野村総合研究所のエンゲージメント活動を本音でふりかえり〜全社/事業本部/グループ それぞれの視点でのYWT〜

野村総合研究所のエンゲージメント活動を本音でふりかえり〜全社/事業本部/グループ それぞれの視点でのYWT〜

株式会社野村総合研究所
大塚 哲也 氏
大塚 哲也 氏
株式会社野村総合研究所
人材開発部

人材開発部で全社を対象にしたエンゲージメントサーベイと組織開発の浸透をミッションに活動。昨年度までは、資産運用ソリューション事業本部内の業務管理室という人事的なポジションで、人材育成や組織開発を担当。その経験を活かして、全社を対象とした「働きがい共創」活動の推進を担当。

田中 浩一朗 氏
田中 浩一朗 氏
株式会社野村総合研究所
資産運用ソリューション事業本部 業務管理室

資産運用ソリューション事業本部の業務管理室で部署範囲での人材育成、組織開発を担当。自称「大塚チルドレン」で、大塚さんが実施する研修などを通じて、組織開発に興味を抱く。大塚さんの異動に伴い、後任として資産運用ソリューション事業本部の組織開発を任される。

佐々木 哲 氏
佐々木 哲 氏
NRIデジタル株式会社

2021年度、グループ内のNRIデジタルに出向。DXによるビジネスの変革をミッションに、NRIグループをリードするべく活動している。チームスポーツ経験が豊富で、入社以来組織開発には力を入れて継続的に取り組んでいる。大塚さん、田中さんとは社内の組織開発コミュニティで出会い、交友を深めている。

全社を挙げて、エンゲージメント向上の取り組みを行っている株式会社野村総合研究所・NRIグループ。同社では、2021年度から「働きがい共創」をテーマに掲げ、社内コミュニティの形成、組織開発の各種研修やオンラインスクールの参加、全社でのエンゲージメントサーベイ実施など精力的に活動を行っています。こうしたエンゲージメント活動の成果や課題感などについて、全社、事業本部、グループそれぞれの視点で活動に取り組む3人が集まり、ふりかえを行っていただきました。「YWT(やったこと、わかったこと、次やること」のフレームを用い、本音が飛び交ったふりかえり対話の中から、他社の参考にもなる多くの組織づくりのヒントが出てきました。

全社視点でやったこと:働きがい共創を掲げ、全社サーベイも開始

―今日は、NRIのエンゲージメント活動についてふりかえっていただこうということでお時間をいただきました。ふりかえりの中で出てくる話から、他の人の参考にもなる組織開発のヒントが見つかるかなと思っています。ということで、NRIの中でエンゲージメント向上、組織開発に積極的に取り組む3名に集まっていただきました。

大塚:お願いします。私が全社視点、田中さんが部門視点、そして佐々木さんが30人ほどのグループ視点と、それぞれの視点の違いなども参考になると思っています。

―では、さっそくはじめていきましょう。今回のふりかえりでは、「YWT」というフレームを使っていきたいと思います。事前にみなさんにYWTを考えていただきましたので、1人ずつ話していただき、他の2人からの意見を話してもらうという流れになります。では、最初は大塚さんから、全社視点での取り組みについて話していただきましょう。

大塚:はい、ではY(やったこと)から話していきますね。こちらがこの1年で行ったことになります。

前提として、個人的に大きく変わったのは、私が事業本部単位での組織開発から、全社というより広い範囲での組織開発を担当するようになったことです。単純にエンゲージメントサーベイに関わる人数だけでも約400人規模から約7,000人規模に変わっています。2021年4月に異動して以降、ここ10カ月ほど(2022年2月取材時点)の活動についてまとめています。

1.全社でのエンゲージメントサーベイの実施
NRIでは、2021年6月にWevoxを使った全社でのエンゲージメントサーベイを実施しました。本社単体とサーベイ対象となるグループ会社を含め、7,000人規模のサーベイになります。サーベイを実施するにあたって、活動の周知、サポート体制の構築など様々な施策を行いました。

2.働きがい共創サイトの構築
全社サーベイに合わせて行った施策のひとつとして、情報発信を目的に社内向けの専用サイトを立ち上げました。Wevox関連の参考資料、サーベイ後に取り組んで欲しいこと、研修の情報などを掲載し、各事業本部の組織開発の支援を目的としたサイトです。

3.エンゲージメント向上の取り組み好事例の発信
各組織のエンゲージメント活動などの取り組み好事例を記事にして、積極的に発信も行っています。今は月2回程度の更新で、続々と好事例が集まっておりストックもたまっています。実は各組織で創意工夫して、働きがい向上に関する取り組みをしているんだということが見えてきています。

4.働きがい共創コミュニティの立ち上げ&運営
組織開発や自分の組織をより良くするということに高い意識を持ち、取り組みをする人たちが集まる、事業本部を横断した社内コミュニティを立ち上げました。事業本部や役職関係なく、いろいろな人が集まっています。今日も参加している佐々木さんは、このコミュニティを通じて親交を深めることになりましたし、いつも人を誘ったり、コミュニケーションツール上で色々な情報を発信したり盛り上げてくれる応援団長的な存在です(笑)。

その他、半年に1回各組織別にヒアリングを行い私たちの働きがい共創活動の紹介や、悩み事に対して相談に乗ったり、サーベイを活用して組織開発をするための研修の企画、提供も行っています。

それから、Wevoxが運営するオンラインアカデミー「Engagement Run!」に参加し、他企業で同じ推進活動をしている方々との交流もこの数カ月で深めることができています。

全社視点でわかったこと:各部の動きには温度差と時間差がある

―全社対象ということで、1年に満たない期間ですが様々な施策を実行したのですね。では、このままW(わかったこと)もお話いただきましょうか。

大塚:こちらがW(わかったこと)です。今はいろいろな課題感が見えてきたところで、そうした内容が多くなっています。

1.全社範囲での組織開発研修のハードルの高さ
以前所属していた資産運用ソリューション事業本部では、研修への参加促進にそこまで課題感はなく手応えを感じていたのですが、全社という範囲になると途端にハードルの高さを感じるようになりました。単純に人数が増えたこともありますが、浸透にはやはり時間がかかるのだな、というのを実感しています。

強制にはしておらず組織単位での手挙げ制での参加なのですが、上長の確認が必要になってくるので、どう承認を得るかがネックになっているようです。研修の金額によっては、上長への説明の負担も大きくなってしまい、ハードルを上げる要因になっていることが分かってきました。

2.全社サーベイ後の各組織の動きには時差がある
サーベイ後の動き出しの早さにも、それぞれの組織で時差があるというのも実感した部分です。サーベイ実施から半年ほどして動き出した事業本部もありましたし、やはりそれぞれの背景とか事情は同じ会社内でも全く別物なのだと痛感しました。

プロジェクトの進捗状況もあるでしょうし、何を優先しているかもそれぞれ違います。ここは、全社だからといって一斉に「ヨーイドン!」できるものではないのだ、と改めて学んだ部分ですね。

3.コミュニティ運営は難しい(温度差拡大など)。が、少しずつ手応えを感じてくれた
同じように、社内コミュニティの運営に関しても温度差があるな、というのを感じています。すごく熱量が高く積極的に発言してくれる人、誰かの発言にスタンプなどで反応するくらいの人、招待はしたものの特に何もしない人…とそれぞれですね。チャットツールを使っているのですが、チャットでのコミュニケーションに慣れていない人も多いと感じます。

私自身、全社横断かつ草の根的なコミュニティ運営は初めてなので、試行錯誤の最中ではあります。ただ、佐々木さんのように熱量高く一緒に盛り上げてくれる人も出てきましたし、情報や知見などもこうしたコミュニティを通じて、社内に広がっていくといいのかなと。まだまだ育てていきたいところですね。

コミュニティにも「2:6:2の法則」が当てはまる?

―ありがとうございます。では、このあたりで田中さん、佐々木さんからも意見を伺いましょうか。

田中:コミュニティに関しては、私も入っているのですが、正直顔が分からない人とのコミュニケーションが苦手で…。社内といえども、お会いしたことがない人も多く、そういう場で積極的なコミュニケーションが取りづらい…というのはありますね。オンライン会議でもカメラオフになっていると、すごく話しづらかったりもしますし。このあたりは、コミュニティメンバーの人となりを知れるようなものがあるといいのかもしれませんね。

大塚:なるほど、参考になります。佐々木さんは、コミュニティに関してはかなり能動的に参加していただいていますが、どうですか?

佐々木:「2:6:2の法則」※はこうしたコミュニティでもあてはまるのかな、と思っています。ただ、参加具合に差はあれど、働きがいの共創には一定の意欲を持って取り組んでいるからこそコミュニティにいるのだと思うので、チャットでの情報共有、意見交換などを見ているだけでも価値はあるのかな、と思います。私自身、あまり突っ走りすぎてもいけないのかな?と思いながらも、盛り上げ役も必要だと思って投稿などは積極的にしていますね。

※「2:6:2の法則」…組織において、パフォーマンスが高い人が2割、中程度の人が6割、低い人が2割という割合で存在する傾向にあると示す経験則。

大塚:Engagement Run!で学んだこととかを共有してくれていますよね。

佐々木:そうですね。学んで、活かせそうなところは、この働きがい共創コミュニティでも積極的に共有しようと思っています。

大塚:佐々木さんのように、盛り上げてくれる存在がいるだけでもありがたいですね。コミュニティに関しては交流の方法も含めて、まだまだいろいろと試行錯誤していきたいなと思います。

事業本部視点でのやったこと:閲覧権限の変更や各種研修への参加促進

―ありがとうございます。では、T(次にやること)に関しては、田中さん、佐々木さんのYWを聞いた後に、それぞれの視点を踏まえたうえで、話してもらおうと思います。ということで、続いて田中さんのY(やったこと)にいきましょう。

田中:はい。私は350人程度の事業本部単位ということで、全社から1つブレイクダウンした視点としてお話できればと思います。こちらがY(やったこと)です。私が業務管理室に異動(2021年4月)して以降の10カ月程度の期間の話です。

1.Engagement Run!への参加
業務管理室という人材開発をミッションとしたグループへの異動にあたり、改めて学び直すために、Engagement Run!に参加をしました。今はだいたい月に2回ほど参加しています。事業本部内で組織開発について説明をする際に、私自身が理解をしていないとできませんので、まずはしっかり学んでいこうという想いで参加しています。

2.本部員に対するWevox閲覧権限(自身と所属グループまで)の付与(2021年7月〜)
次に、大きかったのがこの取り組みですね。事業本部でのサーベイは2020年6月から実施していたのですが、本部員がサーベイ後にスコアを閲覧できない状態ではありました。つまり、サーベイに答えるだけ、という状態だったのです。そこをどうにかできないかと、本部長とも協議をして、自身と所属グループまでは閲覧できるように変更をしました。

3.人材開発部の各種プログラムの実施
・組織開発支援プログラム参加(5つのグループのグループマネージャー(以下、GM)・推進者/2021年8月~)
大塚さんが所属する人材開発部が主催している組織開発支援プログラムに、私たちの事業本部の中から5つのグループのGM、推進者に参加してもらいました。
・エンゲージメント理解の動画を本部員に視聴依頼(約75%の265名が視聴/2021年9-10月)
人材開発部が作成した、エンゲージメント理解の動画を部員に見てもらうように働きかけをしました。エンゲージメントというのは、GMのみならず、全員が理解し、取り組みへの意識を高めることも重要だと思い、本部員対象の取り組みとしました。

4.GM向けのコンサルタントとの定期ミーティング(4名のGM/2021年11月から3回/人)
GM向けに外部のコンサルタントとの相談ミーティングを開催しました。「相談できますよ」という心理的ハードルを下げる建て付けにして、低いスコアのGMなどに声かけしました。

5.ダイヤの夕べで組織活性化好事例紹介(4名のGM・リーダー/2022年1月)
事業本部内で組織開発をテーマにした勉強会を開催し、スコアが高いグループのGMやリーダーに取り組みや考え方を発表してもらいました。

大塚:このダイヤの夕べは、ものすごくよかったですよ。先程話していた、社内コミュニティで共有もしました。

田中:反響も大きかったですね。すごく参考になったという話もいただきましたし、今後も継続していきたいと考えています。

事業本部視点でのわかったこと:他者に説明する際のロジックの重要性

―2、3などは、大塚さんが話していた全社での取り組みが、事業本部での取り組みにも影響を与えていて、つながりが非常によく分かります。それではW(わかったこと)をお願いします。

田中:こちらが、私のW(わかったこと)になります。

1.自分自身が知見を深め他者に伝えられることが大事
これは、Engagement Run!に参加して特に感じたことでもあるのですが、やはり誰かに説明をするときに、一定の知識が必要だと分かってきました。筋道を立てて説明するときに、理論であったり、考え方を深く理解していないと、うまく伝わらないな…と感じています。

2.GMに寄り添う姿勢を示すことが大事
Y(やったこと)の2で話した、スコアが低いグループのGM向けに、相談ミーティングの参加を促す際に、「点数が低いから参加して」と伝えるのではなく、「外部の組織開発コンサルタントなど含め気軽に相談できる場も用意しますので、もし良ければ活用しませんか」という働きかけを行うなど、現場の状況も踏まえながらGMに寄り添う姿勢を示すことを意識しました。GM自身にもメリットがある、困りごとを解消できるということを感じてもらえ、一緒に活動できるようになってきたと感じています。

3.本部員対象の取り組みによる全体の底上げが大事
Y(やったこと)の2のエンゲージメント理解を深める動画を見てもらった話ですね。GMだけが動画を見ている状態だと活動も厳しいですし、部員全員への視聴推進という形で全体の底上げを行うのも大事だなと思っています。現在約75%の人に視聴してもらっており、全体のエンゲージメント理解は進んだという手応えは感じています。

それから、これから理解を深めようという人にとっては、資料よりも動画のほうが「見てみようかな」という気持ちは起きやすいのかなと思います。大塚さんのグループが作った動画がなかったらできない動きだったので、とても助かりました。

4.好事例の共有は、発表者本人も意欲が高まる
Wの5で話した社内勉強会で、発表を行った本人たちもいっそう意欲が高まったという意見をいただきました。こうして、取り組みを紹介する場を提供することは、周囲への知見共有はもちろんですが、本人たちのためにもなるのだな、ということが分かりましたね。

5.GMの時間確保の難しさ。本部長とGMのそれぞれの視点の違い
ここは、まさに今葛藤しているところです。GMは業務が多岐に渡り非常に多忙な役職なので、なかなか組織開発に時間を割くのが難しい、というのが現実的な課題としてあります。なんとかお願いしようにも、先程話したように筋道立てて分かりやすく伝えられずに歯がゆい思いをする…というのが多いケースですね。

私自身としては、もう少し本部長から、働きかけもしていただきたいのですが、「自主的に動いてほしいから」という意向もあって、直接的な働きかけは少なくなっています。GMからの話を聞くと「もっとトップダウンで言ってもらったほうが、時間も取りやすい」という意見も出ていて、その間に立ちながら、うーん…と悩むことも多いですね。私個人としては、本部長の方からの働きかけも大事だと思っており、アプローチは続けているという形です。

視点の違いをどう乗り越えるか? 寄り添う気持ちが大切に。

―最後の話は、多くの企業でも起こりうる課題感ですね。お二人は、田中さんのYとWを聞いていかがでしょうか?

大塚:そうですね、最後の視点の違いは確かに難しいところはあるかな、と思います。私個人としては上から強制力を働かせるのではなく、GMたちが自らの意志で、動いてくれるような組織にしていきたいとは考えています。とはいえ、田中くんのような課題もありそれがネックでなかなか組織全体に広がらないということもあります。そういう場合は、管理職の社員が必須で受講する必要のある役職別研修の中に「エンゲージメント」や「組織開発」のコンテンツを入れて、仕組みの中で対応するというのも有効かなと思っています。

田中:そうですね。自主性はもちろん大事なのですが、なかなか動いてくれない人もいるので、そういう人たちにどうしてもらうか…は悩ましいところです。

大塚:分かります。そこは、田中くんも言っているように、GMに寄り添う姿勢というのがすごく大事になってくるのかな、と思いますね。GMのような中間管理職は特に「板挟み」になりやすい立場なんですよね。本部長からは、エンゲージメント向上の取り組みをしてほしいと言われている、でも、GM側からすれば現場には現場の事情があるから、それをそのままメンバーに伝えてもなかなか上手く進められない、という状況もあると思うんです。

そうした状況は調整が必要です。調整がうまくいくには、GMや現場のメンバーから「エンゲージメントを高めたい、組織開発の取り組みをしたい」という意志をいかに引き出すかが鍵ですね。ですので、現場の人たちが参加したいと魅力を感じてもらえるような企画であったり、施策を我々のような組織開発を担う人間が考えていくことは意識しています。

田中:なるほど。どうやったら興味を持ってもらえるか…ですね。

佐々木:GMやメンバーへの説明で、筋道立てて分かりやすく伝えるのが大事というのはすごく共感しました。どう、相手に合わせて説明するか、というのは私も日々考えていることです。Engagement Run!での学びも、そのまま伝えるだけだと場合によっては、「自己流の押し付け」みたいにもなってしまうんですよね。

田中:そうなんですよね…。

佐々木:受け手のことも考えて、説明もしていかないといけないですよね。そうした伝え方の工夫も含めて、Engagement Run!で学んでいかなければ、と意識しています。興味を持ってもらえないと「忙しいから後で…」と言われて、壁を作られてしまいますからね。

田中:壁は感じますね。拒否感といいますか。たぶん、「言っていることが分からない」から受け入れられないのではなくて、「習慣にない得体の知れないものへの怖さ」があるように思うんです。伝えようとしている内容はそこまで難しいわけではないですから。そこはやっぱり、寄り添い方であったり、興味を持ってもらえるような伝え方、アプローチが大切になってくるということですよね。課題点がよりクリアになった気がします。

グループ視点のやったこと:小さいカイゼン、褒める文化などを習慣化

―では、佐々木さんのYWにいきましょう。

佐々木:私の場合3~4年間という少し長いスパンでのYWTをしたいと思っています。先に背景を説明しますね。

私はNRIデジタルというグループ会社に所属しているのですが、この会社は2016年8月に設立された比較的新しい会社です。企業のDX支援をミッションに掲げており、NRIの中でもチャレンジングな仕事が多い会社となっています。私のグループは、30人程度の人員で、4年ほど企業のDXのプロジェクトに携わっていまして、今日はそのグループでの組織開発の取り組みについて話していきたいと思います。

大塚:佐々木さんはWevoxが導入されたり、エンゲージメント活動が始まる前から、現場で組織開発に力を入れて取り組んでいたんですよね。今でこそ、コミュニティで交流も増えましたが、そうした方が同じ社内にいるとは知らず、驚きもしました。

佐々木:確か、Wevoxが導入されると聞いて、情報を集めようと資料請求をしたのをきっかけに、Wevoxのカスタマーサクセスの方に大塚さんを紹介いただいたんですよね。社内なんですけど、Wevoxの方が繋げてくれるということがあったんです(笑)。

―そんなことがあったんですね。

佐々木:新しいプロジェクトが立ち上がったことをきっかけに、いろいろな事業本部からメンバーを寄せ集めてできたのが今のグループです。小規模かつ専門性の高い複数のチームで構成されており、一体感を生み出しにくいという課題がありました。そこが私が自ら率先して組織開発に取り組んでいる背景になります。

―NRIの中でも挑戦的なプロジェクトに携わる、新しいグループということですね。では、Y(やったこと)からお願いします。

佐々木:主な施策として、3つ挙げました。

1.組織のカイゼン活動の促進
これは小さなことでもいいので、グループに対してカイゼンしたことを共有したり、アイデアを提案していこうという活動の推進です。小さいことで言うと、「あいさつをしっかりしよう」といったレベルの話もあります。まずは、そうした小さなことから、全員が成功体験を得ることで、チームとしてのまとまりを生み出していこうと取り組みました。

2.褒める・感謝する文化の醸成
NRIの社風として、人を褒めたり、感謝を伝えたりというコミュニケーションが苦手なところがあります。どちらかというと、プレッシャーを与えるコミュニケーションが多い印象です。そうした雰囲気を変えるために、「RECOG」というアプリを活用して、サンクスレターを送り合う活動を進めていきました。次第に、仲間を大切にして、認め合う雰囲気が生まれていったかなと感じています。

3.ミニファミリー企画
最近はじめた企画です。コロナ禍でテレワークが増えていったことで、コミュニケーションに課題を感じるようになりました。そこで、本業のチームとは別で、ミニファミリーというグループを作り、交流を図っていこうという企画になります。

チャットツールで日々のコミュニケーションを行ったり、時々お題を出してグループワークでアウトプットするといった取り組みを行っています。本業以外の人との雑談や交流をする場がなかなかなかったので、この企画によって、グループ全体でのメンバー間の交流は活性化されたかと思います。

これら3つは、今は私たちのグループでは習慣化している取り組みになります。こうしたことを続けていく中で、2021年9月からグループでのWevoxサーベイを開始。個人的には、先ほどの社内コミュニティに参加したり、Engagement Run!に参加したりといった動きもはじめています。

グループ視点のわかったこと:成功体験の積み重ねを感じつつ、苦悩も。

―どんどん現場に近づくにつれ、視点の違いや取り組みの違いなども浮き彫りになってきましたね。サンクスレターなどは、佐々木さんのように現場リーダーが率先すると習慣化しやすいんだろうな、と感じました。では、W(わかったこと)をお願いします。

1.ゲーム感覚で楽しんでやってみる、小さな成功体験の積み重ねが大事
これは、自分の頭の中のイメージとして持っていたことなんですが、いざ実践してみるとやっぱり大事なんだな、と体感した部分です。小さいことでもいいので共有したり、認めたり、アプリを使ってゲーム感覚で褒め合ったり…。こういったことは、参加ハードルを下げて、チームの変化をメンバー自身が体感しやすくするという意味で、大事なんだと実感しました。

2.すぐに結果がでなくて当たり前。一喜一憂しすぎず、気楽にやる
チームの変化と言っても、すぐに分かりやすい結果が出るわけではありません。一喜一憂していると持ちませんから、気楽にやるのも大事なのかなと感じています。あまり気負いすぎて、大きな施策を打とうとしてもついてきてくれないので、小さいことからコツコツやっていくことが大事なのかと思いますね。

3.無関心層、無言の抵抗層の巻き込みの難しさ。文句も意見も言ってもらえないので、なかなか前進できない苦悩。
ここは課題感として感じているところです。今日も度々話にはあがってきましたが、やはり全員に理解をしてもらえるわけでもないですし、同じ温度感で取り組んでいるわけでもありません。こういう人たちに対するアプローチというのは、日々考え続けているところです。とはいえメンバー各々の事情もあるので、できる人から少しずつチームみんなで活動の輪を広げています。

4.Engagement Run!での学びを通じて、自分の考えを再確認できた
Engagement Run!で様々な理論を体系的に学べていて、多くの気付きを得ています。自分自身、独学で勉強してきたことと通じる部分も多く、間違っていなかったんだな、というのも再認識できていますね。自信にもつながっていると思います。あとは、そうした学びをどうメンバーに伝えて、実践と結びつけていくかですが、ここは試行錯誤をしているところです。

組織づくりに興味のあるメンバーばかりが集まるなんて絶対にありえない

―率直な課題もありましたが、他社も含め多くのリーダーが感じていることではないかと思います。お二人はいかがでしたか?

田中:そうですね、無言の抵抗はすごく感じますね。「動画を見てください」と言ってもなかなか見てくれないし、反応もしてくれないので、なぜ見てくれないのかもわからない。どうしたらいいんだろうなーというのはありましたが、メンバー各々の置かれている状況や考えを理解しようと歩みよることで少しずつ変化がでて活動してくれている感じはします。

大塚:佐々木さんのグループはエンゲージメントスコアも高いんですね。こうやって、愚直に取り組んできた方が、サーベイツールをきっかけに、日の目を見るようになったのはすごくいいことだと思うんですよね。

例えば組織開発は全くせず、ただひたすら目の前の仕事だけに打ち込んでいるだけのチームって、スコアも低いと思うんです。そういうチームが、本当の意味で働きがいを感じているのかというと、そうではないんじゃないかと思います。

Wevoxだけでなく、360度評価なども織り交ぜながら、佐々木さんのようなグループが結果的には継続的なパフォーマンスを生んでいく、というのをじわじわ浸透させていきたいなと思っています。佐々木さんのような方の好事例をもっと発信したいなと思いました。

佐々木:本当に、小さいことの積み重ねではありますね。

大塚:そうですよね。スコアがいいのも、4年間コツコツと積み重ねてきた結果だと思います。そうしたプロセスも含めて、発信していきたいなと思いますね。

佐々木:周りからは、「もともとそういう素質のあるメンバーが集まっているんでしょ」なんて言われますが、全く違います。いやいや、がんばってコツコツやってきたからです! というのは声を大にして言いたいですね。

大塚:それは、ぜひ支援サイトでも記事にしましょうよ。すごく大事なポイントですよ。私も十数年の経験上、組織開発やエンゲージメントに理解のある人だけが集まるチーム構成は絶対にありえないです。そもそも、そういう人たちは母数が少ないですからね。佐々木さんのような方が1人でもいてくれると万々歳です。

私は幸い、組織開発に理解のある方が上司になり、周囲にも私の取り組みの重要性を話してくれたので、すごくうれしかったのを覚えています。それまでは、本当に孤独といいますか、「暇なの?」なんてことも言われましたからね(笑)。ちゃんと仕事はしたうえで、取り組んでいたんですけどね。

佐々木:本当、そうですね。20が仕事で、80が組織開発だといろいろ言われてしまうかもしれませんが、150の仕事をして、50は組織開発、ぐらいの熱量でやっていますから。

田中:「暇なの?」は僕も言われました(笑)。「キャリアどうするの?」なんてことも言われたりしますし。

大塚:うん、キャリアの否定は僕もありました。それぐらい苦労をして、コツコツ取り組みを重ねて、ようやくいいチームができるんだというのは知ってほしいですね。

ただ、今は昔と違って全社的に組織開発を推進していこうという流れが起きています。「暇なの?」なんてことを思われないような下地づくりも進めていますから、ぜひ思いのある人は行動を起こしてほしいですね。

全社視点の次やること:それぞれの視点によって取り組み方を変えていく

―コツコツ、苦悩しながらチームというものができていく、というのはこの記事でもしっかり伝えたいと思います。話が盛り上がってきたところで、まとめ的にT(次やること)を話していただきましょう。大塚さんからお願いします。

大塚:はい、T(次やること)として書き出したのがこちらです。

今日話してきた、全社サーベイやコミュニティ、さまざまな支援施策などは継続して行っていきます。「働きがい共創」は3ヵ年計画としても考えているので、長期的な視点も持ちながら取り組みを続けていきたいです。

それから、個人的にはEngagement Run!で他社の同じような立場の人とも繋がりが生まれてきているので、何かコラボができるといいんじゃないかな、とも考えているんです。これからは、Engagement Run!メンバーとの共創も生み出していきたいですね。

―田中さん、佐々木さんの話を聞いて、得るものはありましたか?

大塚:それぞれの規模や視点によって、取り組み方は変わってくるんだな、というのは改めて感じました。事業本部単位、グループ単位それぞれの視点に合わせた底上げのヒントがありそうだなと感じています。

組織開発は、私たち人材開発部だけががんばって進むものではありません。田中さんのように事業本部単位で推進してくれる人、佐々木さんのようにグループ単位で推進してくれる人、それぞれがいてくれるおかげで進むものでもあります。

田中さん、佐々木さんの話を聞いて、まずできることとして、2人の取り組みや思いをもっと周知したいとも思いました。社内でのリーダークラスの繋がりをもっと増やして、同じような課題を抱える人たちとの情報交換や、相談しあう関係性づくりをしていくのも有効なのかな、と思います。

佐々木:私も、今日大塚さんの話を聞いて、もっとサポートしたいなという気も起きました。現場からの底上げも絶対に必要ですから。せっかく全社的に組織開発への機運も高まっているときですから、私ができる限りのフォローはしたいと思っています。そもそも、外野にとやかく言われてはじめるものではなく、現場が主体的に動き出して、そこに対して大塚さんのような人たちの支援が入るというのが理想ですからね。

事業本部視点の次やること:トップダウンとボトムアップのバランスをどう取るか?

―田中さんのT(次やること)を伺いましょう。

田中:はい、今考えていることがこちらです。

目先の目標としては、Wevoxの回答率を上げたいなと思っています。ですので、回答していない人へのヒアリングは行っていきたいなと。回答できていない人の状況や思いをくみ取り、個々人の状況に応じた丁寧なアプローチをしていきたいと考えています。

あとは、Wevoxの見方なども少しずつレクチャーしていけるといいですし、好評だった勉強会のダイヤの夕べも半年に1回ぐらいのペースで継続開催をしていくつもりです。外部コンサルタントとの相談会も継続していきます。

その他には、GMへのEngagement Run!の参加を依頼したり、アトラエ社が発売した「タイワカード」を購入して1on1の質を向上しようとしたりと、いずれも経費を出してもらう形で、事業本部全体の組織開発を活性化していきたいので、働きかけを行おうと考えています。

―行ってきた活動の手応えは感じているようですね。

田中:そうですね、この数カ月での取り組みは無駄ではなかったかと思います。一方で、理解はより広めていきたいですね。特に、私の事業本部は年齢層が高く、新しいものを嫌がる傾向にあります。まして、若い私のような人から、エンゲージメントやサーベイについて言われると耳を塞ぎたくなってしまうのかな、と。

でも、説明してほしいという声もあるので、Engagement Run!で学んだことなどを活かしながらしっかり筋道を立てて、納得してもらえるようなコミュニケーションは続けていきたいですね。

佐々木:そのあたりの方法も、情報交換できるといいかもしれないですね。

グループ視点の次やること:失敗を恐れずに、組織開発に取り組んでいく

―では、最後に佐々木さんお願いします。

佐々木:今考えていることを書き出してみました。

社内でのコミュニティ活動には引き続き力を入れていきたいと思っています。仲間が増えていくのは、僕自身うれしいですし、大塚さんや田中さんのような立場の人が活動しやすくなるような底上げにも繋がるのかな、と思います。そのために、持っている知見や経験値は共有したいですし、逆に教えてもらったアイデアはどんどん取り込んでいきたいです。

普段は忙しいグループですが、一緒にチャレンジしてくれるメンバーは多いので今後も継続して活動していきます。

また、Engagement Run!を通じて、他社の優秀なみなさんとの切磋琢磨もできています。自分にとってもいい刺激なので、こちらも続けていきたいですね。

あとは、組織開発の取り組みについても失敗を恐れずに、チャレンジし続けていきたいと考えています。もともと、NRIデジタルという会社も、失敗を恐れずにチャレンジしていこうという思いも込めて新しく設立されました。そうした、会社が持つ思いを、グループのみんなで率先して実践していくことで、NRI本社とはまた違ったテイストの、最強の組織を作っていけると考えています。

―会社としての思いと、個人の思いが重なっていて、すばらしいですね。

佐々木:NRIという会社はSIerという業種上、「失敗をしない」ことを重要視する面が強いです。そのために、絶対に失敗しない計画を立て、何重にもチェックされるし、仕事へのプレッシャーも強い。その中でも、成果を出し続けてきたのが今のNRIの強みでもあります。ただ、NRIデジタルではいい意味で逆をいって、「まずチャレンジをする。失敗をしたら、次に生かしてやり直せばいい」というマインドでやっていきたいと考えているんです。それは、仕事に対してもそうですし、組織開発に対してもそうです。

そうしたチャレンジを自ら行い続けて、失敗を恐れない、働きがいのある組織をつくっていきたいですね。

大塚:失敗をしてはいけない、という社風は確かにあります。もちろんそれは大事なことですが、あまり過剰になりすぎると保守的になりますし、新しい取り組みが生まれづらくなります。そこは、NRIの組織としての課題ですし、田中くんのような悩みが生まれる要因でもあると思います。

NRIの強みは活かしつつも、人材開発部としてこれからどのようにカルチャーを作っていくかは、田中くんや佐々木さんの話を聞いて改めて考えていきたいと思いました。

田中:大塚さんや佐々木さんのような人がいてくれたおかげで、組織開発の取り組みがしやすくなっているのは間違いないので、若い私たちもがんばっていきたいですね。

佐々木:同志が集まるコミュニティもありますし、働きがい共創というテーマのもとで、またいろいろ交流を深めていきたいですね。

―苦悩も含めて、非常に参考になる話がたくさんありました。きっと他社の方たちの励みやヒントにもなるかと思います。今日はお時間いただきありがとうございました!

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