
やる気がなさそうなメンバーから飛び出た「出世したいです」の声——なぜ働く?の対話から生まれるチームの変化

2016年に(株)ムゲンエステートに入社。2024年に蒲田営業所の所長として、1年間「アンバサダー」としてエンゲージメント活動を行う。現在は横浜支店と蒲田営業所を管轄し、東日本第一事業部 統括部長を務める。

2017年にムゲンエステートの子会社である(株)フジホームに入社。2024年に新設された資産管理部の課長を務め、1年間「アンバサダー」としてエンゲージメント活動を行う。
(株)ムゲンエステートでは、グループ内から「アンバサダー」を数名任命し、1年間チーム内でエンゲージメント活動を推進してもらう「アンバサダー制度」を2023年から取り入れています。
今回お話しを聞くのは、2024年から自チーム内のエンゲージメント活動に1年間尽力されたマネージャーのお2人です。
アンバサダーに選ばれた際の当時の素直な気持ちと、1年間の活動によって起きたチームや自身の変化について、詳しくお話を伺いました。
※取材時(2025年6月)の部署・役職になります。
「何それ?」から始まった、それぞれのエンゲージメント活動
-事務局から「アンバサダーとしてエンゲージメント推進をしてください」と伝えられたとき、率直にどう感じられましたか?
屋代: とてもありがたいと思いながら、引き受けました。もし募集制だった場合、声を掛けられていなくても、自分から手を挙げていたと思います。
私はもともと仕事で「モチベーション」や「愛社精神」をすごく大事にしていました。そうした考え方と、エンゲージメントはすごく近い概念だと感じたので、積極的に参加したいと考えました。
小林: 私は正直に言うと、はじめて「エンゲージメント」という言葉を聞いた時は、「それは何ですか?」と素直に思いました。だから最初に声を掛けてもらったときは、あまりやる気も出なかったですね。
ただ事務局から説明を受ける中で、「より良い会社を作っていこうという考えのもとに始まった取り組みであり、その一員として選ばれたのだ」と感じ、徐々に前向きになっていきました。事務局の後押しがなければ、挑戦はしていなかったと思います。

—そうして始まった1年間のエンゲージメント活動、部署内ではどのような取り組みをされたのでしょうか?
小林: 活動当初、私の部署は、他のチームと比べてもかなりエンゲージメントスコアが低く、初めてスコアを取ったのが繁忙期だったこともあり、不満も少なからず出ていました。
その中でもまずはメンバーのプライベートの充実が大事だと考え、会社全体で取り組んでいる隔週水曜日の「ノー残業デー」の徹底を促しました。単に「帰りましょう」と言うだけではなく、忙しそうな人には声を掛けて、業務をフォローすることも行いました。
他にも、メンバーとの1on1の時間で、それぞれが抱えている不満を聞くこともしていました。変えられることは変えつつも、すぐに解決できそうにない不満に対しては、納得してもらえるように出来ない理由を伝えていました。
—1on1の中で、他にも行ったことはありますか?
小林: エンゲージメントスコアの中でも特に「やりがい」の項目が低かったので、1on1の中で「あなたのやりがいは?」と聞いていきました。
実は当社では昔、1年に1回会長の自宅で一人ひとりが夢を語る、という慣習がありました。その時に私は、「入社して2年で課長になる」と宣言して、その目標のために何をするか、を考えていました。その後、目標を達成し、無事課長になることができました。
その体験から、「自分が進むべき指針を、自分で決めるからこそ頑張れる」と感じていましたので、メンバーに対しても同じような機会があったら良いのではないかと思いました。
だから、たとえば「お金がやりがい」と話すメンバーがいれば、「給与を上げる」ことを目標において、そのために出来ることは何か、について一緒に考えていきました。
昇進もですが、特に評価に関わるものは一朝一夕で叶えられるものではないので、長期的な目標として置いた後に、中期、短期の目標も立ててもらう工夫はしていました。

—それらの取り組みを通じて、チームにはどのような変化がありましたか?
小林: 課のエンゲージメントスコアは13ポイント上がりました。ですが、途中でメンバーの変更があったのも理由だと考えており、正直まだまだ発展途上だと思っています。
ただここ数ヶ月、メンバーが自分の仕事だけでなく、チームのことを考えて業務をフォローし合うようになったことは感じています。
たとえば、あるメンバーが体調不良で休むとなった際、他のメンバーが「その仕事、私がやります」と率先して言ってくれたことがありました。まだまだ私から口うるさく色々言っている段階ではありますが、チームとしての団結力が上がったという実感はあります。

1on1が生んだ、やる気がなさそうなメンバーの大きな変化
—屋代さんは、初めからエンゲージメント活動に前向きだったというお話しでした。1年を通して、どのような取り組みをされたのでしょうか?
屋代: 私は、アンバサダーになったタイミングで、池袋から蒲田の営業所への異動が決まっていました。ちょうど半分のメンバーが入れ替わったタイミングだったのもあると思いますが、池袋と比較して、静かでお互いの交流が少ない印象を受けたことを覚えています。
実は池袋の営業所は2年間同じメンバーで働いたこともあり、兄弟のように仲の良いチームでした。
それと同じようにとは言いませんが、蒲田営業所も活気のあるチームにしていきたいと思い、まずはコミュニケーションの機会を増やそうと考えました。
そこでエンゲージメントスコアをきっかけにして、「何のために働いているか」「この会社でどうなりたいか」を1on1で聞く機会を作りました。とはいえ、まだ私も異動したてで、ただ聞いても怖がられてしまうとも思い、まずは自分から「私はこうなりたい」ということをメンバーに開示するようにしていました。
—取り組みを通じて、印象に残ったことはありますか?
屋代: 自分自身の話で言えば、メンバーを職場でただ見ているだけでは、本当に考えていることは分からないものだな、という気づきを得たことです。
例えば、普段ぼんやりとしていて、あまりやる気がなさそうに見えていたメンバーが、「この会社で出世したい」と1on1で話してくれました。予想外な目標だったので驚きつつ、「もしかしたら今はアピールが出来ていないかもしれない」「もっとこうしたらいいかもしれない」とその場で助言しました。
そうすると、そのメンバーの職場での振る舞い方や仕事への取り組み方が、見違えるように変わっていきました。やり方を知らず、目標はあっても動けていないこともあるのかなとその時に思いました。
普段の業務に関しても、「やってみてくれ」とただ伝えるだけでは動いてもらえないケースがあり、これも、社歴が浅いために、そもそも進め方が分からないというのが理由の1つかなと思いました。だから、まずは頼む前に、自分がやって見せることを徹底するようにしていました。
そうしていくうちに、私のお願いすることに対してスムーズに取り組んでくれるようになりました。

他部署のマネージャーの実践を、自身のチームに活かす
—3ヶ月に1度、事務局主催でアンバサダーミーティングをされていたと聞いています。具体的に、どのような内容をお話しされていたのでしょうか?
屋代: 事務局から送られたワークシートに基づいて、スコアの良かった点、悪かった点、前回からの変化、得られた気づき、そして次のアクションをレポートにまとめ、お互いに発表し合っていました。
—参加されてみて、いかがでしたか?
小林: 活動を通して感じた自分の意見をまとめたうえで、次に活かせることを、腰を据えて考えるいい機会だったと感じています。エンゲージメント調査の翌月にやるというタイミングもちょうど良かったです。
屋代: 私も頻度、タイミングともに適切だったと感じています。
また、いつもは自部署のスコアしか見られないため、他部署のスコアや行っている取り組みを知れる機会はとても有意義だと感じていました。
話を聞くことで、他部署の苦労もよく分かりましたし、自分のチームに対しても活かせる部分も多かったなと思います。
—たとえば、どんなことをご自身のチームで活かされたのでしょうか?
屋代: 他部署のマネージャーの話を聞く中で、自分よりもメンバーの本音を引き出せているなと感じたことがありました。
それに対して、私はいつも自分の考えを喋りがちで、もしかしたら意見を押し付けてしまっている可能性もあると感じました。ですから、その後の1on1では以前よりも聞くことを意識して、メンバーの正直な気持ちを聞けるように取り組んでいきました。
ほとんどの方がそうだと思いますが、普段仕事をする中では、他部署のマネージャーがどのような課題や悩みを持ってマネジメントしているかを知る機会は無いと思うのです。そうすると、自分が良かれと思ってした行動が、メンバーにとっては良く無いなんてこともあると思っています。
だからこそ、他のマネージャーの悩みが聞けるアンバサダーミーティングはとても良い取り組みだと思いますし、全部署の部門長も参加すれば、より気づきも学びも多くなるのではと思っています。

小林: 「どうしたらチームが良くなるか」ということをマネージャーのほとんどが考えていることだと思っており、だからこそ、アンバサダーミーティングの中でマネジメントの悩みを話せる場を会社として提供してくれたことは、私もありがたく感じています。
今アンバサダーになることにやる気があまり出ていない人は、「悩みが言える場が貰える」くらいの気持ちでいれば良いのではないかなと思っています。まずはやってみて頂ければ、その価値が分かると思います。
「良いチーム」とは?必要なのは「共通認識」と「密なコミュニケーション」
—1年間のエンゲージメント活動を経て、お2人の思う「良いチーム」についてお聞かせください。
屋代: 一体感のあることがチームとして仕事をする上で大事なことだと思っています。みんなが仲間として同じ目標に向かえていて、かつ、それぞれが一生懸命頑張れている。そうすると、周りの人を手助けする行動も自然と生まれるような良いチームになれると思います。
ただ、これまでいくつかの営業所を見てきて、メンバーの構成や個性によって、「良いチーム」になるための手段は変わってくるとも感じています。仕事終わりの飲み会を好むメンバーもいれば、そうじゃないメンバーもいます。
だからこそ、今後も一人ひとりに対して愛情を持って接しながら、まずは「良いチーム」についての共通認識をつくっていきたいです。すぐに事業部全体が同じ目的を持てるわけではないですが、一人ひとり、徐々に共感してくれる人を増やしていけたらという気持ちです。
小林: 私は、密にコミュニケーションをとれていて、活気があることが良いチームの条件だと感じます。そのためにも、まずは「報連相」の徹底が大事である、という気持ちです。
「報連相」がしっかりできていれば、仕事の話だけでなくプライベートの話をする機会も自然と生まれていくと思っています。そうすることで、お互い気軽に相談ができ、助け合える、いいチームになっていくのではと感じます。
1人でできることには限界があるので、今後もコミュニケーションを大事にしながら、良いチーム作りを目指して行こうと思っています。









