「『人』が1番の資産」――ビジネスエンジニアリング人事総務部が取り組んできた5年間の歩み

「『人』が1番の資産」――ビジネスエンジニアリング人事総務部が取り組んできた5年間の歩み

ビジネスエンジニアリング株式会社(B-EN-G)
喜多井 健氏
喜多井 健氏
ビジネスエンジニアリング株式会社(B-EN-G)
上席執行役員/ 経営統括本部 副本部長

国内外の事業責任者などを務め、2020年以降は上席執行役員として人事と経営企画を管掌。エンゲージメント推進活動も担当する。

福澤 良彦 氏
福澤 良彦 氏
ビジネスエンジニアリング株式会社(B-EN-G)
人事総務部

2003年に新卒で入社し、SEを5年務める。人事総務部に異動後は人財開発を中心に、2018年からエンゲージメントの推進活動にも取り組む。

社長がエンゲージメント活動のトップを務め、継続的に社内のエンゲージメント向上に取り組んでいるビジネスエンジニアリング株式会社。役員、人事それぞれの立場で協力し合いながらエンゲージメント推進活動に取り組むお二人のキーパーソンに、2019年のWevox導入からの5年間の取り組みを振り返りながら、実感している組織の変化やエンゲージメントに対する向き合い方についてお話を伺いました。
※取材時(2023年10月)の役職になります。

2018年からエンゲージメントに注力して取り組みを継続

―2019年にWevoxを導入してからもうすぐ5年が経ちますが、まずは導入の経緯を教えていただけますでしょうか。

喜多井:弊社は3年ごとに中期経営計画を立てているのですが、2018〜20年の中期経営計画を考える際、改めてエンゲージメントにも取り組んでいこうという施策にしたのが大きなきっかけでした。会社の規模が大きくないことからも、「人」が1番の資産であることを認識しており、社員のエンゲージメントを定量的に可視化していく目的で、Wevoxを導入しました。IT企業は設備などが資産とはなりにくく、人やノウハウが重要になってくるので、Wevoxのようなサーベイツールの導入に対して違和感はありませんでした。年々試行錯誤しながら利用を続けており、気づいたら5年も継続していたという経緯になります。

―導入してから、この5年間の取り組みを教えてください。

福澤:Wevoxを本格的に利用し始めたのが2019年4月で、今に至るまで全社員を対象に毎月サーベイを実施しています。正確には2018年の12月にも1度実施したので、もうすぐ6年目に差し掛かりますね。

導入を開始した2019年はまず、全部署に「エンゲージメント座談会」を実施してもらいました。スコアの結果を見ながら自部署のいいところや課題を話し合い、改善に向けたアクションプランに繋げる対話です。それと並行して、エンゲージメント向上の施策として、ラインマネジメント強化に取り組んできました。本部長研修などにおいてエンゲージメント関連のテーマを取り上げてマネジメント層の意識を高めたり、360度評価やビジネスコーチをつけたフィードバックを行ったりしました。

ただ、エンゲージメント座談会ではメンバー全員が納得するアクションプランを立てられなかったり、アクションが継続されないという課題がありました。そこで2020年からは、座談会を必須にするのではなく、エンゲージメント向上に繋がりそうなアクションプランをライン長が中心になって立て、プランに対する実績やその効果を全社に共有する形式にしました。同時に、ライン長との面談と社員との個別フォロー面談も始めました。全部署のライン長と毎年1回、Wevoxのスコアを見ながら、アクションプランの状況や課題感について情報交換しています。また、活動を通して気になる社員が出てきた場合には状況を確認し、悩みや不安を聞いてフォローしています。

2021年からは、コミュニケーションスキル強化の施策として、全社員へ研修動画を提供し、エンゲージメント向上に必要な行動への理解を深めてもらいながら、ボトムアップでの職場改善にも繋げています。また、2022年度末にはエンゲージメントリーダー講座と題して、アトラエ社が提供するプログラム「Engagement Run! Booster」の受講を中堅以上の社員に公募し、2割以上が受講しました。その他には、社内表彰制度の選定基準の中にエンゲージメントの観点を加えるなど、活動を展開しています。

喜多井:経営側の観点でいうと、毎週開催される役員会の中で、月に1度のWevoxの結果を確認しながら、いろいろな活動、施策の影響を振り返るようにしています。例えば、2020年は組織体制を大きく変えたこともあり、丁寧にスコアを見ながら振り返る必要がありました。具体的には、OKR評価の導入に加えて、健康経営にも力を入れたり、コロナ禍に伴ってWebで実施するイベントや会議体を増やしたりしたことが挙げられます。そうした施策が社員にどう影響しているのかということをWevoxの結果で確認することで、次の施策に繋げられるようにしました。

全社で50ほどの部署があるのですが、それぞれの部署の状況や全社施策の進め方を振り返るにあたって、Wevoxはある種ガイドとして利用させていただいています。当初は、スコアの絶対値に目が行くことも有りましたが、次第に気にしなくなっていきました。スコアを上げるための施策を考えるのではなく、経営していく中で必要な施策が社員にどう響いているのか、そしてそれを正しく反映させるためにはどのように伝えていくべきか、に重きを置いて議論するようになっていきました。

継続的な面談を通して、経営層と現場の連携を図る

―エンゲージメント向上のための施策は、どのような体制で進められているのでしょうか。

福澤:基本的には、現場をマネジメントしているライン長・人事総務部・役員で連携を取りながら進めています。人事総務部によるライン長との面談や社員との個別フォロー面談を始めた2020年からは、現場の声や状況を人事総務部が拾い、役員に伝えるようにしています。それを繰り返していると、自然に現場からも相談が上がってくるようになり、現場の声と施策を繋げていくことが増えていきました。

喜多井:施策の中には人事総務部の提案に対して役員が承認すればすぐにスタートできるものもあります。会社への影響が大きいものになってくると、社員の感情やパフォーマンスへの影響を丁寧に検討する必要があります。そうした影響度の大きそうな施策に関しては、エンゲージメントという観点も大事にしながら役員会の中で合意形成をしてきました。

週次で行う役員会はざっくばらんにブレインストーミング(以下ブレスト)のように話す時間になっていて、そこでエンゲージメントについて討論することがよくあります。先ほども話したように、Wevoxの結果も参考にしながら、ブレスト的に出た意見を人事総務部に共有することで連携を図っています。

―役員会では、Wevoxを見ながらどのように議論されることが多いのでしょうか。

喜多井:人事総務部が資料を作成してくれているのですが、項目ごとにスコアが並んでいて、変化が一目で分かるようになっています。例えば、2点以上スコアが上がると青色、2点以上下がると赤色、のように、各部署の変化が把握できるようにまとめてくれています。

その変化が顕著な部署ではどのような活動が行われたのかなどを役員同士で話し合うような形で進めています。「部署のミッションが複雑なのではないか」「部署の体制を変えた方が社員にとっても働きやすくなるのではないか」などブレストしながら意見を出し合うことで、どうしたらより良くなるかを話し合っています。

Engagement Run!Academyでの学びを通して、個人の意識を高めてもらうために

―エンゲージメント活動に取り組むにあたって、苦労した点と、それに対して工夫されたことなどがあれば教えてください。

福澤:「エンゲージメントが高い状態」を、社員にうまく伝えられていなかったことが当初の反省点として挙げられるかなと思います。Wevoxの導入においても、社員は「人事総務部からのお願いなので対応する」という感覚に近かったはずです。なぜこのサーベイをやるのか、何に繋がっているのかを理解できていない人が多かったと思います。自分たちにとってどんな価値があるのか、会社の業績に繋がるのかなど、理解しないままサーベイを続けるのはフラストレーションがあったと思いますね。

そんな中で、「社員協議会」という会社を良くしていくためのタスクフォースみたいな組織があるのですが、そこでエンゲージメント活動についての課題感を議題に挙げてくれたんです。それをきっかけに、勉強会という形で人事総務部からエンゲージメントについて丁寧に伝える場を設けてくれたり、施策がより効果的になる方法を社員側からも考えてくれるようになりました。この流れは大きかったですね。

喜多井:コロナ禍ということもあり、コミュニケーションを強化していきたい、というのはエンゲージメントに関係なく社員間や経営の観点でも注目されていたところでした。社員協議会からしても、そこにエンゲージメントをうまく絡めやすかったことも関係しているかと思います。

福澤:現場の社員にどう関心を持ってもらうかでいうと、毎月のWevoxの結果から、フリーコメントをピックアップして全社員に共有するようにしています。みんなにとって気づきになるものを選択するようにしていて、共有したコメントへの反応も一定数もらえています。

共有の目的は、関心を持ち続けてもらうこともそうなのですが、エンゲージメントに対する個人の意識が変わることも期待しています。エンゲージメントと聞くと、どうしてもマネジメント側が考えるものと捉えられがちだと思うのですが、役職関係なく一人ひとりの言動が周囲や自分自身にも影響を与えうることを意識してもらえたらいいなと思っています。

また、社員のコメントを共有するだけではなく、Engagement Run! Academyでの講義資料をもとに、私自身が学んだことを織り交ぜながら、社員にとって気づきや学びになるよう工夫しています。

喜多井:資料について、興味を持って目を通している人は本当によく読み込んでくれていると感じますね。

―福澤さんはEngagement Run!Academyに参加していただいています。どのような経験をされていますか?

福澤:月に何回かクラスに参加していて、その度に学びと刺激をもらっています。社内に共有したり、面談したりする際のアウトプットにもなりますし、いろいろな会社の様々な立場の方との意見交換を通して、自分の考えや視点が凝り固まらないよう軌道修正することにも繋がっていると思います。また自分自身が学び続けられていることが、活動を継続するエネルギーになっています。

喜多井:社内でも、エンゲージメントのことは福澤に聞くようになってきていて、Engagement Run! Academyでの学び、経験に信頼を置いていますね。私は福澤のことを「Mr.エンゲージメント」と呼んでいます。エンゲージメントに関する質問があれば、すぐに「Mr.エンゲージメントに聞いてみましょう」と話を振るようにしているんですよ(笑)。

社内連携を強化して、会社全体としてエンゲージメントに取り組む

―5年間取り組みを継続していく中で、やってきてよかったことや今後も継続していきたいことはありますか?

福澤:全社員が自部署のWevoxのスコアを見られるようにしたこと、部署の活動を全社員に公開し、必要に応じて人事総務部がサポートする形にしたことは、会社全体の活動が継続できている理由の1つだと思っています。活動を通してスコアが上がっている部署は、ライン長にとってもメンバーにとってもポジティブな経験となり、いい循環が生まれます。逆に部署の活動ではうまくいかない場合は、周りがサポートの必要性を考えるようになり、本部や経営でフォローしながら課題に向き合えているのかなと。

仮にスコアが低いとしても、サーベイに答える人のパーソナリティによるところもあるので、あまりネガティブに捉えて欲しくないとは思っています。そのため、ライン長との面談では、スコアがなぜ低いのかというよりも、スコアがどう変化しているのかという話をするようにしていますね。

喜多井:面談を通して福澤が他部署のいい事例を共有しているのも影響を与えていると思います。

福澤:そうですね。ただ、私が媒介になっているというよりも、部署ごとの活動は一覧で社内に公開されているので、ライン長同士が自主的に情報交換しているケースも多いです。活動一覧の公開はライン長だけでなく、メンバーにとってもエンゲージメント活動に意識を向けるきっかけになっていると感じています。

喜多井:あと、半期に一度事業部門の評価を決める際に、エンゲージメント向上のアクションプランを実行しているかを指標の1つに組み込んでいます。この指標はスコアの結果ではなく、あくまで行動の量がKPIです。また社員の目標だけでなく、社長がOKRというムーンショットの目標の中にWevoxに関するものも入れているので、会社として大事にしたいというメッセージとしても社員にも伝わっているのではないかと思います。

―エンゲージメント活動に取り組む中で、変化が感じられる点があれば教えてください。

福澤:人事総務部とライン長のコミュニケーションは明らかに活発になりましたね。面談を重ねていく中で、メンバーが活き活きと働けるようになるにはどうしたらいいのか、ライン長が進んで話してくれるようになったのは大きな変化だと感じますし、課題に対する連携が増えたことはとても嬉しく感じています。

例えば、目標達成に向けたプレッシャーによってリーダーからのメンバーに対するフィードバックがきつくなっているといった課題がいくつかの部署から出てきました。そうしたときに、Engagement Run! Boosterをリーダー層に受講してもらったり、部内の定例ミーティングの形式を対話型に変更したり、1on1を開始し関連書籍を配布したりと具体的なアクションに繋げることができました。

喜多井:コミュニケーションや連携が取れていることで、人事総務部の施策に対する理解も進んできているように思います。エンゲージメントについて考えることが、ある種コミュニケーションのきっかけにもなっている。その点については、経営の観点でも、Wevoxを導入して本当によかったと思っています。今後、国内の子会社や、一部は開始している海外現地法人でエンゲージメント活動を行う際にも、結果がどう出るかはチャレンジでもありますが、Wevoxをどんどん組み込んでいきたいと思っています。

―エンゲージメントに向き合っていくにあたって、今後の展望を教えてください。

福澤:エンゲージメントの活動を通して、まずは安心して相談できる、気兼ねなく意見交換できる職場にしたいと思っています。社員一人ひとりが、自分の部署やチームに誇りを持つことができる会社にしていきたいですね。

喜多井:福澤が言ってくれているように、もう社内に関しては人事総務部が進めてくれているので、今後は他の海外現地法人に展開していきたいですね。そうすることで、グループ会社含めた組織全体で相乗効果を生めるといいのかなと思っています。

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