「チームでの対話をどう生み出す?」全社ワークショップで組織変革に挑む大阪ガス都市開発に学ぶ

「チームでの対話をどう生み出す?」全社ワークショップで組織変革に挑む大阪ガス都市開発に学ぶ

大阪ガス都市開発株式会社
山岸 佳奈 氏
山岸 佳奈 氏
大阪ガス都市開発株式会社
総務部総務グループWevox担当

松岡 和秀 氏
松岡 和秀 氏
大阪ガス都市開発株式会社
総務部総務グループ マネージャー

田中 龍直 氏
田中 龍直 氏
大阪ガス都市開発株式会社
技術本部第1技術部建築グループ マネージャー

「個人と組織」、「個人と仕事」などとの繋がりを示すエンゲージメント。近年経営指標としても注目を集めるエンゲージメントは、1つの決まった形があるわけではなく、10の組織があれば10通りの形が存在します。このシリーズでは、エンゲージメントサーベイ「Wevox」と共に組織づくりを行う企業のストーリーを通じて、様々なエンゲージメントの形を届けていきます。今回は、Daigasグループの一翼を担う不動産会社、大阪ガス都市開発株式会社の事例をご紹介します。

同社では、会社のさらなる成長に向けたエンゲージメント向上施策の一環として、Wevoxによるエンゲージメントサーベイを開始。Wevoxで解析したエンゲージメントスコアをベースに、チームでの対話を生み出す全社ワークショップを通じた組織変革に挑んでいます。ワークショップを主導する総務部の松岡和秀さん、山岸佳奈さんと、チームでアクションに取り組む技術本部の田中龍直さんに取り組み内容や変化について伺いました。

組織づくりにおける指標が必要だった

ーWevoxを活用し、全社で取り組んでいるワークショップについてお聞きしたいと思います。ワークショップをきっかけに、実際によいアクションが生まれているチームもいるそうですね。

山岸:はい。そのチームでは、これまでにない新たな施策に積極的に取り組んでいるのですが、ワークショップをきっかけに社内への発信を工夫したり、他部署と積極的に連携を取ったりと、さらなる素晴らしい取り組みにつなげています。この後、そのチームのマネージャーにも参加していただくので、詳しくお話ししますね。今回のワークショップの取り組み方や、それによってチームに与えた影響など、私たちの事例が少しでもみなさんの参考になれば幸いです。

―ありがとうございます。では、まずはWevoxでエンゲージメントサーベイを始めた経緯から教えてください。

山岸:弊社では、2020年7月からWevoxを導入しています。導入の背景には、会社が踊り場の段階に来ており、今後のさらなる成長のためには、社員一人ひとりに最大限の力を発揮してもらえる組織になる必要がある、という思いがありました。

弊社は、これまでの約10年間の間で、現在の管理職層が事業の勝ちパターンを構築してきたおかげで、好調な業績をあげることができています。しかし、今後、さらなる成長をしていくため、また、社会状況の変化に対応していくためには、勝ちパターンを踏襲するだけでなく、新たな事業のあり方を模索していく必要があると思っています。

こうした状況においては、若手社員も含めた社員一人ひとりがもっとそれぞれの強みを活かし、個性を発揮できる組織になっていかなければならない。そうした課題感は抱きつつも、実際には、そのような組織のあり方について、話し合う機会がありませんでした。

―それで、エンゲージメント施策を実施しようとなったのですね。

山岸:はい。そのために、管理職間でマネジメントのあり方を考える研修や、部署横断的に会社について知ってもらうための勉強会などを企画したのですが、何か話し合いの指標や施策の効果検証に使えるデータが必要だという実感も同時に湧いてきました。そこでいろいろと調べているうちに、エンゲージメントサーベイによって組織状態を数値化するWevoxの存在を知ったのです。

組織風土的に、データ分析が好きな人が多いので、Wevoxがあればより組織にフォーカスした議論が深まるのではと思い導入を決めました。

「チーム」をテーマに話し合うきっかけを生む

―なるほど。サーベイに加えて、チーム対話のワークショップを行ったのはなぜですか?

山岸:Wevoxの導入は決めたものの、弊社では組織やチームについて話し合う機会があまりありませんでした。ただ数値化しておしまいにならないように、まずは私たちが率先して話し合いをする文化をつくっていこうと、ワークショップを企画しはじめたのです。

―具体的に、どのようなワークショップを行ったのか教えてください。

山岸:チームごとに、自チームについて思っていることを率直に出し合ってもらい、そこで何か1つでもチームをより良くするために行動できることを考えてもらいました。ゴールとしては、「私達の次の一歩(ネクストアクション)を決める」と設定しました。

そのうえで、まずはワークショップ当日までの事前準備として、自チームのスコアを見ておいてもらうとともに、各自が重視しているエンゲージメント要素を選んでもらいました。

―いきなりスコアを分析するのではなく、自分たちで何を重視するかから決めていこう、ということですね。

山岸:そうです。そして、ワークショップ当日は最初のステップとして、各自が事前に選んだ「重視するエンゲージメント要素」についてチーム内で共有してもらいました。その後で、スコアの結果に対してどのように感じているか、をみんなで話し合ってもらったのです。

その際に、チームにとってのありたい姿は何か、それをイメージしたときにスコアの結果は満足のいくものかどうなのか、といった視点で話してもらうようにしました。

そして、その次に「どういうアクションを取れば改善されるか?」を議論してもらいました。

全社取り組みを成功させる2つの工夫

―ネクストアクションについて話すのですね。

山岸:はい、具体的にどの項目に対して、どういうアクションを起こすのかを話し合ってもらいました。そして、話し合った結果を事前に渡していたExcelシートに記入してもらい、提出する。ここまでが一連のワークショップの流れです。トータル120分で、事前に各段階(重視したい要素の共有、スコアの分析、アクションの決定)で話し合いをする時間などもお知らせをしていました。

―しっかり設計がされたワークショップで参考になります。とはいえ、全社的な取り組みとして行うには工夫も必要かと思います。実施までにどのような準備をしたのでしょう?

山岸:大きくは2つあります。

1つは、事前理解をしてもらうための丁寧な説明です。例えば、ワークショップを行う前段階として、全社員を対象に説明会を開催し、Wevox導入の経緯やスコアの見方、結果の活用方法などを説明しました。

それから、ワークショップ当日に使うExcelシートも、ファシリテーターや参加者が迷わないように、丁寧に作りました。ワークショップの流れが書いてあるだけでなく、実際に書き込めるシートとして作成しています。ファシリテーターの負荷が増えないように、かつ参加者にこちらの目的がしっかり伝わるように、丁寧な設計を心がけました。

―Excelのシートも拝見しましたが、それ自体がガイド的な役割になっており、ワークショップが進行しやすいものになっていました。そうした事前準備は重要ですね。もう1つの工夫は何でしょうか?

松岡:このワークショップは、管理職の協力、もっと言えばファシリテーションも重要になってきます。そこで、事前に管理職と役員全員に、デモとして簡易版ワークショップを実施し、重視したい要素の共有、スコアの分析までを体験してもらました。40人ほどいるので、3回に分けて行い、私たちがファシリテーター役を務めました。

どんな雰囲気になるか、正直なところ心配ではあったのですが、普段は見られないみなさんの一面が見られてすごくいい機会になりました。

組織への思いはあるけど、話す機会がなかった

―全社で展開した際はどのような対話がなされたのでしょうか?

松岡:「挑戦する風土」や「ビジョンの共有」、「成果に対する承認」などのWevoxの項目のポイントについて、その背景や変えていくべきことなどの発言が多く出ていました。チームや会社の状態について振り返る、こうした対話はそれまで経験がありませんでしたが、みんな、表に出す機会がないだけで、思いや考えは持っていることを実感しました。

―実際にワークショップを行ったことで、組織に変化は起きていますか?

山岸:階層別に、「①同じグループのメンバー同士→②同じ部のマネジャー同士→③同じ事業部の部長同士→④役員同士」と順番にワークショップを実施してもらったのですが、役員と管理部門で各チームの思いや課題認識を把握できたことで、その後の全社施策に反映することができました。

具体的には、「ミッション・ビジョンへの共感」について管理部門で連携して経営計画の勉強会を開催したり、「成果に対する承認」について業績貢献表彰の候補として業績結果だけでなく、サポート業務にも広げてエントリーをしてもらうようにしたり、「挑戦する風土」について新たな取り組みに向けたプロジェクトチームを発足するなどの施策を実施しました。また、経営計画の説明の際には、各役員からワークショップで分かった各チームの思いを意識したメッセージ発信をしてもらえたと思います。

松岡:それから、スコアがあることによる対話のメリットも感じることができました。スコアがあることで課題点、あるいは自分たちの強みについて、認識を共有することができるようになりました。

特に、挑戦する風土のスコアが当社は低かったのですが、このことについて各階層で議論するきっかけになり、現在は、それに対するリアクション(検討、取り組み)が様々な部署で発生しています。

―各チームに変化は起きていますか?

山岸:まだワークショップを2回行い、PDCAを回し始めた段階ですので、大きな成果が見えるような段階ではありませんが、取り組みによって少しずつ周囲に変化を与えているチームもあります。

冒頭にもお伝えしましたが、ここからはそのチームのマネージャーである田中さんにも参加してもらいますね。

田中:よろしくお願いします。マネージャー視点で、今回の取り組みについてお話していきます。参考になれば幸いです。

課題を明確にし、アクションを話し合う

―ありがとうございます。では最初に、今回のワークショップでどのような対話がチームでなされたのか教えてください。

田中:はい。チームで気になるスコアとして挙がってきたのが、「成果に対する承認」でした。私たちのチームは、既存物件の管理における技術的サポートや新しく建築する物件の技術に関する仕事を行っています。専門的な知識を要する仕事であること、プロセスがわかりづらい縁の下の力持ち的な仕事であることといった特徴もあり、これまで社内でもあまり承認を得る機会がなかったのです。

―先ほど、全社的に課題として挙がっていたスコア項目ですね。

田中:そうした課題感は、実はみんな心の底では抱いていました。ただ、そうした悶々とした気持ちをチーム全体で数値として表現できないので、そうしたときに、今回のワークショップがあり、実際にWevoxを見てみると「成果に対する承認」のスコアは低く出る傾向にありました。

だったら、この項目に対してできることを考えてみようかと、ワークショップでいろいろなアクションを出し合ったのです。

―どのようなアクションが出たのでしょうか?

田中:我々が行っている仕事は、今までは竣工時に結果として知ってもらう機会しかなかったんですね。でも、それだと背景にある技術的な工夫とか、何がすごいのかといった部分がなかなか伝わらないんです。

だから、もっとプロセスを知ってもらうようなアクションを起こしていこう、というのが大きな方針として話し合われました。

山岸:実際に全社ミーティングやマネジャー会議の資料などでも、力を入れて取り組んでいる物件をピックアップして、今どのような工事を行っているか、どういう仕様を導入しようとしているか、などの情報が盛り込まれるようになりましたよね。

田中:そうです。あとは、3D内覧ツールを使って、どのような仕様を導入しているかを知ってもらうようにしています。これは、インターネット上でも公開している内覧ツールなのですが、社内外へ向けてどんな技術を取り入れているかを知ってもらうために活用していきたいと考えています。

特に今年3月に竣工した「アーバネックス梅田中崎町」では、新たなIoT設備を導入しています。そうした試みも、過程から知ってもらうことで技術本部がどんなことをしているかを以前よりも知ってもらえたかな、と思います。こうした発表は、賃貸事業部と組んで行ったのですが、他部署との連携を深めることにも繋がりました。

山岸:あと、マネジャー会議で田中さんが現地リポートみたいなこともしたそうですね。映像を繋いで、今どんな取り組みをしているかを解説されたと聞きました。

田中:たまたま会議のタイミングで現地にいたので、繋いでみようかなと。こうした思い切った発想も、「承認してもらうには?」というワークショップでの話し合いがなかったら生まれなかったかもしれません。ああした話し合いが、日々の行動に繋がっていくということですね。

共通言語で話し合う価値

―まずは何をしているかを知ってもらうことにフォーカスしたんですね。できることから始めているのが素晴らしいです。何かチームに変化はありましたか?

田中:他部署とのコミュニケーションが以前より増えてきたのは確かです

それも、私が言わなくてもメンバーが自主的に動いて、「パンフレットに技術的なアピールポイントを入れよう」とか、「社内向けに仕様に関するアンケートを取ろう」とか、他部署にアプローチを仕掛けているんです。こうした連携をチーム全体で行うことは今まであまりなかったので、大きな変化だと感じています。

松岡:私たちが見ていても、アクションを起こしているのが明確でした。こういう動きが起きてほしいと思いながら、ワークショップを設計したので、私たちとしてもすごくうれしいですね。

―Wevoxを起点に、ワークショップでの対話や実際の現場でのアクションを行っていく。活用事例としても1つの理想的な姿で、私たちもうれしいです。最後に、今後の組織づくりの展望を教えてください。

松岡:Wevoxでのエンゲージメントサーベイによって、自分たちの会社の姿を数値化できたのは様々な気付きに繋がりました。私たちは、いい会社にしたいと常に思いながら活動してきましたが、実際は思ったよりも数値は低かった。

大きいのはそうした課題感を、管理職や役員含めて共通言語を用いて、議論の遡上に載せられたことです。まだまだこれからの部分も多いですが、技術本部のようなチームをはじめ、間違いなく変化は起きていると感じています。Wevoxで課題を発見するだけでなく、いい部分もたくさん見つけられるように引き続き頑張っていきたいです。

山岸:組織をテーマに話す機会がWevoxによって生まれたのは、本当に大きいと感じています。「組織のことはどうでもいい」とみんなが思っているのではなく、「なんとかしたいけど話す機会がなかった、何を話せばいいかわからなかった」というのが実態だった。この違いに気付けたのはよかったですね。

それから、私たちの役割も以前より明確になったと思っています。今回のようなワークショップなどを通じて、対話とアクションのきっかけを提供していく。そうした仕組みづくりを、これからも続けていきたいです。

田中:今回の取り組みを通じて、知ってもらうことのアクションは起こせたので、次は自分たちの取り組み内容をより理解してもらい、より会社への貢献をしていきたいと思っています。そのために、先ほども話したように若手メンバーはどんどん動いてくれていて、次のステップに進んでいます。マネージャーとしては、若いメンバーが思い切って挑戦できるように、数値を手がかりとしながら、これからもいいマネジメントをしていきたいと思います。

―全社的な取り組みの事例として多くの企業に参考にしてほしいお話でした。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!

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