
個人特性診断で自分を知り、マネジメントに活かす〜管理職のスキルアップから始めるエンゲージメント推進〜

2003年、株式会社野村総合研究所に入社。システム開発、ヘルプデスク、ソリューション営業、NRIプロセスイノベーション株式会社でのクライアントからの業務移管、事業企画などを経て、2022年、NRIフィナンシャル・グラフィックス株式会社取締役総務部長に。同社におけるWevoxの導入などを担当し、2024年4月より現職。

国内生命保険会社で融資業務・システムを担当の後、2001年に株式会社野村総合研究所入社。金融機関向けのソリューション営業、NRIプロセスイノベーション株式会社の立ち上げ支援などを経て、2024年4月より現職。総務部長として、組織・社員マネジメント観点からWevoxの運用・集計・分析を担当。
投資信託会社の目論見書や運用報告書など、金融機関が発行する各種レポートの作成・印刷業務の受託および関連コンサルティングサービスを提供しているNRIフィナンシャル・グラフィックス株式会社。同社では、2023年7月よりWevoxを導入し、エンゲージメント推進に取り組んでいます。その詳細について、代表取締役社長の川田さんと、取締役総務部長の田野井さんに伺いました。
※取材時(2024年12月)の部署・役職になります。
社員の思いを可視化し経営に活かすため、Wevoxを導入
―御社は、2023年7月にWevoxを導入されました。その経緯や背景を教えてください。
川田:きっかけは、前社長の久木(久木善雅氏。現NRIプロセスイノベーション株式会社 代表取締役社長)の意向です。社員の思いを知って経営に活かしたいという考えからエンゲージメントサーベイの導入意向が2023年春ごろに示され、7月に導入し、8月からサーベイを開始しました。
―久木前社長のお考えの背景にはどのような課題感があったのでしょうか?
川田:当時の課題感としては、業務や組織運営が表面上はうまくいっているように見えていたものの、社員に個別に話を聞いてみると、「実はこんなことがあって」「上司ともう少しうまくできるといいんだけれど」といった声が出てくるという状況にあったことでした。
この表面上見えにくい部分を、エンゲージメントサーベイによって可視化できるのではないかと考えていたところに、野村総合研究所で最初にWevoxを導入した資産運用ソリューション事業本部の本部長から「すごくいいよ」と久木が勧めを受け、じゃあやってみようかという形で活用を始めました。
―どのような点を「いい」と評価されていたのでしょうか?
川田:社員のエンゲージメントの状態を可視化することができますし、かつ、施策を打つとスコアが改善するなど、動きを追うことができる点がいいと紹介を受けました。
「個人特性診断」を活用しながら管理職へのコーチングを実施
―導入後はWevoxをどのように活用されていますか?
田野井:サーベイを3カ月に1回実施し、毎回、私と川田、部課長の1名でその部課長が管掌する組織のスコアを見て気になる点をすり合わせ、必要に応じてメンバーにヒアリングしてもらうといったことをしています。
本来であれば、管理職が各自でサーベイ結果を見て、結果をもとにメンバーに個別にヒアリングをしたり、改善策を考えたりすることが理想ですが、管理職の受け止め方が多様であるため、私や川田と一緒に分析する時間を設けています。スコアをどう見るのか、また、サーベイ結果をどのように受け止め、活用していくのかについての管理職の理解の浸透が今の課題です。
―その課題に対して、何か取り組みをされていますか?
田野井:アトラエのWevoxカスタマーサクセスの針生さんに相談したところ、Wevoxの個人特性診断とストレングスファインダー(現・クリフストレングス)を活用したコーチング支援の提案を受けました。そして2024年7〜9月の3カ月間、部課長4名を対象に月1回、管理職1名に対してカスタマーサクセスの方とシステム担当の方がコーチ役となりコーチングを行っていただきました。

―Inhouse Support Customizeのプランの提案ですね。コーチングの実施にあたり、御社からはどのような要望を出されたのでしょうか?
田野井:元々、当社の管理職は、これまで管理職の経験もあまりない方が多かったので、リーダーとしての立ち回り方やマネジメントの仕方について、示唆頂けるようなものを相談させていただきました。
したがって、まずは「リーダーかくあるべき」といった基本的なところを教えていただきながら、Wevoxを使ってどのようにマネジメントをしていくとうまくいくのかや、Wevoxを活用することで得られる効果などを理解できるようにしていただきたいということをお願いしました。
―実際にコーチングを受けた皆さんの感想はいかがでしたか?
田野井:感想としては「とても良かった」「楽しかった」というものが多かったです。それぞれのメンバーへの接し方やマネジメントについての考えなどを聞いた上でコメントをいただくというやり取りが基本で、個人特性診断を受けた後にはその結果を元に話をされたと聞いていますが、私や川田など会社の上司ではなく、第三者と話し、助言をもらうことがすごく良かったのかなと感じています。
川田:話してくださったことの多くは、普段、田野井や私も話していることです。しかし、当人たちにとっては、第三者から言われると「確かに」と思うところがあったようです。
田野井:あとは、話したことに対してコーチ役のお二人がすごくポジティブに受け止め、「それはこういうことですね」などと整理して返してくださるようなところが非常に心地よく相談できると皆言っていました。
―コーチングを経て、管理職の皆さんの意識や行動に変化は見られますか?
田野井:自分について知ってもらうことや相手を知ることが大事だということが少し腹に落ちたんだろうなと感じる発言をするようになってきました。また、自身の個人特性や特徴を課員に説明し再認識してもらう行動をとったり、逆に課員にも個人特性や特徴を開示してもらい、各自の特徴をみんなで確認したりしている管理職もいました。コーチングがプラスに働き、非常にポジティブな変化が生まれていると感じています。
川田:当社のマネージャー層は、ずっとプレーヤーとして頑張ってきた人間が多いんです。だから、いわゆるマネジメント研修を受けてマネージャーとしてしっかりと育てられてきたわけではなく、優秀なプレーヤーがマネージャーになるという形で昇進しているので、部下に対して自分をどのように、どこまで開示していけばいいかや、どれだけ部下のことを知るべきかといった距離感が実経験として十分にわかっていなかったところがあるのではないかと思っています。
そのあたりを今回サジェストしてもらって、皆、納得感を持つことができ、人によって程度の差はありますが、行動変容まで見られているので非常によかったかなと思っています。
―他にも、コーチングを経て管理職の皆さんに見られる変化や行動はありますか?
川田:コーチングが関係しているかどうかはわかりませんが、ある課では、半期ごとに行っている目標設定と成果確認を、期初と期末だけでなく、毎月面談の機会を設けて見直しと状況確認をするようにしたと聞いています。そうして部下とのコミュニケーションの機会を増やしたということです。
また、別の課では、定期的なコミュニケーションの機会が週次の課の定例会だけだったところを、個々の課員と定期的に話す場を設けたと聞いています。

―社内でWevoxの個人特性診断の結果の共有会もされたと伺いました。
川田:これは、事実を話すと、そもそもマネージャー同士がしっかりと話す場があまりなく、それぞれの部署が忙しすぎて横の繋がりを持てていなかったので、今回の研修をきっかけに飲み会でもやろうよという話が部長から挙がったんです。
そして、せっかく集まるならみんなの個人特性診断の結果を持って行こうと全員分印刷して持参したのが私です。その場で皆で読み合い、酒の肴にして楽しんだという感じですね。
―お互いの結果を見て、皆さんの反応はいかがでしたか?
川田:一言で言うと「やっぱりそうだよね」という感じでした。少なくとも役職的に同じレイヤー以上から見ると、「そうだな」と思える結果で、「この辺りはそのまんまだね」などとひとしきり盛り上がりました。
田野井:「気持ち悪いぐらい当たってるよね」という言い方はしていましたね。自己認識と合っていたようですし、周りから見ても納得感のある結果でした。
川田:マネージャー層としてはすごく良かったということなので、今後、社員全員に個人特性診断を受けてもらおうと思っています。せっかく課長・部長陣が公開したなら全員やってみて、お互いがどういうタイプなのかを認識した上でコミュニケーションを取ろうよといったことをやっていけたらと思っています。
一般社員の理解の浸透と、本音で答えらえる環境づくりが課題
―他に今、取り組まれていることはありますか?
田野井:今はまだありません。ただ、現状、部課長には先ほど申し上げたような変化が出てきていますが、個々のメンバーにおいては、Wevoxの位置づけやサーベイに答える目的などの理解の浸透が不十分なので、理解を促す場を設けていく必要があると思っています。そこはこれから検討していくところです。
また、部課長についてもコーチングを経て意識は高まっていますが、それが維持されるように一緒に確認していくポイントは設けていかなければならないと思っています。
―他にも何か今課題に感じていらっしゃることはありますか?
川田:Wevoxにどれほど本音で回答してくれているのかなという不安はありますね。したがって、本音で答えて大丈夫だと課員が思えるようなチームのコミュニケーションを行っていくことが次の課題だと思っています。リーダーやマネージャーとメンバーがよりコミュニケーションを取っていかなければなりませんし、Wevoxはそのきっかけになるのではないかと思っています。
―ありがとうございます。1年間の活動を振り返って、お2人自身の気づきや学びがあれば教えていただけますか?
川田:サーベイに関する僕の気づきとしては、さきほども少し申し上げましたが、仮にメンバーが本音で答えているとした場合、メンバーがつけているスコアと、我々経営から見えている姿にギャップがある場合があることです。これがとても意外でした。
例えば、スコアはすごくいいのに個別に話すと不満が出てくるとか、逆に、スコアはすごく悪いけれど、個別に話すと「全然大丈夫です」みたいな感じになるとかです。これってどういうことなんだろう?というところを今後は紐解いていかなければならないと思っています。だから、なおさらコミュニケーションが重要だなと思っています。
―エンゲージメントというものの価値や意味については、今どのように感じていらっしゃいますか?
川田:非常に難しい課題だと思っています。例えば、社員同士の横の繋がりや、部署をまたいだコミュニケーションというものは、人によりますが結構あるんです。また、コミュニケーション向上のための有志の委員会が社内でイベントを行ったりもしているので、個人個人はよくコミュニケーションを取っていると思います。
ただ、いざ業務となったときに、チームにおけるエンゲージメントが社員同士の仲の良さや会社における居心地の良さとは異なってくる場面があるのではないかと思っています。だからなおさら、リーダー層やマネジメント層がチームをどのようにコントロールしていくのか、また、チームメンバーとどのようにコミュニケーションを取っていくのかというところが大事かなと思っています。
また、サーベイに関しても、現状の設問は業務と上司部下の関係を意識したものになっているのではないかと思います。それが、少し異なる切り口、例えば、斜めや横からの切り口があると、スコアがまったく異なってくるのではないかという気もしています。だから、例えば「会社は好きだし居心地はいいけれど、上司との関係は十分ではない」といったことも見える仕組みになるとより面白いかなと思いますね。
―田野井さんはいかがでしょうか?
田野井:異動してくるまで、実はこの活動を冷静に見ていた方でした。私自身が正しく理解できていなかったのもあるのですが、「スコアを1上げるにはどうすればいいか?」、「このスコアが下がったのは誰のせいか?」といった出来上がりの数値にしか興味を示さないような発言が聞こえてくることがあったからです。
でも、当社に来て運用する側になり、このツールはコミュニケーションを促したり、組織の状態を理解したりするのに非常にいいものだということがわかってきました。Wevoxは、「組織の健康診断」という言葉を耳にしますが、非常に当てはまる言葉だなと思います。
ただ、先ほど申した通り、スコアが独り歩きしては絶対にいけないので、一つのツールとして非常に良いものだと認識した方がいいのかなと思っています。
―ありがとうございます。では最後に、今後目指していきたい組織の状態や、活動の展望などについてお聞かせいただけますか?
川田:会社としては、働いていて、よりやりがいがあって、より楽しくて、より幸せになれる、ここにいて幸せになれるような会社にしたいなと思っています。
そのためには、エンゲージメントを高めるだけでも、居心地の良さをつくることだけでもダメで、多少の厳しさや事業で稼げていることなど、多方面の要素が必要になってきます。その要素の一つとして、人間関係や、横、縦、斜めのコミュニケーションなどがあると思うので、そこはもちろん良くしていきたいし、良くしていくためのツールや指標としてWevoxを活用していきたいなと思っています。
田野井:川田の言う通りですね。いい組織になればというところに尽きるかなと思います。







