セブン銀行人事部のエンゲージメント活動で生まれる、一人ひとりの「こうしたらもっといい組織になるのでは?」という意識

セブン銀行人事部のエンゲージメント活動で生まれる、一人ひとりの「こうしたらもっといい組織になるのでは?」という意識

株式会社セブン銀行
笹本 眞唯氏
笹本 眞唯氏
株式会社セブン銀行
人事部人財開発グループ

人事部人財開発グループにて新卒採用を担当。加えて、人事部にて全社に向けたエンゲージメントサーベイの配信から結果の分析、エンゲージメント向上施策の企画・実施までを担うエンゲージメントチームのリーダーとして、エンゲージメント活動を牽引している。

鶴巻 ひかり氏
鶴巻 ひかり氏
株式会社セブン銀行
人事部人財開発グループ

人事部人財開発グループにて研修・育成を担当。また、エンゲージメントチームのメンバーとして、各種施策の企画・運営を担当している。

株式会社セブン銀行では、2020年ごろよりエンゲージメントの重要性に着目し、Wevoxのスコアを基にした多様な施策によって社員のエンゲージメント向上に取り組んでいます。取り組みの具体的な内容と組織や個人の変化について、活動を牽引する人事部のお二人に伺いました。
※取材時(2024年2月)の部署・役職になります。

一人ひとりが主体的に行動し、やりがいを持って働く組織に

まずは、御社がエンゲージメントに着目し、社員の皆さんのエンゲージメント向上に取り組むこととなった経緯から教えていただけますか。

笹本:セブン&アイグループ全体がエンゲージメントに着目し、サーベイを始めたのがきっかけでした。それまで「従業員調査」を行っていたグループが、2018年から隔年で「エンゲージメントサーベイ」を開始。更に2020年度からは、グループの社長である井阪の声によってサーベイ頻度が隔年から毎年になり、サーベイ終了後にはグループ全社の代表が集まって結果について語り合う会が持たれるなど、本格的な活動を始めました。

それに伴い、当社でもより細かくサーベイを行ってその時々の会社の状態を見える化した方がいいんじゃないかと、2020年度末に部長陣がWevoxをトライアル利用してみました。そのときの体験がとても良かったため、2021年6月から全社に導入し、現在は3カ月に1回、サーベイを実施しています。

Wevoxのどのようなところを評価いただけたのでしょうか?

笹本:まずよかったのが、結果がとてもわかりやすくまとまっているところです。加えて、スコアの見方や各項目のスコアに対する取り組み例などについてWevoxのカスタマーサクセスから助言をいただけて、次のアクションに繋げやすい点に良さを感じて選ばせていただきました。

そこからどのようにエンゲージメント活動を進められましたか?

笹本:Wevoxを全社導入した2021年度上期は、「とりあえずやってみる期」ということで、スコアを見て自社の状況を把握する期間にしました。次の2021年度下期から2022年度上期はエンゲージメントについての社員の意識醸成の期間として、全社と自部署のスコアを各社員が見られるようにしたり、カスタマーサクセスの方に協力してもらって部長向けにエンゲージメントについてのセミナーを実施したりしました。

そして、2022年度下期ごろから、スコアを基にした施策をスタートしています。施策を考える際に、Wevoxのデータ解析機能からわかる「改善が推奨される小項目」に着目しました。当社の場合は「やりがい」が改善推奨の最上位項目だったため、「やりがい」のスコアアップを目指して施策を検討しました。やりがいは部によっても個人によっても異なり、全社員に効果的な打ち手があるわけではありません。あらゆる角度から手を打っていきたいという思いを持ちつつ、まずはエンゲージメントの根底にあるコミュニケーションや人間関係の部分を良くするという観点で複数の施策を打ってきました。

2023年度下期からは、エンゲージメント活動を人事部主導からアンバサダー主導に移し、全社でスコア向上を目指すフェーズに入り現在に至ります。

活動を通じて実現したい組織のありたい姿は、どのように描いていらっしゃいますか?

笹本:個人としての考えになりますが、自社愛が強い社員が増えるといいなと思っています。当社は、他社様からの評価やサービスに対する評価は割と高いというか、満足いただいている印象ですが、社内においては、残念ながら社員の自社評価がそこまで高くないんです。なので、個々人がやりがいを持って働き、社員の自社愛がどんどん深まっていく組織が理想のありたい姿ですね。

鶴巻:私自身も含めて、雰囲気作りは会社任せや他人任せになっている部分があると思います。それが、一人ひとりがエンゲージメントに意識を向けられるようになれば、「この組織を良くしていきたい」と主体的に考え、自ら行動を起こしたいと思えるようになるのではないかと思います。理想としては、心理的安全性が高く、社員一人ひとりが「もっとこうすれば会社が良くなる」といったことを、自由に発言できて、自由に実現できるような組織になるといいなと思っています。

多様な施策で、エンゲージメントへの理解やコミュニケーションの活性化を促す

では、個々の施策について教えてください。2021年度下期から2022年度上期にかけて、社員の皆さんへの全社と自部署のスコア公開と、部長さん向けのセミナーは、どのような狙いで実施されたのでしょうか?

笹本:これまで、年1回のグループ全体のエンゲージメントサーベイの結果を公開してこなかったために「あれって何のためにやってるの?」「答えたけど結果は見られないんだね」といった声をたくさんもらっていました。そうした意見に対応し、意識醸成とエンゲージメント活動への不信感を社員に与えないためにWevoxのスコア公開を決めました。

部長向けのセミナーは、エンゲージメントに対する意識を醸成するには上司から部下に働きけてもらえるのが一番早いだろうという考えから実施しています。Wevoxのカスタマーサクセスの方から、エンゲージメントの重要性や高めるために必要な組織づくりなどを伝えていただき、部長からメンバーに働きかけてもらうことを期待して行いました。

他にも取り組まれたことはありますか?

笹本:全部署の部長およびグループ長1人ずつと私たち2人で面談を行いました。目的は各部の取り組み状況の把握です。部長・グループ長ごとにエンゲージメントに対する印象も熱量も異なりますし、部によって課題も全く異なることがわかったのが収穫でした。

鶴巻:Wevoxのサーベイ結果を見たことがないという人も多かったので、周知するいい機会にもなったのかなと思います。面談以降、スコアに注目するようになった方も多かったはずです。

笹本:あとは、ほとんどの部長・グループ長から、「他部署の良い取り組み事例があれば共有してほしい」と言われました。それを受けて、エンゲージメント活動に関する情報を発信する「1UP!」通信や、部長以上が参加する経営会議の情報共有会にて、各部の好事例を発信することとしました。

「1UP!」通信はどのような取り組みですか?

鶴巻:主に、エンゲージメント自体に興味を持ち、理解を深めてもらうことを目的とした社内通信です。「エンゲージメントって何だっけ?」といった情報や、サーベイでスコアが高かった項目とその背景の分析、各部の好事例の紹介、コーヒータイムの実施レポートなどをポップな感じにまとめて発信しています。2022年度から月1回以上発信しています。

笹本:仕組み上、閲覧数を把握できないのですが、「このあいだの『1UP!』わかりやすかったよ」などといった感想のチャットや直接の声かけがあったりと、たまに社員から反応をもらったりしています。

「コーヒータイム」とはどのような取り組みですか?

鶴巻:これは、部署やチームを超えたコミュニケーション施策として始めたものです。当社の拠点が東京に2つ(丸の内、錦糸町)と、横浜、大阪に1つずつあるのですが、各拠点でコーヒーやお菓子を用意して2〜3時間、部署横断で交流する取り組みです。

当時、コロナ禍でリモート勤務が中心だったため、リモートで会ったことはあるものの確信を持てなくて出社時に見かけても声をかけづらいといった関係性を減らしたり、社内で知り合いを増やしたりする機会にできればと考えました。

参加後のアンケートでは、満足度が5段階評価で4.75、「他部署メンバーと交流できた」という参加者が79%と好評です。のちのち、「コーヒータイムで話したよね」といった会話も発生しているので、コーヒータイムそのものを楽しんでもらえていることはもちろん、その後の業務のスムーズな遂行にも繋がっているのではないかと思っています。

これらの取り組みは、2023年度も継続されたのでしょうか?

笹本:部長・グループ長との面談は2022年度で一通り終えることができたので、コーヒータイムと「1UP!」通信を継続しています。「1UP!」通信は月に2〜3回程度配信し、コーヒータイムも月1回程度行いました。ただ、コーヒータイムはマンネリ化してきているので、2024年度に向けてテコ入れを検討しています。

あとは、2023年度から始めたものとして、シャッフルランチと、経営層の巻き込み、エンゲージメントアンバサダーの3つがあります。

それぞれの取り組みの狙いと内容を教えてください。

笹本:シャッフルランチは、コーヒータイムとは異なる形でのコミュニケーション強化施策です。コーヒータイムは参加できる人がどうしても限られてくるため、より業務に繋がるような関係づくりやコミュニケーションができるよう、趣味別、出身地域別、世代別、部署別など、特定の範囲の仲の良さをつくる狙いで始めました。

鶴巻:「全社シャッフルランチ」と「部内シャッフルランチ」の2種類を実施していて、全社シャッフルランチは、「サウナ好き」「北海道・東北エリア出身」など、何かしらの共通項がある人たちを募集してランチに行ってもらっています。

笹本:部内シャッフルランチは、いろんな部長からの「部内のコミュニケーションをもう少しとりたい」という声を受けて始めたものです。「同じ部だけど業務ではあまり関わりのない人たち」などの組み合わせで、部ごとに任意のメンバーでチームを組んでランチに行ってもらっています。メンバーのアレンジは7名いるシャッフルランチアンバサダーや、各部署のエンゲージメントアンバサダーに協力してもらいました。

どちらのシャッフルランチも、実施後に「シャッフルランチレポート」としてメンバーの写真と感想を社内チャットにアップしてもらっています。2023年2月時点で70件くらい実施されていますね。

経営層の巻き込みは、どのような取り組みでしょうか?

笹本:上層部の意識醸成のための取り組みで、まずは社長から様々な場面でメッセージの発信をしてもらいました。具体的には、毎週月曜日に行う全体朝礼にて繰り返しパーパスや事業戦略について発信していただいたり、タウンホールMTGでは社員一人一人の業務とパーパスの結びつけを強化していただきました。結果として「理念戦略」や「組織風土」といったWevoxのサーベイ項目の向上も見られております。加えて、3カ月に1回、Wevoxのサーベイ結果が出たときには、私か鶴巻が部長以上が参加する経営会議の情報共有会で結果報告を行い、高スコアの部署の部長に取り組み内容を共有してもらっています。「1UP!」通信での事例共有もそうですが、各部長には、好事例の共有から得るものがあれば真似してもらいたいですし、取り組めそうなところから取り組んでくださいというお願いもしています。

エンゲージメントアンバサダーの取り組みはどのように進めていらっしゃいますか?

鶴巻:エンゲージメントに関心が高く、周囲を巻き込むことが得意な人を求める人物像に、各部から1名以上を自薦・他薦で出してもらったところ、約20名が集まりました。

笹本: Wevoxや年1回のグループのエンゲージメントサーベイの回答率アップのための声かけや、コーヒータイムやシャッフルランチの旗振り役など、人事部発信の施策に率先して協力・参加してもらう役割を担ってもらっています。あとは、アンバサダーの定例ミーティングも実施し、各部の取り組み事例を共有し合い、それぞれの部署に持ち帰ってもらうことも働きかけています。

アンバサダーと協力して、各部署の課題に応じた施策を強化していきたい

およそ2年間、さまざまな施策に取り組まれてきて、社員の皆さんや組織の変化をどのように感じていらっしゃいますか?

笹本:社内の会話の中で「エンゲージメント」という言葉が出てくることが結構あって、エンゲージメントについての意識醸成はかなりできてきていると感じています。また、部長たちからも「こういう施策をできないかな?」といった相談が日々来るようになったので、会社全体にエンゲージメントの重要性が伝わってきているのかなと感じています。

鶴巻:経営層や人事部から定期的に発信しているので、エンゲージメント自体の認知度は上がっていますし、Wevoxのスコアも上昇しています。ただ、イベントや声かけはきっかけに過ぎず、その後の継続したコミュニケーションによって組織の状態は変わってきます。その点で、今、徐々にスコアが上がってきているのは、社員一人ひとりの意識がけの結果だと思っています。

一方で、この意識は働きかけがないとだんだんと落ちてくると思うので、今後も意識づけの機会を設けて、各部のメンバーが引き続き、より良い組織づくりに向けて一丸となっていけたらと思っています。

お二人は活動を牽引されてきてご苦労もおありかと思いますが、どのような点にやりがいを感じていらっしゃいますか?あるいは、活動を通して得た気づきがあれば教えてください。

笹本:Wevoxを全社導入した2021年6月からスコアが順調に伸びていることが一番のやりがいですね。

鶴巻:コーヒータイムやシャッフルランチを実施した際に、「楽しかったよ」と声をかけてもらえることがやりがいかなと思っています。業務ではない、息抜きの時間として楽しんでもらえていることも、この会社で働く安心感に繋がっていると思います。そうした、心理的安全性を高めることに寄与できていると思うとちょっとうれしくなります。

また、私個人として、もともと人と話すことが得意ではなく、交流に前向きになれないことも多かったのですが、エンゲージメント担当としてコーヒータイムなどに参加していると、いろんな社員と知り合いになって仕事を進めやすくなったんです。私自身の心理的安全性も保たれているので、施策の効果を一番実感しているのは私なんじゃないかと思うほどです。ぜひ私と同じような人にも参加してもらって、業務のスピード感や安心感に繋げられればと思っています。

最後に、2024年度以降の活動の展望や意気込みを教えてください。

笹本:コミュニケーション施策に関しては、参加しやすさを高めていくことと、マンネリ化しないよう何かしら新鮮な施策を打っていかなきゃなと思っています。

また、もう少し各部スコアに沿った堅めの施策も打っていかなければと考えています。そのカギとなるのがエンゲージメントアンバサダーです。人事部だけで約600人の従業員全員のやりがいをあげるのは困難なので、2024年度は各部のエンゲージメントアンバサダーにより活躍してもらおうと思っています。具体的には、自部署のメンバーの声をアンバサダーに吸い上げてもらって、その声に合った施策を打ってもらえるようサポートしていきたいです。また、社員から「人事部が勝手にやっている施策だ」と思われないよう、アンバサダーの積極的な協力を促し、「自部署のメンバーが頑張ってるんだ」と各従業員が思えるような協力体制を作ることに重視していきたいと思います。

課題としては、社員一人ひとりの熱量が異なることと、私たちが取り組んできた各施策がエンゲージメント向上と繋がっているという認知が足りないことがわかってきています。というのは、2023年度のグループのエンゲージメントサーベイのコメントを分析したところ、「この1年で前回のサーベイからフォローアップされましたか?」という質問の評価がとても低かったんです。2024年度は、会社全体でエンゲージメント向上に向けて様々な取り組みをしていることをしっかりと伝えていきたいと思っています。

鶴巻:これまでは、楽しいコミュニケーション施策が多かったのですが、2023年度からはだんだんとより踏み込んだ施策及び結果を求められるようになり、楽しんでばかりはいられないなと感じています。とはいえ、エンゲージメント担当のエンゲージメントが下がっては、会社全体のエンゲージメント向上に寄与するのは難しいと思っていますので、楽しいという気持ちを忘れずに、これからも活動していけたらなと思っています。

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