
フリーコメントで称賛を集めて紹介する〜「Good Action!」が生む、組織の和やかな一体感〜

2009年に株式会社アイ・キュー(現・HRビジョン)に新卒で入社以来、営業の一線で活躍。現在はマーケティング&セールス部次長としてチームを率いつつ、エンゲージメントサーベイの運用全般を担当。サーベイの設定、配信から、全社員への情報共有まで、一連の流れを担当している。
HR情報を体系的に発信して会社成長を支援するサイト『日本の人事部』や、イベントサービス『HRカンファレンス』などを手掛け、人と組織の課題解決に取り組んできた株式会社HRビジョン。同社は2024年4月にWevoxを導入し、エンゲージメント活動に着手しました。背景には、以前から組織環境の改善プロジェクトを進めていたことがあります。現在エンゲージメントスコアが右肩上がりを続けている同社の取り組みについて、マーケティング&セールス部次長の千葉 淳平さんに詳細を伺いました。
※取材時(2025年1月)の部署・役職になります。
「自発的な組織づくり」とエンゲージメント活動が融合
―御社が2024年にWevoxを導入された経緯をお聞かせください。
弊社は、株式会社クイックを中核とするクイックグループの新規事業開発部門が分社化して誕生しました。新たな事業に積極的に取り組むことをミッションとしているため、新たなプロジェクトや「やりたいこと」に自ら手を挙げて取り組む社風があります。
実は、以前から、かけがえのない私たちの企業文化を継続的に成長させ、より良いものにする環境づくりが重要だと考えており、この環境整備を目的とした「組織風土プロジェクト」が社内で立ち上がっていました。活動を推進する中で、クイックグループから「Wevoxを導入している」という話が当社代表を経由して私たちマネージャー陣に共有されたことがきっかけとなり、エンゲージメントサーベイの導入が決まりました。このとき「エンゲージメントサーベイについて詳しく知りたい」と手を挙げたのが私でした。
Wevoxの導入を決めたのは、将来的にグループ内で情報交換をする際に、同じツールを使っていた方が、話も通じやすいだろうという判断からです。グループ内で既に使っているので相談もしやすく、仮説も立てやすいと考えました。プロダクトのUIの良さも大きなポイントとなり、抵抗なくスムーズにスタートできました。
マーケティング&セールス部の私にWevoxの運営が任されたのは、長年働く中で社内文化や風土をよく理解していること、年齢的に社内で中間的な立場であること、普段からメンバーとの関わりが多いことなどが理由だったと思います。
―組織風土プロジェクトを進める中で、タイミングよくWevoxに出会った形だったのですね。
その通りです。プロジェクト開始当初、実はエンゲージメント活動をあまり意識していませんでした。私たちが重視しているのは、ビジョンの推進ができる環境、そして一人ひとりが成長できる環境を作り上げることです。自分たちで新しいことをやり、成長を怠らないよう動く過程が自己実現に繋がるという発想です。
前提として組織風土プロジェクトでは「全員で会社を、風土を、環境を作り上げていくこと」をキーメッセージとしていて、これを一番に考えています。結果的にこのキーメッセージがエンゲージメントサーベイの導入に繋がりました。弊社の行動指針に丁度よくWevoxがはまったという流れになります。
フリーコメントでは同僚への称賛を!高い回答率に繋がった工夫
―現在、Wevoxをどのように活用されていますか?
月1回のペースで、匿名の回答形式でサーベイを実施しています。管理画面は私のみが閲覧可能で、代表も含め他の社員は見られないようにしています。そして、私が全ての内容を取りまとめて、毎月「全社向け説明会」で全社員に結果を報告する形をとっています。管理の意味でいうと、閲覧するのは私1人ですが、毎月全社に共有していますので、結局、全員が見られる形になっています。
全社向け説明会は文字通り、全社員が毎月集まり、その時点での事業の状況、各人、各部署の状況を共有する場です。この中に組織風土プロジェクトやWevoxのエンゲージメントサーベイの結果共有の時間が設けられています。この全社向け説明会が、エンゲージメント活動の中心的な取り組みとなります。
―組織風土プロジェクトとエンゲージメント活動はどのような関係性なのでしょうか?
組織風土プロジェクトとWevoxを活用してのエンゲージメント活動は、意図的に別々の取り組みとして進めることにしています。組織風土プロジェクトは「0をプラスにしていく」前向きな活動として位置づけていますが、エンゲージメントサーベイの結果次第ではマイナスの要素が出てくる可能性があったからです。両者は連動しているものの、混乱を避ける意味もあり別々の取り組みとしました。全社向け説明会でもそれぞれ別プロジェクトとして情報を共有することにしています。
活動を続ける中で、相互に影響を与えられるような構造も生まれてきています。この点については、後ほど詳しくお話しできればと思います。
―全社向け説明会でサーベイの結果共有はどのように進めていますか?
毎回必ず、実施目的を説明するスライドを1枚目に入れて全社員に伝えています。「エンゲージメント」という言葉がさまざまな場面で使われており、誤解を生みやすいためです。サーベイの主旨を説明するスライドを入れ、エンゲージメント向上そのものが目的ではなく、ビジョンを実現していくと、長い目で見たとき自然にエンゲージメントに繋がっていくことを自分たちの言葉で表現するよう心がけています。
結果は、時間にして10分程度で共有しています。具体的には、進捗状況の説明、現在のスケジュール確認、そしてスコアの結果共有という流れです。スコアなどは管理画面をスクリーンショットして共有しています。数字自体についてコメントは加えず、本当に見せているだけです。このとき、スクリーンに投影もしますし、資料としても渡しています。
時間をかけているのは、サーベイの最後に設置した「Good Action!」というフリーコメント項目の内容紹介です。Good Action!とは、他の従業員の良い行動への称賛を書いてもらう項目です。毎回、結構な数をあげていただいているので、これを1つ1つ提示して、皆さんに共有しています。その時々でトピックが違うので、全てを取り上げることは難しいのですが、私からコメントも加えています。

―Good Action!の共有で意識されている点はございますか?
管理者である私が先に見ることができますので、説明会で共有する前に、どのコメントを全社向け説明会の場で共有するかを判断しています。ある従業員に初めてGood Action!のコメントが出てきたら口頭で取り上げたり、1年目の新人が褒められるポイントが変化している状況を取り上げたりしていますね。
例えば、4月から6月の第1クォーターで1年目の新人が褒められるのは「頑張って電話しました」とか「真剣に対応していました」といった姿勢が多いです。ですが第2クォーターに入ってくると、少しずつ、「お客様から喜びの声をいただいていました」といった成果が褒められるようになります。そういった変化を説明会で取り上げることを意識しています。
―導入当時、共有方法について、何か工夫されたことはありましたか?
Wevox導入当初の4月から6月までの3ヶ月間は、毎月の結果共有は行わず、7月にまとめて共有するというアプローチをとりました。意味がわからないまま共有すると、スコアに左右されてしまい、数字の影響が悪い形で出そうと考えたためです。3ヶ月分の変化があるスコアを共有することで、Wevoxのスコアによって何がわかるのか、スコアとどう向き合えばいいのか、みんなが理解しやすくなるように心がけました。
7月の共有の際には、影響度が高い項目と、自社の中で相対的に低い項目に注目して、今後の取り組みの方向性を提案しました。とくに「やりがい」という要素が仕事の意欲や組織への愛着に強く影響していることがわかり、ここに焦点を当てた活動を展開することにしました。
―継続的にサーベイで高い回答率を維持されているのが印象的ですが、何か特別な取り組みをされているのでしょうか?
説明会のときに「またご協力お願いします」と伝えるくらいで特別な施策は行っていないのですが、自分の活動がGood Action!として認められ、うれしいから周囲の人のGoodAction!も書きたくなり回答する、といういい流れができているのは感じています。
―Good Action!を企画した経緯をお聞かせください。
Wevox導入最初の1ヶ月目は特にGoodAction!は設けず、そのままフリーコメント欄を設けただけでした。皆さんが前向きに取り組んでくださり、フリーコメント欄にも多くのコメントをいただいたのですが、匿名での運用だったため、具体的な課題や悩みが書かれていても適切な対応ができない状況に陥ってしまったのです。
こうなる要因として、事前に「フリーコメントをどのように活用するか」という具体的な説明が不足していたと考えました。そのため、書き手の方々によって想定が異なってしまい、全社に共有されることを前提に書いてくれる人がいたり、完全な匿名性を期待して具体的な課題や悩みを書いてくれたりする人が現れたりする状況が生まれていたのです。
そこで、Wevoxチームに相談したところ、他社の事例として「称賛を書いてもらう」方法があると紹介してもらいました。これは弊社の「自分たちで能動的に環境を作っていく」という方針とも合致すると考え、5月からフリーコメントの運用をGood Action!に変更しました。
興味深いのは、称賛の内容や対象が時間とともに変化していったことです。例えば、当初営業部門での「大きな受注を獲得した」とかクリエイティブ部門での「みんなを巻き込んだプロジェクトを成功させた」といったわかりやすい成果に対する称賛が中心でした。それが次第に各チームの細かい取り組みや姿勢に対する称賛、日常的な貢献に対する称賛にも広がり始めてきました。
また、先ほども話しましたが、若手メンバーが成長していく様子がGood Action!を通じて見えるようになったと感じています。
組織全体に満遍なく、称賛の声が届くように
―組織風土プロジェクトとWevoxの連携はどのように進められたのでしょうか?
組織風土プロジェクトは、4名の社員が部署横断で参加して始まりました。新規事業への継続的な取り組みが求められる会社として、その環境をより良いものにしていくために何ができるかという視点で議論を重ねています。プロジェクトでは独自のアンケートも実施し、Wevoxよりも踏み込んだ内容で社員の声を集めています。
組織風土プロジェクトとエンゲージメント活動を別々の取り組みとして進めながら、得られた知見を相互に活用するようにしました。その結果、部署間のコミュニケーション不足や評価に対する不満などが具体的な課題として見えてきたため、部署横断のランチ会を企画するなどの施策を実施しました。効果はエンゲージメントスコアやGood Action!のコメントで確認できています。
評価に関しては、「もう少しわかりやすく説明してほしい」「自分の評価がなぜそうなったのか知りたい」といった声がありました。これを受けて、フィードバックを行うマネージャー陣に対して、評価業務の本質や効果的なフィードバック方法について改めて共有し、改善に取り組みました。
―活動を通じて感じられた変化についてお聞かせください。
先ほどお伝えしたGood Action!の声が、組織全体に満遍なく届くようになってきたことが大きな変化だと思います。最初、称賛はわかりやすくその時に目立った活躍をした人に集まっていました。現在は良い意味で本当にバラバラで、さまざまな部署の多くの人々にGood Action!が寄せられます。みんなが他のメンバーをよく見るようになり、前向きになったと感じています。
結果的に褒められる人が増えているので、社内全体が和やかな雰囲気になった気がします。Good Action!に記入されるコメントも増加しています。説明会で紹介すると、皆、照れくさそうに聞いていますね。褒められた人がオフィスで「そこを見てもらえていたのだとわかってうれしかったです」と発言することもあります。
求めていたわけではありませんが、エンゲージメントスコアも上昇傾向にあります。これは個別の施策の結果というより、組織風土プロジェクトやグループ全体でのさまざまな取り組み、各マネージャーのコミュニケーションの改善など、複合的な要因があると考えています。
イベントとエンゲージメント活動を効果的に連携させたい
―今後のエンゲージメント活動と組織風土プロジェクトの展開についてどのようにお考えですか?
組織風土プロジェクト初年度の取り組みは2024年12月に終了しました。2025年1月から新メンバーを迎え「Better Craft(ベタークラフト)」プロジェクトとして新たに再スタートしました。
プロジェクト名には「より良い(better)ものを創り出す(craft)」という意味が込められています。また、クイックグループ全体でもさまざまな取り組みが始まっています。例えば女性活躍推進、健康経営の推進、多様な働き方の実現などです。
こういった機会を自分たちのビジョン推進に活かし、エンゲージメント活動を効果的に連携させていきたいと考えています。Wevoxを通じて得られる結果は、そうした取り組みの効果を測る上でも有用だと思います。

―Good Action!への取り組みはいかがですか?
現在のGood Action!は幅広い称賛を集める形になっています。今の自由な称賛や感謝の形も大切ですが、私個人としては、会社の「あるべき姿」「ありたい姿」といった行動指針に近づけたGood Action!も実施していけたらと考えています。
称賛することへの共通認識を持つことで、皆からのコメントを受け取った時に成長実感がさらに得やすくなり、一体感もより強いものになるのではないかと思っているからです。
また、自分たちで能動的に組織を変えていくために、Good Action!以外のエンゲージメント活動の提案を社員からもらい、新たな施策の選択肢を増やしたいと考えているところです。







