
メンバーの本音を引き出し、目標への目線合わせを――マネージャーが実践する「タイワカード」を活用した1on1

インフラエンジニアとして事業部門に14年間勤務したのち、2021年度に経営企画へ異動し、中期経営計画の策定をはじめとした経営企画業務を所管。その際にWevoxの全社導入を推進。2022年度より、新卒・キャリア採用を担当する採用課にて14名のメンバーを管掌している。
2021年度下期からのトライアル導入を経て、2022年7月よりWevoxを全社に導入し、エンゲージメント向上に取り組んでいる株式会社JSOL 。Wevoxの導入に携わり、現在は新卒・キャリア採用を担当する部門の課長を務める田井さんが、組織マネジメントのために取り入れたのが、Wevoxが開発した対話を促進するカードゲーム「タイワカード」とWevoxとの連動です。このタイワカードが、マネジメントにどのように活用されているのか、お話を伺いました。
メンバーの本音を引き出すために、タイワカードを導入
―まず、2022年7月に全社導入されたWevoxについて、田井さんの部署ではどのように活用されていますか?
大きく2つの取り組みをしています。1つ目は、定期的な振り返り会です。課のメンバーを4~5名のチームに分け、1枚モノの振り返りシートに記入する形で、スコアの変動の要因や、小項目のスコアからわかる課の強みや弱みについて意見交換する時間を設けています。そこで出た組織の課題、例えば、「タスクアサインの予実管理が可視化しきれていない」など、メンバーからの声に対して、解決・改善策を検討・実行しています。
2つ目は、タイワカードを用いた1on1です。普段の1on1とは異なる切り口で対話をする機会として、2022年12月からタイワカードを取り入れています。まだ始めたばかりですが、タイワカードの9つの対話テーマはWevoxの9つのキードライバーと一致しているので、タイワカードを使ってメンバーと対話することでWevoxとも連動できるのではないかと感じています。
―なぜタイワカードを取り入れられたのですか?
きっかけとしてあったのが、私自身の1on1のやり方をもう少し確立させたいという思いです。私は昔から、しゃべりすぎる傾向が強く、いろいろとヒアリングはするものの、結局私と相手の発話量の比が6:4や7:3になってしまうこともあったので、何かツールを使うことで私の発話量を減らせないかと考えていました。
加えて、これは副次的な効果ではありますが、マネージャーとしての傾聴スキルを磨きたいという思いもありました。タイワカードのWebサイトを見ると、カードの種類の1つに傾聴のポイントが書かれた「シセイカード」があり、これを使えばいろんな傾聴スキルを学べるのではないかと考えたのです。。対話のコツをただ知識として知るだけでなく、1on1という実践を経ることで、マネージャーとしての素養やスキルについても向上させることができるのではないかと思ったのが2つ目のきっかけです。
直接的なきっかけはこの2つですが、原点にあるのは、メンバーの発話量を増やして本音を引き出したいという思いです。というのも、私自身は採用領域を所管するのは2022年度が初めてであり、かつメンバーの半数近くは事業部門からのローテーションメンバーとなっています。8〜10カ月間ほど採用業務に従事した後にもとの部署へ帰任するという、人の入れ替わりの多い課でもあります。そのためできるだけメンバーと対話する機会をつくって関係性を早期に構築し、業務や組織に対する不満や不安、疑問点や気づきなどをヒアリングしていきたいと考え、その取り組みの1つとして1on1にも積極的に取り組んでいました。

―振り返り会と1on1は果たす機能は違ってきますか?
振り返り会では、チームごとに意見を集約し、課会などを通じて共有することで、課としての共通見解を導き出したり、課全体の意識統一を図ったりしています。ただ、メンバー一人ひとりが感じている課題については、様々な視点があると思うので、それらを拾っていくには振り返り会だけでは足りません。少数意見や、チームで集約された意見の中に表れなかった本音を拾うためにも、1on1は必要だと思っています。どちらも、マネジメントにおいては重要な役割を持つ取り組みだと考えています。
タイワカードによって、自分にない切り口からメンバーの意見を引き出すことができる
―実際にタイワカードを1on1の中でどのように使っていますか?
月1回、30〜45分ほどの1on1をメンバー一人ひとりと設けているのですが、特に大きな相談事項はないというメンバーに対しては、「今日はカードを使った1on1をしたいんだけどいい?」と事前にメンバーから了承を得た上で、1on1のすべての時間を使ってタイワカードを活用しています。使い方は、タイワカードのWebサイトに示されている「遊び方」の4つの手順そのままです。

―メンバーの方の本音を引き出す上で、タイワカードがあるメリットをどのように感じていますか?
まず、「シセイカード」でマネージャーの聞く姿勢を決めることで、その場の傾聴姿勢が決まるため、ヒアリングに注力することができます。さらに、「トイカケカード」によって問う内容が指定されることで、様々な切り口で問いかけることができ、メンバーの発話量を増やして思いや本音を引き出しやすくなります。
この「トイカケカード」の存在は大きいですね。私が持っている切り口とはまったく異なる切り口の質問ばかりなので、メンバーからも、いつもと異なる視点からいろんな意見が出てきます。これまでの私だったらそこまで聞くことができなかったことを、「トイカケカード」は引き出してくれています。
―何か印象的な「トイカケ」はありましたか?
例えば、「その出来事を、新聞の見出しにするとしたら?」というトイカケカードを一度引いたことがありました。それを「今話してくれたエピソードを明日新聞に出せるとしたら、どうやって見出しにして読み手をひきつける?」などと少し読み替えて問いかけるんですが、メンバーは一生懸命に考えてくれます。自分の頭で考えて、何かしらアウトプットをすることで自身の考えを整理できているように感じます。
あとは、1on1の最後に冒頭にひいていた「シセイカード」をメンバーに見せて今日はどんな聞く姿勢で話を聞いていたのか種明かしをするのですが、「なんかいつもの田井さんじゃないなとは思ってたんですよねー。」などとメンバーが本音を話してくれることがあります。そうやって、感情を出し合いながら、本音ベースで対話ができるきかっけがこのツールの要所要所に入っているのかなと感じています。

―Wevoxやタイワカードを用いたマネジメントによって、組織やメンバーの皆さんに何か変化は見られていますか?
1on1に対し、変に身構えることがなくなったように思いますね。これまでは、「業務があるのに1on1に行かなきゃいけない…」「何を聞かれるんだろう?」と腰の重い様子が見られるメンバーもいましたが、対話カードにゲーム要素があるからか、「ちょっと行ってくるか」という感じで1on1に臨む際の表情が少し明るくなった感覚があります。
―メンバーの皆さんがよく選ばれるテーマはありますか?
IT業界の上位20%であるベンチマークと比べたときに、私の課では9つのキードライバーの中で、「自己成長」と「健康」のスコアに少し改善ポイントがあることから、この2つを改善項目として置いているのですが、メンバーが選ぶのもやはりこの2つのテーマが多いですね。とくに事業部門から一時的に異動してきているメンバーは、「採用業務に従事することで自分はどのように成長できるのか?」「どういう意識でこれから採用業務に取り組めばいいのか?」というところに疑問を持っているメンバーもいます。そこで、私から「こういう理由でこういう成長があるんだよ」と説明することで、前向きに業務に当たってもらえるようになっているかなと思います。
あとは、上の立場の人間に対し「細かい相談をしやすくなった」という声は結構出てきています。タイワカードを使いながらさまざまな話を引き出しているので、それが相談のしやすさにつながっていればいいなと思っています。
―田井さんご自身のマネジメントにも変化はありましたか?
Wevoxではスコアという”定量的”なデータがあることで、メンバーと同じ情報を見ながら改善ポイントはここだよね、と一つひとつ明確に言えるようになったのは、組織づくりによい効果をもたらしていると思います。当社はこれまでも、社員満足度/社員エンゲージメントの向上に向けた取り組みは行われていたのですが、調査タイミングは年1回でした。年間1回の調査だと、「結果を踏まえて年間でこういった活動をしていきましょう」で終わっていましたが、その点Wevoxでは、月ごとのスコアの変動も勘案しながら、柔軟に改善ポイントを変えていくことができるようになりました。そこに加えて、さきほど述べた振り返り会とタイワカードの”定性的”な思いを組み合わせている形です。
また、私はメンバーに対して「羊飼い型のリーダーシップを目指します」と宣言して組織管理を行っています。というのは、採用業務はメンバー一人ひとりが学生や求職者の動向に合わせて丁寧かつリアルタイムに向き合って取り組むことが大事で、各自がスピード感を持って判断していくことも求められます。したがって、私の役割はメンバーを統率することではなく、ゴールやビジョンを示して、ゴールに向かっていくメンバーを後方のやや高台から「ゴールはあっちだよ」と伝え、道筋から逸れてしまいそうなことがあれば、ベクトルを修正してあげることだと思っています。
この方針で組織管理を行っていくには、個々のメンバーの思いとチーム方針とを掛け合わせて共感できる領域を増やし、その共感の背後にあるそれぞれの思いや、チームとして定めているゴールに向かう熱意について、しっかりとベクトルを合わせていかなければなりません。そのためには、一人ひとりとゴールを見定めながら対話をしてくことが大事と考えており、その手段としてWevoxとタイワカードが生きていると感じています。

タイワカードとWevoxを連動させた組織づくりに取り組んでいきたい
―冒頭で、「タイワカードを使ってメンバーと対話することでWevoxとも連動できるのではないかと感じている」というお話もされていましたが、今後、Wevoxやタイワカードをどのように活用していきたいとお考えですか?
取り組みたいと考えていることが2つあります。1つは、各回の対話を単発で終わらせるのではなく、前回と今回、今回と次回、と連動させていくことです。毎回の対話は「オタカラカード」を使って締めますが、その締めくくりに話した内容やメンバーから出た意見を次の回でまずは振り返り、1カ月の変化などを踏まえてその月の対話をしていけるようにしたいと思っています。
もう1つは、冒頭にお話しした、対話のテーマとWevoxとの連動です。対話のテーマはメンバーが決めることを原則としつつも、課として注力するキードライバーがあったときには、例えば四半期に1回程度の頻度ではマネージャー側がキードライバーと連動したテーマを指定し、そのテーマについてメンバーが話す回を設けることも考えています。そうすることで振り返り会の中で、組織として振り返った内容と、個人が考えていることの融合ができるのではないかと考えています。
2つとも、具体的な方法の検討はまだこれからですが、実行できるようにしたいですね。
―では最後に、他社のマネージャーのみなさんに向けて、エンゲージメントを意識したマネジメントやタイワカードの活用法などについてメッセージをお願いします。
1on1の大切さを認識しながらも、どのように行えばいいかわからないというマネージャーの方は多いのかなと思います。その場合、まずは一度、このタイワカードを使ってみることをオススメします。繰り返しにはなりますが、さまざまな切り口からメンバーの意見を吸い上げることができるので、意見の吸い上げ方や傾聴の方法に迷っている方などにも是非おすすめしたいです。「こんなカードを買ってみたんだけど、1回ちょっとやってみていい?」と気軽に取り掛かる感じで良いと思いますね。








