営も含めて常に課題はあるので、そういったところについてはどんどん改善していきたいですし、現状に満足することなくみんなで一緒に未来を変えていきたいという想いで受け止め、取り組んでいます。

<編集部コメント>
長い時間をかけて、ニーズを取り入れながら個別での導入を進めていく様子がとてもよく分かるプレゼンでした。取り組みの発信方法や、一斉導入をすべきかどうかについて迷っている企業様は、ぜひヒントとしてご参考ください!

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