【Teamwork Sessionレポート】wevox導入から1年!コロナ禍でもエンゲージメントを向上させた秘訣とは?

【Teamwork Sessionレポート】wevox導入から1年!コロナ禍でもエンゲージメントを向上させた秘訣とは?

リコーリース株式会社
森下 忍 氏
森下 忍 氏
リコーリース株式会社
人財本部 人事部 人材開発課

外資系航空会社に新卒入社しキャビンアテンダントとして香港で勤務。帰国後は精密加工装置メーカーや化学メーカーで役員秘書、ベンチャー企業で管理職を経験。化学メーカー在籍時にCTI 認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ(CPCC)を取得し、コーチングを活用した人材育成、組織開発に従事。2019年4月より現職。副業ではエグゼクティブコーチとして十数名のクライアントにコーチングを提供し、組織開発コンサルタントとして他企業の課題解決に関わっている。

wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回ご登壇いただいたのは、リコーリース株式会社の森下忍さんです。森下さんには以前にもインタビューにお答えいただきましたが、今回はエンゲージメントスコアを社内浸透させる方法や、その背景についてのお話を伺いました。

導入には必要性への理解が不可欠

―wevoxの導入から1年が経過されたそうですが、導入期時代におけるエンゲージメントや、導入に至った経緯などを教えてください。

私は2019年4月1日にリコーリースに入社したのですが、コーチの資格を保有していることから、社内の人事開発領域のスペシャリストとして、1on1のテコ入れのようなところから始めました。まずは、コーチングスキルをメインとしたコミュニケーション研修を当時の全組織長を対象に実施しました。教育や研修などにおいては、効果測定を求められるものの、成果が出るまでに当然タイムラグが生じます。定量的に見せるのが難しいとされている認識もありますが、効果測定の指標にはエンゲージメントスコアが一番効果的ではないかと、当時から描いてはいました。

また、当社では3か年の中期経営計画を掲げており、上位概念やビジョンとの一貫性や実現、当時あった課題を解決するという意味でも、エンゲージメントスコアが最適な指標だったのではないかと思っています。今はエンゲージメントという言葉が世の中に溢れているので、スコア測定ツール的なものはたくさんありますよね。そのため、前職で使用していたコミュニケーション活性化ツールなど、様々なプロダクトの話を聞きました。その結果、当社の実現したいものや、指標にしたい項目が最も合致していたのがwevoxだったことから、導入を決めました。

―導入後の運用ルールや頻度、どのように展開していくかについては、当時どのように考えられていましたか?

当時よく耳にしていたパルスサーベイについては意識していたのですが、約1000人規模の当社の繁忙期などを踏まえて考えた時に、導入のハードルは出来る限り下げた方がよいのではないかという結論に至りました。

ですので、まずはパルスサーベイを選択肢から外して、ざっくりとした運用のイメージから入っていきましたね。初回のサーベイは去年の1月、2回目は6月に実施しました。実際にやってみないと私たち運営側の理解が深まりませんし、約140人の組織長にどのように浸透させていくかを考えた末、現在は四半期に1度というサイクルで行っています。

―いきなり「wevoxを月1で」といった感じではなく、とても丁寧に導入されたんですね。

そうですね。頻度の問題もありますが、なぜこれをやるのかという、導入の目的を重要視しています。新しいものを導入する時は、既存のものとの兼ね合いで心理的負荷が生じる部分がありますよね。既存のものと結びつけ整合性を醸成することで負荷を下げるなど、設計した背景はありましたが、その必要性を押し付けるのではなく、説明しつつ、運用を通して理解してもらうというプロセスを大事にしました。

ツールを小まめに使用して社内浸透を促進

―サーベイを受ける従業員の方々への周知の方法など、森下さんご自身で工夫されていたポイントはありますか?

会社の文化・風土や使用しているツールは大きなポイントになると考えています。当社の場合、今ではだいぶシフトチェンジしていますが、Notesの掲示板アプリがメインの発信場所として利用されていました。そこでなぜエンゲージメントが必要なのかも伝えていましたね。もともと従業員満足度というものはあったのですが、その概念からなぜエンゲージメントにシフトしていく必要があるのかをビジョンと紐付けて資料を作成し、理解をお願いするということを繰り返し掲示することで、浸透を促しました。

―周知のタイミングを1回で行われている会社様も多いですが、森下さんご自身は、繰り返し掲示板を使いながら周知されていたんですね。

そうですね。実際、掲示板で情報を出したり資料を作ったりしても、見てもらえないことの方が多いじゃないですか(笑)。いけないとはわかっていても、自分に直接関係がないと見ないものなんですよね。そこを乗り越えて全員に浸透させることは非常に重要なポイントなので、1回では難しいだろうなというのは覚悟していました。どう全社員に広げて、染み出させていくか。そして、それがどのように伝播していくか。そういったところをイメージして、落とし込んでいきました。

―ちなみに、実際に従業員の方に発信していた内容をお見せいただくことはできますか?

もちろんです。

これが、実際に初回のエンゲージメントスコア向上に関する運用で掲示板に掲載したものです。社員の一人ひとりが自発的に、というところがエンゲージメントとリンクするように設計しています。また「at」のaがアルファとし、Anything you wantという意味合いで、いろんなことを当てはめられるようになっています。自己実現、チャレンジ、健康など、様々な目標をプラスアルファで設定して、自由に働くことで幸せになってもらおうというコンセプトです。

また、当社が今期掲げているのが「循環創造企業へ」というビジョンなのですが、社員一人ひとりの個を中心として、環境・社会・経済におけるさまざまな活動のなかで、新しい価値を生み出し、その価値をコミュニティの内外へつなげることで、さらに価値を生み出すことに紐付け、なぜ当社においてエンゲージメントが必要なのか、なぜ従業員満足度からエンゲージメントにシフトする必要があるのかについてまとめた資料でもあります。

また、こちらは先ほどお伝えしたNotesの掲示板では、スコアが良い組織に対して取り上げていますが、掲示板では先ほどの資料を添付するだけでなく、社員に伝えたいことを文章にして掲示していますし、各組織のスコア結果も共有しています。

―社内での浸透は、小まめに発信していくことがポイントのようですね。

そうですね。意識を変えることは、一過性でできるものではないですし、やはりじわじわとしたアプローチが必要になってきます。ですので、実際に運用するにはどのように落とし込んでいくかという設計は緻密に行いました。

―なるほど。以前にも「組織を変えたいなら組織長が本気にならないといけない」とお話しいただきましたが、組織長の皆さんの最初の反応と興味を持ってもらうまでの過程はいかがでしたか?

私のこれまでのコーチとしての経験の中で、トップが変わることにより、トップの下で働く人たちや組織が変容する事象を何度も目にしてきました。ですから、この点に関しては、疑う余地がないというのがベースにあります。人って経験からしか実感できないですし、学べないじゃないですか。なので、その機会を作ることがまず1つありましたね。前回のインタビューでもお話しさせていただきましたが、「次回から全組織の状態を全社に開示していきますよ」というように、ほのめかすことを意図的にしていました。というのも、組織長が理解していないと、全社に向けて開示した後、例えばメンバーから「なぜうちの組織ってこんなにスコアが悪いのですか?」と聞かれても、理解していないと説明できないと思うので、少しでも危機感を持ってもらうために、前振りをしていました。

ただの主観だと信じる人は少ないですし信憑性も低いですが、実際のスコアはある意味1つの指標・基準になりますよね。スコアを通して現実に直面するというか、全員が共通の指標を持つことで、リアリティが生まれるのだと思います。その後は、Zoomで画面共有をしながらwevoxの使い方を説明していき、Q&Aタイムを設け参加者からの質問に私が答えることで全参加者の理解が深まる場を作りました。ナレッジが共有され、誰かの質問によって不安や悩みが解消されていくようなことはよく起こることだと思いますが、そこを狙って、組織長の皆さんと話す場を意図的に設けたのはあります。

―Zoomの説明会では、組織長の方々に対して人事側からどのようなアプローチをされたんですか?

メールで「◯月◯日〇時からオンライン(Zoom)説明会を実施するので、ご都合に合わせて自由に参加してくださいね」と、組織長限定でオンライン説明会のスケジュールを通知しました。事前申込み不要、出入り自由という形で、5回実施しました。

―参加率などはいかがでしたか?また、Zoomで組織長の方々から質問を受けるというお話でしたが、どのような悩みがありましたか?

140人中120人強が参加していたので、関心は非常に強かったと思います。実施回ごとの内容や参加者の背景には濃淡があり、全く触っていない状態で参加される方や、具体的な使用に関する質問がある方など、様々でした。

―そういった質問に答えながら、皆さんの知識のインプットを行われたのでしょうか?

そうですね。参加する方の傾向によって、その場の活性度合いって異なるじゃないですか。中には静かな回もあって、その時は参加者の名前を呼ばせていただきながら、○○さん、質問はないですか?と話を振ったりもしました。すると、必ず何かしら出てくるんですよね。そういったことを繰り返しながら、難しいものじゃないとか、そんな身構えるものじゃないとか、触って見てもらえればわかるみたいな部分を意図しながら進めていきました。

ネガティブな意見よりも、巻き込む雰囲気作りに注目

―ネガティブな反応の組織長がいるというのは他社様のお話でよくありますが、御社でそういう方がいた場合、どのようにアプローチされていましたか?

直接ネガティブなことを言われたことはありませんが、当社にもそのように捉える方はいたかもしれません。こういった施策や理解浸透の領域では、人に対して対処療法的にリアクションすることやリアクティブに対応することは、あまり効果はないと思っています。それよりは、風土や空気などの状態を優先して作ってしまうことが効果的だと考えています。

急がば回れ的な発想に近いですが「やらないとまずいかな?」「見ないとまずいかな?」と巻き込まれるような土壌を作っていくことだけを考えていました。新しいものやこれまでの既存のものを変える上での心理的なハードルは誰にでもあるものですが、それらに個別に対応するよりかは、巻き込む雰囲気を作ってしまった方が、浸透は早いかと思います。

―組織長の方々に浸透する際、森下さんのご視点でポイントになっていた箇所や工夫点はありますか?

個人的に意図していたのは透明性の担保という部分ですが、やはり、全社に全組織の状態を開示した点が大きかったです。これまでの社員満足度調査ではあまり具体的に開示されておらず、サマリーとして丸められていた状態でした。社員に対してもインパクトを作りたかったので、包み隠すことなく全組織に向けて公開しました。当社は第三階層までが公式な組織になっていますが、全組織のスコアを開示したことはインパクトとして大きかったと思います。

こちらは、第1回のものですね。全社のサマリー、実施内容を本部から部までの範囲で掲載したものです。当社では本部は第一階層になり、第1回では部の第二階層までを開示しました。現在は、この下にある第三階層までの全ての組織の状態が開示されています。全社単位のURLを発行して全社で開示したいのですが、全組織が見られるということは、各自の理解リテラシーによってはネガティブに振れることもあるかと思いますので、今はまだ早いかなと感じています。今後は、URLで社員が全組織を自由に閲覧できる状態を作っていければと考えています。

―先ほどお話されていた、社内浸透における社内広報についての事例はありますか?

現在の掲示板は、上記のように「kintone」に変わっているのですが、ここではグッドプラクティスの組織として、インタビューなども共有しています。

B判定以上でメンバー人数がそれなりにいる組織の組織長に、具体的にどんなことをしたのかといった内容をインタビュー形式で話してもらい、組織の写真とともに掲載しています。今回は約10組織にお願いして記事の制作に協力してもらいましたが、それを1週間単位で掲示板に掲載しています。当社は全国北から南まで支社があるので、本社や支社でどんな人が働いているかがわからない人が多いと思っています。ですので、社内広報のような意図でも、こうした取り組みを発信しています。

―この施策によって、組織長や従業員の方々の変化は感じられましたか?

エンゲージメントの高い組織に在籍していることを誇りに感じる、あの組織で働きたいなど、メンバーのモチベーション向上や、自組織のワーキングエンゲージメント向上に当事者として考える・関わるなどに繋がっていると思います。

目的にするべきは、スコアではなく働きやすさの向上

―経営陣の方々の巻き込みという点で悩みを持たれている企業様も多いですが、その点において森下さんが工夫されたポイントなどがあれば教えてください。

予算取りの関係上、経営会議でエンゲージメントに関する施策について答申しているので、経営陣とはアラインメントが取れていることがベースにあります。エンゲージメントの導入の目的は、スコアを上げることだと捉えられがちですから、まずは社員満足度からエンゲージメントの考え方にシフトすること、エンゲージメントが高い状態を創ることが重要であることを伝えました。

スコアを上げることは手段であって目的ではないですし、社員がいきいきと働いている状態を創ることが、ビジョンの実現や経済合理的な働きやすい企業づくりに繋がると考えています。この部分が大きな目標として実現したいものですが、経営陣に理解してもらうまでには時間がかかりました。特に、営業出身の方だとどうしても数値目標に意識が向きがちなので、数値ではなく、状態を作ることが大事であることを入念に伝えた記憶があります。

あとは、経営陣の中にも、味方になってくれる人は必ずいると思いますし、キーパーソンや、応援してくれる人を巻き込んでいくことも大事ですね。幸い、前社長も現社長も非常に応援してくれていますし、全社単位の報告会でエンゲージメントに関する話題を経営陣が取り上げてくれることは相乗効果に繋がります。巻き込む人を誰にするか、当たりを付けてその人を巻き込む。そういった別軸で、リーダーシップは必要になってくると思います。

―ありがとうございます。では最後に、wevoxの導入から1年が経過していますが、今後の展望などがあれば教えてください。

先ほども申し上げたように、wevoxの運用に関しては、全社単位のURLを発行して、全社員がいつでも自由に見られる状態にすることが最終目標です。また、エンゲージメントが業績と相関を示すデータが世の中にはあるので、当社でも業績とエンゲージメントスコアの相関を証明したいと思っています。企業であるからには、ゴーイングコンサーンという命題があるので、経済合理的働きやすい(well-being)企業を作っていくということがミッションではないかと考えています。

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