インターナルコンサルタントに求められるインタビュー企画の作り方【連載#8】

インターナルコンサルタントに求められるインタビュー企画の作り方【連載#8】

一般社団法人チームスキル研究所
田中 信氏
田中 信氏
一般社団法人チームスキル研究所
理事 研究所長 コ・ファウンダー

大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティングにて企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。専門は、研究開発、商品開発、新規事業開発、事業改革など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。また人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント養成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など企業や団体の改革を支援している。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、Wevox組織・人財アドバイザー、一般社団法人経営支援機構 技術顧問などを兼務。現在に至る。

連載:新時代で輝く組織開発の専門家インターナルコンサルタントのススメ

「社内で組織開発を推進していく人材『インターナルコンサルタント』の存在価値は、今が一番高い」
そう語るのは、多くの企業の組織開発を支援し、リーダーの育成も手掛けるチームスキル研究所の田中信さん(通称マコさん)です。マコさんは、インターナルコンサルタントのトレーニングプログラムを自ら構築し、長年講師を務めてきた第一人者。インターナルコンサルタントがなぜ、今の日本企業において重要なのか、そしてどのようなスキルが必要なのか…。これからの時代において、重要な役割となるインターナルコンサルタントのエッセンスを紐解きます。
(※このコラムでは、インターナルコンサルタントが扱う「変える」ことの表現として主に「改革」という表現を用いて説明します。)

こんにちは、チームスキル研究所の田中信です。

前回はインターナルコンサルタント(以下、「IC」)として、改革の企画及び実行の過程で重要となる「インタビュー」の必要性やヒアリングとの違いなどについて見てきました。

今回は、「インタビュー・スキル」第二弾として、「インタビュー企画の作り方」についてみていきたいと思います。

インタビュー企画のはじめに大事にしたいことは、企画背景の明確化

インタビュー企画を考えていく際に、はじめに大事にしたいのは、その背景です。

社内での承認を得るためのインタビュー企画書を作成する際、なぜインタビューが必要なのか、改革の責任者、部門責任者、責任者の下にいるメンバーなど、今後改革に関わる方々に対して、今回のインタビュー企画に至った経緯が的確に伝わるよう、多角的な観点から背景を説明できることが大切です。

インタビューを実施する背景例としては、改革構想を検討するための社外有識者からの情報収集、社内キーパーソンによる改革に対する思いや現状・課題認識の把握、社内アンケートなどによる実態調査を裏付けるための定性情報の収集、改革事務局で検討している構想に対する仮説検証などです。

この時点で、忙しいので時間を取りたくない、変化自体に抵抗があるなど、インタビュー企画に対して否定的な人がいる可能性も想定しながら、インタビューを受けることの利点がどこまであるかを事前に共有できるよう、目的を明確にしておくことが重要です。

前回お伝えしたように、インタビューによって、IC側、インタビューを受ける側、双方の頭の整理や、意識の明確化、関係づくりなどができることも大きな目的の一つなので、その点に関しての詳細は、第7回も参考にしてください。

インタビュー対象者の選定とインタビューの順番

対象者はインタビューしたい内容について、改革企画に関わりのある人、改革の実行段階で推進者になる人、改革活動の影響を受ける人、改革内容についての知見がある人などから選定していきます。

対象者の選定と同時に大切にしたいのが、インタビューの順序です。

例えば、「エンゲージメント向上」という改革テーマで施策検討する場合のインタビューでは、新人・若手社員→中堅→上層部という順番が適する場合(会社に対して新鮮な視点をもつ人から順に実施する)もあれば、「シニア活躍推進」のような改革テーマの場合、部長職→第一線管理職→シニア社員層という順番の方が適する場合(組織長のシニア活用の認識確認から始める)もあります。

インタビュー対象者への「事前ご案内」を作成する

事前に必要なご案内事項としては、インタビュー企画の背景や目的、インタビュー内容・項目、実施時期、時間、場所、方法(電話、対面、オンラインなど)、守秘義務の有無、録音・録画の有無などについて、共有するかを事前に検討しておく必要があります。

インタビューの所要時間について、我々が外部コンサルタントとしてご支援している改革プロジェクトでは、以前は60-90分が一般的でしたが、最近は45-30分程度になってきています。以前よりも短時間で、意見を引き出し、関係を構築するスキルが求められてきています。

インタビューの内容、項目の設計

インタビュー内容や項目は、インタビュー企画の肝となる部分です。

インタビューを実施する際、起こりうるリスクとして「目的」を果たそうという意識に縛られ過ぎることで「インタビュー(Inter+View)」の成果が損なわれてしまう、ということがあります。

「テーマ」に関する現状について、問題、課題、悩みなどを聴き出したい場面で、質問自体の難易度が高過ぎて、相手を緊張させる・考え込ませてしまう内容は好ましくありません。インタビューを行う対象者に合わせ、回答しやすい項目設定をよく考え、対象者別に内容、項目を設定していく必要があります。

以下にインタビュー項目を設計する際に考慮したい点や設定例を挙げておきます。項目設定時の参考になさってください。

  • インタビューの目的は何か ?

  • インタビューを通じて相手とどのような関係を構築したいか ?

  • 相手の立場の特徴はどのようなものか ?
    (職位、キャリア・経験、今後想定される改革との関係性、相手と自分の関係性など)

  • 相手の思考スタイルの特徴はどのようなものか ?
    (すでに相手が知り合いの場合は、相手の思考スタイルに合わせた進め方を考慮した内容にします。初見の場合はインタビュー案内のやりとりや、インタビュー開始時からのやりとりから想定して関わる必要があります)

  • インタビューを通じて、相手から聴きたい事柄にはどのようなものがあるか ?
    (以下に一般的な設問項目を挙げています。構成や表現、順序などについて、インタビュー目的・対象に応じて調整して設定します)

    • 今の担当業務内容やこれまでのキャリアなど
      改革テーマとの関連について、過去の経験などの前提を確認する

    • 改革テーマについてのお考え
      改革テーマに対してどのようなお考えをお持ちか ? 認識を聴く

    • 改革の具体策についてのお考え
      改革の具体策をお持ちの場合はアイデアについてお伺いする

    • 事務局/ICの改革施策案についてのご意見
      事務局/ICの改革施策案をお伝えし、ご意見をいただく

    • 改革テーマを進める際の課題や問題点
      改革を推進する際の課題、問題、不安などについてお伺いする

  • 今後について案内すべきことはあるか?
    (インタビュー後の予定や継続的なご協力の依頼などの要否について検討する)

今回は改革の企画及び実行の両段階で鍵となる「インタビュー・スキル2」として、「インタビュー企画の作り方」についてみていきました。

次回は、「インタビュー・スキル3」として「インタビュー対話の進め方」、「改革に否定的な人への対応」、「インタビュー結果のまとめ」についてみていきたいと思います。

※本連載は一般社団法人日本能率協会の情報サイト「KAIKA」にて掲載されていた田中信氏の連載「インターナルコンサルタント養成のススメ」を一部編集して掲載しています。

資料を一括ダウンロードする