
エンゲージメントサーベイで組織はどう変わる? 一人ひとりの声を大切にするための「役員×管理職」のふりかえりミーティング

1993年 日本IBM入社、約21年間、システムエンジニア、プロダクトセールス、アカウントセールス、ビジネス・ディべロップメント業務に従事。その後、レノボジャパンを経て、2016年 デル入社。新規チャネル開拓、サーバー製品のプリセールスのリーダーを経て、2019年より広域営業統括本部で全国約3万社の中堅企業を担当する営業部門を統括。

2004年にデル・テクノロジーズ株式会社に入社。インサイドセールスやテクニカルセールスを経験した後に、SMB領域のセールスマネージャーを担当。その後、広域営業統括本部にて人材開発に従事し、社員の能力開発やキャリア開発を支援。2022年より組織の人材採用・育成から営業チームのマネジメントを一貫して担当。
アメリカに本社を持つコンピューターテクノロジー企業の日本法人で、デジタルトランスフォーメーションの実現を通じてクライアントの変革をサポートしているデル・テクノロジーズ株式会社の広域営業統括本部のエンゲージメントストーリーをご紹介します。
Wevoxを導入し、部門での活用推進を目指して、管理職参加型の「ふりかえりミーティング」を実施し続けている同社。その内容とともに、コメントの収集や管理職の参加意欲を高めるための工夫について、上席執行役員で広域営業統括本部長の瀧谷貴行さんと、Wevoxの導入を推進したシニアインサイドセールスマネージャー・大久保旭さんに伺いました。
外的環境の変化が激しい中、年1回の従業員満足度調査だけでは物足りなかった
―Wevoxを導入して4年以上とのことですが、導入のきっかけを教えてください。
瀧谷:外資系企業の多くは、従業員満足度や従業員エンゲージメントを計測する何らかの仕組みを持っていると思いますが、弊社でも全社レベルでサーベイを実施しており、会社とリーダーたちのスコアが可視化されています。これにより、従業員満足度やエンゲージメントを低下させる要因を特定し、それらの改善計画を立て実行するということを継続的に行っています。ただし、調査頻度が年1回であること、またグローバルレベルでのサーベイということもあり、これだけでは現場レベルで起こっている日々の細かな課題を拾いにくいと感じていました。それを補うため、幣部門で独自にWevoxを導入し、月に1回のサーベイをより細かなレベルで実施しようと考えました。

大久保:導入の決め手は、瀧谷が申したようにやはり「頻度」のところですね。毎月の調査で各チームの状況が可視化できる点が非常に魅力的でした。私自身も管理職ですのでわかりますが、チームメンバーの考えや状態はなかなか把握することが難しいです。それらが可視化されることで全体最適に向けた取り組みができ、将来を見据えた決断をしやすくなるので、活用できるツールだと判断しました。
瀧谷:我々はWevoxを完全無記名で運用していますが、営業部ごとの分析だけではなく、入社年度、性別といったカテゴリで分析できるように設定しています。現在、弊社はビジネスの大幅な拡大に伴い、新卒および中途採用を加速していることから、新入社員と既存社員との間のエンゲージメントに課題はないかという点もとくに慎重に確認しています。また、出産や育児から復帰するメンバーも多いため、ダイバーシティの観点から、それらの社員が働きやすい環境にあるかという点も非常に重要なポイントです。
これだけ外的環境の変化が激しい中、年に1回のサーベイだけでは、部門内のエンゲージメント改善に注力できなというのが正直なところです。毎月のWevoxスコアを通じて、何がどう改善されたのか、もしくは何が改善されていないのか短いスパンで確認できる点は、組織運営において非常に役に立っています。
管理職だけに押し付けず、部門全体あるいは全社で改善のためのサポートを考える
―施策をいろいろと実行されているそうですが、その1つが管理職と共に取り組む「ふりかえりミーティング」ということでしょうか。
大久保:そうですね。毎月スコアが出たところで実施しています。
瀧谷:私たちの営業統括本部には約200名ほどのメンバーがいますが、本部長2名と部長が15名、一部のリーダーを加えた20名で週に1回、60分のマネージャーミーティングを実施しています。通常は重要な全社的伝達事項の共有や、ビジネス上の緊急課題について討議する場として運営していますが、その中で月に一度、Wevoxのスコアについてのレビューを実施しています。
―どのようなことを話し合っているのですか?
瀧谷:チームごとのスコアのレビューをしながら、必ず改善アクションについて全員で討議しています。改善アクションは即日実行に移し、翌週以降、その進捗を確認しています。管理職全員が同じテーブルで討議することにより、自分のチームのスコアを確認するだけでなく、他のチームのスコアと比較ができることで、課題の特定が容易になります。
例えば自分のチームだけある項目のスコアが落ちているようなことがあれば、そのチームで何か課題があるということですし、全体で下がっている傾向があれば、組織全体の問題、あるいは全社的な問題の可能性が高いと言うことです。
大久保:資料については、議論の土台にするために私の方で毎回作成し、ミーティングの前には共有しています。

瀧谷:毎回ヒストリカルに改善傾向が見られるようにしています。それによって、これまで以上に自分のチームのワークライフバランスや理念、戦略への共感といったことに対するアテンションが高まり、管理職自身の考えや行動も変わってきているように感じます。
1つ大事な点は、Wevoxのスコアを決して人事評価に使わないという点です。仮に特定のチームのスコアが落ちたとしても、そのチームのリーダーだけに責任を問うということはすべきではありません。多くの課題は、特定のチームの課題というよりは、やはり部門全体・全社的な課題との複合的要因から生まれていることが多いからです。当部門だけでその課題を改善するのは難しい場合もあり、場合によっては上位組織に当たるアジアパシフィックリージョンにエスカレーションすることもあります。
大久保:議論を進める際の中心に「コメント欄」を参考にすることが多いです。コメントはチームごとに出てきますが、先ほど瀧谷が話したように、特定のチームだけの問題とは限らない場合がほとんどです。そのため、「こうした課題は他のチームでもないですか?」とディスカッションを進めていきます。コメントをチェックしながら、「これは会社として課題だよね」とか「部内のコミュニケーションの課題ではないか」といったように話をしていくイメージです。あるいは、経営戦略や営業戦略の共有がきちんとできていないような場合もあるので、そこについては2週間に1回、部門内で行っている戦略共有のための会議で瀧谷の方からしっかり話すようにしてもらい、あらゆる手で対策を講じています。
―他のチームの状況も見ながら、どこに課題がありそうかを皆さんで話すわけですね。
大久保:そうですね。一方で、当然スコアがいいチームもあるので、そこについては「何をしているのか」を共有してもらったりして、改善案を考えるための参考にしています。「他のチームはそこまでやっているのか」と管理職自身が気づくことがあったら、すぐに持ち帰ってチームメンバーとミーティングをすることもあるため、刺激を受ける場になっているようです。
「みんなの声で組織がよくなる」を実感できる環境づくりで本音を引き出す
―「コメント欄」を活用しているとのことですが、なかなか集まらないと苦労している企業も多いようです。毎回コメントを書いてもらうために、どんな工夫をしているのですか?
瀧谷:我々も最初の頃はコメントは少数でした。やはり無記名ではありながらも、本音を書くことに対する不安感があったのかもしれません。だからこそ、このWevoxによるサーベイは「組織内のコミュニケーションを透明化・活性化」し、「現場での課題を早急に解決する」ことで、「より働きやすい環境にする」ことが目的であることを繰り返し伝えてきました。この理解が深まることで、少しずつ具体的なコメントも増えてきたのだと思います。
大久保:毎月のふりかえりミーティング以外に、部門全体会議の中でも、Wevoxのデータをもとに現場の課題と解決に向けた取り組みの話を瀧谷から直接伝えてもらっているのですが、それも大きなポイントだと思っています。コメントを含めて皆さんの意見をしっかりピックアップしていることと、その解決のために確実に動いていることをわかってもらえているので、コメントしやすいんだと思います。
瀧谷:困っていることを組織に伝えれば、組織として改善に取り組んでもらえるんだ、と実感してもらうことはとても大事です。ただ、これが浸透するのに半年ほどかかりました。

―ふりかえりミーティングという場を有効活用するには、管理職たちの協力は欠かせないと感じました。彼らをいかに巻き込むかが重要なポイントだと思いますが、そのために工夫していることについても教えてください。
大久保:管理職一人ひとりの意識づけについても、最初の段階ではかなり苦労しました。やはり、「この取り組みは何のためにやっているのか」をきちんと説明していくことが大事です。また、特にスコアが低かった場合は、直接その管理職にコンタクトを取るようにしています。「この課題は、この様にしたら解決できるんじゃないか」と声をかけたり、メンバーも交えて一緒にミーティングをしたりして、アドバイスというよりは、気づきを与える時間を取り、管理職自身が動けるような支援を意識していますね。あとは瀧谷が直接チームメンバーを交えてミーティングをすることで、管理職だけでは拾えない課題感を確認し、解決に向けてアクションしてもらっています。
瀧谷:営業部門の管理職においてビジネスのパフォーマンスマネジメントはとても大事ですが、従業員エンゲージメントを含むピープルマネジメントはそれ以上に大事です。ピープルマネジメントに注力し従業員エンゲージメントを高めることで、結果として個人やチームが良いパフォーマンスを発揮することを、管理職全員が理解し実践していく必要があります。
大久保:行動指針の定義も大きかったのではないでしょうか?
瀧谷:そうですね。2021年初頭に営業統括本部の行動指針を定義しました。これは、企業としての経営理念やビジョンを実現するために、我々の組織が、その理念やビジョンを達成するための行動規範、行動基準をまとめたものです。Wevoxを通じて明らかになった組織の課題に対し、我々がどの様に行動を変化させ、それらを解決する必要があるか、それを改めて定義しました。この様な行動指針を組織内外に浸透させることで、管理職自身も行動を変化させる重要性に対して気付きがあったと思います。その進捗を確認するために、Wevoxを活用していこうと考える流れができあがってきたかなと思います。
チームの状態が可視化されたことで、さらに「風通しのいい風土」に
―瀧谷さんに伺いたいのですが、「エンゲージメントを高めること」は組織にどういった価値を生むと思われますか?
瀧谷:我々のような営業部門は、どうしても「自社の利益」や「お客様」に視点が向きがちです。ただ、私が一番大事だと思うのは従業員のエンゲージメントです。社員が気持ち良く働けることや、自分達が志を持って前向きに仕事ができることが何より大事であり、それがなければお客様への活動の質も上がりませんし、結果としてお客様の満足度も上がらないでしょう。組織、それはつまり従業員の集まりであり、従業員のエンゲージメントを高めて、従業員一人ひとりが自分の「個」を高めながら、同時にチームワークとしての「和」を高めなければ、組織としての成長はありません。それは日頃からチームメンバーに伝えるようにしています。
その結果として、おかげさまでこの3年間は業績も常に上向きで、対前年比成長を続けることができています。
―組織の改善が結果につながっているということですね。続いて大久保さんに伺いたいのは、ふりかえりミーティングのような場があることは、管理職が組織運営するうえでどんなメリットがありそうですか?
大久保:自分のチームの評価やスコアをまずは受け止めることが、ミーティングを通じてできるようになります。そのうえで、それぞれのメンバーの状況を踏まえて1on1でケアやフォローすることが大事になってきます。管理職の立場としてそういう見方・接し方ができるようになったのは、私自身の変化として大事なことだと感じています。
瀧谷:私がWevox通じて最初に期待したことは、「現場の空気感を良くすること」でした。弊社は外資系企業と言う事もあり、元々オープンなカルチャーではありましたが、営業部門では空気が殺伐とすることもあります。その様な状況でも、言いたいことをいつでも言える組織、つまり心理的安全性が担保された組織を目指したい。そして、それは少しずつ実現できてきていると思います。
特にここ2年間はパンデミックの影響で在宅勤務が続き、お互いの顔が見えにくく、チームマネジメントもエンゲージメントも高めにくい状態にありました。その様な中、Wevoxの結果を毎月メンバーにシェアすることは、ビジネス面以外でのマネージャとメンバー間のコミュニケーションの良いきっかけになっているのではないかと感じます。
大久保:Wevoxのスコアをチームでふりかえる時は、4人~10人程度の少人数に分かれて議論をするようにしているのですが、そのように少人数化することで当事者意識が芽生え、本音で話しやすくなっているようです。そこで現場目線でアイデアを出してもらうと、多様な意見が出てくるんですよ。瀧谷が「現場の空気感を良くすること」と言いましたが、チームの状態が可視化されることで自分の意見が言いやすくなっているのは間違いありません。

瀧谷:それは本当に良かったですよね。
大久保:あと、コメントの話については「悪いことだけでなくいいこともコメントしてほしい」とお願いしているんです。案外、ポジティブなことって言葉に出にくいと感じています。私たちは社員に対して積極的にアワードやリワードを実施しているのですが、そこに対して「嬉しかった」とか「あって良かった」といったようなポジティブな言葉が聞けると、我々の考えた戦略・アクションは継続してほしいことなんだと確認できますよね。そこから次の戦略や施策に生かすことができるため、ポジティブな情報発信がしやすい雰囲気づくりも引き続き大切にしていきたいです。
―最後に今後の組織づくりに向けた意気込みをお聞かせください。
瀧谷:昨年定義した我々の行動指針も、組織の成長に合わせて見直す時期に来ていますので、引き続きWevoxを活用しながら、常に組織の課題点をウォッチし、改善活動を続けることで、より働きやすい組織、働きがいのある組織を目指し、従業員エンゲージメントを高めていきたいと思います。
大久保:新入社員が多く入ってきている中、既存社員がしっかりと新入社員に対してコミュニケーションを取り、同時に「いい手本」として発信していけるような環境をしっかりとつくっていきたいです。あとは社内ではおそらく私たちの部門だけがこの取り組みをしていますので、他の部門から見ても魅力的な組織となり、「この組織でチャレンジしたい」と思ってくれる人が増えていくような風土にしていきたいですね。






