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エンゲージメント向上活動を長く継続するための秘訣〜Wevoxを4年間使い続けたコメ兵の試行錯誤〜【Teamwork Sessionレポート】

エンゲージメント向上活動を長く継続するための秘訣〜Wevoxを4年間使い続けたコメ兵の試行錯誤〜【Teamwork Sessionレポート】

株式会社コメ兵
永田 真也氏
永田 真也氏
株式会社コメ兵
人事企画部 部長

2004年に新卒で株式会社コメ兵に入社し、ブランドリユース品の販売や鑑定士として買取を担当。2013年からは神戸三宮店の店長、2016年からは西日本エリアマネージャーなど主にマネジメント業務を経験。2018年より現職の人事企画部に配属。新卒・キャリア採用、教育・育成、人事制度などの人材開発および組織開発の分野を幅広く担当。2020年に社内でエンゲージメントプロジェクトの立ち上げを行い、現在も活動中。

Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回ご紹介するのは株式会社コメ兵の事例です。2020年にエンゲージメントのプロジェクトを発足した同社では、Wevoxの導入以降、様々な活動を実施しています。今回は、導入以降の経営、現場、そして事務局への具体的な働きかけについてお話しいただきました。

本日のテーマは「エンゲージメント向上活動を長く継続するための秘訣〜Wevoxを4年間使い続けたコメ兵の試行錯誤〜」です。どうぞよろしくお願いいたします。

愛知県に本社を構える株式会社コメ兵は、2020年からホールディングス化し、本年度で77年目を迎える会社です。国内外を含めて200店舗以上を展開しており、主にブランドファッションのリユース事業を展開しています。ホールディングス全体の売上は、2024年3月期末時点で1190億円ほど、社員は約1400名の規模となっております。

事業を展開していくうえで当社が掲げているビジョン、ミッション、バリューがこちらです。当社では、単にリユースするだけではなく、価値をリレー形式で繋げていくリレーユースという独自の考え方を持っていまして、このリレーユースを自分たちだけの思想ではなく、文化にしていくことを目標にしています。

各部署に配置したアンバサダーがエンゲージメント向上を担当

当社がエンゲージメントという言葉やその概念に注目し始めたのは2019年のことです。当時は今のように人的資本に着目するような流れが全くなかったので、取り組みを開始するまでには様々なハードルがありました。また、スライド内にあるような社内外での動きも影響し、実際には2020年からプロジェクトとしてスタートを切る運びとなりました。

こちらは当社のエンゲージメント活動の体制です。各部署にはアンバサダーが配置されており、プロジェクト発足当時は10名ほどでしたが、現在は約20名以上の体制にまで増えています。最近では、各自の判断で部署内のアンバサダーを増やしたり、部署内のタスクやチームを自主的に作ったりしてくれるアンバサダーの方もいて、草の根的に広がっている状態です。デザインチームは企画運営や事務局の役割を担っている人たちのことで、私を含めた人事2名と、アトラエ様から1名、専門家の方1名に入ってもらい、各アンバサダーのフォローを行っています。

こちらは最初の2年の取り組みのスコアです。最初の1年はスコアが下降し続け、その後徐々に上昇しているのがお分かりいただけるかと思います。当時は取り組みの効果が全く出ない2年間でしたので、本当にこれでいいのかなという焦りもありました。

こちらが直近2年間のスコアの推移です。全体としては向上しており、一見上手くいっているように見えるかもしれませんが、実際には各チーム・部署によってスコアにバラつきがあります。また、当社が近年、事業の拡大によってキャリア採用を積極的に行っていることもスコアに反映されています。

4つのステップを通してエンゲージメントを浸透

こうしたスコアの推移を受け、当社が4年間の活動を通じて辿り着いた結論は、経営層、現場(アンバサダー)、事務局(デザインチーム)のそれぞれに、どれだけ上手く働きかけを続けるかが全てだということです。

そのためにはステップが重要となりますが、活動を長く継続するために当社が実行したのが、浸透の4ステップと呼ばれるフレームワークです。最初は、知ってもらうための認知・理解、納得や腹落ちをしてもらうための共感、そして行動と定着へと移ります。当然、いきなり「エンゲージメントの向上が重要なので取り組んでほしい」と言ったところで人はなかなか動いてくれないというのは私もこの4年間で実感しているので、この4つのステップで、それぞれのステークホルダーにどういう状態になってもらうかを定義付けすることにしました。

まずは、経営層への働きかけについてです。経営層に対する認知・理解のステップでは押さえるべき2つのポイントがあります。1つ目は、影響力のある経営メンバーのサポートを積極的に意識することです。同じ内容を伝える上でも、誰が伝えるかは重要です。そのため、エンゲージメントの導入を提案する場でも経営メンバーからのフォローをいただきました。2つ目は今もやっていることですが、Wevoxのサーベイの結果と具体的な課題を提示し続けることです。これは、現状に対する危機感の醸成を目的としています。具体的なアクションとしては、半年に1回、当社の経営会議のような重要な場でWevoxの分析結果をレポートとして共有しています。

次に共感のステップへと移ります。ここでは、経営が常に掲げている戦略や方針をエンゲージメントと繋げて説明することを意識しました。アクションとしては、当社では毎月、人材の戦略をテーマに人材会議を行っているのですが、エンゲージメントの向上が事業の成長や事業戦略の実現に繋がっているということを繰り返し説明してきました。

これは、当社の人材における基本的な考え方としてIRでも出している図で、1人1人のパフォーマンスとはどんなスキルがあるか、そしてどんな気持ちでやるかの掛け算で決まるということを表しています。ただ、どんな気持ちでやるかという点において、当時は表現がかなり抽象的でした。このステップでは、経営陣が提示する方針や戦略とエンゲージメントを繋げた上での共感作りが重要と考え、気持ちというのはマインドと熱量のことで、当社の場合はエンゲージメントを意味すると伝えました。

続いて行動と定着のステップに入っていきます。このステップではエンゲージメントの向上における本質的な課題を経営にフィードバックすることが重要だと考えています。例えば「達成感のスコアが低かったので達成感が課題です」と一次情報だけを伝えたとしても、抽象度が高いのでなかなか経営は動いてくれません。そのため、もう少し深掘りをして、経営が動きやすくなるように、仮説レベルでもいいので本質的な課題を出していくことにしました。

最近、その視点で新しいアクションを始めました。私たちは未来会議と社内で呼んでいるのですが、3ヶ月に1回ほどのペースで経営と部長以上が集まって事業戦略、組織戦略、人材戦略における様々なテーマで合宿を行っております。先日はそこでエンゲージメントにおける課題をテーマに対話の機会を設け、実際のスコアと見ながら全員で深掘りをすることができました。こういった一次情報の深掘りは、今後も継続したいと考えています。

4つのステップに加えて、様々なイベントでアンバサダーの一体感を醸成

続いて、アンバサダーへの働きかけについてお話しします。この取り組みにおいては、人事主導で進めると人事からのやらされ感が出てしまうかもしれないという懸念があったので、現場主導で進めることを重視しています。アンバサダーへの働きかけにも先ほどの4つのステップを利用しており、エンゲージメントの概念を理解してもらうのはもちろんのこと、アンバサダーのアサインを選抜制にしたというのが大きなポイントのひとつです。なぜ選抜制にしたかというと、当時はエンゲージメントの取り組み自体が全く新しいものでしたし、新しい変化に対していろんなハードルがある中で主体的に取り組んでもらうことが必要でした。そのため、一定以上の人材要件を以下のようにまとめてアサインしました。

当時求めていた要件には2つありまして、1つはその部署における影響力や信頼と、もう1つは自分で動くことができるかどうかということです。さらに、一定以上の役割という基準も加えました。この選抜方法に関しては、私自身の10年以上の営業経験から、社内での人脈が豊富であり、誰がこの要件にマッチしてるかはよく理解していたため、事務局で候補者をピックアップした後、私から1人1人に話をして選びました。実際に声をかけるとほとんどのメンバーが共感してくれたことも、選抜の実現に大きく影響しています。選ばれたアンバサダーにも部署異動があるため、そのタイミングでメンバーの更新や交代を行うこともありますが、基本的には1年に1回直接話をして今後について決めています。アンバサダーに関する良い傾向としては、2〜3年務めてくれたアンバサダーから新しいアンバサダーに交代し、前のアンバサダーにそのフォローに入ってもらうという体制が上手く回っていることです。部署によってはエンゲージメント活動の浸透度がぐんぐんと上がっています。

次は共感のステップです。ここで重要になるのは、アンバサダー同士の横の繋がりやコミュニティ、それぞれの関係の質の向上や一体感を上手く作り上げることです。各メンバーが部署で活動に取り組むことになりますが、孤独感を感じたり、何度アクションをしても現場が変わらないといったことは日常的にあります。そんな中、同じ悩みと考えを持ったアンバサダー同士が刺激し合って助け合うコミュニティを作ることは、長くプロジェクトを進める上で重要なポイントだと考えています。

当社の場合はアンバサダーが全国にいるので、普段はオンラインで繋がり、半年に1回は実際に集まってコミュニケーションを取るようにしています。その際は、エンゲージメントをテーマとした話し合いはもちろんのこと、お互いの関係が深まるようなゲームや懇親会をやったり、時には社長に来ていただいて対談の機会を作ったりと、一体感を作るための場として活用しています。

アンバサダーへの行動や定着の働きかけについては、課題や組織の状態は部署によって異なるので、どのように各自が取り組むかを任せるスタンスを取っています。なかなか進捗していない部署へは一定の行動に対するKPIを置きながらのマネジメントを行ったりもしています。具体的には、月に1回アンバサダーのミーティングを実施したり、組織開発におけるインプット、成功事例の共有などを定期的に行ったり、アンバサダーからの要望があれば数ヶ月から半年の期間で事務局が個別にサポートをすることもあります。

最後にご紹介するのは事務局への働きかけです。ここでの認知・理解、共感のフェーズについては、事務局が一番エンゲージメントに関する理解度が高くないといけません。また、人や組織はなかなか変わらないものだということと、日本全体のエンゲージメントの低さを前提として理解していくことも重要です。取り組みを始めてすぐに効果や結果が出ないと事務局としてはどうしても焦ってしまうので、この段階では粘り強く中長期で取り組む意識を持つことが重要です。この時期は専門家の方に頼ることをポイントとしました。プロジェクトの立ち上げ時は我々も何をどう進めていけばいいか分からないことだらけでしたし、アトラエ様や専門家の方のフォローやサポートがあったからこそ今に至っています。

行動・定着のステップでは、事務局の組織開発としてのリテラシーやインプットがとても重要になります。中長期で継続的に結果を出していくためには、組織開発のスキルは欠かせませんし、アンバサダーの皆さんと伴走していく上でもこのリテラシーやインプットが求められます。当社の事務局のメンバーは、アトラエ様のEngagement Run!Academyに参加していますが、このステップでは、私も含めて学び続けることが大切なのではと考えています。

最後に本日ご参加されている皆様にメッセージをお伝えします。最近、エンゲージメントの活動はプロのアスリートに近いなと感じています。オリンピックもあったので尚更そう思うのかもしれませんが、プロのアスリートの方々は、何回失敗しても何回負けてもチャレンジを続けて、コンマ1秒の世界で戦っています。エンゲージメントの活動もこれと同じで、様々なことにチャレンジしてもなかなかスコアが上がらないなんてことは普通なことですし、高い目標を持ち、いいチームを作るために諦めずに継続する部分は共通していると思います。大変なことも多々ありますが、アスリートのようなマインドを持ち、仲間と一緒に楽しみながら頑張っていければと思っています。本日は貴重な機会をいただきありがとうございました。

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