対話を重ね、協創の先に生まれた一冊への想いとこれからの話ーー「わたしたちのエンゲージメント実践書」制作裏話座談会

対話を重ね、協創の先に生まれた一冊への想いとこれからの話ーー「わたしたちのエンゲージメント実践書」制作裏話座談会

長瀬 光弘
長瀬 光弘
ライター/DIO企画・編集

制作会社にてメディア運営やコンテンツ制作の経験を積み、2018年よりフリーライターとして活動。Wevoxコンテンツチームに参画し、DIOの立ち上げ時から企画・運営を担当。300社を超えるWevox導入企業への取材を通して、エンゲージメントや組織づくりのストーリーを届けている。

田中 信氏
田中 信氏
一般社団法人チームスキル研究所
理事 研究所長 コ・ファウンダー

大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティングにて企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。専門は、研究開発、商品開発、新規事業開発、事業改革など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。また人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント養成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など企業や団体の改革を支援している。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、Wevox組織・人財アドバイザー、一般社団法人経営支援機構 技術顧問などを兼務。現在に至る。

川上 佑貴
川上 佑貴
株式会社アトラエ
Wevoxカスタマーサクセス

学生時代に、新卒採用領域の学生団体の立ち上げを経験。2021年に岡山大学理学部物理学科を卒業後、新卒としてアトラエに入社。入社後は、ビジネス版マッチングアプリ「Yenta」のiOSエンジニア、中途採用責任者を経て、現在は組織力向上プラットフォーム「Wevox」のカスタマーサクセスと事業開発を担当。

2025年3月3日に刊行された、Wevoxチームと田中信さんによる共著「わたしたちのエンゲージメント実践書」(日本能率協会マネジメントセンター)。本書は、エンゲージメント活動の推進に向け、実践企業の事例をもとにエンゲージメント向上の知見を集約、体系化した一冊になっています。

組織力向上プラットフォーム「Wevox」を手掛けるチームと、組織づくりの専門家である田中信さんがなぜ、今タッグを組んで、「本」を出したのか。Wevoxの立ち上げ期に端を発する刊行に至るまでの経緯、本書に込めた想いやこだわり、そして自分たちにとっての実践について、制作に関わった三人が語り合いました。

組織の中でエンゲージメント活動を推進する役割を多くの人に知ってもらいたい

長瀬:今日は、Wevoxチームとマコさんの共著本「わたしたちのエンゲージメント実践書」の刊行を記念して、制作の裏話について話す座談会をしようということで集まりました。よろしくお願いします。

まずは、簡単に自己紹介から。私は、本書のブックライティングや企画・構成などを担当したライターの長瀬です。これまで、Wevoxチームの一員として、DIOの運営をはじめ、ネーミングやコンセプトの言語化などを一緒に行ってきました。2018年の春から一緒に仕事をしているので、もうすぐでまるっと7年、様々な経験を共にしてきたことになります。

田中:同じく2018年からWevoxのアドバイザーとして参画している、田中です。みんなからはマコさんと呼ばれています。組織内での改革推進を生み出す活動を中心に、エグゼクティブ・コーチングやチームスキル®の開発、インターナルコンサルタント®の養成や改革の内製化などに長年携わっています。

人と組織の力を最大限に引き出し、いきいきと働ける状態を多く生み出せることを目指して活動を続けており、本書では、共同著者として、企画や専門知識の提供、体系化などを一緒に進めてきました。

川上:2021年にアトラエに入社した川上です。アトラエに入社後は、YentaのiOSエンジニア、中途採用責任者を経て、現在はWevoxのカスタマーサクセスと事業開発を担当しています。本書では、原稿へのレビューを通じて、制作プロセスを経験しました。

どういう経緯でスタートしたのかなど知らないことも多いので、話を聞けるのを楽しみにしてきました。

長瀬:では、さっそく本題に入っていきましょう。まずは、この本がどういう経緯で作られたのか、思い出しながら話していきたいと思います。私の記憶では、2023年の秋ごろに、マコさんから「組織内で改革を推進する人の養成を目指した本を作ってはどうか」といった話を伺って、そこから企画がスタートしました。

その頃、Wevoxチーム内でも「『エンゲージメント活動の推進者』という役割の重要性や専門性を、周知したい」といった話がちらほら出ていた時期でした。

田中:そうですね。そういった組織内で改革を推進する専門家の養成は、私自身長くテーマとして続けていたことでもあり、エンゲージメント活動との親和性の高さも感じていました。

また別の視点では、ちょうどその頃、Wevoxの開発責任者である森山さんとディスカッションする中で、「事例をもっと活用できないか。事例を通じてもっと多くの学びを得られないか」という話が出てきたんです。事例を活かせる組織が、実際は多くないという課題感がありました。

川上:確かに、事例を求める企業は多くありますが、そこから学びを得て、実際の活動に活かすとなると、現実的には難しかったりもします。

組織状態や背景は、千差万別なので、事例をそのまま真似してもうまくいかないことがほとんどです。事例を活かすには、本質を理解したうえで、自組織に合うように真似をする能力が求められます。

田中:そうなんですよね。事例だけだとカバーしきれない領域がある、というのが当時の私が考えていたことです。

それから、3つ目の視点として、Wevoxユーザーだけでなく、もっと広く世の中にエンゲージメントや組織づくりの知見を届けられないか、という思いもありました。

川上:僕にとって、マコさんは、Engagement Run!Academy(※)のイベントに登壇したり、コミュニティの活性化に寄与していただく形でアドバイザーとして活動している人という認識でした。

ただ、それはここ最近の話で、もとを辿れば2018年というWevoxが立ち上げ期の頃から一緒に活動をしてきた歴史があって、今回の本の話に繋がるんですよね。

※Engagement Run!Academy……Wevoxが運営する、エンゲージメントに関する実践的なスキルや事例を共に学ぶアカデミー

6年以上にわたるマコさんとWevoxチームの挑戦と火種

長瀬:確かに、そのあたりの話も含めると、この本の背景にあるストーリもより深く理解できるかもしれないですね。そもそも、アトラエとの出会いは何がきっかけだったんですか?

田中:前職のコンサル時代に上司がCVC(コーポレイト・ベンチャー・キャピタル)を立ち上げて、そのカウンターパートだった新家氏がアトラエにジョインされたんですね。それで、Wevoxのアドバイザーとして、私にもお声がけいただいたというのがアトラエとのご縁のきっかけです。

役割としては、大手企業向けのエンゲージメント・ソリューションの壁打ち相手でした。当時は新家氏他のセールスメンバーと一緒にユーザー様へ訪問し、エンゲージメント推進活動に関する意見交換をさせていただいてました。

まだセールスとカスタマーサクセスの役割の整理もついていない状況でしたが、私との壁打ちも一つの参考材料としながら、Wevoxなりのカスタマーサクセス、お客様の支援のあり方を構築していったように思います。

川上:そんなところからお手伝いしていただいていたのは知りませんでした。確かに、エンゲージメントという考え方は当時から信じていたし、いい組織を増やしたいという思いはあった。でも、それだけだと現実的に組織を変えるには力が足りないので、マコさんのような組織づくりのプロフェッショナルの知見や視点を取り入れていく必要があったということですよね。

そうしたプロセスを通じて、「自分たちで自分たちの組織をよくしていく」ための支援をするというWevoxとしてのカスタマーサクセスのあり方が固まっていった。

田中:そうだと思います。壁打ちを続ける内に、アトラエ内でどんどん知見が蓄積されていき、違った形でのアドバイザー活動にシフトしていきます。新たなアドバイザー活動として、2023年には、「インターナルコンサルタント」という私が長く養成講座を設けている、組織内の改革推進者について学ぶ勉強会を数ヶ月に渡って行いました。

その頃、私が考えていたのが、私が持っている組織内の改革推進者養成の知見と、Wevoxが持つエンゲージメント領域での知見を掛け合わせることで、何か新しい価値、これからの社会にとって重要な知識体系が生み出せるのではないか、ということです。

そういったコラボレーション、協創を生み出すため一環として、勉強会を行っていました。

長瀬:確かに、勉強会の時にそのようなことを言ってましたね。その頃から、少しずつこの本の火種みたいなものが出始めていたように思います。

川上:なるほど〜。あの勉強会も、今回の本につながっているんですね。

田中:私としては、勉強会を通じて協創がもっと生まれるイメージだったのですが、そのタイミングでは思った通りには火がつかなかったなという感覚でした。だから、やり残した感覚というのがずっとあって、森山さんとも要所要所で話していたんです。

長瀬:勉強会に参加した各メンバーにとっては大きな学びや気づきがあったとは思いますが、マコさんとWevoxチームでの協創という形までは辿りつきませんでしたね。ただ、「組織内で改革を推進する人」の重要性や専門性については、かなり認知や共通言語化が進んだとは思います。先ほども触れたように、チーム内で話題になる場面がちらほらと出てきていました。

一方で、マコさんとしては、協創して新しい価値を生み出したいという想い、勉強会を通じてやり残した感覚があった。それらが渾然一体となった火種が、「本を作ってはどうか」という形で表出されたのが、2023年の秋頃になる、という流れですね。

川上:なるほど。アトラエと一緒に、新しい変化やチャレンジを目指したストーリーがあったことを初めて知りました。

長瀬:本書でも「勉強会」というアクションを通じた、エンゲージメント活動の推進について解説がされています。まさに、Wevoxチームとマコさんが組んで実践したアクションでもあるのですが、その瞬間では思ったようなゴールに辿り着かなくても、火種を残すことに繋がることもあるということですね。

田中:はい。大事なのは、火種を絶やさないこと。そして、想いを持つ人が諦めずに、方々で発信を続けることですね。どこかで結びつくことがありますから。

私たちにしか作れない本に

川上:本を作るきっかけはよく理解できました。そこから、具体的な企画に入っていったかと思います。企画や構成を考える際にこだわったポイントなどはありますか?

田中:組織の中で推進活動をする人を後押しするような本、というイメージは最初からずっと持っていました。また、ただの解説本ではなく、具体的な取り組み方、進め方まで伝えたいなとも考えていました。

それから、「壁打ち相手」となるような本にもしたい、と考えていました。ワークなど具体的な手法を紹介しつつ、推進者の方が迷ったとき、行き詰まったときに、パラパラとめくりながら、突破口を見出す。そんな本にしたいと、構成を考えていきましたね。

長瀬:企画をスタートした頃は、「エンゲージメント」という言葉が人的資本経営の中で使われるようになったり、人事や経営領域の人の間では周知が進んできていた時期でした。理論を解説する本やコンテンツも増え、「エンゲージメントとは何か?」を知ろうとすれば、比較的情報は手に入れやすくなってきた。

一方で、「どうすればエンゲージメントと向き合えるのか?」「組織でエンゲージメントの活動をするには何をすればいいのか?」といった実践方法については、まだまだ世の中には出回っていないとも考えていました。

ですから、企画書の初期段階から、「理論から実践へ」を掲げ、エンゲージメントの実践をテーマにした本にしようという話もしていましたね。結果的に、こうした方向性を今回共に制作を行った日本能率協会マネジメントセンターの編集者にも共感いただいて、出版が決まりました。

川上:確かに、私が最初にレビュアーとして原稿を読んだときに、すごく具体的な話が多いなと感じたんです。「エンゲージメントが高い組織にしたい」という絵を描いたとして、それを現実にしていくために役に立つ本だな、と。

田中:ありがとうございます。そういった具体性にはかなりこだわりました。

長瀬:マコさんがこれまでインターナルコンサルタントの養成講座で使っていた資料も拝見しましたが、かなり実践的で、職場の悩みにダイレクトに効くノウハウが多かったんです。頭でっかちとは真逆というか、とにかく手足を動かすといった内容です。

それから、Wevoxの支援のスタンスは、顧客企業にまずは小さいアクションを、小さい範囲でいいので体験してもらい、そこで得た気づきを、次の活動に活かしていくという、実践をベースにしているものだと聞いていました。

加えて、DIO通じて、多くの好事例が集まっていた。この本は、Wevoxユーザーのみなさんのこれまでの実践があったからこそ生まれた本だとも言えます。今回の座談会では、あまり多く触れられませんが、ぜひDIOにある「エンゲージメントストーリー」をはじめ、多くの推進者の実践事例が、この本の源泉となっていることはお伝えできればと思います。

このような、マコさん、Wevoxチーム両者が持つ特徴を軸にすれば、自然と本としての個性も生まれるのではと考えていましたし、うまく形にできたかなと思います。私たちにしか作れない本になりました。

本当に「自分たちの課題」と向き合えているか?

川上:小さくてもいいので実践からはじめるというのは、まさに、カスタマーサクセスとして、大切にしているポイントです。そういう点でも、すごくWevoxらしい本になっているな、とも思います。

実践というのは、顧客企業にとっても、本当に大切です。というのも、最近は、実践から遠ざかってしまうケースも見受けられるようになってきたんです。

田中:もう少し具体的なところを聞かせてもらえますか?

川上:現在のWevoxは、組織力向上プラットフォームとして多角的なサービスを提供していますが、最初はエンゲージメントサーベイからスタートしています。エンゲージメントの定量化による「言える化、言い合える化」のきっかけづくりの重要性をずっと伝えてきましたし、今もそれは変わっていません。しかし、手軽に定量化されるが故に、数値だけを見て満足してしまったり、シミュレーションだけで終わってしまうというケースもあるんです。

そうなると、本質から遠くなり、対話などの実践も生まれなくなってしまう。こういったことにならないよう、実践にダイレクトに結びつける本書を、顧客支援でももっと活用していきたいと思っています。

田中:なるほど。私が支援している企業でも、そういった状態になることはありますからよくわかります。

そういう状態だと、戦略はあるけど進捗がないので、経営者からしたら「この活動はなんの意味があるの?」となりやすいんですよね。それで、気づいたら経営者が次の流行ワードに移っていって、エンゲージメントが忘れられてしまう……。なんてことも起こり得ます。

もっと根本を言えば、こうした状態になるのは、「外から課題あるいは流行ワードを持ってきているだけ」という問題があります。「エンゲージメントが大事だと言われている。うちの会社でもやろう」という出発点ではじまって、そこから先への理解や実践が進まないパターンですね。

長瀬:本書の中でも、どのような経緯でエンゲージメント活動がスタートしたのか、「生い立ち」を整理する方法について解説しています。経営発信でスタートした場合でも、経営者の理解促進に努めないといけない場合も多いということですね。

田中:そうです。エンゲージメントが、自分たちの組織の課題と結びついてなくて、ただ外から持ってきた課題になっている。だから、また外で新しい課題(≒流行ワード)が出てくると、すぐにそっちに移ってしまう。

せっかく取り組みがスタートしたのに、次の流行ワードが出てくるまでの時間消化になってしまっているんです。こうした状態は、日本企業の多くで見られますし、「失われた30年」(※)の根本的な要因でもあると私は考えています。

成長している企業は、一つの課題が解決されたら、また次の課題が見つかります。それは、外から課題を持ってきているのではなく、自分たちの中にある課題としっかり向き合っているからできること。エンゲージメントの実践を通じて、そうした組織の力を手に入れてほしいとも思います。

※失われた30年……1990年代はじめのバブル経済崩壊以降の日本経済の低迷のこと

自分たちの内側にあるものを信じて生まれた一冊

長瀬:マコさんの熱も高まってきましたね。

田中:いや、すいません。顧客にも「よく喋りますね」って言われるんです(笑)。

長瀬:こんな感じでマコさんからもたくさん話を聞いて、出てきたエッセンスを詰め込んだ本でもありますが、出来上がった感想はどうでしたか?

田中:まずは、長瀬さんにブックライティングをよく頑張っていただいたと思っています。今の書籍の形がver.3だとして、ver.1、ver.2とアップデートされるに従って、原稿も大幅に加筆修正がされていきました。

川上:原稿を作成する過程において、カスタマーサクセスをはじめ、Engagement Run!Academyのメンバー、ブランディングやデザインを担うメンバー、それからオフィスにあるアトラエバーでの雑談など、いろいろなメンバー、機会で対話が行われていましたね。

長瀬:Wevoxチームは各メンバーが主体性を発揮して、スピード感を持って動いている分、知見が散らばっている状態にもなりやすい。それらを集めながら、マコさんの知見と掛け合わせて、本という体系的なメディアに落とし込むのは、ものすごく労力のかかる仕事でした。

それでも走り抜けられたのは、Wevoxチームの一人ひとり、そしてマコさんが、ものすごく価値のある知見や経験値を持っていると信じていたからです。全員が、お客様や社会と真剣に向き合いながら、「活き活きと働く人」を増やすために、毎日汗を流しているのは知っていましたから。そんな、彼、彼女たちの結晶の一部を、本という形にできたのは、大変さもありましたが、すごく幸せな仕事でもありました。

田中:対話を重ねる中で、「なんだ、いい知見持ってるじゃん」というシーンが何度かありましたね。そういう宝探し的な要素もありました。

長瀬:本当に、日々懸命に働いているので、自分たちの持つ知見の価値に気づかないということはあると思います。Wevoxチームのみんなには、自分たちの内側にある経験や知見は、世の中にとってものすごく価値があることなんだよって、この本を通じて改めて感じてもらえるとうれしいですね。

自分の内側にあるものを探ってみた時に、「自分ではすんなり説明がつかない。でもなんかいい気がする」といったことも多々あると思います。そういった説明がつかないものの中にこそ、オリジナリティや創造性が隠されていることもあります。

2025年1月にお亡くなりになった経営学者の野中郁次郎氏は、著書やインタビューの中でケインズの「アニマルスピリット」の重要性についてよく言及されていました。アニマルスピリットとは、人間は全て合理的に動くわけではなく、説明がつかない非合理的な判断や主観的な考えで行動することもある、といった意味の言葉です。野中氏が共著者となっている本(※)の中でも、“いまこそ創造性の源泉となる「アニマルスピリット」が、不確実な状況下を切り抜ける経済活動の原動力となるべきだ”と触れられています。

今は情報にあふれる時代で、ついつい、すぐにわかるもの、白か黒かはっきりしているものにばかり目がいきがちです。やっかいなことに、その手のコンテンツが目立つような仕組みにもなっているし、そういった情報が役に立つことももちろんあります。ただ、それだけで終わるのでなく、うまく説明はつかないけど、間違いなく自分たちの内側にあるもの、湧き出てくる何かを、もっと信じて前に進んでほしいなと思います。

※野性の経営 極限のリーダーシップが未来を変える/野中 郁次郎、川田 英樹、川田 弓子 著(KADOKAWA)

まずは、自分たちがEngagement Runnersになるために

川上:これまでWevoxチームが持っていた暗黙知が、形式知化された本でもありますよね。この本で言語化されたものを、次は我々がしっかりと自分の言葉、考えとして落とし込んでいかないといけない。

それが、次のWevoxチームのチャレンジでもあると思います。誰よりも一番、この本を通じた実践を生み出しているチームである必要がある。そういう思いから、さっそくアトラエ社内で、輪読会をスタートしています。

田中:すばらしい。その狙いをもう少し詳しく教えてほしいです。

川上:まずは、この本に書かれている内容の背景まで理解したり、この本を起点に自分の持論を持つこと。そうやって自分たちの知見として落とし込んだうえで、実践を生み出していく。これが、輪読会の狙いです。アトラエは誰もが会社づくりに思いっきり関われること、関わっていることが強みです。だからこそ、誰もが実践者であることが重要だと思っています。

全員が制作に携わっていたわけではないので、これから本を読むというメンバーもいます。そういうメンバーも含めて、まずは読んで、自分たちの中で、納得するところ、もやもやするところを洗い出していく。そして、それらの感想を共有して、対話を重ねていきながら、自分たちのものにしていく。輪読会では、そういうプロセスを生み出していきたいと思っています。

田中:すごくいいアクションだと思います。まずは、身近なEngagement Runnersを増やしていきたいですよね。

川上:そうですね。一人ひとりが、「わたしたちはEngagement Runnersだ」と自信を持って言える状態を作りたいと思います。

長瀬:これまでも、そして今も、アトラエ、Wevoxチームは全員が組織づくりの一員という自覚を持って、いろいろなことに取り組んでいるかと思います。少し意地悪な質問かもしれませんが、それでも、実践者だという自信を持ってもらうための取り組みが必要ということですか?

川上:必要です。常に、そういう取り組み、実践をしていることが重要で、実践“できた”はないと考えています。それから、組織のカルチャーは何に時間を投資しているかで決まるので、こうした対話の時間をボトムアップで作り続けることも大事です。

実践書を出しているチームが、率先して実践をしている。そして、そうした実践を通じて、チーム、組織が進化している。そうした進化から生まれる価値を、今後世の中に見せられるかどうか。いいチャレンジのテーマができたと思っています。

これは、アトラエが大切にしている「Atrae Success Story」という考え方にも沿ったものです。理想の組織づくりを自ら実践し、そこで信じられた価値がサービスやナラティブになる。そこから共感が生まれ、最終的には顧客も価値を実感する。こうした流れを、本書の活用においても大切にしていきたいです。

田中:「答えは人を奴隷にし、問いは人を自由にする」というネイティブ・アメリカンの言葉があります。この本を壁打ち相手に、自分たちの実践を生み出して、自由に、次の進化に向かって進んでほしいですね。一筋縄ではいきませんが、Wevoxチームならできるはずですし、私や長瀬さんも一緒に進んでいきたいと思っています。

壁打ち相手に&本だからこそ生み出せる体験を

長瀬:制作裏話ということで、我々がどういう考えやプロセスを通じてこの本を作ってきたか。そして、著者であるWevoxチーム自身がこの本をどう受け止め、次に繋げていくか……などいろいろな話をしました。

最後は、読者に視線を向けて、どういう人に読んでほしいかメッセージを送って終わりにしたいと思います。

田中:先ほども述べましたが、今、エンゲージメント活動に取り組んでいる人には壁打ち相手としてこの本を活用してほしいなと思います。

これから取り組む人には、「これからどうしようか?」という状態から一歩ずつ進んでもらうための、雪中の足跡のように活用してもらえれば幸いです。

エンゲージメント活動の定石を踏まえていると思います。この本を活用しながら、それぞれの組織やメンバーの特性に合わせた独自の実践事例を生み出していただきたいです。

川上:どこから読んでもいい作りになっているのも、本書の特徴ですよね。気になる箇所、今自分が抱えている悩みややらなければいけないことに関わるページから読んで、小さいことからでいいので実践に移していただきたいです。

田中:そうですね。一番避けてほしいのが、頭から順に読んで、その通りに実践しようとすることです。そういう活用方法だとうまくいきませんので、自組織の状況をまずはしっかりと把握して、必要なアクションを整理してほしいです。そのために、「ERマトリクス」という全体像を把握するためのツールも掲載していますので、ぜひ活用してください。

長瀬:中身を活用していただきたいというのは前提なのですが、ぜひ買っていただいた方は、オフィスの自分のデスクの上に置いてほしいなと思います。分厚い本ですし、鮮やかな黄色でパッと「エンゲージメント」という文字が目に入るので、みなさんのエンゲージメント活動への「本気度」がわかりやすく周囲にアピールできるかなと思います。

通りがかった人が「この本何?」と言って話しかけてきたら、こっちのもんです。本はこうした体験を生み出すメディアでもあるので、ぜひその特性も活かしてほしいですね。

川上:まさに、本だからこそ生み出せる動きはあると思っています。この本を通じて、新しい繋がりが生まれる機会になるといいですし、Engagement Runnersのコミュニティ活動や、地位づくり、活躍機会の拡大などなど、いろんなムーブメントを起こしていきたいです。

そのための仕掛けづくりは私たちもがんばって取り組んでいきますので、多くの仲間と出会えるきっかけに本書をしていきたいですね。

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