
エンゲージメント活動の全社浸透を目指して――モデル部門と歩んだ事務局の1年間

2005年に新卒入社。現場部門を経て、2017年より人事部。2021年より働き方改革推進室と協働して、Wevoxの運用とモデル部門の育成・推進を中心的に担っている。

2002年に新卒入社。現場部門を経て、2020年より人事部働き方改革推進室。Wevoxの導入に携わり、現在は阿部氏とともにWevoxの運用とモデル部門の育成・推進を担当。

1985年入社。現場部門を経て、2002年より人事部。2020年4月の働き方改革推進室発足当初より人事部と働き方改革推進室を兼務し、Wevoxの導入に携わる。現在は阿部氏、荒木氏とともにWevoxの運用とモデル部門の育成・推進を担当。
中期経営計画の柱の1つに「エンゲージメント向上」を据え、2022年3月にWevoxを全社に導入したTISシステムサービス株式会社。エンゲージメント活動を全社に浸透させるために、導入初年度はモデル部門による活動を行いました。その取り組みと成果について、事務局を務める3名に伺いました。
モデル部門をエンゲージメント活動の足がかりに
―御社は2022年3月にWevoxを全社に導入されました。まずはその理由から教えてください。
荒木:弊社では、「働きがいを上げる」というミッションのもと2020年4月に人事部の配下に働き方改革推進室が立ち上がりました。初年度はちょうど2021年度からの中期経営計画を立てるタイミングだったため、中計の立案を行い、2021年度からは、中計の柱の一つに据えられた「エンゲージメント向上」の取り組みついて、「働きやすさ」と「働きがい」の両面から手探りで検討・実行している状況です。
その中で課題に挙がったのが、組織の状態をタイムリーに、かつ、詳細に可視化することです。エンゲージメントサーベイ自体は、グループ全体で年1回行っていましたが、年1回ですから、状況によって変化する状態をタイムリーに把握することができません。また、スコアが伸び悩んでいるにもかかわらず、原因をサーベイ結果からはつかみづらいことも課題でした。
というのは、弊社は、交代勤務で24時間稼働している部署があったり、業務上テレワークして問題ない社員と絶対に出社しなければならない社員がいたり、お客様先に常駐している社員がいたりと、個々の社員・組織の状況が多様です。そのため、全社共通の課題があるのか、それとも組織ごとに異なる課題があるのかの把握が難しかったのです。
さらに、1on1などの取り組みにおいて有益な対話ができているのか検証が現場任せになってしまっていることも課題の1つで、これらをどうにか可視化できないかとパルスサーベイの導入を検討しました。

―Wevoxを選んだのは、どのような理由からだったのでしょうか?
荒木:複数のサーベイツールを比較・検討した中で、ミニマムのコストで始められることや、操作性、内容などに良さを感じました。2021年6月から一部の部門で運用してみたところ、上司と部下の間で対話を増やすことでスコアが変動することを実感しましたし、現場マネジメントにとても役立ったという声も挙がってきたので、全社導入に至りました。
―全社展開にあたっては、どのような周知活動をされましたか?
阿部:まず、2022年3月の全社導入のタイミングで、全社員向けに説明会を実施し、Wevoxの概要や導入のねらい、今後のロードマップなどを説明しました。
次に、4〜6月の3カ月間かけて、管理者向けにWevoxのトレーニング支援サービス「個社別セッション」のBasicを活用して、月1回×3カ月の計3回、1セミナー形式で「エンゲージメントとは?」「Wevoxとは?」といったことや、対話の重要性について理解するトレーニングを行いました。
そして、7月からは、7〜9月に第1期の、10〜12月に第2期のモデル部門による活動を行いました。来期は、そこでの成功事例を全社に展開していくフェーズに入る予定です。
こまめな振り返りで活動の方向性を調整
―モデル部門による活動と好事例の全社展開という方法をとられたのは、どのような狙いからですか?
阿部:Wevoxの導入もエンゲージメント活動も、我々自身が手探りでやっている面が強いので、まずは成功事例を出したいという思いがありました。
荒木:Wevoxのカスタマーサクセスの方からも、キーパーソンを立ててそこから活動を広げていくのが効果的と助言をいただいたので、この方法を選びました。
―モデル部門はどのように募集されたのですか?
阿部:各本部から配下の部門やチームに対して、モデル部門の活動を行うことと、参加したいチームはWevoxに登録しているチーム単位で手を挙げてほしいことを声かけしてもらいました。
荒木:月2回×3カ月間の計6回程度セミナー及び相談会に参加する必要があること、その都度課題もあるのでそれらをすべてできる・やりたいというチーム・人に手を挙げてもらいたいことも併せてお願いしました。
渡抜:結果、第1期は12チーム、第2期は8チームが参画してくれました。第1期の12チームのうち1チームは、我々働き方改革推進室です。我々も事務局としてありつつ、1つのチームとして学びたいという考えから参画しました。
―具体的にどのような活動をされたのでしょうか?
阿部:第1期も第2期も、まずは参加チームに対して取り組みの目的やモデル部門の役割、スケジュールなどの説明を行っています。そして、Wevoxの「個社別セッション」のメニューを活用しながら、月1回、ワーク実践型のトレーニングを行い、その内容に沿って活動するという仕立てにしました。
具体的には、1カ月目のトレーニングでは、エンゲージメントの基礎知識を学んだ上で、チームの目指す姿を描き、Wevoxのどの項目にスポットを当ててどんな取り組みをするのかというアクションプランを考える。2カ月目は、先月作ったアクションプランを実践してみてどうだったかをグループワークで振り返る。3カ月目は、3カ月間でどのようなアプトプットができたかをまとめあげるグループワークを行う、という構成です。加えて、トレーニングでインプットした内容をチームに持ち帰ってメンバーと対話をしたり、アクションプランを実践したりする中で出てきた悩みや不明点を相談する相談会の場も毎月設けました。
荒木:トレーニングで取り組み内容を決め、チームに持ち帰って実践する中で生じた悩みや疑問点を相談会で相談。改善・軌道修正した内容をチームに持ち帰ってまた実践し、翌月のトレーニングで前月の取り組みを振り返り、当月の方針を決めてまたチームで実践するというサイクルです。3カ月間で、トレーニングを3回、相談会を3回行った形になりますね。
―活動の効果を上げるために、事務局の皆さんはどのような工夫をされましたか?
阿部:トレーニング参加者の反応や出てきたアクションプランなどをふまえて相談会の内容を検討したり、相談会後に次のトレーニングに必要な内容を話し合ったりと、しっかりと振り返りをしながら、プログラムを作り込んでいくようにしました。

荒木:相談会という形で、毎月、実践内容を軌道修正するポイントを作れたのが良かったです。というのは、エンゲージメント向上のための活動であるにもかかわらず、施策のような方向に進むチームもあったので、相談会で助言して軌道修正を促すことができました。
―「施策のような方向」とはどういうことでしょうか?
阿部:Wevoxの研修では、日々の対話の重要性や、関係性のないまま大きな取り組みをしようとしても「今まで話をしようとしてこなかった管理者が急に伺いを立ててきた」と、受け止める方は気持ち悪さを感じることを教えていただきました。そのため、我々としては、まずは「対話をする」ことにつながるアクションを計画・実行してほしいという意図を持ってトレーニングを行ったんです。
ただ、とくに第1期は、「メンバーの業務を平準化するために、作業の洗い出しをしてタスク分散に取り組みます。数カ月後から着手します」といった、ある程度の期間が必要な施策に近いプランを立てるチームが見られました。業務の洗い出しをすることはやってもらって構わないのですが、「対話をする」というアクションをすぐに実行してほしいという意図がなかなか伝わらず歯痒い思いをした面があります。
他方で、「週1回、メンバーで話す場を設けます」「普段の声かけの頻度を上げます」など、身近なところですぐに着手できるプランを立てたチームは、「メンバー間で会話する頻度が増えました」といった効果の声も聞かれて、うまくいかないチームとの差が大きかったですね。
荒木:第1期の参加チームに理解度の差が出てしまったのは「エンゲージメントを上げる」という漠然としたテーマのもとでアクションプランを立てたことにありました。
ただ、第1期は初めての挑戦でしたし、次に繋がる学びを得られたという意味でとても意義のある活動だったことは間違いありません。第2期では、第1期での経験を活かして、Wevoxの項目の中から着目したい項目を1つ決めて、それをテーマにアクションプランを立てるという形にしました。すると、対話の重要性と結びつけて、例えば「職務上の支援」をテーマにしたならば、「支援をし合うにはどんな施策に取り組むか?」ではなく「支援をし合うために対話をどのように行うか?」という観点で具体的なアクションを考えられるチームが増え、活動が進んだんです。
次は、各チーム・部門が主体的に活動するためのメニューを増やす
―1期、2期の取り組みの中で、今後、モデル事例として展開できそうな好事例として、どのようなものがありましたか?
荒木:全体的なところでいうと、Wevoxの項目から1つ目指したいテーマを決めて取り組む方法は、第2期の事例を見ても有効なのではないかと思います。Wevoxのスコアは体重計のようなものです。スコアを上げるために行動するのではなく、組織として目指したい姿を描き、必要な取り組みを考え、実践する意識を定着させるためのものなんだというきづきもありましたね。各チームの活動でよかったことはありますか?みなさん。
渡抜:「対話を始めて、コミュニケーションの機会が増えました」「意見が言いやすくなりました」というチームが第2期は多く出てきました。対話がもたらす効果を、全社に広報していく際のヒントになるなと感じています。

荒木:モデル部門のマネージャーが理解して推進していけることが、すごくいいなと思います。とあるマネージャーから、「今まではメンバーに対して『これをやって』『こう決めたからやってほしい』と仕事をおろしていたけれど、モデル部門の活動ではメンバーに対して『どうしたい?』ということを聞き出して、メンバーの意見をもとにやり切ることをした」という話を聞きました。その話を聞いて、マネジメントをする人がエンゲージメントについて理解し、実践していくことの大きさを感じたんです。このようなマネージャーが増えていくといいなと思いましたね。
―今後、どのようにして好事例の共有・展開を進める予定ですか?
阿部:第一弾として、2022年度中に好事例を社内のポータルサイトにアップして見に行ける状態をつくります。そして、2023年度は、エンゲージメント向上のためのメニューとして、トレーニングの場、相談の場、Engagement Run!の3つを用意して、チームの状況に合わせてやりたいものを好きなタイミングで取りに来てください、と全社に案内することを計画しています。
―社員の皆さんはどのような反応をされると見通していらっしゃいますか?
阿部:部門の特性によって様々かなと思っています。「働きがいを上げていくために何か手はないか?」と課題感を持っているチームは3つすべてを選ぶかもしれませんし、現場のプロジェクトに忙しいチームはメンバーを1人だけアサインしてEngagement Run!だけを受けるといった選択をするかもしれません。全社展開していく中で社員の意見をどのように収集していくかは今後の課題です。
荒木:Wevoxを導入してまだ間もないので、これからゼロから取り組んでいくチームは多々あると思います。モデル部門として話してくれた4名のように、自らエンゲージメントを語っていけるような社員・チームを1チームでも多く増やしていけるよう、長い目線でやっていかなければならないだろうなと思っています。
―その状況をふまえて、今後の組織づくりの展望をどのように考えていらっしゃいますか?
荒木:まず来期は、対話することによって心理的安全性の高い組織をつくる、ということをキーワードに取り組んでいきたいと思っています。モデル部門の取り組みを通じて、具体的なテーマを設定すると行動に落とし込みやすいことがわかったので、全社的にもWevoxのどの項目に着目して取り組むかという方針を明確化して取り組めるといいと思っています。

具体的には、Wevoxのキーとなる項目を明確にして、中期経営計画に入れて、さらに本部計画にも入れて、各部門の計画に落とし込んでいくという形で浸透させていければと思っています。そうして心理的安全性の土台を立て直すことによって、弊社で働くことについての納得感や満足感といった内なるものを上げていけるようにしたいですね。
モデル部門の活動も引き続き行い、エンゲージメント活動に注力するチームを年間20チームずつくらい増やしていきたいと思います。
阿部:まだ1年目が終わろうとしている段階なので、まだまだこれからです。エンゲージメント活動はこんなことをするといいんだなということを学んだくらいの、やっとスタートラインに立てた状態とも言えます。ここから全社員に情報として伝わって、具体化されて活動して、というのが2年目で、3年目にやっと浸透したかどうかが見えてくるように思います。
渡抜: 1年目は比較的やりたい人が積極的に手を挙げてくれますが、2年目・3年目となると掘り起こしをしないといけません。活動の難易度が上がるかもしれませんが、よい組織づくりのために必要な挑戦だと捉え、注力して取り組んで行きたいと思います。







