
仲間作りに有効!インタビューが改革推進の鍵となるワケ【連載#7】

大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティングにて企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。専門は、研究開発、商品開発、新規事業開発、事業改革など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。また人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント養成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など企業や団体の改革を支援している。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、Wevox組織・人財アドバイザー、一般社団法人経営支援機構 技術顧問などを兼務。現在に至る。
連載:新時代で輝く組織開発の専門家インターナルコンサルタントのススメ
「社内で組織開発を推進していく人材『インターナルコンサルタント』の存在価値は、今が一番高い」
そう語るのは、多くの企業の組織開発を支援し、リーダーの育成も手掛けるチームスキル研究所の田中信さん(通称マコさん)です。マコさんは、インターナルコンサルタントのトレーニングプログラムを自ら構築し、長年講師を務めてきた第一人者。インターナルコンサルタントがなぜ、今の日本企業において重要なのか、そしてどのようなスキルが必要なのか…。これからの時代において、重要な役割となるインターナルコンサルタントのエッセンスを紐解きます。
前回の記事は↓

こんにちは、チームスキル研究所の田中信です。
前回はインターナルコンサルタント(以下、「インターナルコンサルタント」という)に求められるスキルのうち、「改革構想づくりのスキル」についてみてきました。
今回は改革(※)の企画及び実行の過程で重要となる「インタビュー・スキル」について見ていきたいと思います。
(※このコラムでは、インターナルコンサルタントが扱う「変える」ことの表現として主に「改革」という表現を用いて説明します。実際には「改革」のほか「改善」、「変革」、「革新」、「革命」などが変える対象に含まれます)
なぜ、インタビューが大切なのか ?
インターナルコンサルタントが社内で改革を進める際には、一緒に進めてくれる仲間が必要になります。仲間探しの有効な手段の一つがインタビューです。
インタビューを通じて、社内外における改革推進の鍵となる仲間を発見したり、改革を進める際に協力してもらえる関係づくりを行います。
「インタビュー」と「ヒアリング」の違いとは ?
会社の中で、他者から話を聴く時に「ヒアリング」という言葉を用いているケースを多く見掛けます。
インターナルコンサルタントの養成過程では、「インタビュー」と「ヒアリング」を区別して使っています。
どちらも「相手から話をきく」という行為は同じですが、インターナルコンサルタント養成では以下のような意味の違いで使い分けています。
「ヒアリング」は改革の企画・推進の過程で必要となる情報を聞き出す時。「インタビュー」は単に聴き手が知りたいことを聴きだすだけでなく、改革テーマに関する話し手の内面にある「実現したい思い」や「課題認識」なども出してもらい、改革テーマの実現に向け一緒に考え、解決していくための関係構築づくりの時です。
インタビュー(Interview)は、つまり相手の内面(Inter)にある意識・無意識のものを見る(View)行為と言えます。

インタビューは改革への理解を促し、当事者意識を醸成する場
インタビューの終了時にはできるだけ、話し手への質問として「今日のインタビューを受けての感想」を聴くことを推奨しています。改革を一緒に進めていく関係づくりに繋がっている場合には「話をすることで自分の中で改革テーマに関する課題の整理ができた」、「改革の実現に向け、どんなことをしていけば良いかを考える機会になった」、「改めて、改革の必要性や重要性を再認識した」などの意見が出てきます。これらの言葉から、インタビューという関わり自身が改革活動の仲間づくりの過程であることがわかります。
人は一般に、自ら発する言葉により、自分自身に責任を発生させます。話し手に自らの言葉を発してもらうこと自発的、能動的に行動する機会を提供できます。
逆に改革を進めていく際に、単に業務指示だから改革活動を遂行する、という受け身的な役割だけで推進していくと、改革成果の定着が難しくなります。
改革に参画する一人ひとりが自分自身の思いや課題感を持って改革活動を進めることで、活動への能動性やチャレンジ、試行錯誤、発見、達成感、喜び、自己効力感などを体感でき、その後の業務遂行姿勢にも影響を与えることになります。これはインターナルコンサルタント養成で大切にしている「3つのWin(※)」という考え方につながります。
(※「3つのWin」とは、改革テーマの達成という「組織のWin」、改革に関与する「相手のWin」、改革を企画推進する「インターナルコンサルタントのWin」の3つを意味します。改革の企画・推進の過程において、各種の関係者と関わりを持つ際に重視している観点です。)
もちろん、改革に否定的な人、改革の必要性に疑問をもつ人もいます。改革に後ろ向きな人に対し、事を急いで、強引に説得しても相手は逃げてしまいます。改革に距離を置く人達には、インタビューという関わりを通じて、まずは相手がなぜ改革が不要と考えるのか? なぜ否定しているのか? などの現状認識を把握するに留めます。その後は、改革の進捗など定期的に情報共有しながら、協力してもらえる「きっかけづくり」を継続的に行うことが大切です。
人は誰でも新しいものに対して抵抗反応を起こし易いことを忘れてはいけません。抵抗反応は時間の経過や環境の変化により変化していきます。焦らず、粘り強く関わることが大切です。
インタビューは仮説検証の場
インタビューは、相手から一方的に話を聴くだけの場ではありません。インターナルコンサルタントは改革関係者へのインタビューを通じて、インターナルコンサルタントが構想した改革仮説を検証することができます。改革の課題として仮設定したものが、インタビュー対象者である経営層、管理職、現場のキーパーソンなどそれぞれの立場にある人達の課題認識と合致しているか、合致しない点や見逃していた点などを把握できます。加えて話し手が独自に持つ観点や改革アイデアを教えてもらう機会も生まれます。

継続的な関わりが持てる関係づくりの場
インタビューを通じて知り合うことで、インタビュー後に継続的にやりとりできる関係を構築することができます。インターナルコンサルタント側に追加の質問事項が発生した際に意見を聴かせてもらうことも可能です。逆にインタビュー対象者から新たな改革アイデアや現状実態について教えてもらうことで改革シナリオをより充実したものにすることができます。
今回は改革の企画及び実行の両段階で鍵となる「インタビュー・スキル」について、「インタビューとヒアリングとの違い」についてみてきました。
次回は、「インタビュー・スキル(2)」として、「インタビュー企画の作り方」についてみていきたいと思います。
※本連載は一般社団法人日本能率協会の情報サイト「KAIKA」にて掲載されていた田中信氏の連載「インターナルコンサルタント養成のススメ」を一部編集して掲載しています。
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