【Teamwork Sessionレポート】「働きがい」を生むために、“社員の満足”から“エンゲージメント”へのバージョンアップ

【Teamwork Sessionレポート】「働きがい」を生むために、“社員の満足”から“エンゲージメント”へのバージョンアップ

株式会社現場サポート
福留 進一氏
福留 進一氏
株式会社現場サポート
代表取締役社長

1967年指宿市生まれ。2005年 (株)現場サポートを設立。組織づくりにも注力をし続け、2016年九州初の厚労省ユースエール企業認定、 2019年鹿児島県経営品質賞知事賞受賞、2021年日本における働きがいのある会社ランキング:小規模部4位、同女性ランキング小規模部門1位、同若手ランキング小規模部門1位など多数受賞。 鹿児島県中小企業家同友会 副代表理事兼総務委員長、鹿児島県経営品質協議会幹事も務める。

Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。株式会社現場サポートの福留進一さんにご登壇いただきました。社長として、率先して社員とのコミュニケーション施策を実行する福留さん。従業員満足度からエンゲージメントサーベイへの転換の背景や詳細な施策事例などについてもお話しいただきました。

―本日のテーマは『Great Place to Work Institute Japan認定「働きがいのある会社」が実践する組織づくりとは?〜主体的に考え行動できる人を生み出す施策〜』です。どうぞよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。弊社はビジネス向けのIT会社でして、建設業のお客様や公共機関の方にご愛顧いただいています。営業エリアは九州から全国に展開しております。いわゆる自社サービスのIT会社ですが、地方では比較的珍しいビジネスモデルかと思います。社員数63名の中小企業ですので、今日は、そういった規模の会社でどのようにエンゲージメントを高めているのかについてご紹介します。

弊社ではWevoxを導入するまで、長年、社員満足度調査を行っていました。調査の項目の中で「職場には経営トップの考えが浸透している」「私はこの会社の一員であることを誇りに思う」「我が社では社員が大切に扱われている」という項目のポイントが高く、常に90ポイント以上を維持していました。満足で停滞している状態が長く続いていたんですね。私としては「本当にこれでいいんだろうか」という思いがありましたので、エンゲージメントツールを導入する前に会社をメジャーバージョンアップ(大幅な改良)しなければと考えるようになりました。

満足で終わらず、幸福まで行き着くことが重要

ここで大事なのは何を目的に会社をメジャーバージョンアップするかということですが、マズローの欲求5段階説にもあるように、3段階目まではただの満足なんですよね。自分が満たされればいいという話なんです。そこから、満足の上は幸福だという結論に行き着き、人やお客様、一緒に働く仲間に貢献することにより幸福が得られるんじゃないかという考えに至りました。

満足で停滞せずに幸福へと進むべく、現場サポートバージョン3プロジェクトが始動したというわけです。離職率の高さを受けて2009年に私が作った経営理念を捨て、1年間議論をして全く新しい理念を作り上げました。上のスライドにある8つのテーマについて、6人ほどのチームで月1回ワークを行い、最終的にはリーダーでまとめました。その時に出来た理念が「チームを活かす、だれもが活きる」という理念です。経営者が作った理念ではなく全社員で作った理念なので「私たちの理念」と名付けています。

働きやすさから働きがいへ

エンゲージメント調査を始めるきっかけにはもう1つ、働き方改革があります。厚生労働省には、若者の雇用や採用を積極的に行っている会社が認定される制度「ユースエール認定企業」というものがありますが、実は九州で最初にその認定を受けたのが弊社だったんです。結果、働き方改革という面で非常に注目され、いろんなところでお話しする機会をいただいたり、厚労省のホームページに弊社の事例が取り上げられたりということが頻繁に起こっていました。ですが、私としてはものすごく違和感がありました。例えば時間外が少ないとか休みが多く取れるとか、離職率が少ないとか、それだけじゃないよね、と。もちろん大事なことではありますが、それだけではないという想いがずっとあったんです。何が足りないんだろう、と考えていた時に出会ったのが「働きがい」というキーワードでした。

「働きやすさ+やりがい=働きがい」というのはGreat Place to Workさんが出されている定義ですが、この定義にとても合点が行きました。働きやすさは働き方改革の話であって、やりがいもないとダメなんですね。Great Place to Workさんのウェブサイトを見た時、小規模部門の1位がアトラエさんだったので、そのまま引きずられるように社長の新居さんの本「組織の未来はエンゲージメントで決まる」を読みました。付箋を貼りまくって線を引っ張りまくって(笑)読みましたが、合点のいくことだらけでした。実はアトラエさんに直接足を運んだりもしたんですよ。会社を見せてもらい、色々とお話も聞かせてもらって、その時点でWevoxの導入を決めました。

導入後からはエンゲージメントに注目し、そのデータを使うようにしています。ES調査というのは、経営者にとっては受ける一方ですよね。何が足りないかをずっと言われるので、正直辛いんです。出来る範囲には限界がある中で、何が欲しいと言われ続けるのがES調査だと私は解釈しています。ただ、エンゲージメントはそうではなく、自分たちでどうすればいいかを考えることに重点を置いています。エンゲージメントの結果を受けて考えるのは社長ではなく、みんなで考えて一緒に会社を良くしていくということで、ツールも考えも切り替えています。

デジタルとアナログを組み合わせてコミュニケーションを最適化

弊社で行っている実践事例についてですが、社長面談、朝礼スピーチ、社長勉強会など様々です。全てコミュニケーションに関するもので、弊社がどのようにコミュニケーションを取ってきたかという歴史そのものだと思います。また、離職率が下がって売上がどんどん上がるという状態であり、この3年間は年率30%成長することができています。

このコミュニケーションについてですが、弊社にはコミュニケーションに関する方針があります。どうコミュニケーションを取るかによってエンゲージメントが左右されますが、エンゲージメントが上がればみんな頑張る=当然業績も良くなるという循環が一番なわけです。そこでどういうコミュニケーションを取るかなのですが、弊社の場合は質のアナログと量のデジタルをミックスして最適化しています。お互いを尊重しあった上で建設的な議論を推奨し、社員はお互いに質問責任と説明責任を持ちます、というのが弊社のコミュニケーションに関する方針です。

アナログのコミュニケーションとしては、社長面談を行っています。前は年6回でしたが、人数が増えすぎて出来なくなったので現在は年4回です。昨日も1日14人と面談してクタクタになりましたが(笑)、とても充実感がありました。前回の面談よりも、特に若手エンジニアのモチベーションが上がっているのを感じられて、疲れも吹っ飛ぶほど嬉しかったです。所要時間は1人10分ほどですが、短時間ということもありみんな重要な案件を持ってきてくれるので、非常に充実した面談ができているなと思います。このほかにも社長勉強会を年80回、週1の朝礼や方針説明会など、アナログの機会を作ってはコミュニケーションを豊富に取っています。

一方、デジタルコミュニケーションには、主に「現場クラウドConne」を使用しています。社員数63名の弊社ですが、1日にやりとりするメッセージの数は1000通を超えますね。また、コロナ禍になってからは在宅ワークも進めていまして、平均出社率3割、常時約7割以上が在宅ワークという状況です。ですから、ますますテキストベースのコミュニケーションが重要になっているんですね。

デジタルコミュニケーションを生かすための3つのポイント

これについては、デジタルコミュニケーションの留意点として3つのことに注意するとツールが2倍、3倍にも生きると考えています。まずは、原則オープンにすることです。コミュニケーションの目的は相互作用ですが、相互作用に行くには相互認知が必要です。お互いのことをよく知ることは信頼に繋がり、信頼を得ると相互作用が働きますから、生産性が高くなります。ここを目的とするには、グループ内だけで話していてはダメなんですね。基本、いろいろなツールを使ってグループ内だけでやりとりをすることが多いと思いますが、この場合、グループ内のことはよく知っているけれども、グループを超えたことはよく分かりませんよね。

これはクローズのコミュニケーションなので、例えば部門間の相互認知には繋がりません。全社的なエンゲージメントは、部門間でお互いのことを信頼して初めて上がるものだと思いますし、そういう意味でいけば、見る見ないは別にして、オープンであることは大事だなと。弊社では、人の秘密以外は全てオープンにしています。オープンで話をすることのメリットとしては、発言が建設的になるということです。クローズな場所での話というのはほぼ愚痴になってしまいますから、同じことを言うなら建設的な言い方に変える、そのためには原則オープンな環境でのやりとりが望ましいと思いますね。

2点目は、カジュアルな雰囲気を作ることです。簡単に言うと、バカをする人、場を和ませる人が必要かなと思います。上の人間の心得としては、そういう人を許容する気持ちを持つことですね。例えば、最近は業務にLINEを使用するケースもあると聞いていますが、仕事だからスタンプは禁止、なんて本末転倒ですよね。カジュアルな環境ができれば正しい情報が集まりますし、作ったような情報で判断すると経営を間違えてしまいます。正しい情報を言える環境にするには、雰囲気作りが必要です。

3点目は横やりの許容、つまり部門を閉じないということです。よく見かけるのは、自チームとは仲がいいけれど、ちょっとそのチームやジョブから離れると何をやっているのか分からないという状況です。なので、部門外からの意見や横やりを歓迎する文化を作る。同じメンバーで話しているとなかなか知恵が出ないことも多いですから、他から問題提起をしてもらったり、横やりを吸収したりといったことは極めて重要なポイントだと思います。

事実をきちんと捉え、仕組みから見直すことで前進

最後に、弊社の調査結果の活用方法についてです。弊社では社員に向けて、エンゲージメントサーベイガイドラインを設けています。この中では、いつエンゲージメント調査を行い、誰がどのように振り返りを行うかなどのルールが決められています。振り返りについては、総務部のコーポーレートサポートチームにてワークショップに必要なデータを抽出し、提供します。その後、各部門単位でワークショップを実施し、次はその結果を受けて経営会議でワークショップを実施します。実施頻度としては、年1回、1月末を目処としています。エンゲージメントが下がった場合は、その要因分析を行い、対策はみんなに考えてもらっています。その中で経営会議の判断が必要なものは予算措置も含めて実行していくような形です。また、Wevoxに入れてもらったコメントを総務部が全社に配布し、それを基にグループワークを行うといった仕組みも設けています。

上のスライドは日本経営品質賞のフレームワークですが、経営をするためにはまず理想の状態を書いて戦略を練り、組織を強化し、業務を回して成果を出すというのが経営の仕組みです。そして、その仕組みが正しいかどうかの振り返りを行う必要があるわけですね。ですから、今まで行っていたことが正しいか、前提を変えてもう一回仕組み自体を見つめ直すということは、弊社でも毎年行っています。今年は、自分たちに何が足りないのかをもう一回見直して、その対策のためにエンゲージメントの調査結果を使用しました。

これは他社とのベンチマークですが、弊社の場合は働きやすさ系はとてもいいですけど、ベンチマーク先と比べると、やりがい系が劣るんですよね。これについては社員にも話した上で、やり方を変えようということで目標管理を変えたり、働き方や研修制度など様々なことを検討したり、ファクトをきちんと捉えて判断して前に進むようにしています。このように、事実をきちんと捉えて、逃げずに向き合い、どう改善していくかということを繰り返しやらせていただいています。

―ありがとうございました。コミュニケーションに関する方針ということで、アナログとデジタルのミックスという事例をご紹介いただきましたが、社員の皆様同士のコミュニケーションを活性化させるために工夫されている点はありますか?

そもそも多くのプロジェクトが部門を跨いでいますし、主体的な仕事のやり方というのがベースにあるので、その中では相当なコミュニケーションが取れていると思います。全部をそれぞれの社員が把握できるかというとそうではないですし、だからと言って全員が全部知らなきゃいけないわけでもないですが、情報を取りに行こうと思えばいつでも取れるような状態ではあります。

月1回の読書会なども行っていて、これも部門を跨いだ取り組みなので、仕事以外でのコミュニケーションも十分に取れていますね。そこで人間関係が出来ているので、お互いにお願いすることに遠慮が少ないんじゃないかなと思います。読書会では「致知」という経営学を学ぶ月刊誌を採用しています。読書会には1つだけ「美点凝視」というルールがあります。相手の感想文を聞いたら必ずそれを褒めるということです。業務においては厳しいことを言わないといけない部分もありますが、この読書会においてはプラスの感想だけを言ってもらうようにしています。

―先ほどお話にありました、社長勉強会というのはどういったものなのでしょうか?

弊社には、GSポリシーといって、私たちの理念や信条、お客様に対する考え方や様々な方針などが記載された約150ページの冊子があるのですが、これについての勉強会を1回30分、年80回ほど行っています。対話をしながら考え方や方針の理解を擦り合わせたり、新しい制度作りを行ったりといったことを目的としたものですね。実は今朝も行いまして、土曜日をフレキシブルタイムにしたらどうかなど、働き方について社員から色々と意見をもらいました。

―なるほど。単にインプットするだけではなく、ちゃんとディスカッションや社員の方のアウトプットも意識されているんですね。

そうですね。質問をしながら進めるので、全員が一言以上発するようにしていますね。そうすることによって、こちらも通じてない具合がわかるんですよ。例えば、会社の去年の売り上げがいくらだったかを答えられない人もいます。そういうことは頻繁にありますから、その認知具合を理解し、質疑応答しながら進めています。

―ありがとうございました。ではここからは質疑応答へと移ります。

Q. 先ほど意見が愚痴に偏ることを回避していると仰っていましたが、何か工夫されていることなどはありますか?

A. 1on1じゃないと思われるかもしれませんが、弊社の場合は、直属の上司が横で見ているというスタイルを取っています。そうすると、さすがに目の前では言えないので、直属の上司の悪口は出ないんですよね。その代わり、言いたい意見があれば建設的な意見に変わります。あとは、私も全社員をよく分かっているわけではないので、やっぱり間違える時もあるのですが、そういった時は部長が後で教えてくれることがあります。それにより社長と直属上司のベクトルが合ってきますし、指導の仕方も違わなくなってきますよね。お互いが同じことを言うようになると聞いた人が迷うこともなくなりますから、自然と愚痴も減っているかと思います。もちろん愚痴が出る時もありますが、そこは励まして、どう行動に変換させるかという点に注力するようにしていますね。ただ強制になってしまってはあまり意味がないですから、最終的にやる、やらないは相手に任せています。

Q. 1on1について、10分という短い時間でも充実した話が出来るとのことでしたが、事前に話す内容やルールなどは決められているのでしょうか?

A. 相手が主導というルールを決めていますね。ですので、社員が主導で、話題も社員が持ってきます。内容には特に決まりはありませんので、質問や悩み相談など様々です。ちなみに、役職に関係なく、全社員と面談しています。お子さんがどうとか、彼氏・彼女がどうとか、プライベートな話も多いですし、こちらも平気でそういった話について聞いちゃいますね。今の時代では難しいと思われがちですが、そこも関係性かなと思います。心底みんなに幸せになってもらいたいですし、社員もそこを話せるような関係性があるので成立しているのかなと。

―ありがとうございました。では最後に、福留さんから皆さんにメッセージをお願いいたします。

日本では、「働くこと」に対してとてもネガティブなイメージを持ってると感じるんですね。働くことってとても素敵なことだし、人の役に立つってとてもいいことだと思うんですけれども、どこも素晴らしい事業をされているのにどうもネガティブで。これについては、ちょっとしたボタンの掛け違いかなと思っています。例えば、隣にいる人のことをよく知らなかったり、あるいは社長がどう考えているかを知らなかったりということがあるんじゃないかなと。十分にコミュニケーションを取ればエンゲージメントも高くなるでしょうし、エンゲージメントが高くなればより良い仕事ができて日本全体が良くなる。そういう未来がくるといいなと思っております。

(編集部コメント)
社員の皆様との良好な関係性が垣間見える楽しいプレゼンで、経営者と社員のコミュニケーションの重要性を改めて学ぶことができました。今回のお話の中で御社でも応用できそうな部分があれば、どんどん導入してみてください!

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