エンゲージメント活動の社内コミュニティから広がる、一人ひとりがワクワク働く組織づくりの輪

エンゲージメント活動の社内コミュニティから広がる、一人ひとりがワクワク働く組織づくりの輪

日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
上田 貴香氏
上田 貴香氏
日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
人事部

人事部にて、各種人事制度の運用や、海外からの研修生の受け入れ、日本から海外に赴任する社員に対する研修の企画・導入などを担当。2022年夏よりEFEの事務局メンバーとなり、勤務する東京事業所内で参加メンバーを増やしていく役割を担うともに、生産部門の組織開発にも携わっている。

舘 美奈子氏
舘 美奈子氏
日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
人事部

リスク管理を担う部門を経て、2023年より人事部。各種人事制度の運用や、海外からの研修生の受け入れ、日本から海外に赴任する社員に対する研修の企画・導入などを担当している。2022年よりEFEに参加し、2023年1月より事務局のメンバーに。生産部門の組織開発に携わっている。

井上 朋紀氏
井上 朋紀氏
日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
品質センター

2019年に中途入社し、広島工場にて、製品出荷検査や研究試作製品を量産規模にスケールアップする際の品質チェック項目の作成・検査などの品質管理業務に従事。2022年よりEFEに参加し、2023年1月より事務局の活動をフォローする「バディ」となり、6月より事務局のメンバーに。生産部門の組織開発に取り組んでいる。

日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社では、社内の有志でエンゲージメント活動を行う「Engagement for Employee(EFE)」というコミュニティが存在します。毎月、独自のワークショップを実施し、参加者が職場でのチームビルディングに持ち帰るなど、精力的に活動を続けています。こうした活動は、組織にどのような影響を与えているのか。参加メンバーが取り組む組織づくりについて、EFE事務局で人事部の上田さんと舘さん、品質センターの井上さんにお話を伺いました。
※取材時(2023年11月)の部署になります。

トップダウンではなくボトムアップでワクワクしながら働く組織をつくる

―「Engagement for Employee(EFE)」とは、どのようなコミュニティで、どんな活動をされているのですか?

井上:「この会社をオドロキで彩るため、わたしたちがワクワクしながら働く」を軸にエンゲージメント活動を推進する、社内の有志で構成されたコミュニティです。2022年6月から活動を開始し、「Engagement Run!Academy」で学ぶ内容を社内に置き換えてエンゲージメントについて学ぶワークショップを行っています。参加メンバーは、学んだ内容を自身の職場に落とし込むことで、エンゲージメントの輪を更に広げる役割も担っています。

ワークショップの準備など活動の中心を担う事務局のメンバーが8〜10人、事務局の活動を自身の拠点でフォローする「バディ」が10人ほど、そして、ワークショップに参加して一緒に学ぶメンバーが120〜150名ほどいます。

―皆さんは、どのような背景や念(おも)いからEFEに参加されたのでしょうか?

上田:私は、EFEの活動が始まって数カ月後に事務局のメンバーから声をかけてもらいました。最初、「ワクワクしながら働く」というEFEのビジョンを聞いたときは、自分はワクワク働けていないと感じたんです。それで、どうすればいきいきワクワク働いている状態になるのか知りたい・理解したいと思って参加しました。

舘:私の場合、リスク管理の部門にいたころから風土改革に3年以上携わっていました。改革と言っても、「楽しく風土を変えよう」ではなく、トップダウンによりコンプライアンスの徹底遵守を促すような指針があり、なかなか風土が変わらないことを実感していたことから興味を持って参加しました。

すると、参加者が皆すごく楽しんでいて、トップダウンだけでは風土は変わっていかないことを改めて感じました。そして、上からだけでなく下からも変えていくことに自分も加わりたいと思って参加を続けています。また、元々「人生とは何か?」といったことを考えるのが好きだったので、そういった考え方が社内にも広がって、皆さんが楽しく働けるようになればいいなという念い(おもい/EFEではこだわりを持ってこの漢字を使用)もありました。

井上:私は、前職、現職と生産部門で働いてきましたが、仕事の特性として、製品を決められた手順で決められた納期通りにきちっと作るのが当たり前という世界です。そのため、ともすればルーチン作業に陥りやすく、新しい取り組みや改善に挑戦しようというモチベーションが起こりにくい環境になってしまいがちです。また、今でこそ、いろいろと改革が進められて、どれだけきっちり生産できたかなどが工場単位や個人単位で数値化されるようになってきましたが、数年前まではその部分が弱く、自分が頑張った成果が何に繋がっているのかが見えにくく、仕事を通じた達成感や充実感を感じるケースが少ない状況でした。このような背景もあり、仕事に対する前向きな想いなどをぶつけ合う機会も少なく、ついつい愚痴が多くなるという状況になっていました。

そこで、何か、達成感ややりがいを感じながら働くことはできないかと思って参加したのがEFEのワークショップでした。ワークショップを通じて、ウェルビーイングやエンゲージメントについて学んだり、この会社で働く目的について考えたりすることが増えました。この体験から、一緒に働いている職場のメンバーと達成感や充実感を共有しながら仕事ができればもっと楽しい、EFEでの学びをチームに還元していきたいと思って継続的に参加しています。

生産部で取り組む、誰もが意見を言い合える組織づくり

―皆さんの念いをふまえて、今、生産部ではどのような組織開発に取り組まれているのでしょうか?

井上:まず、目標として、トップの念いとミドルマネジャーの念い、そして、現場のメンバーの念いについて、お互いに壁なく言い合えるような関係性や風土、組織をつくりたいということを据えています。

というのは、生産部門では、現場強化のための様々な施策がトップダウンで出てきますが、現場のメンバーが腹落ちできていないまま実施される施策・目標もあり、やらされ感・疲労感がある状況が続いていました。原因として、トップと現場のそれぞれの念いが同じ方向を向けていない、対話が十分にできていないために施策の意図が伝わっていない、現場メンバーの意見を上に上げていく文化が十分にできていないのではと考えています。ここを打破していくのが今の目標です。

そのために、まずはお互いに何を思って仕事をしているのかを理解し合い、それぞれの身の回り、例えば、半径5メートルの距離、チームメンバーや直属の上司と対話しやすい、また、自身の念いを伝えやすい環境をつくっていきたいというのが私の念いです。

―その目標のもと、どのような取り組みをされていますか?

井上:まずは、チーム単位で、課長さんとチームメンバーそれぞれの念いを共有し合うワークショップを行いました。きっかけとして、我々の念いもありますが、もう一つ、生産部門のトップからも「組織内のコミュニケーションを活性化させてほしい」という意見があったんです。このトップの後押しもあり、各工場の品質管理部隊と、業務や保全を担当する部隊の合計12〜13チームの課長たちに声をかけて、「やりたい」と手を挙げてくださった8チームとワークを実施しました。

進め方としては、まずは我々3人と、各チームの課長、チームリーダー、あるいはキーマンとなる人で1on1を行い、チーム内でのコミュニケーションの状況、どのようなチームにしていきたいかという念いを言語化してもらいました。そして、それをワークショップでチームメンバーに伝えてもらい、各メンバーからもそれに対する上司への想いや、仕事・チームに対する念いをメンバー同士で話してもらったんです。

―各チームのメンバーの皆さんの反応はいかがでしたか?

上田:いろいろなコメントをいただきました。ポジティブなコメントは「本当なら自らが動かないといけないけれど、どうすればいいかわからなかったので、この機会はありがたいし、ぜひ伴走支援してほしい」「今まで業務内容の話ばかりでこういった一人一人がチームやコミュニケーションについて話をする機会がなかったので、すごくいい機会だね」といったコメントで、ありがたいなと感じました。一方で、「忙しすぎるから、こんなことに時間を割くくらいなら仕事をした方がいいんじゃないか」という懐疑的な意見もあります。

井上:ワークショップでは堰を切ったように話す人もいて、課長やチームメンバーに対して溜めていた念いを話せる場になったのかなと思います。ポジティブな意見もネガティブな意見も出ましたが、そうやって意見を言うこと自体が良かったなと思いますし、私個人としては、皆さんの念いがわかったのもすごく良かったです。

チームによって温度感はまちまちですが、ワークショップで皆さんの意見を聞いたり、話をしたりしていく中で、「ぜひやってほしい」「コミュニケーション頻度を高めたい」といった念いを持つ方も相当数いると感じました。そういった方をきっかけに、どんどん活動を活性化さていけたらなと思っています。そして、ゆくゆくは、今、懐疑的な人たちも興味を持ってもらえるようになればと思います。

組織開発開始にあたって、ななめ1on1で課長一人一人に対して意向の確認した時の資料例
組織開発開始にあたって、ななめ1on1で課長一人一人に対して意向の確認した時の資料例

―次の展開として、どのような取り組みをされる予定ですか?

井上:今、Wevoxのエンゲージメントサーベイ、組織カルチャーサーベイの結果や、ワークショップの結果を見ながら各チームの特徴や雰囲気を分析して仮説を立てているところです。その仮説をもとに、チームごとに我々と課長とでアクションプランを立てて、次の活動に動こうとしています。

上田:例えば、あるチームは、チームの特徴や雰囲気を可視化した後は、「ストレングス・ファインダー」で個々の強みを見るアクションを考えています。個人の強みをかけ合わせてどのような補完関係がチームとしてベストなのか、どのような職務だと強みが活かせるのか検討材料にできたらと思っています。またあるチームは、「レゴ®シリアスプレイ®」で自分の念いを言語化して伝えるところに挑戦しようとしています。各チームに合わせたアクションプランを考えていくのは、時間と工数はかかりますが、効果を実感してもらいたいので、時間を割いてでも丁寧にやっていこうと思っています。

舘:アクションプランがうまくいったなら、自走化に持っていきたいと思っています。私たちがいつまでも伴走するのではなく、一人ひとりが「いいね」と思って自分たちで実践し続ける。そういう状態まで進めれば、今度は生産部以外の部署に横展開もしていけます。そして、ゆくゆくは会社全体に広げていきたいなと考えています。

井上:何か課題が生じたときに、指示を待つのではなく主体的に動ける、また解決に向けた議論を促すキーマンがいたり、キーマンの念いを皆が認知して同じ方向を向いて議論しあえる関係性・雰囲気が得られてきたとき、そのチームはこれまでより一段高いレベルで自走しているのかなと思います。そうした状態を目指していきたいですね。

―なるほど。ちなみに、皆さんが伴走するにあたっての知見はどこから得ていらっしゃるのですか?

上田:Engagement Run!Academyで得た知識と、EFEで得た知識などをミックスして使っています。というのは、私たちがこの生産部の組織開発に伴走する前に、EFE事務局のメンバーで、各自が所属しているチームでスモールスタートとして組織開発に取り組んでいたんです。自分がその取り組みで得た知見を生かしたり、事務局のメンバーにも意見を求めたりしています。

実際に生産の方々とワークショップを実施した時の様子
実際に生産の方々とワークショップを実施した時の様子

メンバー間の自己開示が、組織の変化の第一歩

―生産部での取り組みを進めていて、難しさや苦労を感じる点はありますか?

舘:最初は興味もってくれるかな?と感じることもありました。ただ、先に人事部内で組織開発に取り組んだ際にも、似たような状況はありました。そうした中でもコミュニケーションが少しずつ改善される実感を得られたので、どちらかといえば苦労よりは、これからの変化が楽しみと捉えています。もし生産部が変われば、他の部署も絶対変われるという成功体験になるので。組織がどう変わるんだろうというワクワク感の方が私の中では大きいです。

―取組に対する温度感の低いチームに対して、どうすれば変えていけそうでしょうか?

井上:やはり、まずは興味を持ってもらい、そして持ち続けてもらえるような雰囲気をつくることが鍵だと思います。「やってもいいかな」「やってみたい」と思ってもらえるワークショップにどうすればできるか、頭を悩ませているところです。

私自身が生産部の人間で、固定観念や先入観を持って組織の状態を見てしまうこともあるので、人事の上田や舘から第三者的な視点で意見をもらいながら、今まさに議論しています。

―先に組織開発の取り組みをされた人事部のお二人から見て、組織やメンバーに対してどのような働きかけをしていくと、変化が起こりそうでしょうか?

舘:他の部署に使えるかどうかはわかりませんが、人事で思ったのは、自己開示の重要性です。人事部は、拠点が皆バラバラで、在宅勤務も多いため、お互いの仕事以外のことについてあまり知らなかったんですよね。それが、自己開示をお互いにすることで、一人ひとりの考え方はもちろん、「会社を良くしていきたい」「人事としてこのテーマを達成したい」といった気持ちは皆同じであることがわかりました。それまでなら「なんでこの人こんな感じなんだろ?」と疑問に思うような場面でも、「もしかしたらこの人はここを目指したいからこういう考えなのかもしれない」などと、自分の中での解釈を変えることができました。

上田:舘さんと同じですね。相手が発する言葉に対して、相手の念いや過去の経験、大事にしてきた価値観を知ることは本当に大事です。そうした相互理解がない状態だと、「私って今怒られているのかな?」「なんでこんな言い方するのだろう?」「これをやって何の意味があるんだろう?」などと納得できないこともありましたが、それぞれの考えや過去の苦労などを知った今では、言葉を受け取る自分の解釈を変えることができます。そして、「じゃアプローチの方法を変えようかな」とか、「こういう相談の仕方をしてみたら、もうちょっとスムーズにいくかもしれない」と行動を変えることができるようになりました。

自走できる組織をつくり、他組織に横展開していきたい

―まだまだこれからという状況かと思いますが、改めて、生産部、あるいは、会社全体の組織開発についての展望や、皆さんの意気込みを教えてください。

井上:生産部でEFEに参加している人はまだとても少なく、十分な興味を持ってもらえていない状態です。これからも活動を続けていきながら、少しでも共感してくれる、火種役となるキーパーソンを作っていけたらいいなと思っています。

生産現場も、日々同じ作業をしているようで、実はその中で起こっていることは毎日違っています。問題も出てきます。そんな時に、上司やチームメンバーとの対話を通じて1つ1つ解決し、安定した操業・プロセスに作りこんでいく。そこに楽しみや、仕事の意義を感じることができれば、その先に仲間と共有できる充実感や達成感が得られると思います。そういう体感を得る人が、少しでも増えていくよう、活動を長く続けられたらいいなと思っています。

上田:今、一緒に取り組んでいるチームが変化を感じて「継続したい」という念いを持っていただけるようにしたいですね。その後は、自走してもらえるように次の施策を考え、自走化できれば、他部署に横展開をしていって、一人一人が仕事そのものや職場での関係性に折り合いがついて、会社全体がワクワク働ける雰囲気になればいいなと思っています。そして、日本ペイントにいる皆が、主語を自分にして、自分の人生をどうしていきたいのか明確になって、「だから自分は日本ペイントにいるんだ/日本ペイントにいたいんだ」という選択ができた状態を目指していきたいと思っています。

舘:人事が展開する施策は、どうしても全社に一斉に発信することが多いため、反対意見を持つ2割くらいの人には何をやっても届かないもどかしさをずっと抱えていました。でも、組織開発のアプローチなら、そういった人たちとも面と向かって取り組めます。だからこそ、今後も個別の組織に入って一人ひとりと向き合いながら組織開発を続けて、変化のきっかけをつくっていきたいです。

―では最後に、EFEの活動についてお聞かせください。社内コミュニティに参加したことで感じているご自身の変化や、メリットをどう感じていますか?

舘:自分自身についての理解が深まり、自分の感情や考えを整理できるようになったことが、一番大きな変化です。例えば、「なんか嫌だな」などと思ったときに、自分の中のエンゲージメントの何が下がっているんだろう?と分析して、「今は承認が足りていないからだ」「環境が整っていないからだ」などとわかるようになったんです。そうやって自分の中の得体の知れないモヤモヤを理解できると、対処できるようになりますし、他の誰かが悩んでいる場合も、なぜ悩んでいるのかを考えて手助けできるかもしれませんからね。

上田:自分自身について知ることが、自分がより良く生き、過ごしていくための第一歩だという気づきを、EFEでもらえたことは大きかったです。参加すると、エネルギーが満たされる場だと皆さんには伝えたいですね。

そして、私自身は、自分の人生や仕事に対する念いを言語化できたことで、アイ・メッセージ(I message)が増えたかなと思います。今までだと、主語が「あの人」「部」「上司」となっていたのが、今は、「自分が選んだ結果なんだ」という捉え方に変わりました。それから、例えば、組織や自分のミッションの変更といった変化が起こっても、戸惑わずにどしっと構えられるようになりました。仕事に対する自分の念いに折り合いをつけられたことで、周りの人たちをもっと好きになれて、ストレスも減ったと思います。

井上:私は、EFEのワークショップに参加しているメンバーから、「ワークショップの時はすごく笑顔で楽しそうだね!」と声をかけられます。そういわれたら・・・仕事中は仏頂面で、ただ淡々と仕事をやってきていたのかもしれないなと思いました。EFEのワークショップは、私にとって「すごく楽しい、安心する、自然と笑顔になれる」場であり、癒しの場となっています。(笑)

また、部門・役職の垣根を超えた様々なメンバーとワークショップを通じて対話をし、各拠点にこんなにもいろんな念いを持っている人がいるんだと知ることもできました。念いを同じくしている人と話ができるのもいい機会だし、EFEでの繋がりをきっかけに仕事の相談ができる他拠点・他部門の方も多くできました。中途入社の私にとって、貴重な贈り物(人との繋がり)を頂いた感覚です。心のエネルギーチャージもしてくれるし、社内での人間関係も広げてくれるのがEFEのいいところなので、ぜひ一度、お試しで参加してみてもらいたいです。

また、この記事を読んでいただいた他社の方でも、もしご興味があれば、気軽にEFEワークショップに遊びに来てください。きっと、何となくいい気持ちになれたり、笑顔になれたり、何か自分の中での変化を感じることができると思います!その感覚を我々も一緒に楽しみたいと思っています!

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