多様な観点でエンゲージメントに向き合う〜現場の部長3名が考えるエンゲージメントスコアに基づく組織づくり〜

多様な観点でエンゲージメントに向き合う〜現場の部長3名が考えるエンゲージメントスコアに基づく組織づくり〜

萩原エレクトロニクス株式会社
新美 祐司氏
新美 祐司氏
萩原エレクトロニクス株式会社
システムプロモーション本部 第二プロモーション部 部長

車載機器メーカーへ半導体デバイスのプロモーションを担う部の部長を務める。部のメンバーは22名。

奥田 康太氏
奥田 康太氏
萩原エレクトロニクス株式会社
第一サプライチェーンマネジメント本部 第一SCM部 部長

車載向け半導体のサプライチェーンマネジメントを担当する部門の部長を務める。25名のメンバーと共に、日々、活動をしている。

河辺 雅司氏
河辺 雅司氏
萩原エレクトロニクス株式会社
第一サプライチェーンマネジメント本部 第二SCM部 部長

車載機器メーカーに納入する半導体デバイス等のサプライチェーンマネジメントを担う部署の部長を務める。部のメンバーは25名。

自動車メーカーをはじめ各種製造業向けに半導体や電子部品の販売などを手がける萩原電気ホールディングス株式会社。2021年より従業員エンゲージメント向上を重点戦略の1つとし、2022年1月からはWevoxを導入してエンゲージメントの向上に取り組んでいます。その中で事業会社である萩原エレクトロニクス株式会社でエンゲージメントの向上がみられ、中心的役割を担ってきた管理職の御三方に、どのようにして組織づくりやエンゲージメント推進活動に取り組んできたのかを伺いました。
※取材時(2024年8月)の部署・役職になります。

―御社で「従業員エンゲージメント向上」という目標が掲げられた当初は、どのように感じていらっしゃいましたか?

新美:2021年に方針を聞いた当初の印象は、「なんだこれ?」でした。というのは、弊社は先輩を見て育っていくような風土だったので、初めて聞く考え方に「何をすればいいんだろう?」「エンゲージメントを高めて何になるんだろう?」など、たくさんの疑問が自分の中を駆け巡りました。その後、人事や会社から説明を受けたことで、エンゲージメントを高める目的や目指すべきゴールは理解できましたが、何をしていけば?という悩みは常にあり、人事に個別に相談をしたりもしていました。

奥田:私の場合、当時はまだマネージャーで、見ていたメンバーは片手ほどの人数だったので、正直なところ、個々のメンバーの状態は把握できているし、エンゲージメント向上活動をやる意味はあるんだろうか?と思っていました。ただ、その後、2023年4月に現部署の部長に着任し、配下のメンバーが増えて目が届く範囲に限りが出てきたため、Wevoxの結果を参考にさせてもらっています。

河辺:私も奥田さんと同じく、当時はマネージャーでした。マネージャーの時は見ているメンバーの人数とミッションと役割が異なっていたため、エンゲージメントよりも自分のグループに与えられたミッションをこなしていました。その後、2023年4月に現部署の部長に着任して見る範囲を広げていく必要が出てきたため、エンゲージメントを意識するようになりました。

―では、それぞれにどのような取り組みをされたのでしょうか?まずは、新美さんからお聞かせいただけますか。

新美:まずは、エンゲージメント向上活動を行う目的や自部署の現状を自分が理解し、その上で色々な取り組みを行いました。いくつか例示すると、1つは、会社のビジョンをメンバーに伝える機会を増やしたことです。それまでは、期初キックオフでプレゼンするだけでしたが、自分たちの活動目的について一人ひとりが理解を深められるよう、部内会議を始め様々な会議でことあるごとに伝えるようにしました。

もう1つは、メンバーとのコミュニケーションです。普段からフロアを回って実務を担うメンバーから実務での困りごとを聞くようになりました。加えて、四半期に1回程度の1on1を行い、仕事とは関係ないことも含めてざっくばらんに会話する機会にしています。

―新美さんの部では、Wevoxのスコアが導入当初から2年半で大きく上昇したと伺っています。特に手応えを感じている取り組みがあれば教えてください。

新美:スコアが上昇した要因としては、メンバーの関係性が良くなったことと、会社と部のビジョンを明確にすることで業務の目的をみんなが理解したことが大きいと思っています。

前者については、組織改編により目標や価値観が異なるメンバーが一緒になった際に、メンバー間でベクトル合わせをしたこと、後者については、先ほどお話ししたビジョンを伝える機会を増やしたことが良い取り組みだったと思います。

―どのような取り組みだったのでしょうか?

新美:私の部門は、以前は営業部隊でしたが、技術系のお客さんとコミュニケーションが取れるよう、数年前は別の本部であったフィールドアプリケーションエンジニア(FAE)の部隊がメンバーに加わり、商談を取りにいく営業部隊と技術サポートする技術部隊が1つの部になりました。そこで、もともと別々の本部に所属していた営業と技術が一緒にプロモーション活動を行うためのベクトル合わせを図りました。

具体的には、1つの商談を行う際に、これまでは営業と技術で別々のチームをつくっていたところを、両者が混在する1つのチームをつくることにしました。当初は反発し合うこともありましたが、徐々にお互いの考えを分かち合えるようになり、同じゴールに向かってお互いを尊重し合える関係性ができました。営業は、商談を決めるには技術の力を借りることが必須と考えられるようになりましたし、技術は、テクニカルの考えだけではなく商談を取りに行くという考えができるようになりました。

―チームとして融合できたのですね。

新美:そうです。あとは、Wevoxの小項目で見ると「やりがい」や「裁量」、キードライバーでは「承認」のスコアが上がっているのですが、「裁量」については、マネージャーや主任、各担当に裁量を持ってもらう働きかけをしました。具体的には、私が実務に入りがちだったところを、マネージャーに任せる領域をつくり、マネージャーにも、主任に任せる領域をつくり、それぞれの立場におけるミッションをつくっていきました。

そうして1人ひとりに裁量を与えると、やりがいにもつながりますし、モチベーションや自己成長にもつながっていくのかなと考えます。また、裁量を与えられると必ず、課題に対して迷うことや相談したいことが出てきますから、マネージャーや私が相談を受けた際には、その場でしっかり判断することを私自身の方針として示し、マネージャーにも伝えました。その結果、「上司との関係性」や「承認」といったところが高まったのだと思います。

エンゲージメントスコアの結果を軸に、業務効率化とコミュニケーションの活性化を図る

―奥田さんは、部長に着任された2023年4月から1年強でどのような取り組みをされましたか?

奥田:私が着任したタイミングでは、部のWevoxのスコアは全社的に見ると低い方に入る状況でした。特に「ワーク・ライフ・バランス」のスコアが顕著に低かったため、まずは自分たちの仕事をいかにして効率的に回し、余裕を持って働ける環境をつくるかというところに一丸となって取り組みました。具体的には、立ち上げたばかりのツールをうまく使いこなせていないところがあったので、活用状況についてアンケートをとり、上がってきた意見に対して一つひとつ対処していきました。例えば「活用方法が分からない」といった意見には部内で説明機会を設けるなどです。また、人員の絶対数が少ない点については、関係各所に働きかけて中途採用に注力してもらうこともしました。

そうしてある程度仕事が回るようになった段階で、次のステップとしてグループ内のコミュニケーションの活性化に取り組みました。それまでは、グループ内での決まりごとが少なく、曖昧に進めていた部分があったため、グループごとにミーティングを実施するようにしています。そうして、グループ内で問題解決を行うこと、コミュニケーションを円滑にしていくことを促していきました。

あとは、マネージャーの年齢層が若干高いため、主任層に実務をあまり持たせずに実務担当者の相談役になるなど身近な存在として動けるよう各グループに配置しました。こうして主任に裁量を与え、実務担当者が気軽に相談できる環境を整える形で、メンバーの満足度を高めることを図っています。

こうした取り組みは、Wevoxのスコアを見ながら手を打つべきところを判断して行っています。

―メンバーの皆さんにはどのような変化が生まれていますか?

奥田:取り組みの効果が出てきていて、2024年度に入ってからWevoxのスコアも上がってきています。ただ、なかなか上がらないのが「やりがい」や「達成感」のスコアです。そこで今は、どうすればこれらの項目のスコアを上げていけるだろうか?という疑問をみんなに投げかけ、年齢が近い2〜3人ずつのチームをつくってそれぞれに適した活動に取り組んでいます。四半期末である9月末に、取り組み内容や成果を共有し合う予定です。

―取り組みを進めていく上で工夫された点はありますか?

奥田:着任当初に行った、使いこなせていなかったツールについてのアンケートの結果と、上がってきた意見すべてに、できる・できないを判断した結果をみんなに共有したことが1つ挙げられます。それにより、メンバーには、意見を言えばちゃんと回答や判断をしてもらえて物事が動くんだという認識を持ってもらえたのかなと思います。アンケートや意見聴取の機会が設けられても聞いたきりで終わってしまうパターンが多いと感じていたので、自分がやるなら「できない」という結論も含めてすべて判断して、みんなに報告しようということを心がけ、Wevoxの分析結果なども共有しながら、一歩一歩取り組みました。

個人の役割を明確にしながら、チームで仕事をする体制をつくる

―続いて、河辺さんは、部長に着任された2023年4月からどのような取り組みをされましたか?

河辺:私の場合、着任時、部のメンバーも、部が担当するお客さまも、初めましての方たちでした。したがって、まずはメンバーに声掛けをしたり、1on1をしたりして、1人ひとりの担当業務や人柄などを確認し、距離を縮めることから取り組みました。

並行して、役割分担を明確にして1人ひとりに役割を与えることと、個々人がバラバラに取り組んでいた業務をチームで行う体制づくりも行いました。というのも、私の部は担当するお客さんが多岐に渡り、お客さんごとに求められることも異なるため、各自が担当顧客だけを見てバラバラに動いていたんです。そのため、役割分担もあやふやでした。

チームとして成り立っていない状態で、それはWevoxのスコアにも表れていました。そこで、1人ひとりの担当業務をはっきりさせ、また、共通する業務にはチームであたる体制をつくった形です。チームを組むことで協力・相談しやすい環境にすることも念頭に置いていました。

あとは、個々人の判断で在宅勤務をしている組織でもあるので、全員が集まってコミュニケーションをとる機会をつくるべく、ランチ会を定期的に実施しています。

―取り組みを進める上でご苦労された点や反省点などはありますか?

河辺:当初、メンバーとコミュニケーションを取るべく1人ひとりに声をかけることを心がけたつもりでしたが、新任部長研修で実施した自分に対しての360度評価で「あまり声をかけられていない」「部のビジョンが不明確」などの意見があったことは反省点の1つです。このフィードバックを受けて1on1をするようにしましたし、本部のビジョンを私の部に落とし込んだ内容を、部員に説明する機会も設けました。

―取り組みによって、部の皆さんにはどのような変化が生まれていますか?

河辺:着任当初の、それぞれがバラバラに仕事をしている状況は改善されてきたと思います。また、直接「こういうことをしたいんですけど」と提案しにきてくれるメンバーも出てきていて、特にアシスタントメンバーからも提案があったときは驚きでした。私からコミュニケーションをとっていった結果なのかなと感じています。

また、Wevoxのスコアも上がってきていて良い傾向かなと思っています。特に、キードライバーの「支援」と「自己成長」のスコアの上昇は、個人個人でしていた仕事をチームで取り組むようになったことや、グループごとに定期的にミーティングを行うよう促したことで、相談しやすい環境になったことが良い影響を与えているのではないかと思います。

一方で、私の部も「やりがい」や「達成感」のスコアが低い傾向にあるのは課題です。業務の特性上、やりがいを見出しにくい面はあるので、担当業務のミッションに加えて、他部署との横断的な仕事をチームで取り組むことを始めました。それがやりがいを得る機会になればと思っています。

管理職とメンバーのコミュニケーションにより、より良い組織や仕事がつくられる

―エンゲージメント向上活動を通じて、ご自身の変化を感じる点や、気づき・学びになった点はありますか?

新美:当初は、エンゲージメントを高めるにはモチベーションを高めればいいんだろうと思っていましたが、毎回のWevoxのスコアを見ていくうちに、やりがいや人間関係、あるいは環境、ビジョンなど、多様な観点のひとつずつを高めることでエンゲージメントは高まっていくこと理解できたのは、気づきの1つです。

また、萩原電気グループ全体で今、部長が40人弱くらいいますが、そこだけでエンゲージメントを高めても意味がなくて、メンバーみんなでエンゲージメントが高まることに取り組んでいかないといけないというところは、意識が変わった点ですね。

あとは、エンゲージメント向上活動を通じて、実務を担うメンバーに対して管理職があれやれこれやれと指示を出すのは、本当の仕事のやり方ではないという理解になりました。

―詳しく教えてください。

新美:元々、管理職から指示を行うようなやり方をしていたんですが、管理職からの指示と、現場からの「こうしましょう」という意見や考えが重なり合った形で進めていけると、メンバーはやりがいや達成感を得られ、より良い仕事もできると気づきました。

日頃から奥田さんや河辺さんとは協議を重ねて、お客さんへのプロモーションからデリバリー管理まで一貫した仕事ができるよう連携を図っていますが、「その連携の仕方や考え方を我々からメンバーに一方的に共有していくやり方は良くないよね」と話しています。まずは部長間で方針などを擦り合わせ、それをマネージャーに共有して、マネージャーとしての意見をまとめてもらって擦り合わせた上で、システムプロモーションとSCMのメンバーに浸透させる方法を今は採用しています。

―では最後に、今後の組織づくりの展望を教えてください。

奥田:これまで話してきたことと少し方向性が変わるかもしれませんが、私の部は、仕事柄どうしてもやりがいや達成感を得づらい面があります。ただ、そこをきちんと高めて会社の中でWevoxの総合スコアNo.1を取りたいなと思っています。そのために、まずは今取り組んでいる小集団での活動の結果を見てみて、次の手を考えていきたいと思っています。そうして社内で一番いい部署はここだよと言われる環境を、部の皆さんと一緒につくりたいなと思っています。

河辺:働きやすい環境を実現できるように、今後も取り組んでいきたいと思います。そのために今、全力で取り組んでいるのは、全社的な目で見て人を受け入れやすい環境と、メンバー間で互いに配慮できる環境をつくり上げることです。業務の特性上、どうしても個人商店になりがちですが、それでは個々人のスキルや経験も向上しません。そうならないよう、今、個人個人でやっていた業務内容を集約したマニュアルを作成し情報共有することで、誰もが同じアウトプットの出せるツールを整備しました。

そうして、周囲の協力も得られる環境になれば、個々人の成長や、やりがい、達成感にもつながっていくでしょうし、他部署にチャレンジしたいというメンバーも出てくるのではと思います。加えて、個々人のスキルや経験がアップすれば、全社的にもパワーアップできると思うので、まずは自部門のスコアを上げつつ、全社的にスコアが上がる環境づくりをしていければと思っています。

新美:私の部では、「支援」や「人間関係」「承認」「組織風土」などのスコアが上がってきたので、次は、「職務」や「自己成長」「健康」などのスコアをどうすれば上げていけるか考えていきたいと思っています。それを、我々管理職だけではなく、実働部隊も含めてシームレスに考えていけると、より高まっていくでしょうし、さらに言うと、他部門とも情報共有しながら、良い取り組みがあれば自部署に取り入れて活動を進めていきたいと思います。

奥田さんの部署のスコアの1ポイント上を私の部は、目指します(笑)。

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