「組織カルチャーは戦略的につくるもの」鍵を握るのは、トップのコミットと社員の自律(2/2)

「組織カルチャーは戦略的につくるもの」鍵を握るのは、トップのコミットと社員の自律(2/2)

昨今、経営者や人事にとって「エンゲージメントの高い組織づくり」は欠かせないテーマとなってきています。これからの経営者や人事は、どのような施策を用いてエンゲージメントの高い組織づくりを行えばいいのか。こうした問いを考えるべく、「エンゲージメントの高い組織の作り方」をテーマに、カゴメ株式会社CHOの有沢正人氏と、株式会社アトラエの代表取締役CEO新居佳英氏によるパネルディスカッションが行われました。両社の貴重な組織づくり事例や先進的な知見が多く話された対談の模様を、全2回の特別レポートとしてお届けします。
(このパネルディスカッションは、株式会社NEWONE主催のオンラインイベント「エンゲージメント・サミット2021~ 組織をさらに強くするためのカルチャーとは?~」にて開催されました)。

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組織の変革にトップのコミットは必要不可欠

上林:エンゲージメントが上がらない、または高くない会社の特徴や傾向について何か思うことありますか?

新居:コメントしづらい立場でありますが、まず基本的に、トップがコミットしてない会社は絶対に変わらないと思います。組織の長がコミットすることが圧倒的に大事だと思います。一方で、当然ながら、組織の長だけがコミットしたところで、社員が巻き込まれない限りは変わりません。やはり現場から「変えていこう」と声を上げる必要があるので、上も下もない中での対話が大事です。

でも、この対話自体を建設的にできない組織風土の会社が大量にあるんですよね。そこから変えないといけないという、結構厄介な状態で。みんなが忖度しないと議論ができないような会社だと「そもそもなんでエンゲージメントって低いんだっけ?」ということに対して、ファクトが出てこないんです。エンゲージメントが下がっている理由は上司に問題があるケースが多く、そうした会社だとそもそも議論がしづらいですよね。上司が、「お前ら率直に言ってみろ」って言っても「あんたが問題です」とは言えないじゃないですか。これが日本組織で、エンゲージメント改革が進まない一番の課題かなと思います。

上林:エンゲージメントってある意味対等ですから、上と下の方がフラットに対話することって非常に大事ですよね。我々も、支援している中で「対話ができない」という相談はすごく多いです。対話をしやすくするツールをその会社さん用に作るコンサルティングもしているのですが、今までとは概念が違うのでなかなか難しいです。エンゲージメントを高めるという観点で、少しずつ対話ができていければ、と今のお話を聞きながら思いました。

新居:僕はよく、労使じゃなくてチームになった方がいいという話をします。昔の鉄鋼業のような産業には、確かに労使があったと思うんですね。当時はお金を出す人と、労働力とか自分の知恵を提供する人の差があった。でも、今はその差がどんどん無くなってきているので、1つのチームとしてどうやっていくかが大事です。いろいろと変わっていかなければいけないはずなんですけど、あまり日本企業や日本の組織は、変化に適応できていない感じはしますね。

役員の給与変更を社内報でオープンに発信

上林:そうですよね。利権じゃないですが、使う側に昔のクセなどが残っているとなかなか手放せないですし、その辺りが課題なのかもしれませんね。有沢さんもいろいろな会社を見られていると思いますが、エンゲージメントが上がらない組織の特徴や原因などがあれば、ぜひアドバイスをお願いします。

有沢:新居さんとまったく同じです。トップのコミットがないといけません。カゴメでは、社長や会長の給与を、固定80変動20から固定50変動50したんですね。私は今60固定なんですけど、役員のパーセンテージも全部変えて、それを社内報に載せたんですよ。

社長の年収も、「今までこれだけの給料を毎月貰っていましたが、これからはこれだけ下がります」と実額を載せました。社長に僕がインタビューして「どうですか、今回の役員報酬制度は」「いやー厳しい世の中になりましたね」なんてやりとりをしている様子なんかもすべて社内報に載せて、社員全員に配布したんです。すると翌日、みんなが私に「有沢さん、いいんですか?こんなもの出して」「変わりましたね、カゴメ」と言うんです。

そのとき、エヴァンゲリオンの冬月副司令みたいに「勝ったな」と思いました。トップのコミットで大事なのは透明性なんですよね。トップや経営者、役員が何を話して何をやっているかを公開することが、ものすごく大事なんです。その点において、我々は評価や報酬といったものをすべて公開することを前提にしています。カゴメでは職務等級をジョブ型にしていますが、全職員の職務等級を全世界に公開しているんです。そうすると、「次はこの等級を目指したい」という人が自然に出てきます。

ですので、キャリア自律を進めるためには公開して透明性を高めることが大事です。それから、フェアでいることも大事ですね。えこひいきをするのではなく「この人はこういう理由で、この等級なんだ」という説明責任を果たせるのがトップだと思います。

「改革はトップから」と言っている通り、職務等級はまず社長、専務、役員からはじめ、その1年後に部長、1年後に課長という形で進めました。副業を導入した際も、先に労働組合に話を通し、次に社長にその話を持って行っています。「いいけど、これ組合はどう言うかな」と社長が言うので、「組合の了解はもう取ってます」と言ったら驚かれました。

僕は従業員の人たちには、上から変わるということと、主権在民について伝えてるんですよ。王権神授説じゃないし、みんな平等だと。全員が平等で公平な立場にあって、かつ透明性があって、変えるときは上から全部変わっていく。これを、7〜8年ぐらいずっと続けているから、カゴメがそういう会社だと社内に浸透しているんです。

上林:トップがコミットする状況がうまくつくられていますね。とは言っても、「トップはなかなか動かせないんですよ」という人も結構いらっしゃると思います。有沢さんの経験から、どんなことが大事だと思われますか?

有沢:例えば、今日お聞きになられている方が人事担当の部長であれば、人事担当の役員をまず変える。つまり1つ上のレイヤーの人から変えることをやられるといいと思います。私は「共犯にする」という言い方よくするんですが、例えば課長なら部長、部長なら役員とか、1つ上の人を共犯にしちゃうんです。私は役員ですので、社長に「言いましたよね?やるって言いましたよね。もう取り消しできませんからね」なんて言って共犯にしています。ちょっと変な言い方ですけど、社長に対しては「お互い心中するつもりでやってください」という気持ちで新しい制度や仕組みをつくっていますね。

カルチャーは戦略を立ててつくっていくもの

上林:組織のカルチャーを良くするためには、まずは透明性が大事だったんですね。新居さんにもお伺いしたいんですが、エンゲージメントが高まるカルチャーにはどんな特徴があるのか、そして、そもそもカルチャーをどう捉えられているのでしょうか?

新居:日本の企業は、カルチャーが自然とできあがるものだと思い込んでいる節があります。ビジネスだと「ビジネスモデル」というくらいなので、かなり事業戦略を密に練って、戦略を立てますよね。組織におけるビジネスモデルが、「カルチャーモデル」なんです。カルチャーモデルを実現していくためには、「こういうカルチャーの会社をつくっていくから、こういう人を採用して、こういうトレーニングをして、こういうルールでみんなで仕事をしていこうよ」という戦略が必要です。

僕はよく「法人にも人格がある」という話をしますが、法人としてどういう人格をつくりたいかを、きっちりトップが主導して戦略を立てることが大事だと思うんです。例えば我々は、「大切な人に誇れる会社であり続ける」ことにこだわっていますので、誠実さとか、社会に価値がある組織であることをすごく大事にするんですよね。そうあるためには、会社としてそういう人格の人間でなきゃいけません。なので、そこに相反する人はどんなに優秀でも採用しないことにしているんです。

ただ日本の企業のおそらく90%以上は、ビジネスモデルはあってもカルチャーモデルはないでしょう。「時間とともになんとなくできあがった風土」みたいなものを、「カルチャー」と呼んでいるのが定番だと思います。カルチャーモデルをしっかり考え、「我々はこういう会社だから、こういう価値観の人に来てもらうべき」ということをちゃんと伝えていくことが大事ですね。カルチャーにズレが生じると、エンゲージメントは上がりません。

上林:先ほどの例でいくと、「誇れる会社」というのがアトラエさんの目指すカルチャーということでしょうか。

新居:そうですね。大切な人に誇れる会社であり続けるというのが、我々の生涯変わらない信念の部分です。

上林:なるほど。これまでトップが大事だというお話がありましたが、改めてなぜトップが大事なのかと聞かれたら、どういう風にお答えになりますか?

新居:基本的に我々みたいなフラットな会社、自律分散型組織の会社でも代表取締役という肩書きはあるんですね。本当に小さな、10人とかの組織なら仲間でいいと思うんですけど、僕らでさえ、70人80人になってくると、入ったばっかりの人と僕の差はそれなりに出てきます。年齢もだいぶ離れてきてしまうので、どこかに少し距離を感じる部分がある。

会社の持っている過去の歴史もあるので、それを知っている人たちの判断を守らなきゃいけない、という空気が出てしまうんですよね。それを変えられるのは、これまで会社をつくってきた本人たちです。なので、トップだけと言わないですが、少なくともその会社の中でキャリアを持っている人たちが、つくってきたものを否定しても良しとする、ぐらいのメッセージを出さないといけないと思います。

僕が18年間かけてつくってきたことを、1年目の子が「これ間違ってますよね」なんてなかなか言えないですよね。アトラエでさえも多少の忖度はあるので、「間違ってるかもしれないからみんな言って」とこちらから言うようにしています。また、「こういう風にするからみんなには全力で協力して欲しい。そこに邪魔する人がいるなら、僕が何とかするから直接言って」というぐらいのコミットメントを示すと、みんなが動きやすくなる気がします。

カゴメっぽくない人を採用していく

上林:なるほど。そうしたメッセージを言うのが、トップの仕事みたいなところもありますよね。ありがとうございます。有沢さんからもいろいろな制度についてのお話がありましたが、カルチャーについてはどうお考えですか?

有沢:社風とカルチャーって全然違うんですよ。社風は簡単にはつくれませんが、カルチャーはつくれます。例えば僕が新卒の採用をやっていたときに、当時の人事部長に「何を基準にこの新卒を採用してるの?」と聞くと「カゴメっぽい人を採ってます」と言われたんですね。「カゴメっぽい=正直で誠実でまっすぐ」、というイメージで採用していた。それを知り、「確かにいい人ばかりだけど、そういう人ばっかりの会社はどうなのか」という話もしました。

私は「同一性は会社を滅ぼす」と常に言っているんですね。かつて、私が銀行に入行した1984年にあった都市銀行13行、長期系3行、信託7行の合計23行のうち、現在もその形で残っている銀行は1行もありません。なぜかと言うと、当時の銀行は同一性を求めて、護送船団、横並びだったわけです。当然、当時はカルチャーなんてものはありませんでした。

さっきの話に戻りますと、カルチャーはつくっていけるものなので「カゴメっぽい人は山のように社内にいるから、カゴメっぽくない人をいっぱい採ろう」と提案しました。営業の場合は24人くらい採るんですが、当時はそのうち19人が男性で女性が5人くらいでした。理由を聞くと「お客さんには男性の方が喜ばれるから」と言うので、誰がそれを言ったのかと深掘りすると「営業部隊が言ってました」なんて話で、エビデンスが何もなかったんですよね。ですから、カゴメっぽくない人を上から順番に採っていくことを提案しました。

最初はみんな戸惑っていましたが、今ではカゴメっぽくない人の方が圧倒的に多くなりました。今年の営業の新卒採用では24人中20人が女性で4人が男性です。うちは女性に比較的に人気がある会社なので、上から採るとこうなっちゃうんですね。ですから、女性で、優秀な方が働きたくなる会社にしていくことが、我々のカルチャーです。

それから、カルチャーは制度や仕組みを変えることによってつくれますが、それだけでは人は縛れません。従業員に自律してもらうことも前面に打ち出し、「カルチャーは一人ひとりがつくるものだ」という意識を根本的には持ってもらう必要があります。トップがカルチャーづくりにコミットするのも大事ですが、トップだけではなく、全体でつくるものなんですよね。

先程の新居さんのお話を聞いていて感銘したのは、カルチャーづくりにしっかりと取り組まれている点です。これは大企業だからできないなんてことはなく、大企業だからこそやらなきゃいけないですね。「規模の小さい組織だからそれができるんだ」と思ったら大間違いです。逆に大企業の方がやりやすいんですよ。社長など組織の上から変えていけば自然に組織は変わると、皆さんに考えていただけるといいなと思います。

大企業の悪い点は、制度や仕組みに関する資料を作って経営会議で通したら、それだけで満足してしまうところです。現場でそれが正しく運用されて、従業員に支持されているかどうかを見に行くのが経営の仕事であり、人事の仕事です。制度と仕組みはつくって終わりではなく、運用されて、まさにWevoxで言えばエンゲージメントスコアの上昇を見るところまでいかないといけないんですよね。資料を作るだけなら誰でもできますから。

上林:お二方の話を聞きながら、ビジョンに向かって皆が賛同できていたり、同じ方向に向かってみんなでコミットしていったりすることが大事だと感じました。ここまで良い面について聞かせていただきましたが、実際に組織を作っていく上で、うまくいかなかった点や難しかった点はありましたか? 新居さんからお願いします。

新居:根本的な意識を変えることが一番難しいと思います。普通の会社で働いてきた方々がアトラエに入ったときに「そうは言っても社長に慮らなきゃいけないんでしょ」とか「午前中のうちには会社に来ておかないとダメなんでしょ」とか「子どもを連れてきて泣いたら気まずいよね」みたいな、刷り込まれた一般常識が残っていることもあります。そういう常識は忘れていいと理解してもらうまで、多少時間がかかりますね。

ですので、どこにも色が付いていないからと、最初の頃はずっと新卒採用だけでやっていました。「うちはこういう会社だよ」と言うと、みんなすぐに馴染むんですよね。現在は強いカルチャーができたので中途採用もはじめましたし、ある程度ポテンシャルのある方や第2新卒の方などであれば、朱に交わって赤くなってくれる部分があってるかなと感じています。

健全なコンフリクトが生まれるのが本当のダイバーシティ

上林:カルチャーがはっきりしている会社だと、中途の方がなかなか馴染めないことがよくありますが、こういった辺りはどうされていますか?

新居:今ようやく、全体の50%弱ぐらいが中途採用になったので、中途でも馴染む人が出てきました。カルチャーモデルがあると、中途でも入りやすくなってきます。特に大きな問題は出てないですが、やっぱり戸惑う人は多いですよね。ですから、オンボーディングの方法として、自分の実務と関係ないメンバーをメンターとしてつけて、月に何回か1on1のような形でコミュニケーションを取ってもらうなど、いろいろな努力をしています。僕自身も当然、中途で入った人と定期的にコミュニケーションを取りますし、そういったことを続けながら、試行錯誤しています。

上林:いろいろな努力や工夫の上に今があるんですね。先ほどチャット上にも出ていましたが、社内での人事に関する公募やFA (フリーエージェント)などの制度はどうやられているんでしょうか? 自由にやると組織のバランスが崩れてしまうんじゃないかと、人事の方が恐れる部分もあると思います。

有沢:臓腑をえぐるような良いご質問ですね(笑)。我々の場合は、やってみると結構うまくいきました。カゴメには部門 FA という制度があります。かつては、部門長はいい人を部門から出さずに囲い込んでいましたが、現在は囲い込むことを悪としているので、わざと横の異動を行っているんです。

例えば僕が入社する前は、営業や生産調達、研究開発などがすべて縦割りで、横の部門にに人が異動することは100%なかった。それを変えたかったので、とある工場長の人事について専務や社長と話しているときに、僕が「大阪支店長に就いてもらうのがいいんじゃないですか」と言いました。まず、支店長クラスから変えてみようという狙いです。

すると、みんな「この人は工場長しかやったことないけど…」と言うので「いや、いいんじゃないですか?」と。なぜなら、技術の裏付けのある支店長は差別化の要因になると考えたんです。「他の食品・飲料メーカーにそういう人はいないし、いいじゃないですか」と言うと、みんなその気になってくれましたね。こうして、工場長が大阪執行役員、大阪支店長に昇進したわけです。

上林:先程も話がありましたが、本当に有沢さんはいつも、どんな施策もまず上から実証実験をされてますよね。

有沢:今の役員の方々には大変申し訳ないですけど、とりあえず上に施策を入れていますね。うちには形態評価シートというものがありますが、これもまず上から作っています。それを全社員にインターネットで公開して、部長たちが見て、部長たちが形態評価シートを作ったらまた公開して、次は課長たちに、という流れです。

他にも、降職・降格・降給がなく、年齢とともにずっと上がっていましたが、ジョブ型を導入することで、この点も変化しました。その影響で、一番最初に降格したのは役員です。下から行うのは僕からしてみれば卑怯なんです。上が責任を取るのが当たり前なので、何かやるときは上からやる。これまでにダメなこともいっぱいありましたけど、過ちは改めるに如かず、です。人事制度は1回入れたら直せないなんて誰が決めたんだと。

中途採用も、カゴメでは私が入社してから急に採るようになったんですよ。広い意味でのダイバーシティは、女性の活躍だけではありません。いろいろな価値観を持った方々がいることによって健全なコンフリクト(衝突)が起き、コンフリクトが起きることによって初めてイノベーションが生まれる。コンフリクトがないところにイノベーションは生まれないので、イノベーティブな会社になるためにはいろいろな考えの方がいることが大事で、これがダイバーシティだと考えています。女性の活躍というのはその一面に過ぎないですし、そんなことはやって当たり前なんですよね。

一点補足しておくと、すでにお話した異能異彩、つまり今までのカゴメでは採らなかった人を採るということを徹底していますが、新卒採用の場合は、好きな食べ物や飲み物などを書いてもらうようにしています。やっぱり、食に興味のある人に来て欲しいですから。ここだけは絶対に譲れないですし、こだわっています。

社員のマーケットバリューをいかに上げていくか?

上林:ありがとうございます。最後に、組織をより良くしたいと思っている人事の方に向けて、簡単にメッセージをいただけますか?

新居:人事の方の中には、評価権を上の人に握られていたり、会社を辞めさせられたくない、降格させられたくないと思っていたりと、変えることに対する抵抗がある人もいると思います。ある意味、自分で自分の身を守らないといけないというか。でも、組織を変えるときは保身を外さなきゃいけないんです。

今回、大手の方が多く参加されていると聞いていますが、大手の人事をやられている方だったら、マーケットに出ればいくらでもオポチュニティはあります。組織を変えるべく繰り返し戦ってみて、それこそ経営者と胸ぐらをつかみ合うぐらいやって、それでも変わらないならその会社を早く辞めて外に出ていく方がいいと思います。そういった人たちが諦めて外に出てくるようになると、マーケットからの圧力が経営者に伝わり、このままだとまずいと思って慌てて変わっていくのが日本の企業の常なので。

経営者に提言してうまく変わってくれなかったとしても、そこで仕方ないと諦めちゃうと変わりません。ダメだったら、僕は辞めますぐらいの勢いで努力をする。そういう人たちがどのくらいいるかによって、組織が変わるのではと思います。表に出てみると思ったよりマーケットは広いですから、ぜひチャレンジしてみていただきたいです。積極的にこういう場所に来て学ぶ方、ここでインプットして社内でアウトプットしようと考えている方には優秀な方が多いでしょうし、市場価値は十分にあるはずです。会社に依存することなくやるべきことをやって、ダメだったら外にさっさと出るくらいでよいのではと思っています。

上林:ありがとうございます。では有沢さんからもぜひ、人事の方にメッセージをいただければと思います。

有沢:今日はお聞きいただきありがとうございます。僕自身も、今日は大事なお話をいっぱい聞けましたし、その中で、人事の方々が考えなきゃいけないことは、社員のマーケットバリューだなと感じました。新居さんも仰いましたが、社員のマーケットバリューを上げるために何をしたらいいかということなんですよね。

これはエンゲージメントの向上にも当然繋がるだろうし、いろいろなところに波及すると思います。「マーケットバリューを上げると、社員が辞めちゃうんじゃないか」と言う人もいますが、社員のマーケットバリューが上がることによって会社のマーケットバリューも上がるわけです。人件費はコストではなく、インベストだと割り切って考えないとダメですね。これまでのヒューマンリソースは人的資源と考えられていましたが、今では人的資本となっています。人的資本を上げていくためにエンゲージメントがあり、エンゲージメントサーベイがあるということだと思います。

社員の人的資本を上げることによって最終的に会社の資本が上がる、つまり会社の価値が上がる。このように、人事は人事の施策を考えるだけではなく、経営戦略と事業戦略を結び付けなければいけません。これが人事戦略です。人事戦略が経営戦略の中の最重要戦略という意識を持ち、ぜひ皆さんに実践していただきたいなと心から願っています。

上林:エンゲージメントが高い組織をつくるためには、Wevoxのようなサーベイツールで可視化することが大事ですが、使うだけではなくいろいろな対応や活動も必要です。採用や評価、異動などと複合的にやっていくことも大事なんだなと改めて学べました。本日は、どうもありがとうございました。

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