
正解がないからこそ、他社のエンゲージメント取り組み事例が貴重なインプットに【Engagement Run!参加事例】

医療機器商社、半導体商社等での人事を経て、2012年より現職。 2020年より自社を含むグループ国内外7社のエンゲージメント向上PJリーダーに就任
「個人と組織」、「個人と仕事」などとの繋がりを示すエンゲージメント。近年経営指標としても注目を集めるエンゲージメントは、1つの決まった形があるわけではなく、10の組織があれば10通りの形が存在します。そのエンゲージメントの専門知識が学べるのが、Wevoxが運営するオンラインアカデミー「Engagement Run!」です。
今回は、1946年の創業以来、化粧品向け化学原料の研究開発・製造・販売を行うニッコールグループの「Engagement Run!」を通じた取り組みを紹介します。受講した内容をどのように社内に還元し、組織づくりにどのように活かしたのか、今後の組織づくりに向けた意気込みなどを、エンゲージメント向上プロジェクトリーダーの山田 政治さんに伺いました。
一人ひとりの主体性を伸ばし、企業成長に繋げていく
ー 貴社でエンゲージメント向上のプロジェクトがスタートした経緯を教えていただけますか?
当社ではWevoxを導入する前から従業員満足度(ES)調査を行なっていましたが、上司部下間の関係性やコミュニケーションのあり方が常々経営課題に上がっていたんです。改善活動をしようということで2020年4月にプロジェクトがスタートし、リーダーとして私が任命されました。
それと同じタイミングで、グループの「10年ビジョン(Vision2030)」がリリースされました。そこでは「従業員と会社の関係はタテからヨコに(対等)になり、双方がお互いに協力しながら新しい価値を作っていこう」とか「会社は社員にとって自己表現・自分らしさを発揮する『場』である」といったことがあるべき姿として描かれていたんです。

ビジョンを目にしたときに私は「自分が取り組むべきことはESではなく、エンゲージメントではないか」と直観しました。その考えをプロジェクト内でも共有し、経営層の承認を得て、改めてエンゲージメント向上のためのプロジェクトとしてスタートしました。
ー それまでに同様のプロジェクトを任されたことはあったのですか?
直前までブランディングのプロジェクトリーダーを任されていたのですが、エンゲージメントについてはほとんど知識がなかったです。ですから本を読んだり、ウェブでも必死に調べたりして勉強しましたね。エンゲージメントに詳しい外部のプロの方のお話を伺う機会も作りました。
その過程で強く思ったのが、会社が社員のために様々な施策を打ちながらも、同時に社員自身も主体性を持って自分自身を変えていく必要があるということです。その両軸を基本ポリシーとして打ち出すとともに、そうした思想が設計にも組み込まれていたWevoxがツールとして最適だと確信し、導入を決めました。
ー 自分たちを変えていかないと根本的に改善につながらないと。
はい。ES調査のコメントを見ていても、メンバーが「会社は何をしてくれるんだろう?」という待ちの状態になっているのが感じ取れました。当グループは化粧品原料の会社ですが、昨今は業界内の変化も激しく、異業種からの参入も増えています。環境変化の中でさらに成長していくためには、主体性をもって、自律的に行動すること、つまり、自分たちで考えて動けるようになることが必要です。元々真摯に仕事に取り組むメンバーが揃っている会社なので、より成長できる企業体にもっと変化していきたいと思ったんです。
ー とはいえ、それをすぐに浸透させていくのは難しいですよね?
大変ですね(笑)。Vision2030そのものはグループ内で強く打ち出され、多くの社員の共感を得ているので、これから会社が変わっていくことについてはポジティブに捉えているはずです。ただ、今までそういう主体的な行動を明確な形で推進してきたわけではないので、ものの見方や行動の方向性を変えることは一朝一夕ではできないことです。
メンバーからの問い合わせが増加中
ー 施策などはどのように進めていったのですか?
Wevoxの導入は2020年の10月です。プロジェクトからは「そもそもエンゲージメントとは何か」「Wevoxは何のためにあるか」など色々な情報をグループのメンバー全員に定期的に発信しています。
また、エンゲージメントに関する基本事項のおさらいも交えながらWevoxスコア共有セッションを定期的に行っています。そのうえで、グループ全体のポータルサイトがあるので、「自律的なエンゲージメント向上サイクル」に関する記事などをアップしたり、プロジェクトに寄せられた質問に回答したりしています。

ーまずはアンバサダーを導入したんですよね?
1期目は立候補でアンバサダーを募り、彼らにワークショップを実施して所属チームに持ち帰ってもらい、チームでの活動につなげてもらいました。今年の4月から2期目に入ったので、今度はチーム単位で取り組んでくれる部門を選抜し、「モデル部門」に設定しています。成功事例はもちろん、良き失敗の例を積み上げて、さらに社内に共有しようと思っているところです。
ーグループのメンバーの反応はいかがですか?
Wevoxの導入と同時に1on1もスタートしたので、それもあってか自律的な組織づくりや、これまでとは異なる「相互理解」や「成長支援」を目的としたコミュニケーションの大切さに気づき始めているメンバーやマネージャーは増えていますね。実際、「自分のチームではこんな風にスコア共有や1on1をやっているけど、これでいいのかな?」といった問い合わせも多くなってきていて、質の良いコミュニケーションは確実に増えています。すごく嬉しいですね!
色々な企業とエンゲージメントの取り組みについて話がしたい!
ーWevoxが運営する、オンラインアカデミー「Engagement Run!」に参加したのは、どういった理由からですか?
「エンゲージメントに正解はない」ことをはっきりと意識する中で、Wevoxを使っている先輩企業の皆さんは、エンゲージメントをどのように捉え、どんな思いで取り組んでいるのかを知りたいと思ったからです。日々どんなふうに他のメンバーやWevoxスコアと向き合っているのか、を互いに共有できたら、と考えました。100社あれば100通りで、どれもが向上・改善を目指す真摯な思いに基づいているからこそ、みなさんと話をしてみたいと思いました。
実際にクラス(講義)内では、毎回交流する機会を作ってくれるので貴重な時間だと思って意見交換させてもらっていますね。
ー学びとして印象に残っているものがあれば、ぜひ教えてください。
スコアの捉え方など基礎的なことについてももちろん役立っているのですが、最近では「組織開発の歴史」を学んだセッションはすごく印象に残っています。直近の業績や成果と中長期的な組織づくりは、会社が置かれた状況や時間軸的な優先順位でせめぎ合うものですが、どちらが正しい、どちらが間違っている、という二元論ではなく、双方を意識した「新しい形」を探索しなければ、という新しいスタートに立つきっかけを与えてくれました。
もう1つは、エンゲージメントと『7つの習慣』に関するセッション。主体性や自分ごと化についての話が印象的で、講義での内容はアトラエさんとコラボで実施したマネージャー向けエンゲージメントセミナーのコンテンツに組み入れていただきました。

Engagement Run! 特集クラス「組織開発の歴史を学ぶ」より
ー他社事例は参考になりますか?
とても参考になっています。先ほど社内での問い合わせが増えていると話しましたが、私の中にエンゲージメントに関わる様々な視点が増えたおかげで、メンバーに筋の通った回答ができるようになりました。
もちろん「こうすれば絶対にうまくいく」はないですが、「だったら、こういうアプローチをしてみたら?」という根拠のあるアドバイスができることは非常に大きいです。メンバーから「この人はちゃんと分かっているんだな」と感じてもらえるというか、我々プロジェクトやエンゲージメントに取り組む活動そのものに対する信頼にもつながるところだと思います。
ーいい循環が生まれているのですね!
つまるところ、自分たちの組織を働きがいのあるチーム、成果を出せるチームにしたいという気持ちは、全マネージャー、そして全メンバーが共通して持っているんです。だからそれを信じればよいのかな、と思うようになっていますね。
そのためには我々が方向性を示し、手取り足取りでなくても「こんなふうにやっていこうよ」と進め方を示してあげれば、共感してくれるメンバーがもっと出てきてくれるだろうと感じ始めています。
メンバーとのコミュニケーションを怠らないように
ースコアで組織の状態が分かることについては、どのように捉えていますか?
スコアとの付き合い方、難しいですよね(笑)。1つ、間違いなく言えるのは、スコアという共通のものがあることで対話は生まれやすくなっています。

ただ、Wevoxのスコアが何なのかをしっかり理解したうえで向き合わないと「このスコア、正しいの?」とか「とにかくスコアを上げれば良いんでしょ?」と本質から外れてしまうので、諸刃の剣ではあると思います。せっかくのスコアがネガティブに働かないよう、プロジェクトから何のためのスコアか、どう付き合えばいいのかを伝えていくことは大事だと思いますね。
ー山田さんはどんな風にスコアと付き合っているのでしょうか?
私がメンバーに伝えているのは、「そもそも自分たちがどういうチームなら一番力が出せるか」を、スコアを見る前に話し合っておいてほしいということ。そうすることでスコアの見え方が変わり、対話が生まれ、仮説やアクションが導き出されやすくなると思います。
ー最後に、今後の組織づくりへの意気込みを教えてください。
プロジェクトは3カ年計画なので、来年の4月からが最終年度になります。1期目はアンバサダー、2期目はモデル部門を募ったので、3期目はエンゲージメント向上サイクルがグループ全体に浸透・定着していくことを目標として取り組んでいきたいと考えています。マネージャーが中心となって、各チームが自律的に「より働きがいのある組織」を目指してアクションを起こしてくれるよう、エンゲージメントの本質的な理解を深めながら、Wevoxや1on1などの活用を後押ししていきたいですね。
コロナ禍ではありますが、私個人としてはメンバーとの個別の対話をもっと重ねていきたいです。「Engagement Run!」で他社の皆さんにお話を伺っていても、成果を出されている企業では推進役の皆さんがメンバーの方々との直接的なコミュニケーションを頻度高く実践されています。我々も、それに学んで実践していきたいですね。








