
【Teamwork Sessionレポート】「働きがい」は共に創るもの。組織を一つにするための活動の進め方とは?

2005年NRI入社。約10年間主に金融(証券会社、資産運用会社)業界のシステムエンジニア・プロジェクトマネージャーとして従事。その後、事業本部内の人材開発・組織開発の担当を経て、全社の人材開発部に至る。
Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回は、株式会社野村総合研究所の大塚哲也さんにご登壇いただきました。野村総合研究所では、Wevoxでのサーベイに加え、Professional SupportやEngagement Run!などの場もご活用いただいています。このような情報や学びの活用は、組織にどのような影響をもたらしているのでしょうか?
―本日のテーマは「現場の自走を促す!現場主体の組織開発実戦への働きかけとは?〜野村総合研究所(NRI)の1年間の軌跡〜」です。どうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。弊社はNRI単体ですと約6,500人、グループ会社を合わせますと全部で13,000人以上という大きな規模になります。皆さんの会社でもよくあるように、お客様の業界などによって事業本部が分かれており、小さい本部で300人、大きい本部では7〜800人なので、本部ごとに規模感も変わっているという状況です。

上のスライドは各事業本部と本社機構の関係性を示したものです。本部ごとに本部長・副本部長という経営陣がいて、黄色で書かれているスタッフ部門は本部を横断していくような役割の部署です。私が現在所属している人材開発部は本社機構の1部署であり、他には経営企画部や人事部などが含まれています。
働きがいとは現場と本社機構が共創するもの

NRIグループの強みは、目標が決まると推進力を発揮してきちんと期限を守ってやりきるという点です。もちろん品質にもこだわっていますが、先ほどの組織構成の中で事業本部ごとに工夫しており、現場力がかなり強いという特徴があります。また、目指したい姿はNRIグループの行動指針でもある「真のプロフェッショナルとして誇りを胸に、あくなき挑戦を続ける」です。そして、上のスライドにあるように、最終的には社会に価値を提供していくことをミッションとして置いています。当然、そのために主役となるのは社員であり、社員が成長していく場は会社です。この社員と会社の部分にフォーカスを当てて強化していく活動が必要なのではという流れの中で、話に上がったのがWevoxです。実はもともと私がいた事業本部で活用した経験があり、その活動実績が評価され、かつWevoxが弊社の目指したい方向には効果的と判断し、2020年11月に全社でのWevox導入を決定しました。
ちなみに、資料にある「働きがい共創」という名前は人材開発部のチーム内で話し合って決定しました。働きがい・やりがいは一方的に上司から持てと言われて持てるものではなく、また、部下側が「上司が作ってくれるものでしょ」というものでもないと思います。「上司や部下が対話を重ね関係性の中で、創られていくもの」という想いや、先ほどお伝えした組織構成のように、どうしても現場と本部という構図になりがちですが、「本社が言ってるからやる」よりも、「現場も本社機構も一体となってやっていきましょう」という想いを込めて、こう名付けた次第です。
オンラインイベントなどを駆使して活動を周知

Wevox導入の決定から約1ヶ月後、組織開発を行うチームを立ち上げ、4人での活動を開始しました。先ほど言ったように、働きがい共創という言葉はチームビジョンなどを検討する中で生まれたもので、この時点ではまだ生まれていませんでしたが、グループ経営戦略会議などの経営からメッセージを発信するようなイベントを介して、言葉とその意図を周知しました。また、言葉だけ聞くとファジーですし、弊社のいままでの仕事のやり方からすると馴染みが薄いものでした。そのため、回答率を上げるためにもプロモーションを意図的にやらなくては、ということで、5月に「働きがい共創フォーラム」というオンラインイベントを開催しました。全社でこういったイベントを大掛かりにやる時はいろんな調整や事前準備が必要ですので、この辺りの調整はずっとやっていた覚えがあります。

これはかなりビッグなイベントになり、オンラインで総勢700人が参加しました。NRI単体の人数は7000人数弱なので実際の参加者は約1割。ちょっと悲しいですが、必須としていないイベントの参加人数としては多い方なのではと私たち企画側は感じています。このイベントにおける良かった点は、社内外から登壇していただいた方のバランスが非常に良かったことです。社内で私が元々いた事業本部の本部長に、どうして本部でWevoxを活用することになったのか、使ってみての感想を事例として紹介していただいたり、NRI出身・現Zホールディングスの本間さんにヤフー時代の取り組みをご紹介いただいたりしました。また、組織開発については、私たちチームメンバーが授業を受けた卒業生ということもあり、立教大学の中原先生にもご登壇いただきました。
情報発信を目的とした支援サイトをオープン

また、サーベイのタイミングに合わせて「働きがい共創サイト」という支援サイトを公開しました。ここには、研修に関する情報や便利なツール、資料が集約されています。
Wevoxに関する資料はアトラエさんでたくさんご用意いただいているので、それを使わない手はないなということでカスタマーサクセスの方にご相談させてもらい、マネージャー向けのWevoxのマニュアル資料を紹介させてもらうこととなりました。
サーベイは2021年6月に終わったので、今はどちらかというと働きがい共創活動を全社にも広げていくフェーズだと考えています。そのため、各組織で行われている働きがいにつながるような活動についての事例の紹介をこのサイトで発信しています。サイトを立ち上げた当時は月1回くらいの更新を目標としていましたが、最近は月2〜3回のペースで情報を公開していますね。
工夫した点としては、win-winになる関係です。うちの本部でこんなことをやりましたという情報を全社に発信する=本部員に向けたメッセージにもなります。ですから、書き方によってシラけちゃうんじゃないかと感じるのであれば気にかけてもらい、私たち人材開発部が発信する場合も、両方がwin-winになるような関係を意識して、こういった事例を紹介しています。
また、私たちも毎回取材をして記事を作るのはなかなか大変なので、投稿用フォーマットを用意して「記事を作ってみませんか?」と呼びかけるページを作り、そこからテンプレートをダウンロードできるような形にして、現場からの情報提供を求めるといったことも行っています。
最初は私たちの方から取材を申し込んでお話を聞かせてもらっていましたが、続けていくうちに、現場から「投稿したいです!」と情報が上がってきたり、出した記事を見て「●●さんの本部楽しそうですね」と言ってもらえるような、本部のプレゼンスが向上する機会になったという声をもらったりするようになったので、非常に嬉しく感じています。
社内での同志が集まる働きがい共創コミュニティ

働きがい共創コミュニティの運営も開始しています。きっかけとしては、私たちが用意した研修の受講者数が伸び悩みつつも、組織に想いを持った人はいるという手応えも感じたことです。ですから、そういった人たちをいかに繋げて盛り上げていくかが重要かなということで、チーム内で検討してコミュニティを作ることにシフトしました。例えば、オンライン飲み会や、お昼時に気楽にできるBBQスタイルの対話の会「BOTA(ボタ)会」などです。組織開発の対話の会ということで頭文字を取ってBOTA会と読んでいます。
逆から読むと「多忙」ですが、「普段は忙しくされていますがこの時間だけはリラックスして参加してくださいね」という意味を込めて企画しました。最近の嬉しい流れとしましては、このコミュニティで各現場を盛り上げてくれている方の発案でオンラインアカデミー「Engagement Run!」で学んだことを社内のチャットツールの中で専用チャンネルを立ち上げて共有するなどといった動きが生まれていることです。ただ、コミュニティ運営もなかなか難しく、コミュニティの中でも熱量の高い人とそうでない人の差が大きくなっていることは感じています。この辺りについて正解はないものの、色々と工夫・苦労しながら試行錯誤している状況です。
大事なのは活動する組織自身の”推進力”を身に付けていくこと
弊社では、年に1回、6月にエンゲージメントサーベイということでWevoxを活用していますが、それ以外については、組織ごとのWevoxでのパルスサーベイの導入も支援しています。パルスサーベイの頻度は組織によって異なり、月に1回のところもあれば3ヶ月に1回の組織もあります。
弊社のグループ会社の一つにNRIデジタルという会社がありまして、以前、そこでも働きがいを意識して向上する活動を推進したいという動きがありました。そのため、この会社の人事コーポレート部門から相談を受け、私たちがイベントの企画の裏方支援をさせてもらいました。勿論、私たち自身が前に出て企画のファシリテーションを行うこともできますが、大事なのは組織ごとに活動を推進できる力をつけていくことですから、どちらかというと私たちは黒子に徹して、その部門の推進役にしっかりとスポットライトが当たることを心がけて対応していました。
現在、事業部門ごとの働きがい共創に関わる情報交換を目的に、「皆さんの組織はどんな工夫をしていますか?」というようなヒアリングも仕掛けています。共創という言葉のとおり、一緒にやっていきたいという気持ちもあるので、仲間という意識で各部門の推進者をリスペクトしながら情報交換を行っています。また、ヒアリングしていると、私たちとしても全社に働きかけていく時にどういうことをしていけばいいのかなど、次なる施策のヒントを得たり、活動の内容に感心したりすることがあります。そういったものは、先ほどご紹介したサイトの中で事例として紹介するようにしています。

活動を振り返っていて感じたこととしては、Wevoxチームのみなさんと一緒に働きがい共創を推進していることもポイントになっているという点です。全社サーベイの後は当然、経営向けのサーベイ結果の報告が必要になりますが、その際のレポート作成をお願いすることがありました。また、サーベイまでは伴走してお手伝いいただいていましたが、サーベイ後の活動の拡大については、私たちだけでは悩んでしまうことも多いです。そのため、Professional Supportを活用し、現在は隔週でWevoxのカスタマーサクセスに壁打ち相手になってもらったり、他社さんの情報を教えていただいたりしています。
また、Engagement Run!という学びのコミュニティを通じて、他社さんと同じような推進者を紹介してもらったりもしています。
活動は正解がなくて当たり前
弊社には様々な現場組織があり、その中で働きがい共創という考えに賛同してくれる人を「火種」と読んでいます。私たちが本社機構・人材開発部として現在取り組んでいるのが、火種となる人たちを見つけて支援して行く働きかけです。他にも、情報発信や学びの場の提供、コミュニティ作りなど、現場で活動を推進していく人の支援に尽力しています。今後に向けては、働きがい共創という活動自体、正解のない活動だと考えているので、どうしていくかをチーム内で議論しているところです。

究極の理想は、サポートしなくても組織開発という考え方が当たり前のように業務に浸透している状態です。約7年前に会社のイベントで横浜スタジアムを貸し切り、大運動会を行いましたが、意外にも、働きがい共創の理想の状態についてチームメンバーと話している時にこの運動会の話題がよく出てきます。運動会の時の雰囲気や、仕事では見せない表情みたいなものが出るような状態がいいのかも、という話をしていて、今はこういったところがテーマとなっています。今後、チームメンバーと話しながらバックキャスティングして、3年後に向けてどんなことをやるかを検討していく予定です。また、働きがい共創活動の認知度もまだまだ低いですから、引き続き認知度アップも図っていきたいですね。
現在活動しているメンバーは私を含めて4名ですが、各事業部門で活躍していたメンバーなので、組織を良くしたいという想いや、正解のない活動を実験的に楽しめるマインドを持ち合わせています。ですから、私たち自身が楽しむのが大事だよね、ということで、私たち自身のエンゲージメントも大事にしています。私たちのチームの中でもWevoxを活用していますが、今のスコア結果は85前後です。活動を進めつつ、エンゲージメントも向上しているという良い状態で進められていると感じています。目指す山や登り方は、組織が違えば異なると思います。ですが、こういった場で皆さんと経験や想いを共有しながら、正解のない道を一緒に登っていければと願っています。ご静聴ありがとうございました。
―ありがとうございました。全社サーベイに向けて、かなり長い期間をかけて事前周知やフォーラムの準備をされていたようですが、この周知の際に注意されていたことや工夫されていたことはありますか?
早いタイミングから情報を小出しにしたというのは工夫点かもしれないですね。11月にWevoxの全社採用を決定した後、12月1週目あたりに、各事業部門の管理部門責任者が集まる月1回の定例会議がありました。その時点では計画も密に固まっていませんでしたが、月1回しかないので、部長からそこにエントリーしてWevoxをやることについての宣言や、パルスサーベイなどに展開する場合の予算感など、出せるものをすべて出しました。その後、3月4月辺りにまたエントリーして、働きがい共創フォーラムや全社サーベイなどのイベントに関する情報をアップデートして伝えていきました。ですから、段階的に情報を小出してにしていくということは意識しましたね。
―周知に関しては1回きりで終わっている会社様も少なくないので、情報を小出しにして流していくのは大事そうですね。ありがとうございました。ではここからは質疑応答へと移ります。
Q. 弊社では、アーリーアンバサダー的な方を出すために、少し緩めのコミュニティを作っています。事例共有会やワークショップなどの呼び掛けを行っているので、ある程度やっていこうという流れにはなっているものの、まだ500名程しか参加しておらず、そのうちの約200名は無理やり入ったような形なので、自ら入った層の人数は300名程です。大塚さんの仰っていたコミュニティは何人いて、どのような感じですか?
A. 500名と聞いて回答にビビってしまったのですが(笑)、うちは現時点で57名です。その中でも、チャットツールでは、メッセージを頻繁に発信してくれる人、発信したことに対して反応してくれる人、あとは登録だけ勢いでしたけど、みたいな幽霊部員的人の3層に分かれている印象です。なので全然まだまだこれからという感じですね。
Q. 例えば朝会や1on1、サーベイの振り返りミーティングなど、人材開発部の方から具体的なアクションの要請などはされているのでしょうか?
A. 強制力を出すというのはあまりないですね。というのも、組織構造上、現場の方が強い特徴があるんですね。要請を出せばやってはくれるんですが、やることが目的になってしまい、私たちが狙うようなものにはならないんです。逆にそれが広まってしまうと、本当にやりたいことがやりづらくなるというリスクも考えた結果、強制力を出した活動は行っていません。ただ、その中で行っている働きかけもありまして「サーベイをやりっぱなしにしないでください」といった主旨のことは伝えています。
先ほどお話しした働きがい共創サイトには「サーベイ後にやること」というヘッダータイトルがあり、サーベイ後にやってほしいことを掲載しています。ページ内ではステップを2つに分けていて、サーベイで自組織の結果を確認してくださいねとか、とても初歩的なことではありますが、ログインできますか?とか、結果をちゃんと利用しましょうといったことを呼び掛けています。理想としては段階的に周りとコミュニケーションを取って欲しいのですが、サーベイに答えているメンバーが自組織の結果が分からないような状態は避けたいので、基本的なことをやってもらえるようにお願いしている感じですね。
Q. サーベイは、プロジェクトベースでも取っているのでしょうか?
A. 全社でやっているものについては本当に規模が大きいので、組織の電話帳ベースで区切られている組織構造で、部の下の課(グループ)までの単位でサーベイを実施しています。もう少し細かい粒度でやってみたいという場合は事業本部やグループ会社ごとにやってみてくださいというトーンでして、実際、私がいた事業本部の場合ですと、プロジェクト単位で取りたいという要望に従って属性を設定したことがあります。
Q. 社内の取り組み事例の紹介をもう少し詳しく教えていただきたいのですが、取り組みを行った結果、例えばスコアが上がった場合などは、そういった内容も合わせて共有されているのでしょうか?
A. ちょうど今週「「変えられない」を変える!300人のプロジェクトの組織変革」というタイトルの取組み事例をアップしたのですが、これにはWevoxのスコアも載せてくれています。スコアを載せたのはこれが初めてのケースになると思うのですが、この辺りは情報発信者側にお任せしていますね。
私たちからスコアを載せてくださいというと少しいやらしい感じもしますし、スコアが結果的に上がっていればいいですけど、そこが目的になってしまうとマズいので、この辺りに関しては意識していません。とは言え、部署の人たちが自分で考えて取り組みを行ってくれていますし、不安がある場合は相談を受けて一緒に企画していくようにしています。
―ありがとうございました。では最後に、大塚さんから皆さんにメッセージをお願いいたします。
自分たちのやっている活動について、本当にこれがいいのかと悩む方も多いのではないでしょうか。私自身、エンゲージメント活動を高めていくことに関しては、競合はないと考えています。ですから、ぜひこういう場も含めて、社会のコミュニティを構成する一員として一緒に盛り上げられたら嬉しいです。先ほどお伝えしたとおり、自分たちだけでやったのではなく、Wevoxのみなさんや他の会社さんのアドバイスがあってできていることですから、そういったコミュニティを盛り上げていければと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
(編集部コメント)
周知とそのサポートをとても丁寧に行われている様子が印象的なプレゼンでした。支援サイトやコミュティ運営など、どんどん新たな動きも生まれています。今回のお話の中で得た学びをどんどん吸収して、自組織での活動に活かしてみましょう!







