マネージャーの心理的負担を減らしスキルを上げる、対話を軸とした組織作り

マネージャーの心理的負担を減らしスキルを上げる、対話を軸とした組織作り

株式会社 D2C
高田 了
高田 了
株式会社 D2C
代表取締役社長

2000年、株式会社電通入社。複数のグループ会社の部門長等を歴任したのち、2021年より株式会社D2Cへ。代表取締役副社長等を経て、2022年7月に代表取締役社長に就任。

北中 建
北中 建
株式会社 D2C
マーケティングテクノロジー本部 データアナリティクスデザイン部 部長

2017年、株式会社D2C入社。広告代理業を担う株式会社D2C Rに出向し、広告プランニングや運用経験を経た後にデータアナリストとしての活動を開始。2023年にデータアナリティクスデザイン部の部長に就任。

NTTドコモが保有するデータを起点とした広告マーケティングソリューションの企画開発事業に加え、デジタル領域を中心に幅広いマーケティング支援を展開するグループ企業を持つ株式会社D2C。2022年8月よりWevoxを導入し、組織の状態を可視化するツールとして活用しています。具体的な活用方法について、代表取締役の高田さんと、高田さんが管掌するマーケティングテクノロジー本部の部長である北中さんに伺いました。
※取材時(2024年8月)の部署・役職になります。

業績に表れない会社の状態を可視化するツールとしてWevoxを導入

―御社は2022年8月にWevoxを導入されました。どのような背景でしょうか?

高田:業績に表れない会社の状態を可視化するツールの重要性を感じていたためです。会社の状態を可視化し、潜在的に内包している課題をあぶり出して解決していきたいと考えていました。

―当時は、どのようなことを課題に感じていらっしゃったのでしょうか。

高田:まず一つ挙げられるのは、業務のサイロ化です。当時は、組織ごとに閉じたコミュニケーションが非常に多く、隣の部署が何をしているのかわからなかったり、隣の部署に対するリスペクトが少し足りなかったりという状況にありました。コロナ禍で出社する社員が少なく、周りの人たちとの雑談が減っていたこともあり、そのような状態にならざるを得なかったのかなと思います。

あとは、社員の離職リスクや、マネージャーの精神的負担の増加という課題もありました。これもコロナ禍がきっかけでもあったと思います。特に、マネージャーの精神的負担に関しては、リモートワーク中心でメンバーの細かい状況が分からない中、1on1で何を話すべきか?どのようにコミュニケーションをとっていくといいのか?といった悩みをマネージャーが抱えていました。

メンバーに対するマネジメントの責任は、直属のマネージャーだけが負担するものではなく、その一つ上、ないし二つ上のレイヤーにいる者も含めて責任を負うものだと思っています。組織の状態を可視化するツールを導入することで、マネージャーよりも上の階層にいる者も組織の状態を把握しやすくし、マネージャーの精神的負担を軽減するということも導入の目的の一つでした。

各部のマネージャーと管掌役員が3か月に1回対話し、マネジメントの方向性を確認

―サーベイ結果の活用の仕方について教えてください。実際にどのようにして課題のあぶり出しに取り組んでいらっしゃいますか?

北中:まず、毎月のサーベイ結果については、メンバー直属の上長である担当部長と、そのまた上長である部長が確認しています。その際に着目しているのが、月ごとないし、クォーターごとのスコアの変動状況です。項目ごとの上下の仕方と、メンバーの担当業務や、プロジェクトにおけるパフォーマンスを紐付けて考えていきます。

例えば、「職務」「自己成長」「理念戦略」などのキードライバーのうち、いずれかのスコアが低下傾向にある、あるいは低い状況が続いている場合は、その項目において、メンバーは今携わっている業務やプロジェクトでもう少しパフォーマンスを出せる余地があるということになります。なので、各メンバーと担当部長との間で、スコアが低い原因や背景、また、どうすればスコアが改善されてモチベーションやエンゲージメントが上がっていくのかを追求していきます。

そして、これらの取り組みの内容や結果を、担当部長と部長の2人から、自部門の管掌役員と人事に共有するミーティングを3か月に1回行っています。その際には、「他の部署でもっといいやり方をしているよ」などと、他部署の先進的な事例の共有や助言を受けたりもしています。

高田:役員は、管掌する各組織の部長や担当部長とミーティングをしたのちに、D2Cグループ全体を横断して状況を共有・把握する機会を持つことも3か月に1回行っています。

―北中さんは部長として、どのようにスコアを見て、担当部長の皆さんとコミュニケーションを取られていますか?

北中:僕も担当部長も、Wevoxの活用の仕方は同じです。マネジメントアクションをとった際に、その動きが良かったのか悪かったのかを判断するような使い方をしています。

例えば、僕は部長として、自部門に対して、向こう半期の方針を示し、担当部長も含めた各メンバーの担当業務や、これからの半期ですべきことを整理し伝えていくといったマネジメントアクションを行います。そういったアクションをとった際に、各メンバーのスコアがどのように変動しているかを見て、僕たちがとったマネジメントアクションが良かったのか悪かったのかという、一定のクオリティマネジメントとしてスコアの変動やそこから見えてくる課題を捉えるような使い方をしています。

また、Wevoxのキードライバーの中でも「自己成長」「職務」など、業務に密接に関わる項目のスコアの変動要因は担当部長の方がスコアの背景を理解しやすいです。反対に、「理念戦略」など、組織に関連するスコアの変動要因は僕の方が解像度が高いので、連携して課題の分析を行なっています。

―そういったコミュニケーションの中で、組織の改善につながった取り組みがあれば教えてください。

北中:僕が管掌しているデータアナリティクスデザイン部では、「職務」の小項目である「やりがい」「自己成長」や「理念戦略」などのスコアが低めに推移する傾向にありました。メンバーの中に「自身の技術力を探求したい」「業務上で忙しいところをもう少し余裕を持ちたい」といった要望があることがスコアから顕在化したので、個人がやりたいことも、組織としてやらなければならないこともできる環境を目指して担当部長と共にマネジメントに取り組んできました。

具体的には、半期ごとの活動方針を踏まえて、各メンバーの担当業務とその業務を通じて何にコミットしていくのかということを明確化し、一人ひとりに伝えていきました。というのは、コロナ禍でリモートワークであったことなどから、それぞれの業務範囲はなんとなく決まっているものの、何にコミットしていくのかということが言語化されていなかったり、部署として共通認識が持てていなかったりしたんです。そこを、構造化していきました。

加えて、「こうすればもっと良くなる」「こんなこともやっていくべきだ」といったアイデアを共有するミーティングの機会を定期的に設けました。コロナ前の多くの人が出社している状況であれば、瞬間風速的にこういった場が生まれることはあったかもしれませんが、それもコロナ禍で難しくなっていたので、仕組みを作った形です。

結果、メンバーたちは「自身がやりたいこと・勉強したいことをするためにも、担当業務・プロジェクトをより生産的・効率的に進めていきたい。そのために、自分はこれをしよう」といった、自発的なアイデアが出てくるようになりました。

―高田さんは、経営者としてWevoxのスコアをどのように捉え、活用されていますか?

高田:冒頭にお話ししたように、Wevoxは健康診断のように、業績等に表れない会社の状態を知り、原因を探るものだと思っています。私の場合は3か月ごとの変化を見て、打つべき手段を明らかにするためのものだと捉えています。

また、全社会の内容についてのアンケートなど、社員に対してはWevox以外にもいろんなアンケートを実施していて、そこから様々なマイナスのコメントが挙がってきます。それらが、マイノリティの意見なのか、マジョリティの意見なのかによって打ち手が変わってくるので、そこを知るのにも、Wevoxのスコアは役立てられるかなと思っています。

―Wevoxのスコア等をふまえて高田さんご自身が何か手を打ったり、発信したりすることもあるのでしょうか?

高田:全社員に向けてメッセージを発信する際に、内容やタイミング、伝え方など何に気をつけるかを意識する指標になっています。

例えば、事業戦略を伝える場合、うちはグループ全体で800人規模の会社で、一つの事業だけで会社が回っているわけでもないので、社員ごとに事業の見え方・捉え方が異なります。ですので、経営者として示す方針は、様々な事業に当てはまる言い方をするために抽象的にならざるを得ません。あまりに抽象的だと「経営者が言っていることがよくわからない」などと「理念戦略」等のスコアが下がることにもなるので、どう噛み砕いて部長、担当部長、メンバーと下ろしていくか、マネジメント層とのミーティングでの伝え方を考えたり、発信のタイミングを考えたりすることは意識していますね。

マネージャーの心理的負担が減少し、マネジメントスキルのレベルも上昇

―御社の総合スコアは上昇傾向にありますが、どのような要因があっての現状だと捉えていらっしゃいますか?

高田:まずは、マネージャーのメンバーとの向き合い方が変わっていったことがあると思います。1on1などで得られるメンバーの一時的な情報だけでなく、Wevoxのスコアからもメンバーの考えなどを把握できたことで、メンバーとマネージャーの関係や、業務・組織のあり方を改善しやすくなりました。そうしてマネージャーが、スコアが低迷している要因を一つ一つ改善しているからこそ、会社全体のスコアも改善しているのではないかと捉えています。

あとは、我々経営陣が考えていることをできるだけ社員一人ひとりに届くよう丁寧に説明しているので、そこがスコアにも寄与していると喜ばしいなと思います。

―高田さんが全体を考えて発信しつつ、各部長さんにもそれぞれの事業に応じた発信をされているというのは非常に重要なことだと思います。

高田:社員のどの階層においても、それぞれの一つ上の階層のマネージャーがメンバーのやる気を引き出していくことが必要だと思うんですよね。一番上にいる社長の働きかけで現場のメンバーが動くかというと、そうはいきません。社長と現場のメンバーとの間には、それぞれの事業ごとに翻訳していく人たちが必要で、それが、部長や担当部長だと思っています。

―当初、課題に感じていらっしゃった点について、現在の状況も伺えればと思います。まず、業務のサイロ化については、変化はありましたか?

高田:サイロ化しないための取り組みとして、組織改編を行ったり、重複している機能を統合したりしています。それほど反発なく行えているのは、統廃合によって自分たちにどのような影響があるのかを丁寧にコミュニケーションを取るようにしたことが理由の一つだと思います。現場のメンバーにとっては、組織改編によって自分がどうなるのかということが大事なので、目指しているものがどう変わっていくのか、また、各メンバーのエデュケーションプログラムがどう変わっていくのかについては重点的に話すようにしています。

また、取り組みの結果、社員の納得感などをWevoxのスコアの変動から把握できるのは、Wevoxを導入している意義の一つだと感じています。

―離職リスクについてはいかがでしょうか?

高田:離職率の面で言うと、コロナ禍に比べると緩やかに下がっています。

―マネージャーの皆さんの精神的な負担が増していた状況は、現状いかがでしょうか?

北中:心理的負担は減少傾向にあると思っています。それは、組織マネジメントとしてやるべきことを担当部長や本部長とコミュニケーションを取り、課題を洗い出し、課題解決に向けたアクションを起こすという、課題の抽出と解決がうまく回せるようになってきたからだと思います。コロナ禍に入ったばかりの頃の「何から手をつければいいかわからない」という状態からは、心理的負担が確実に減少していると感じています。

高田:Wevoxを入れて、縦のラインのマネージャー同士で共有会を設けることで、現場のマネージャーだけでは解決できないような困りごとを、その一つ上、二つ上の階層のマネージャーと一緒に考えられるようになったと思うんですよね。その結果、マネジメントが良くなっていったのではないかと思います。

―では最後に、今後の展望として、組織づくりにどのように取り組んでいきたいとお考えでしょうか?

北中:メンバー、チーム、組織それぞれに「やりたい」や「やらなきゃいけない」「追求したい」と思っているバリューがある中で、どこまでお互いに調和した動き方ができるのか?というのを追求していかなければと思っています。

個人と組織がそれぞれに追求するものがお互いに納得のいく範囲の中で噛み合ってワークしているような組織を、うまく作っていけるように精進したいです。

高田:理想は、Wevoxに頼らなくても会社が回っていく状態です。サーベイツールがなくてもメンバーのことがわかり、それがマネージャーの階層ごとに適切に理解されていく組織であることが望ましいなと思います。ただそれは、トップあるいはマネージャーが現場の社員と本音で話せて、現場の声を網羅的に吸い上げる仕組みがあることとニアリーイコールなので、そんな環境づくりが果たされるまで、Wevoxのような組織をサーベイするツールを使っていきたいと思っています。

資料を一括ダウンロードする