仕事の意義を理解し、一人ひとりが主体的に働く組織へ〜現場発案で進めるエンジニア組織のエンゲージメント活動〜

仕事の意義を理解し、一人ひとりが主体的に働く組織へ〜現場発案で進めるエンジニア組織のエンゲージメント活動〜

株式会社アテック
小野 謙一郎氏
小野 謙一郎氏
株式会社アテック
常務取締役

2006年に中途入社し、約10年間営業を担当。2016年以降、管理部門の部長、本部長を歴任し、現職。

栗山 遼太氏
栗山 遼太氏
株式会社アテック
技術推進本部 技術2部

2015年に中途入社。現在は自動車メーカーからの委託業務を担当するグループにて車載ECUの横断開発に従事。同時に、Wevoxを活用したエンゲージメント推進活動の事務局であるWevoxチームのメンバーを務める。

國分 遥斗氏
國分 遥斗氏
株式会社アテック
技術推進本部 技術2部

2021年に新卒入社。現在は自動車メーカーからの委託業務を担当するグループにて車載ECUの横断開発に従事。同時に、Wevoxチームのメンバーとして毎月のサーベイ結果の分析やスコアファイルの管理を担当している。

島崎 由季氏
島崎 由季氏
株式会社アテック
技術推進本部 技術2部

2019年に中途入社。現在は自動車メーカーからの委託業務を担当するグループにて先進技術を用いた開発に従事。同時に、Wevoxチームのメンバーとして毎月のサーベイのフリーコメントの分析等を担当している。

自動車分野を中心に、制御ソフトウェア開発や機械・電子・電気設計、通信・ネットワーク構築等の技術者派遣と受託開発を行っている株式会社アテック。自動車メーカーからの受託開発を担当する「横浜委託開発グループ」(メンバー約130名)では、グループ内のリーダー層の提案でWevoxを導入しエンゲージメント推進活動を行っています。その活動の歩みと成果について、担当常務取締役の方と、推進役を担っているWevoxチームの3名の方に伺いました。
※取材時(2025年1月)の部署・役職になります。

より主体的に仕事に向き合う組織を目指して、活動を開始

―横浜委託開発グループでは、2022年9月からWevoxを導入し、エンゲージメント推進活動に取り組まれています。どのような経緯から活動を始められたのでしょうか?

栗山:社内に導入されていたeラーニングで、横浜委託開発グループのマネジメント層全員がエンゲージメントに関する動画を視聴し、「メンバーのエンゲージメントを高めると組織が良くなる」ということを知り、自分たちもエンゲージメントを高めていく活動をしようということになりました。

その際、エンゲージメントの状態を測定できるツールを使わないと大変だろうと考え、いくつかのツールを比較し、情報が最も詳細に公開されていて、コストパフォーマンスの良いWevoxに決めました。

―「エンゲージメントを高めていこう」という動きになった背景には、何か組織としての課題があったのでしょうか?

栗山:マネジメント層全員で共通認識を持っていたわけではありませんが、主体性がないことが課題の一つでした。例えば、会議でメンバーに意見を求めた際に沈黙が続くことが少なからずあったのが当時の状況です。この課題を解決するためには、自分たちは会社の一員で、会社に所属している以上、会社も自分たちの人生も良くしていかなきゃいけないよね、エンゲージメントを高めてみんなが進んで仕事をするようになれるといいよね、ということになったのかなと認識しています。

―小野さんは横浜委託開発グループからこのお話を聞かれた際、どのように受け止められましたか?

小野:最初は私も疑心暗鬼というか、お金がかかることですし、ツールを入れてもただ答えるだけで有効活用できるのだろうか?などと様々なマイナス面も考えました。ただ、この横浜委託開発グループは、普段から他グループに比べて経営陣に対し「新しいことをしたい」という提案が多いグループなのです。そして、実際にいろんなシステムを導入するとうまく使ってくれています。だから、このグループならやってくれるんじゃないかという期待を持てました。

また、本来なら、こういったことは経営側から仕掛けて取り組むべきことです。ただ、当社には、取引先に派遣されて働く社員もいれば、横浜委託開発グループのように客先常駐で受託開発を行っている社員や、当社の中で受託開発を行っている社員もいるなど、従業員が様々な形態で働いているため、全社で一気に取り組む難しさを感じていたところでした。そこに、現場から自主的に「やりたい」という声が挙がってきたのが嬉しかったですし、10年以上の歴史のあるグループでもあるので、取り組む土台もできているだろうという判断をしました。

活動目的を定めて、「発言をほめちぎる会」「仕事をほめる会」などの施策に落とし込む

―では、2022年から現在までの2年強でどのような取り組みをされてきたのでしょうか?

栗山:毎月のサーベイごとに各グループで振り返りをすることと、フリーコメント欄に記入されたコメントの一部をWevoxチームからマネジメント層に展開し、マネジメント層からメンバーに共有してもらうことはスキームとして決めて取り組んできました。一方、それ以外の活動は、初めの1年ほどは思うようにできていませんでした。このままではいけないということで、アトラエさんから提供されているエンゲージメント推進活動の指針を最初から読み直して、2024年からはWevoxの活用目的を決めて具体的な活動計画を立てました。

活用目的は、「自分の行っている業務に対して『ワクワク』や『楽しさ』を感じ、前向きに仕事ができるようになる」です。これを実現するために、「①自分のなりたい未来を設定する」「②個人でワクワクを設定する」「③自己肯定感が上がる職場」「④仕事のゴールが見えている(全体感の中で自分の業務の立ち位置・役割が理解できている)」という4つのプロジェクトを動かすことにしました。プロジェクトごとに具体的な手段をいくつか計画して、各マネジメント層単位で活動するという形で計画的に進めています。

―2024年度に実践されたのは、どのような取り組みですか?

栗山:③の手段としての「発言をほめる」と、④の手段としての「仕事について語る会(以下仕事をほめる会)」、②の手段としての「自己分析」の3つです。

まず取り組んだのが、「発言をほめる」で、マネジメント層ごとにその配下にあるグループで集まって「発言をほめちぎる会」を実施しました。上司や部下に関係なくお互いをほめることに慣れ、ほめられる環境をつくることで自己肯定感が上がり、発言のしやすさなどにもつながっていけばと考えて計画したものです。そうして発言しやすい土壌を作った上で、次に「仕事をほめる会」を実施しました。各自の仕事のどんなところが良いか、役に立っているかなどを話し合う会です。

「自己分析」は実施に向けて詳細を詰めている状況で、Wevoxの個人特性診断を活用する計画です。診断結果をふまえて対話の機会を作り、対話をすることで相互理解を深め、自分を見つめなおす機会につなげられればと考えています。

―では、すでに実施された2つの取り組みについて詳しく教えてください。まず、「発言をほめちぎる会」はどんなふうに実施されたのですか?

栗山:まず、各自で自分の得意なことなどを書き出して1人ずつ投影しながら説明し、他のメンバーは役職等に関係なく「そうだよね」「他にもこういうところがいいよね」などとお互いがお互いをほめる形をとりました。この方法をWevoxチームから各グループに案内し、必要に応じてアレンジしてもらえればと考えて、取り組みました。

―やってみてどうでしたか?

栗山:「恥ずかしかった」という人もいれば「すごく気持ち良かったのでもう1回やりたい」という人もいて、リアクションは多様でした。

國分:1人のメンバーとしての率直な感想は「恥ずかしかった」です。ただ、同僚たちと話しているうちに気恥ずかしさは抜けていって、だんだんと気持ちいい感じにもなりました。特によかったのが、自分では長所だと思っていなかったところや何とも思っていなかったような自分の技術が、実は周りからは「すごい」と思ってもらえていたことを知れたことです。今後も形を変えつつでも、こういうことをやっていけたらいいのかなと感じました。

島崎:私たちのグループの場合、個々に業務や技術が確立していて、個人で仕事をしている人が集まっているような形のグループなので、チームワークという言葉があまり当てはまりません。お互いにほめ合う機会もなく、そもそもほめられることに美点を見出してない人が多いグループです。だから、単純に個の良さをほめ合っても響かないだろうとマネジメント層が判断し、「今後も継続したり、伸ばしたりしていけるといい強みや利点は何か?」という観点でお互いに話をすることにしました。

結果、他の人から見た自分の評価を改めて知れて、お互いにそれを言い合える時間としてすごく有意義だったと感じています。元々「自分はここが強いんだろうな」という認識を持っている人も多いので、それを後押ししてもらえるような言葉がもらえて「やっぱりこれでいいんだ」とより自信を持てたのではないかと思います。

―次に実施された「仕事をほめる会」はいかがでしたか?

栗山:仕事をほめる会では、各自の仕事のどんなところが良いか、役に立っているかなどを話し合いました。実施後のサーベイに記入されたフリーコメントでは、ポジティブな感想が9割で、ややネガディブな感想が1割でした。今、マネジメント層からメンバーに対して生の声を雑談の形で聞いてもらいブラッシュアップし次の活動につなげようと考えています。

國分:グループ内での共通認識を作るというところですごく役に立ったのかなと感じています。というのは、私や栗山さんが所属しているグループの業務は、ある程度やることが決まっています。そういった業務に従事していると、やりがいを感じづらくなるんですよね。そこに、グループのメンバーみんなで「自分たちの仕事ってこういうものだよね」「普段特に考えずにやってるけど、こういうことに役に立ってるよね」といったことを話し合う時間ができたことで、グループ内での共通認識を作ることができたように思います。

島崎:私たちのグループは、皆それぞれ異なる業務をしているので、仕事をほめるといっても何をほめればいいかわからない部分がありました。そこで、「グループの仕事を第三者に見せるときに、何を良いところとしてアピールできるか」という観点で考え、話をすることにしました。そうすることで、自分たちのグループの仕事の良い点を客観的に話せるのではないかと仮定してのことでしたが、実際に、「私たちの仕事のどこがすごいのか」「私たちの業務のこういうところが良い点なんだ」という定義づけができたのは大きかったですね。普段から「反省」という形で業務を振り返ることはしていますが、「何のためにこの仕事をしているのか」というポジティブな振り返りの機会はこれまでになかったので、新しいことができたんじゃないかと思います。

仕事への前向きさ、離職率などに変化

―これまでの活動を通して、組織や各グループの中にどのような変化が生まれていますか?

栗山:活動を始める前に比べると、会議での発言が増えていますし、みんながいろんなことを考えて改善しようとする雰囲気になってきています。

國分:働く環境も良くなったと思います。例えば、古いモニターを新しくしたり、モバイルモニターを導入したりしたのですが、これらは、毎月のサーベイのフリーコメント欄に書かれていた「モニターが古くて使いづらい」「モニターが足りない」といった要望をもとにした改善です。フリーコメント欄に記入があれば、何もないところからよりも「こういうコメントが来ているので」と改善提案がしやすくなりました。

また、同僚からきつい発言が出たときや、ちょっと良くないことが起こったときに「それはエンゲージメントが下がっちゃうよね」といった会話になることがあります。日常の会話でも「そういえばこんなスコアだったよね」などとWevoxそのものの話題が出るようにもなってきていて、活動が定着してきていることを感じますし、みんなで気持ちよく仕事をしようということを気にしてくれるようになってきているのかなと感じます。

島崎:周りを見る限りでは、目に見える大きな変化はないのが正直なところです。ただ、月1回、サーベイ結果が出た後にチームでスコアの推移や傾向を見て『この項目は下降傾向だから、こういうことに注意してやっていこう』などと振り返りと対話を行ったり、他グループからの意見の共有を受けたりする時間を作っていることで、その都度、横浜委託開発グループの一員として一緒にやっていくんだという気持ちを新たにできていると感じます。

栗山:あとは、数字として表れているのは、離職率の低下です。Wevoxを通じた活動だけでなく新人の受け入れ教育の見直しなども行った結果だと思いますが、入社から3年以内に離職する人の数が、中途入社も含めてすごく減りました。

―新人教育は、どのような見直しをされたのでしょうか?

栗山:これまでは、本社での1〜2カ月の研修後横浜委託開発グループに配属になると、すぐにグループ内の細分化されたチームに配属され、業務に当たりながらそのチーム特有の仕事を覚えていました。それを、2022年度からは横浜委託開発グループ内の共通の基礎知識を身につけられるチームを作り、横浜委託開発グループに配属された新入社員はそこで一定期間仕事をした上で配属先に移るという体制を作りました。

また、ほぼ同じタイミングで新入社員に対して先輩社員が付くバディ制度も導入しました。バディ役の社員の役割は、日常的な困りごとや不安、些細な疑問に回答することです。新入社員にとってそういった存在がいることで、より溶け込みやすく、早く職場に慣れることができる環境を作ろうということで始めました。

この二つが大きな要因と考えていますが、これらに加えて、新入社員へWevoxの活動を説明する時間も作り会社を良くしていこうとしている組織であることを伝えることも、離職率低下につながっているのではないかと思います。

相互理解と共通認識を深め、より多くの社員が前向きに仕事に取り組む組織を目指したい

―最後に、今後の活動の見通しや、どのような組織・グループにしていきたいかというところを教えていただけますか?

栗山:一人ひとりが、自分の仕事に誇りを持って働けるようにしていきたいと思っています。当社の研修ではよく「3人のレンガ職人」の話をします。1人目は仕方なくレンガを積んでいる、2人目は家族を養うためにレンガ積みの仕事をしている、3人目は多くの人の救いの場となる大聖堂を作るためにレンガ積みの仕事をしているという、仕事に向かう意識の違いを表した話です。

私はこの話が非常に好きで、3人目のレンガ職人の考え方を理解することが、仕事に向かう上での一歩目なのではないかと思っています。そうすれば、仕事のアウトプットが変わってきますし、仕事に誇りを持つこともできます。全員が全員、3人目のレンガ職人のような意識で働く事は難しいと思いますが、このような考え方や仕事への向き合い方があるということを知り、仕事に前向きになれるといいなというのが一番の思いです。そのためには、相互理解を深めたり、共通認識を持ったりすることが大事だと思っています。

また、Wevoxを通じた活動は、現在は、Wevoxチームのメンバー9人と、協力してくれている社員とで牽引していますが、協力者の人数をより増やしていって、活動のスピードを上げていきたいと思います。特に各グループのリーダーとの連携を強化して、各グループの事情に応じた働きかけ方を相談しながらやっていけたらと思っています。

國分:栗山さんが話した相互理解は、僕も大切にしていきたいなと思っています。また、個人的に、働く環境が良い状態かどうかということを気にかけているので、Wevoxを活用して働きやすい職場環境づくりを行っていければと思っています。

加えて、栗山さんからもありましたが、Wevoxチームとしてもう少し活動のスピードを上げられるようにしたいと思います。具体的には、時間をかけることが重要な施策はしっかりと時間をかけ、サーベイ結果の分析や分析結果のメンバーへの展開など定常的に行っていることはテンプレート化してかける時間を短縮し、その分、エンゲージメントを高める活動の方に時間を充てられるよう、協力してやっていきたいと思っています。

島崎:会社の中にはいろんな意見や考えを持つ人がいますが、その中でも一人ひとりが自信を持って仕事ができる職場になるのが一番いいなと思っています。

Wevoxチームとしては、長い人だと2年以上携わっているので、グループとしての考えが凝り固まっていかないように、今後は、今いるメンバーとは異なる意見を持っている人や、年齢が異なる人、多様な職歴の人にもメンバーに入ってもらって、より多様な方向からアプローチできるような活動ができるといいなと個人的には考えています。

―小野さんは、経営のお立場から見て今後の組織のあり方やエンゲージメント推進活動のあり方についてどのようにお考えですか?

小野:当社はメーカーなどではなく、工場や大きな設備を持っているわけでもない、「人」が財産の会社です。しかも、技術開発や設計の仕事ですから、一人ひとりが常に学び、成長し続けなければ技術の変化・進化に対応できません。そして、新しい技術は開発・設計の現場にこそあるものですから、周りとコミュニケーションをとりながら主体的に仕事をしていくことで、新しい知識や技術を吸収して成長していくことができると考えています。この人間力を、技術力と共に大事にすることに今後も力を入れて、人的資本経営を体現するような会社になっていきたいと思っています。

また、この横浜委託開発グループの取り組みと離職率の低下という一定の結果を見て感じるのは、「Wevoxを導入したから良くなった」ということだけではなくて、「Wevoxを活用する土壌がある組織だった」ということが大きいのかなと思います。というのは、当社では、毎年、経営から会社の方針を発信し、それを踏まえて各部署が向こう1年間どのような方針で業務にあたるのかを話してもらう機会や、年数回、比較的若手の社員から経営に対して業務報告をしてもらう機会などを設けています。これらの機会において、横浜委託開発グループのエンジニアは、「会社がこういう方針なので、私たちはこういう考えでこの1年業務に当たっています」としっかりと話してくれる人が多いんです。そういった土壌のあるところにWevoxを入れたことで、また考えるきっかけができて、より良い方向に向かったのかなと思います。

会社全体で、会社の方針をグループや自分の仕事に落とし込んで考えることがもっとできるようになってくると、一人ひとりの社員がやっている仕事と会社の向いている方向が同じになってくるので、より離職率低下などにも繋がっていくのかなとこのグループを見ているとすごく思います。

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