若手社員中心のチームで、エンゲージメントと向き合いチームの総合力を上げるためのマネジメントの工夫とは?

若手社員中心のチームで、エンゲージメントと向き合いチームの総合力を上げるためのマネジメントの工夫とは?

GMOインターネットグループ株式会社
村上 悠氏
村上 悠氏
GMOインターネットグループ株式会社
アプリケーション開発本部 アクセス開発部 とくとくBBプロダクトチーム マネージャー

2018年、GMOインターネットグループの北九州オフィス設立と同時に、約11年間勤務したSIerから転職して中途入社。現部署にて主にフロントエンドの開発に従事。2021年よりマネージャーを務め、現在は10名強のメンバーのマネジメントを行っている。

GMOインターネットグループ株式会社の村上さんは、毎年1〜2名の新入社員が配属されるチームのマネージャーとして十数名のメンバーと向き合い、Wevoxを活用しながらチームマネジメントに取り組まれています。その背景にある考えやマネジメント方針、具体的な取り組みについて伺いました。
※取材時(2024年4月)の部署・役職になります。

縦と横のコミュニケーションで個人のスキルとチームの総合力を強化

―まずは、チームの担当業務について教えてください。

我々が所属するアクセス開発部は、GMOインターネットグループが扱っているインターネットサービスプロバイダー事業「GMOとくとくBB」の開発を担当しています。その中で、主にフロント部分、例えば、新たにお申し込みをされるお客様が入力・閲覧する画面や、既存のお客様が契約情報やサービスの利用状況を確認する画面などの開発を担当するのが我々のチームの役割です。「GMOとくとくBB」の会員数増という事業全体の目標のもと、必要な新規開発や機能改善、不具合の改修などを行っています。

私の直接のマネジメント対象は北九州オフィスにいるプロパーのメンバーと業務委託の方、合わせて十数名です。アクセス開発部にはもう一つ、アクセスプロダクトチームという30名弱のチームが東京にあり、そこと連携して業務を進めています。元々はアクセスプロダクトチーム1チームだったところを、北九州オフィスのメンバーが増えてきたところで東京と北九州の2チーム体制となり、フロントエンドの案件はできるだけ北九州側が巻き取り、東京はバックエンドの案件に注力する方針でここ数年は動いています。

まず、私たちのチームの特徴として、新卒で入社したメンバーを中心にチームが構成されている点があります。2019年入社を筆頭に、2023年までの間に毎年1〜2名、新卒入社のメンバーがチームに加わっているため、メンバーのほとんどは25〜30歳です。

したがって、技術力や判断する思考、社会人としてのコミュニケーション能力、例えば、他のチームや事業部と折衝する力などの全般については、まだ成長段階です。まずはそれらの能力の向上と、チームとして開発を行っていく力をつけてもらうことをマネジメントの主軸に置いています。そうして各々の成長を促しながら、これまで東京が一手に抱えていたアクセス事業の開発をどんどん巻き取っていけるようなチームを目指しています。

―メンバーの皆さんの能力向上のために、村上さんはどのようにマネジメントにあたっているのでしょうか?

開発は1人ではなくチームで行うものですから、まずは、チームとしてのあり方をメンバー全員が認識し、目線を合わせて同じ方向を向くことを大事にしています。そのために、案件ごとに毎回、皆が同じ方向を向く重要性を伝え、情報共有を行うなどしてしっかりと認識合わせをしています。

加えて、メンバーそれぞれに実力や技術力に差があるため、伸びているタイミングでは仕事を任せ、技術的に追いついていない場合はマイクロマネジメントでモチベーションやメンタルも含めて丁寧に支援するなどの判断をしています。手が離れてきて自走できるようになっていくメンバーと、まだまだな新卒1〜2年目のメンバーがいるので、マイクロマネジメントを行うかどうかを一つ、成長支援の軸に置いていますね。

―メンバーの皆さんとのコミュニケーション機会は、どのように設けていますか?

普段の業務の中でしっかりとコミュニケーションを取るスタイルをとっているため、1on1などの面談の機会は必要な時にのみ行っています。

あとは、メンバー間の横の繋がりを強くすることでチームとしての総合力を上げていきたいという考えから、チーム全員で、ゲーム感覚でコミュニケーションを取る時間を1〜2週間に1回くらいのペースで作っています。

具体的には、まず、チームの人数が増えてきた段階で取り組んだのは、メンバー間でコミュニケーションを取る上での心理的安全性を高めるために、ゲーム感覚でできる自己開示でした。何が好きで、どんな人間で、どういうことで意欲が上がるかといったことをお互いに開示していきました。その後は、「ペアを組んでコミュニケーションが取れるもの」といった条件で各々企画を考えてもらって、メンバー間で協力して課題を解決するゲームに取り組んだりしています。

―横の繋がりを強くすることの狙いは何ですか?

個々のメンバーがどのようなことを考えているのか?何が得意なのか?といったことをお互いに知った上で業務にあたってほしいという考えからです。というのは、チームができた当初は、メンバーの多くが技術力の面で私より下回っていたので、私がマイクロマネジメントを行って個々のメンバーの技術力を伸ばしていました。

しかし、チームの人数が増えていく中でマイクロマネジメントをし続けるのが難しくなってきました。また、チームの特徴としても、全員が一つのプロジェクトに入ることはなく、数人ずつで別々のプロジェクトに入って開発にあたるため、エンジニア同士の関係性を強くすることが、各自の技術力を伸ばす上でも、業務における連携を良くしていく上でも必要と考えたんです。目指すのは、コミュニティのように相互支援が生まれるチーム。そのために、横の繋がりの強化に力を入れています。

チームの課題の洗い出しにWevoxのスコアを活用

―御社では、2021年10月より月1回、Wevoxのサーベイを実施されていますが、スコアをマネジメントにどのように活用されていますか?

Wevoxのスコアはチームのコンディションを表すものとして捉えています。チームコンディションが良ければ高いスコアを維持しますし、下がったときは何か要因があったと見て、みんなで深掘りして見つけています。チームの課題を洗い出す良いきっかけの一つですね。だから、メンバーにも「正直に回答してね」と話しています。

―チームの皆さんとスコアを見て対話する機会を設けていらっしゃるのですか?

原則月1回、ただし、案件に忙しくてできない月もあるので、最低でも四半期に1回は、1回1時間を目処にスコアをみんなで深掘りしてチームのコンディションを確認する時間を作っています。例えば、「やりがい」のスコアが下がっていれば、「今進めている案件で困っていることがある?」などと、「上司との信頼性」のスコアに変動があれば、「今何かしてほしいことはある?」などと深掘りしています。そうして要因が見えてきたら、あとは改善に繋げていきます。

Wevoxのキードライバーのうち、「職務」「自己成長」「支援」「人間関係」「承認」はチーム内の問題。そこから先の「理念戦略」「組織風土」「環境」は、会社の思いとメンバーの思いがどのくらいマッチしているか、あるいは、理解できているかだという認識で改善案を考えています。

例えば「理念戦略」は、自分がトップの思いをずれなくパートナーに伝えることができているかを確認する指標にしています。そのため、理念戦略の中にある小項目「ミッション・ビジョンへの共感」のスコアが少し低く出ていたら、会社の考えとそれに基づく方針をブレイクダウンして部の目指す姿などを説明し「そこに自分たちがどう関わっていくかをしっかり考えてやっていこう」といった話をメンバーにしたこともあります。

また、過去には「自己成長」のスコアが低めの時期があったので、個々のメンバーの強みやできることを私なりに分析しました。その上で、個々の成長を見据えて、「ちょっと挑戦的な依頼だけどやってみて。できないところはフォローアップするから」と仕事を渡すことをしました。本人が苦労しながらも達成した際にはちゃんとスコアが上がっているところを見ると、アサインした案件自体は間違ってなかったなと判断できましたね。

―Wevoxの導入前と導入後では、マネジメントのしやすさに変化はありますか?

導入前は、コミュニケーション施策を行ってはいるもののどのくらい横の繋がりができているかを測れず、メンバーの仕事ぶりを見ても「表面上は仲良くしているけれど、実際のところはどうなんだろう?」と感じることがありました。それが、Wevoxの導入によって、例えば、「同僚からの支援」のスコアからプロジェクトの中での連携度合いを測るといった指針に使わせてもらえています。

また、毎月スコアについてチームで話す時間を設けることで、メンバーとの目線合わせをしやすくなりました。Wevox導入前だと、メンバーは不満や心配事を言おうにも根拠が伴わず言いにくかったと思いますが、今はスコアを見ながら「今月は忙しくてちょっと低めにつけました」「こういうことがちょっと不満で」と話してくれるので、そこから私が改善に動くべきところは動いて、翌月か翌々月にはスコアが回復するというようなこともできています。

メンバーからも、「仕事の真面目な話を突っ込んでしやすい場にはなる」という話をされたことがあります。普段はゲームや趣味の話などの雑談が多いチームなので、仕事で抱えているちょっとしたモヤモヤを話すきっかけをなかなかつかめないんだと思います。スコアについて話す場があることで、「そういえばあの案件大変だったよね」「あのときこういうことがあって、もっとこうしたらああはならなかったんじゃないですかね」といった振り返りができるし、「みんなそう思ってたんだ」といった感覚や感情をチーム内で共有できる機会になっているようです。

―スコアを見ながらの対話を重ねて、チームの状態に変化は生まれていますか?

たとえ急ぎの案件が入ったとしても、みんなが「なぜこのタイミングでこの案件をやらないといけないのか」「なぜそのスケジュールなのか」ということを理解し、納得した上で、自分ごととして開発するようになれているのかなと、Wevoxのスコアの推移から感じています。

というのは、当初は上から急にスケジュールがタイトな仕事をポンと渡されると、翌月のスコアが下がっていたんですよね。「やりがい」「自己成長」「事業やサービスへの誇り」「会社の方針や事業戦略への納得感」あたりのスコアが下がります。それを、なぜ残業してでもそのサービスをリリースしないといけなかったのかということをちゃんと説明して、「タイトな案件にも応じていく必要性と重要性を大事にしてほしい。そこを自分ごととして考えられるエンジニアになってほしい」と繰り返し伝えていると、ここ最近は、忙しくなる案件が差し込まれても、さほど大きくスコアが下がることはなくなりました。

また、当初は「事業やサービスへの誇り」のスコアは60前後でしたが、直近のサーベイだと94まで上がっています。担当するサービスを友達や家族に勧められるかを考えて仕事にあたってほしいと常々思っているので、自分たちが作ったものを提供することにしっかりと誇り持って働けていることを感じています。

―横の繋がりをしっかり作っていくところに関しては、取り組みの効果を今、どのように感じていますか?

「◯◯さんが大変そうだから手伝っていいですか?」とか、「このタスク引き取っていいですか?」という声が自発的に出るようにはなってきました。コミュニティとチームの大きな違いは、相手のことを損得勘定抜きで考えて動けることだと思っています。チーム開発において自分のタスクが終わってもまだ誰かがやってるなら少しでも手伝おうという考えが生まれていることは、横との繋がりが強化されていることの表れだと感じています。

―それはWevoxのスコアにも表れていますか?

めちゃくちゃ表れてますね。当初は、「上司との関係」のスコアがとても高く、「仕事仲間との関係」のスコアも高いものの「上司との関係」のスコアに比べると低かったのですが、今は逆転しています。2回くらい100を出しているくらいです。自分がいなくてもコミュニケーションを取れていることを実感してすごく嬉しかったですね。実際、個々のメンバーみんなが「自分はチームの一員だ」と感じて、しっかりと横でコミュニケーションを取りながら仕事をしてくれています。

マネージャーがいなくても機能するコミュニティのようなチームの完成を目指す

―少し視点が変わりますが、毎年、新卒入社の方が配属されるにあたり、関係性づくりで意識されていることなどがあれば教えてください

ここ数年は、私が過剰に接しすぎないことを意識しています。というのは、私とのコミュニケーションパスを最初に作ってしまうと、そこに頼りがちになって現場のメンバーとのコミュニケーションパスを確立できないからです。通常レベルのOJTや声かけはしていますが、本人が困っていそうなことなどのフォローアップは周囲のメンバーが主体となってやってくれているので、その輪に私が入っていくような形のコミュニケーションの取り方をしています。

―良いチームを作っていくことは、業務における成果にどのように繋がっているとお考えですか?

私たちのチームが東京側から巻き取れる業務量が年々増えているのですが、それは、単に北九州側の人員増によるものではなく、チームとしてより多くの量をこなせるようになってきたからだと捉えています。1人で受けられる量は1ですが、2人で受けられる量は2ではなく、5とか10になるんです。みんながコミュニケーションをしっかりと取れていることによって連携度が上がり、巻き取れる量が増えてきているというところに繋がっているのかなと思います。

―では、現状を踏まえて、今後はどのようなチームを作っていきたいと考えていますか?

一人ひとりが成長してきたものの、私から見るとまだまだな部分も多いので、メンバーのいわゆる戦力化は今後も継続してやっていこうと思っています。最終ゴールは、私がいなくても完全にチームとして機能することだと考えています。メンバー一人ひとりがプロジェクトの管理ができて、お互いが横で話し合えばそれが一つのマネジメントになるようなチームを目指しています。

ただ、まだ私の代わりになるマネジメントラインがいないことと、まだみんな、プロジェクトラインを管理できるところまでは至っていないという課題もあります。今は、東京側が作った開発ラインの中に入って開発しているので、北九州側でも開発ラインを1〜2ラインに立てられるようなチームになってほしいと思ってます。

これらは、経験がものを言う部分でもありますが、徐々に芽が出てきて花になりかけているメンバーが何人かいます。私の過去の経験やこれまで蓄積してきた知識をインプットしたり、他のリーダー陣のやり方をまねしてもらったりしながら、自分のできる領域を広げていってほしいですね。こうした成長をサポートするためにも、メンバーがエンゲージメント高く働けるマネジメントを引き続き頑張っていきたいと思います。

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