
「チームの目標をみんなで考える」がエンゲージメント向上のはじめの一歩

2002年に入社。最初の10年間は通信機器のソフトウエア開発を担当。その後はリーダーを任されながら、業務系ソフトウエアの開発に従事する。基本的にクライアント先に常駐するスタイルで働いており、ここ数年はIoTやAIを活用した研究開発やネットワーク機器の仮想化などを行うシステム開発に従事している。現在は3部3Gのリーダーを束ねるポジションも兼任。
近年経営指標としても注目を集めるエンゲージメントは、1つの決まった形があるわけではなく、10の組織があれば10通りの形が存在します。このシリーズでは、エンゲージメントサーベイ「Wevox」と共に組織づくりを行う企業のストーリーを通じて、様々なエンゲージメントの形を届けていきます。
今回は、システムインテグレーター・株式会社インフォメーションクリエーティブのエンゲージメントストーリーをご紹介します。同社のエンジニアの多くは客先常駐のスタイルで働いており、特に今回取り上げるチームにおいては「帰属意識をいかに高めるか」が1つの課題となっていました。「Wevox」を導入するにあたり、「エンゲージメントという言葉も知らなかった」というチームリーダーは、どのようにエンゲージメントを高めたのか、話を伺いました。
客先常駐の組織でどうやって一体感を作り、教育を進めていくか?
―後藤さんがチーム作りにおいて感じていた課題とは、どのようなものだったのですか?
我々のチームはお客様先に常駐して開発業務を行いますが、コロナ禍ということもありリモートワークが推進されるようになり、顔を合わせる機会が減ったので、コミュニケーションの取り方に苦労しましたね。そんな中でチームの一体感をどう作り上げていくかが大きな課題であり、苦労していたところです。
それに付随して、教育も1つの課題でした。プロジェクト毎に教育することが多く、指導者がプロジェクト毎に代わることもあるので、長期的な視点で教育することが難しかったです。現場任せになったり、引き継ぎもうまくできなかったりして、長期的な成長につなげられないことが多かったんです。
―Wevoxの導入自体はシステム開発本部全体で進められたんですよね?
そうですね。実は私自身、エンゲージメントという言葉はWevoxをきっかけに知ったのですが、自分の年齢が上がるにつれてリーダー的な業務が増えていたこともあり、組織づくりについては多少、関心を持っていたんです。それこそ、スクラムとかティール組織、あとは心理的安全性といったキーワードで書籍やネットをチェックすることもありました。ただ、具体的な行動には移せていませんでした。

―ということは、Wevoxの導入は、後藤さんにとっていいチャンスだったと。
全社的にやることで「背中を押された」という感じかもしれません。もし私一人で何かやろうとしていたら、周りを巻き込める自信がなかったですね。
―Wevoxを導入するにあたって、後藤さんがチームで最初にしたことは何でしたか?
そんな状態でしたから、まずは雰囲気作りからですね。Wevoxがどんなツールなのかを浸透させながら、「とにかくやってみようよ」と伝えて、ああだこうだ言い合えるような空気作りに努めました。
―スコアについての印象はいかがでしたか?
「思ったより良かったな」という感じでしたね。私のチームのメンバーは、どちらかというとネガティブに物事を捉えたり、受け身になりがちなタイプの人が多いのかも、とちょっと心配していたんです。そんな中で、本部が重点項目として挙げた「支援」「人間関係」「承認」については思った以上に高かったので、ホッとしました。
―高かった要因は?
今の私を含めた5人のメンバーはたまたま同じお客様先で働いているので、お互いにフォローし合える環境があることが影響したのかもしれません。とはいってもリモートワークが中心ですから、コミュニケーションだけは欠かさないようにと、毎日のようにミーティングをしており、それで安心感が多少はあったのかもしれませんね。
―「どこかでつながっている感覚」が維持できていたのかもしれないですね。
そういうことだと分析しています。
動画の感想を話し合いながら「チームの目標」を考えていく
―チームづくりのための施策については、どうやって考えていったのですか?
各リーダーに任されるかたちだったので、まずは自分で何ができるかを考えたり、簡単にですが他のリーダーと意見交換したりしながら進めていきました。
私が最初に考えたのが、コロナ禍のリモートミーティングだとなかなか双方向で議論しにくいなあということでした。話をただ聞いているだけの人が出てきたり、そもそも意見しにくい雰囲気が生まれてしまっていたことに対して、どうにかできないかと思いました。
―具体的に、どんな施策を考えたのでしょうか?
チームなので「一体感」が必要だと考えて、全員で「チームの目標」を考えることにしたんです。具体的に、半年ほどかけてみんなで目標を決めて、次の半年で決めた目標を実践し、振り返ってみるという1年間の計画を立てました。
―先に大きな指針を示したわけですね。
その第一歩として、Wevoxのサイトにあるエンゲージメントに関する参考動画などをみんなで見たんです。まずはWevoxをきっかけに組織づくりへの関心を高める必要があると思ったからで、動画を見た後には感想を含めた意見交換をしました。
そこから少しずつ、「そもそもチームって何?」「チームになる必要性ってあるの?」とか、「どんなチームが良いか(悪いか)」みたいなことを話し合いながら、目標をみんなで具体的にしていきました。
―じっくりと土台を作りながら、議論を重ねていったと。
そうですね。いきなり目標を考えるのはちょっと難しいのではないかと思ったので、少しずつ前に進めながら、チームの中の共通認識を作っていきました。ミーティングは月に1回、30分程度ですから、それほど多くの時間を割いたという感じではありません。
―うまく進んだ秘訣は何だったとお考えですか?
最初に動画を見て会話をしたり、エンゲージメントという言葉についてしっかり共有できたのは大きかったかもしれません。議論する中で「Wevoxの動画にあったあの辺の話はどう?」みたいな会話が自然に出たりしましたから。

―最終的にはどういう目標が出来上がったんですか?
うちのメンバー5人はキャリアもバラバラで、年齢も離れていることから、「お互いのことをもっと知ろう」という目標になりました。ちょうど社内で業務経歴書をメンテする時期と重なったことから、それを活用して各々が自己紹介する場を作ることにしたんです。過去にどういう仕事をやってきたのか、自分の仕事のスタイル、何に重きを置いて仕事を頑張っているのか、といったことを毎月1人が発表して、意見交換します。
―皆さんの中に「お互いをもっと知りたい」という気持ちがあったということですね。
すごくあったみたいです。振り返ってみると、現場作業で困ったときに誰に聞けばいいのかがわからずに作業が止まってしまうといったことが結構あったんですね。「誰に聞けば教えてくれる」が共有できていればもっと働きやすくなる、そんな共通認識が大きかったんだと思います。
気づきとしては、1人で作業するプロジェクトに対して、「気楽でいいや」と思っている人や、逆に「誰もいなくて寂しい」と思っている人がいるのがわかったことです。世代的なギャップや性格といえばそれまでですが、みんなが同じとは限らないんだなというのを改めて認識できたことで、アドバイスの仕方なんかも変わってくるんじゃないかと感じています。
「他チームの取り組み」にもっと関心を持つリーダーを増やしていきたい
―他にはどのような施策に取り組んでいますか?
全社的にWevox実施のタイミングとほぼ同時に「1on1ミーティング」が始まっています。私のチームの場合は、ベテランメンバー2人については私と行って、若手2人についてはベテラン2人でそれぞれ1on1するかたちで進めています。
あとは、部をまたいだ小集団活動をやっていこうという取り組みが本部全体で始まっています。活動内容は特に指定されておらず、「何か部をまたいで集まってできること」を有志を中心に考えていこうという取り組みですね。
―チーム内だけでなく、部を越えた取り組みが進み始めているんですね。
はい。新たな交流が進み、チームの枠を超えた相互理解につながる一歩になっている感じはありますね。
―こうした施策を通じ、チームや本部内で変化を感じることはありますか?
現場がバラバラだったり、リモートワークでなかなか顔を合わせられない中なので実感しづらい部分ではありますが、チームにおいては、月1回の会議の場で意見が出やすくなっていると感じます。今までは聞いているだけだったメンバーも、「そういえば、この前のあの話ってどうなりましたか?」みたいな、ちょっとした「たわいのないこと」でも、話が飛び交うようになりましたね。お互いについて知っていくことで心理的安全性が高まっているのかもしれません。
―Wevoxのスコアについては?
スコアは上がっていますね。始めて半年で全体の平均スコアは10上がって、その後はだいたい70くらいを推移しています。多少下がった場合も、「それは自分のモチベーションの影響です」などと気軽に手を挙げてくれたりして、その話をきっかけに業務のことを相談したりする雰囲気ができています。
―そういうコミュニケーションが生まれているのが面白いですね。
本当にそうですね。今まではチームのことを話す時間がなかったので、それができるようになったうえに、気軽に話せるようになっているのはすごい進歩だと思います。
―他のチームのリーダーたちとの共有はされていますか?
私は3部3Gの各リーダーの代表も担っているため、他の4人のリーダーと私で1on1をやっており、その中で話すことはありますね。話をしていたら、価値観を共有するカードゲーム「wevox values card」をやっているチームがあって、楽しそうだったので来期はうちのチームでも取り入れようと思っています。
そうやって、「他が何をやっているか」が気になるというのは非常に重要なことだと思っていて、それが自分たちのチームを良くする原動力の1つになると思います。
―情報交換が活性化するといいですね。
そうですね。Wevoxを活用して「自分たちのチームを何とかしないといけない」と考えて、「他は何をやっているんだろう?」という発想になって何かしら行動してもらえるとうれしいのですが、もう少し時間が必要なのかな、と。
仕事も受動的にするよりは自主的にできる方がいいと思いますし、私が下手に引っ張るよりは、興味が持てるようにうまく雰囲気を作るようなことをしていきたいですね。そういう意味では、Wevoxの活用は「教育」の一環でもあるかもしれません。
―やっぱり組織づくりにおいては、マネジメント側の意識改革は大事かもしれませんね。
本当にそうだと思います。今はWevoxのスコアがあるのでエンゲージメントや人間関係について話すきっかけが作りやすいです。だから、もっとうまく使って各リーダーに気づきを与えたり、意識を変える活動につなげていけたらいいなと思っていますね。

自社や所属組織について考えるきっかけが常に側にあることで、帰属意識は高められる
―今も少しお話に出ましたが、マネジメントにとってWevoxがあることは、どんなメリットがあると思われますか?
Wevox自体はあくまで手段なので、マネジメント自身の考え方そのものはあんまり変わらないかもしれません。ただ、数値化されて、同じ数値を皆で共有できることにより、行動を変えていく起点にはしていけると思います。数値に対する受け止め方はそれぞれ違うとしても、上がったとしたら「良いところは伸ばそう」、下がったとしても「改善につなげよう」と次を考えられます。
―可視化されることのメリットですね。
はい。何より会話がしやすくなりますよね。「最近雰囲気悪くない?」みたいな印象で話しても、感じ方は人それぞれなので、「何を言っているんだろう」で終わってしまう場合もあると思います(笑)。でも数値で見られれば、とりあえず理解はしてもらえます。その違いは大きいですね。
―後藤さんのチームはメンバーそれぞれの職場がバラバラになりやすいですが、そういうチームにとってのメリットはどんなところにありそうですか?
どうしても外に出て働いていると帰属意識は下がるんです。「インフォメーションクリエーティブの社員」というよりは、どうしても「現場の社員」という意識が強くなってしまうのは仕方がありません。だからこそ、「インフォメーションクリエーティブとしての取り組み」みたいなものが常に近くにあるだけで、帰属意識は高まると思います。Wevoxの場合はエンゲージメントがスコアで見えるという点で話のネタにもしやすいので、うまく会話を生んでいければ帰属意識を向上させる効果に期待できると感じています。
―1年間の取り組みを振り返り、改めてチームマネジメントの面白さや難しさについては、どんな風に感じていますか?
自分がやってみようと思って取り組んだことが、自ずとWevoxのスコアという結果で出るのは、良くも悪くも面白いですよね。ただ、その数値1つで一喜一憂しすぎないようにとは思っています。
難しさは、自分がいいと思ってやってみたことがスコアに反映されるとは限らないことです。正解がないからこそ、その時は悩みますよね(笑)。あとは、いろんな人がいればWevox自体に否定的な考えを持つ人も出てくると思うので、そういう人にいかに取り組んでもらうかは考えていかないといけません。やるからには、チーム全員で取り組みたいので、そこはずっと課題になってくるとは思います。
―後藤さんの中で、メンバーや周囲との向き合い方は変わっていますか?
間違いなく変わりましたね。今後は自分のチームだけでなく、今後リーダーになるような人にも組織づくりに関心を持ってもらえる環境を作り、うまく全社的にこの活動を広げていけるといいなあと考えています。







