
「ワクワクしながら創造的に働ける会社」を目指す〜戸田建設の組織風土改革2年目に行った6つの取り組み〜

1989年に新卒で戸田建設に入社し、技術職として16年間勤務。企画業務にも携わる。その後、株式会社ミスミグループ本社、ワタミグループに転じ、2022年に戸田建設へ再入社。イノベーション本部の顧問として、同本部に必要な取り組みを企画し実行する役割を担い、その1つとして、エンゲージメント活動の事務局を務めている。

2001年に新卒で三菱グループ内の企業に入社。環境管理業務や経営企画業務などに従事したのち、2022年に戸田建設へ。イノベーション本部 環境ソリューション部にて環境事業に従事したのち、2024年3月より現職。環境ソリューション部時代よりエンゲージメント活動の事務局を務めている。

人事部で2年間、新卒採用を担当したのち、2024年より現部署へ。主業務としてイノベーション本部の業務の総務的側面からの支援を担当しながら、エンゲージメント活動の事務局を務めている。

2022年に戸田建設入社。大阪支店にて1年半、建設・開発現場の事務機能を担う作業所事務を、その後半年間は支店内の建築管理グループにて事務を担当。2024年より現部署に異動し、同社が進めている持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進する「社会活動委員会」の事務局業務を主に担当。その一環としてエンゲージメント活動の事務局も務めている。
2023年5月からWevoxを導入し「ワクワクしながら創造的に働ける会社」を目指してエンゲージメント活動に取り組んでいる戸田建設株式会社イノベーション本部。導入2年目の2024年度の取り組みを中心に振り返り、今後の展望についてもお話しいただきました。
※取材時(2025年2月)の部署・役職になります。
課題意識を持つ社員・部署との繋がりが広がってきている
―前回のインタビューでは、2023年度の約1年間の取り組みについて伺いました。今回は、その後どのような活動を進めてこられたのか、2024年度の取り組みを中心に教えていただけますか?

尾登:前回のインタビュー以降の主なトピックスとしては、戦略サポート部の設立、他本部・支店の支援、アンバサダーミーティングの開始、「エンゲージメント・働きがいセミナー」の実施、20代~30代前半の社員による「若手組織づくりラボ」の開始、他社交流があります。
―2年目は6つの取り組みを主に行われたのですね。一つずつ詳しく教えていただけますか?まずは戦略サポート部の設立についてお願いします。
尾登:戦略サポート部は、2024年3月にイノベーション本部にできた部署で、現在、私や小出さんが所属しています。メインミッションは、会社が進めている経営戦略に基づいた企業風土改革のオペレーション支援で、サブミッションとして人的資本経営に資するイノベーションを担うこととなっています。その一環として、社内において「一歩前を進む」部署として機能してほしいという当時の戸田前副社長(イノベーション本部長も兼任)の思いから、Wevoxを活用したサーベイ・フィードバックの取り組みを私と小出さん、そして、管理企画部の内村さんと原田さんで協働して行っています。内村さんと原田さんは2024年に新たにエンゲージメント活動の事務局(以下、エンゲージメント推進チーム)に入ってくれました。
―他本部・支店の支援とは、どのようなことをされたのでしょうか?
尾登:Wevoxの導入以降、経営陣が集まる会議の場で副社長が私たちの取り組みを話してくれていたことから、働きがいの実現を目指して取り組んでいる他部署から相談を受けるようになり、支援を行いました。
例えば、東京支店のコミュニケーション改善推進チームからの希望で、アトラエさんから提供していただいた「価値観ワークシート」を使った価値観共有ワークをファシリテーションの仕方も含めて共有しました。支店内で計8回展開したそうです。
他にも、2つの支店から「Wevoxを試験導入し、活用できそうなら次年度から支店全体で利用したい」と相談を受け、その手配や、サーベイ後のスコアの見方・捉え方の説明などを行いました。結果、この2支店では2025年度からWevoxを導入する計画となりました。こうしてエンゲージメントに課題感を持っている人たちと繋がることができてきていることが、この1年の成果の一つかなと思います。

アンバサダーを起点に、各部での対話を目指す
―アンバサダーミーティングについても教えてください。
尾登:アンバサダーミーティングは、2024年5月から隔月で実施している取り組みです。Wevoxを導入した2023年5月以降、2カ月に1回のサーベイの結果が出たタイミングで各部の部長を集め、振り返り会を実施してきました。一方で、一般社員の中にも「職場のエンゲージメントに課題を感じていて、解決策を考えたい」と言ってくれる人がちらほらと出てきていたので、部長に限らず、エンゲージメント活動に関心のある方をまとめる場として始めました。
各部から合計19名が参加し、私たちエンゲージメント推進チームがEngagement Run!Academy(※)で学んだワークショップに一緒に取り組み、それらを自部署に持ち帰って対話の機会として実践してもらうよう働きかけています。
(※Wevoxが運営する、エンゲージメントに関する実践的なスキルや事例を共に学ぶアカデミー。)
―アンバサダーはどのように選出されたのですか?
尾登:各部の部長を介して手挙げ式で募集しました。19名中、一般社員からの手挙げは数名で、半分弱は部長が自ら手を挙げたケースです。他にも、課長職の社員が参加しています。マネージャー層が多いので、自ら手を挙げてくれる一般社員をどう増やすかが今後の課題です。
―アンバサダーミーティングの回数を重ねて、各部への波及状況はいかがですか?
尾登:ミーティングで聞いた内容を「いい内容だと思って部署の会議で共有して話した」という方や、メンバーとコミュニケーションをとるために、週1回、会議等の予定を一切入れない時間帯「雑談タイム」を作り「話したいことがあれば話しに来てほしい」と働きかけるリーダーの方が出てきています。
一方で、多くのアンバサダーは「まだ勉強中」「自分自身がもう少しレベルアップしないと」と話し、ワークを自部署に持ち帰ってファシリテーションするといった動きまではできないと自己理解している様子です。
自信を持てないというのは私自身も通った道ですし、壁を乗り越えていってほしいと思います。そのために私が今意識しているのが、「エンゲージメントを高めましょう」ではなく、「仕事の仕方を良くしましょう」「チーム力を高めましょう」という言葉で行動を促すことです。「エンゲージメントを高めるには?」だと漠然としていて何をすればいいかわからなくなってしまうのでは?という仮説から、より分かりやすい言葉で表現することで、アンバサダーが行動しやすくなるようにという狙いです。仕事の非効率な部分を改善する、属人化している仕事をチームで回せるようにするなどでも、働きがいの改善や、エンゲージメントの高まりに繋がるだろうと考えています。
セミナーにより、エンゲージメントについての理解を広げる
―「エンゲージメント・働きがいセミナー」は、どのような狙い・内容で実施されたのですか?
尾登:Wevoxチームの平井 雅史さんにご協力いただいて、2023年に第1回の「エンゲージメント・働きがいセミナー」をオンラインで実施しました。その際、全社から80人ほどの参加がありましたが、1回きりの実施だったので、そのときお話しいただいた「エンゲージメント」「主体性と共同体感覚」「対話の重要性」など、活動の鍵となる概念を理解している社員はまだ少ない状態でした。
そこで、対面でもう一度聞く機会をつくるとより理解が進むのではないかと考え、平井さんを当社にお呼びすることにしました。以前の内容に加え、第1回に参加した方やアンバサダー向けの内容も用意し、「初級編」と「実践編」の2部構成で2024年12月に第2回として実施しました。
加えて、より多くの人に視聴してもらうために録画映像をアトラエさんから納品いただき、社内に公開して社員がいつでも見られるようにもしました。
―実践編はどのような内容にされたのでしょうか?
尾登:アンバサダーの悩みなど現場の生の声を事前に集め、それらに対して平井さんから助言や示唆をいただく内容にしました。例えば「研究部門では皆、業務に余裕がなく、他者支援ばかりをしていると自分の研究開発の業務が遅延しかねない。この現状をどう考えるといいのか?」などの悩みに答えていただきました。
―参加者の皆さんからはどのような反響がありましたか?
尾登:セミナー後のアンケートで満足度などを5段階で評価してもらったところ、満足度の平均は4くらい、エンゲージメントに関する知識レベルの自己認識は受講前が平均2.6、受講後は平均4くらいに変化したというのが数値面からの評価です。
アンケートでは、「すごくわかりやすかった」「エンゲージメントという言葉を初めて知った」という感想や、「主体性の薄い指示待ち社員に対してどのように指導すればいいのか?」などの相談も寄せられました。エンゲージメントについての理解が進み、さらに興味を持ってもらえる機会にもなったのではないかと感じています。
また、申込件数は180件ほどでしたが、皆で会議室等に集まってワークをしながらの視聴を勧める案内を出していたので、申込1件につき数人での参加が多かったと思います。実際の参加・視聴者は300〜400人くらいいるのではないでしょうか。これは当社単体での社員の1割弱となる数で、任意参加とした割には多くの人が参加してくれた印象です。アーカイブ動画も、2024年12月末から2月後半までの時点で800回ほどアクセスがありました。
―今後も機会を見て実施される予定ですか?
尾登:そうですね。その都度、必要な内容と形式を考えて、実施できればと思っています。

若手が本音で組織づくりを考える場を設定
―続いて、「若手組織づくりラボ」についても教えてください。どのような狙いで始められたのでしょうか?
原田:出発点となった課題は、私たちイノベーション本部内の横の繋がりの薄さです。イノベーション本部は2つの統轄部で構成されていますが、相互の関わりが薄く、勤務地も東京本社と技術研究所(茨城県つくば市)に分かれている影響もあり「同じ本部だけど名前を知らない/名前と顔が一致しない人がいる」という状況が起こっていました。立地や部を超えた横の繋がりや、一つの本部としての繋がりができればという思いで「若手組織づくりラボ」を企画しました。
尾登:加えて、組織の心理的安全性がまだ低いことや、2022年から月1回実施していた副社長とのコミュニケーションの場「Morimichi Café」で若手社員が遠慮をして本音を言えていないのではないかという意見が出ていた背景もあります。まずは若手社員を対象に同年代だけで話す場を設けることで、より本音が言いやすくなるのではないかと考え、参加対象は30代前半までの若手としました。
同時に、実施にあたっては、主体的に組織を変える力を一人ひとりが身につけ、当社が変化に対応できる学習型組織になっていくこと、また、それぞれが成長を続けて自らが人生のハンドルを握ってキャリアを築いていけるような情報提供や支援が行える場にすることも目的に据えました。
―どのような内容で実施されていますか?
尾登:2025年2月に初回を実施したばかりですが、そのときはいったん私がファシリテーションをして主体的にキャリアを築いていくための視点を提供したり、『7つの習慣(※)』で示されている「影響の輪」と「関心の輪」についてのワークをしたりしました。
(※スティーブン・R・コヴィー博士の著書。)
加えて、お互いの部が何をしているのかを知るためにそれぞれ2部署ずつ、計4部署の部署紹介をしてもらいました。具体的には、その部署が果たす役割・ミッションと課題、最近の称賛されるべきトピックス、現状自部門が抱えている課題を話してもらい、それに対して参加者が質問するという時間を作りました。
―参加者の皆さんの様子や反響はいかがでしたか?
原田:率直な意見が出ていて、年齢を区切っていたからこそ言いたいことが言えたのかなと感じました。また、事前に協力をお願いしていた人以外でも、場の雰囲気を見て会話を回してくれる人がいるなど、積極的に関わろうとしてくれる人が多かったですね。横の繋がりをつくるという目的もある程度達成できるのかなと思います。
尾登:アンケートで5段階評価をしてもらったところ、「横の繋がりを感じる場になったか」は平均が4.5、「スキル向上・キャリアアップになるか」は平均で4弱という結果でした。
また、アンケートのフリーコメントに、会社へのフィードバックになるような良い情報がたくさんありました。例えば、「働く理由や意義が多様化していて、会社が想定するキャリアプランに違和感を覚える社員も出てきていると思う。個々人が考える自由なキャリアプランに会社がどこまで応えられるかが、今後さらに課題として顕在化すると思う」というコメントや、経営戦略を社員向けにまとめた「戦略ブック」について、「次世代を担う立場として、戦略ブックをもとにどんな考え・行動ができるか考え、上の代の人たちと対等に意見交換し、世代間のギャップを埋めたい」といったコメントがありました。
―次回以降は、どのような計画を立てていらっしゃいますか?
原田:詳細はアンケート結果をふまえてこれから検討しますが、中長期的な観点も含めて、3つほどやりたいことを考えています。
1つは、初回と同じ年齢層で実施するのであれば、「どんな人がいるのか」は分かったので、次は「お互いについてより詳しく知る」機会にできればと思います。
2つめは、この取り組みがもう少し進んできて、イノベーション本部内で自発的な動きが増えてきたら、他部門との繋がりを作る機会にもしていきたいと考えています。というのは、今、イノベーション本部が入っている東京本社の同じフロアにいる他部門の若手社員も、自分の意見を言いづらい状況にある人も居ると推測できるからです。私たちが率先して動いて部門を超えた繋がりができれば、フロア内でより若手がイキイキと働けたり、顔見知りが増えて心理的に安全な時間がもっとできたりするのではないかと感じています。
3つめは、社内で今高い負荷がかかっている30代後半〜40代の社員などの他の年齢層の社員にもアプローチしたいということです。世代ごとに横の繋がりができたり、困った時にフロアを見渡すと話しかけられる人が各年齢層にいるような状態を目指した取り組みを考えたいと思っています。とはいえ、社歴がまだ浅い私がアプローチしても響かないと思うので、まずは世代ごと、同年代を引っ張ってくれるような人たちにエンゲージメント推進チームの仲間になってもらって、各年齢層で取り組みをつくるようなモデルを作りたいです。
―他社交流はどんなことをされているのですか?
尾登:Wevoxチームさんに繋いでいただいて、私たちよりも3年ほど早くWevoxを導入された応用地質株式会社さんと情報交換をする機会を2回ほど持ちました。1回目はオンライン、2回目は対面で、お互いに事務局と各部署のアンバサダーを合わせた8名ほどずつで情報交換をしました。当社にはない活動のお話や、活動開始から数年経った今でも苦労されているお話などを聞いて視野が広がり、学ぶことがとても多かったです。今後も定期的に実施していきたいと思っています。

対話やコミュニケーションを重ねて、主体的に組織変革に動ける人を増やしていきたい
―Wevoxの導入から2年弱が経過しましたが、組織の変化として何か感じていらっしゃることはありますか?
尾登:かつては、Wevoxの「会社の方針や事業戦略への納得感」に肯定的に回答する社員は少なかったのですが、経営戦略を社員向けにまとめた戦略ブックの展開により、少なくとも「戦略がわからない」という人は少なくなってきているのではないかと感じています。会社の戦略を社員と共有する文化になってきたのは大きな変化ですね。それによって、会社のWillと個人のWillの重なり、すなわちエンゲージメントの重要性に気づく方や、会社をより良く変えていく必要性を感じている方が少しずつ増えてきている感触もあります。
一方で、各部での主体性のある取り組みの推進や、心理的安全性の確保についてはまだまだ改善の余地があり、また、私や小出さんがいなくなるとエンゲージメント活動が止まってしまうのではないかという危機感も持っています。
―そういった課題感も含めて、今後の取り組みの展望をお聞かせください。
内村:展望としては、部門を超えてコミュニケーションをとることができる場や機会をつくっていければと思っています。2024年の年末に本社でイノベーション本部の納会をした際、ある社員が自家製のジンジャエールを持参して社内のバーカウンターで振る舞ってくれたんです。その際、他部署の社員も混じって一緒に楽しんだ時間があり、その和気あいあいとした雰囲気がとても良かったです。業務などで行き詰まっていることがある時に、周りの人たちとのちょっとした対話やコミュニケーションによってヒントを得て目の前がぱっと開けることもよくあるので、そういった機会を部署内に限らず、広くつくっていけるといいなと感じています。
また、今担当している業務で、社員からの問い合わせ対応なども多いので、それらに明るく対応し、コミュニケーションをしっかりと取っていくことで、職場環境や雰囲気の向上に個人としても貢献できればと思っています。
原田:私は、誰でも意見を言いやすい場を、まずはイノベーション本部から作り上げていければと思っています。自分が認められていることや意見が通ったことを実感できたり、出したアイデアに対して「やってみようか」と言ってもらえる雰囲気があったりすると、いろんな会話やアイデアが出てきやすくなると思うんですね。そのためには、アンバサダーミーティングや若手組織づくりラボのように、自分の意見を言ったときにフィードバックがちゃんと返ってくるような場が必要です。そうすれば、人が自然と集まってきますし、次もやってみようっていう風土が醸成されてくるのかなと思います。
誰でも意見を言いやすい場にイノベーション本部がなっていけば、同じフロアにいる他の部門にも広げていきやすくなりますし、そして、最終的には本社、支店、利益を生み出してくれている現場へとフィールドを広げていけたらいいなと思っています。
―尾登さんと小出さんはいかがでしょうか?
尾登:2年間走ってきて、活動が属人化してしまうと今後持続していかないだろうと感じています。他社さんからも学びながら、持続性・再現性のある取り組みを行っていくために必要な仕組みを考え、作っていきたいです。
その点で、絶えず若いチェンジエージェント(変革していく人)を育てていかないといけないということは、一つ思っていることです。エンゲージメント推進チームに入ってくれている内村さんと原田さんには、私がいなくなっても活動を続けられるよう、アンバサダーミーティングの場や各種ワークショップをファシリテートできるようになっていってほしいですし、若手組織づくりラボのメンバーにも期待したいと思っています。また、イノベーション本部全体からも「興味があるよ」という人がいれば、どんどん巻き込んでいきたいです。
小出:この2年間、エンゲージメントの考えに触れての学びは、社員一人ひとりが良い人生を歩み、幸せになるために主体性と共同体感覚を皆で高めていくこと、そして内省と対話をすることが重要だということです。
この点で、「何のために戸田建設で働くのか?」「戸田建設で働く価値とは?」などについて対話して内省する機会や場づくりにもう少し力を入れたいと思っています。その場で結論を出すわけではなく、一つのテーマについて皆で考えを述べていく哲学対話のような機会を持ちたいです。
チームでの対話はアンバサダーに頑張ってもらって、たまに大きな、横串を刺したような対話の機会を持つ。そうして対話を重ねることで、エンゲージメントの重要性も含めた気づきを社員一人ひとりが得られれば、より良い組織に変わっていけるのではないかと思っています。長期的な取り組みになるので、焦らず進めていきたいと感じているところです。








