
「Wevoxでマネジメントの気づきを得られる」――サントリーグループ営業部門のリーダーたちが取り組む「自律&協働」する組織づくり

中国・四国地方9県への清涼飲料の営業部門で、4つの部支店、約80名が働く中国・四国支社の支社長を務める。中国・四国支社へのWevoxの導入を発案。

スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストアなど量販店への営業を担当する第一支店の支店長を務める。支店のメンバーは13名。

量販営業のサポートを役割とする営業推進一課の課長を務める。メンバーは13名。
広島に拠点を置き、中国・四国地方9県に向けて清涼飲料の営業・販売を行っているサントリーフーズ株式会社中国・四国支社。2023年2月より、マネジメント層が組織やメンバーの状態を継続的に把握し、マネジメントの参考にするためのツールとしてWevoxを活用しています。具体的な活用方法について、導入を決めた支社長の富永さんと、マネジメント層を代表して第一支店長の小山さん、営業推進一課長の稲吉さんにお話を伺いました。
メンバーの状態を定期的に把握し、スピーディーにケアするために
―中国・四国支社では、2023年2月より月1回、Wevoxのサーベイを実施されています。まずは導入の経緯から教えていただけますか?
富永:これまで複数の支社の責任者を務めてきましたが、組織風土を一番の関心ごととして、どの組織に行っても、営業部隊として風通しが良く、自由闊達でフラットな組織をつくりたいということをメンバーに宣言して組織運営を行ってきました。
そうした中、人事から「活用してみますか?」とWevoxの紹介を受け、強い興味を持ったという経緯です。
というのは、弊社では年1回、風土調査が実施されていますが、結果が分かるのに時間がかり、対応するまでのスピード感に欠けると感じていました。Wevoxの場合、体温計のように定期的に測れて月ごとの変遷も見られます。その変化を見てアクションしやすいことに魅力を感じました。また、メンバーに定期的にサーベイを受けてもらうことで、組織風土というのは僕らマネージャー陣が方針を示してつくっていくだけでなく、メンバー自身も責任を持って一緒につくっていくことが大事なんだというメッセージになると考えました。
―何か、組織風土に関して抱えている課題もあったのでしょうか?
富永:中国・四国支社の特徴として、泊まりの出張が多く営業担当が孤立しがちという点があります。支社のある広島から、北は鳥取、南は高知まで営業に行きますが、一番遠い高知だと電車を乗り継いで4時間以上かかります。そうして週の頭に現地まで1人で行って営業活動をして、週の後半に支社に戻るという生活をしているメンバーが10名程度います。
現地での営業活動を1人で行い、支社で上司や同僚とface-to-faceのコミュニケーションをとれるのは毎週月曜日か金曜日のみ、支社の課題感や温度感も把握しづらい、となると、メンバー自身は孤立感を覚えます。そのため、マネージャーも本人の体調や心理面のケアが一層必要になります。僕自身、これまでは支店長との月次面談で気になるメンバーがいるかどうかを確認していましたが、それだけだと取りこぼす場合もあるので、何か定期的にメンバーの状態を確認できる方法があるといいなと思っていたところでした。
―導入にあたって、支社の皆さんにはどのように話をされたのでしょうか?
富永:僕からまず支店長たちに話したところ賛同を得られたので、支店長から課長たちに話してもらいました。すると、課長たちの反応も良かったので、課長たちからメンバーに話してもらったところ合意を得られたので、スタートさせました。
―小山さんと稲吉さんは、導入の話を聞いたときにどのように思われましたか?
稲吉:特に抵抗感はなかったです。項目数も多いわけではなく、短時間で答えられますし。メンバーからも負担だという声は聞いてないですね。
小山:富永さんからは、月ごとの変遷を見ていこうということと、各メンバーに責任を持って答えてもらいたいし我々もコメントに対してアクションしやすいから記名式でやろうと言われて、「それはいい」と思ったのが率直な感想でした。
年1回の無記名の意識調査だと、回答時の気分によって結果にブレが出ることがありますが、月ごとの変遷を見ることでその問題もクリアできますし、記名式にすることで、本当に悩んでいるメンバーにとっては、課長や支店長に見てもらえる安心感もあると思います。ぜひやりたいなと思いました。
スコアを参考に課長がメンバーをケア
―導入後の運用方針について教えてください。
富永:普段からマネージャー陣が仕事を通じてメンバーの意欲を上げたり、メンバーとの一体感を醸成したりするための工夫をそれぞれに行っています。Wevoxはその効果を測るツールという位置づけなので、「いつまでに何をすべき」といったことは決めていません。
普段、マネジメントをしたりリーダーシップを発揮したりするときに、「そういえばスコアがこんな感じだったな」といった気づきや武器の1つとして活用する。そのくらいにとどめておいた方が、手段が目的になることもなくカジュアルでいいかなと思っています。
稲吉:初回のサーベイの後は、初めてだったこともあり、結果を受けて課ごとにミーティングをしましょうという支社全体の方針はありましたが、それ以降は、各課長の判断で行動しています。
課によっては、毎週1on1をしている課もありますが、私の場合、スコアが極端に変動したなど気になるメンバーがいればヒアリングをしています。あとは、中間振り返り面談やキャリアビジョン面談など、社として行うこととされている定期的な面談の機会があるので、そこでサーベイ結果を踏まえた話をすることもあります。一度、「互いに気持ちよく働くためにどうすればいいか」というテーマで課のメンバーでミーティングをしたこともあります。状態に応じて、対話のきっかけとして使っていて、システマティックにはやっていません。
小山:うちの支店では、課長以上が結果を見た上で、必要に応じて課長がメンバーと個別に面談を行うなどして、私まで報告してもらう形に留めています。というのは、初回サーベイ後に各課でスコアをオープンにしてミーティングを行ったところ、メンバーが課題に対して答えを求めたり、個人のスコアというナイーブなものに対してお互いに興味を持ってしまったりすることが分かりました。そうした組織状態を鑑みて、課長と個人のやりとりに留めています。
―メンバーの方と直接やりとりをされるのは課長の皆さんとのことですが、富永さんと小山さんは、スコアを見て何か働きかけをされることはあるのでしょうか?
富永:支店長経由、課長経由でメンバーに働きかけてもらっているので、僕自身が直接何かすることはないです。毎回、サーベイ結果が出ると、メンバーごとにスコアとコメントを見させてもらって、メンバーを見守る視点の1つとして気づきのツールになっているという感じです。
小山:私は、課長とのミーティングの時間を月2回くらい持っていますので、スコアやコメントを見て気になることがあれば、課長に状況を聞いて、「こういう言葉を支店長から投げかけてもいいか?」とか、「そこは課長までで対応してみて」「このメンバーは今後の担当先の量を気を付けて見ておかないといけないよ」といったやりとりや助言をしています。
―導入から1年弱が経ちましたが、どのような気づきがありましたか?
富永:一番の驚きは、意外とみんなスコアが大きく変動しないことでした。ブレがないというか。回答するときの気分はその都度異なるはずなのに、みんな、時系列で見ると大きな変化はないので、精度の高さを感じますし、信頼をおいています。
もう1つは、みんなの前ではすごく満足げに振る舞っているように見て取れても、スコアは意外と低いメンバーがいるという気づきです。実は心の中ではアラートを出していることや、業務量が多くて疲れていることに気づくことができて、深くケアできるのがいいなと思っています。
小山:私も富永さんと似た意見で、年1回の意識調査とは異なる意見を出してくる人がいることが分かり、実は訴えたいことがあるんだなという気づきを得られました。
また、特に若いメンバーは、月単位でスコアが上下することもあるので、スコアやコメントを見て「もう一度丁寧にアプローチしていかないと」など気づくことができます。ベテラン層や中堅層はそこまでではないので、割と若いメンバーが思っていることを把握するのにいいツールかなと思っています。
―特定の項目でスコアの変動が起こりやすいなど、何か傾向があったりしますか?
小山:遠くへ移動して営業活動をするというエリアの特性上、「職場環境がしんどい」とか、「担当量が多い」などに繋がるスコアの変動やコメントは多いですね。そういった傾向が見て取れれば、そのメンバーの上長から本人にアプローチしてもらって、本人に踏ん張ってもらうか、コミュニケーションや担当量を変えるかの見極めができます。それによって、私からの声かけも変わってくるので、コミュニケーション方法を考えるきっかけになるツールとして良さを感じています。
―稲吉さんは、課長としてメンバーの皆さんと直接やりとりをされる機会が多いと思いますが、導入からこれまでの気づきにはどのようなものがありましたか?
稲吉:スコアに一喜一憂することは、やっぱりしない方がいいなと思いました。というのは、当初、メンバー内のスコアの高低差に驚いたのですが、月次で変化を見ていくうちに、「良い」と思っている項目について、7段階評価の「7」を付ける人もいれば、「5」で済ませる人もいるなど、人によって付け方の癖のようなものがあることに気づいたんです。今は、多少スコアが低くても、月次で大きなブレがなく安定していればあまり問題ないのかなと認識しています。
各マネージャーの工夫により、組織内のコミュニケーションを活性化させる
―組織づくりを行う上で、どのような工夫や取り組みをされていますか?そこにWevoxのスコアを参照・活用されていれば併せて教えてください。
稲吉:スコアを参考に組織運営の方法として、ミーティングの形を変えました。月2回、30分ずつ行っていた課全体のミーティングを、月2回、1時間ずつに変えて、私から重要事項や共有事項を伝えるだけでなく、メンバー全員が、担当業務の詳細や工夫していること、そして、プライベートのトピックスを話す時間を設けるようにしたんです。
というのは、各メンバーのWevoxの「承認」の項目のスコアが低く、他の調査でも承認についての満足度が低い結果が出ていたからです。どのように対応すべきか、課内のリーダークラスのメンバーと議論し、提案を受けたのが、ミーティングで発言機会を作り、自分の存在を周りに分かってもらったり、認めてもらったりできるようにすることでした。
あとは、ここ2〜3カ月取り組んでいるのが、普段、固定にしている席を、月2回、事前にくじ引きをして単日で席替えすることです。席を固定にしているのは、互いの声が聞こえる範囲にいてほしいという考えからなのですが、そうすると、おのおの、話すメンバーと話さないメンバーが固定化されてきてしまったので始めました。うちの課は、メンバーの雇用形態が正社員、契約社員、嘱託社員、派遣社員と多様です。それぞれが異なる業務を担当しているため、業務上話すことが少ない者同士も、隣同士になって話す機会が増えれば、多少なりとも新しい気づきが生まれているのではないかと期待していますし、私も一緒に席を替わって普段話す回数が少ないメンバーと話すようにしています。
―そういった取り組みによって、職場の雰囲気や人間関係、コミュニケーションに何か変化は生まれていますか?
稲吉:私も含めて、「お互いが気持ちよく働くにはどうすればいいか」といったことを考えたり話したりする機会が増えましたね。また、お互いの担当業務について知ったことで、なぜその人が今忙しくしているのかといったことをお互いがなんとなく分かるようになり、相互理解の深まりを感じています。
―小山さんは、組織運営において工夫されていることや取り組まれていることはありますか?
小山:Wevoxを導入する以前から取り組んでいることですが、毎週月曜日の朝に、支店全体でミーティングを行い、「3分トーク」と名付けて、1人3分ずつ、先週の仕事の話とプライベートの話をする時間を設けています。うちの支店は2つの課に分かれていて、私の着任前までは互いにあまり話をしたことがなく、何の仕事をしているか分からない状況だったこともあって始めました。
月曜日という週で一番しんどい日に1人ずつ話してもらうことで、マネージャー陣は声色などから一人ひとりのテンションやしんどさを把握できます。メンバーも人に伝える練習になりますし、同僚が今どんな仕事をしていて、どんな性格で、何に対してスイッチを押すと興味を持つのかが分かります。それに、周りの仕事の状況を聞いて、自分が今遅れているのか、良い具合に進められているのかといった立ち位置を知る機会にもなるんです。そうして、お互いに様子を気にしたり、アドバイスしたりといったことができる組織をつくろうと思ってやっています。
そして、こういった普段のコミュニケーションの状態を知るためにWevoxでチェックするという感じですね。
また、私と支店のメンバーとで課長抜きのミーティングを月1回、飲み会を2ヶ月に1回行っています。ミーティングは、支店で「働き方改革推進リーダー」に任命されているメンバーとは別のメンバー2人と私の計3人で行い、そこに支店のメンバーを1人ずつ順繰りに加えた4人で飲み会に行っています。
メンバーからすると、直接の上司である課長には言えないことってあると思うので、それを話せるスキームがあったらいいなと思ってやっています。もちろん、課長には、事前に誰と飲みに行くかを伝え、飲み会で聞いた内容も必要に応じて共有しています。
―こういった取り組みをされていると、仕事の状況やプライベートなどについても話しやすい雰囲気っていうのは醸成されてきていますか?
小山:そうですね。毎週月曜日の3分トークでは、一人ひとりが話したことに対して他のメンバーが気づいたことをコメントして場が回るよう、僕は意見を返さないようにしていたんです。すると、中堅のメンバーを中心に、「こうしたらいいんじゃないの」とか、「プライベートでこれが好きなら一緒に行こう」といった話を自発的にしてくれていますね。
一人ひとりが自律性を持ちながら、協働して成果を出せる組織に
―最後に、今後の組織づくりの展望について教えてください。
富永:引き続き、風通しが良く、自由闊達でフラットな組織であるよう、雰囲気づくりや仕事の進め方・役割の与え方などの工夫をしていきたいと思っています。基本的には、私とメンバーとの接点はビジネスの中でのコミュニケーションしかないので、その中で、個々のメンバーが与えられたミッションを通じて成長し、仕事が上手になって人間性も磨かれていくようにしていきたい。
その過程で、各自が「みんなでこういうチームになっていこう」と志を表明したり、それに対して一人ひとりが自律的に行動を起こしたりといったことがうまく回り出すようにしていきます。それに加え、停滞が見て取れたときには、何か新しい取り組みを入れるなどして工夫していきたいです。売上などの数字としての成果は、その結果として表れてくるものだと思っています。
小山:メンバーが孤立しやすいエリアなので、メンバーには、あえて「チーム」という言葉を使っています。1人ではできないことでも同僚や上司との意見交換によって化学反応が起こり、100%以上の力を出せることをたくさん体験してもらえるよう、引き続き取り組んでいきたいですね。
3分トークや課長抜きの飲み会は、その雰囲気づくりの1つです。私自身があえて近しい存在になって気軽に話せる雰囲気をつくることで、ものが言い合えて、チームで仕事を動かしていくことがやりやすいような風土にしていきたいと思います。
稲吉:今、うちの課はそれなりにいい状態ではないかと個人的には思っていますが、正社員のメンバーはいずれ異動していくことにはなります。果たして人が入れ替わったときにこの良い状態は続くのか?ということに対しては考えていかないといけません。だからこそ、今のうちに残るメンバーが企画部全体を支えていけるような状態にしておきたいです。
また、もう1つの課題が、営業部隊を支える部署として、営業部隊の困りごとに気づけるよう、各自が自分の仕事で手一杯になるのではなく、周りを見られるようになることです。今はまだ、自分の役割範囲で線を引いてしまっているメンバーが多いので、役割範囲にプラスして考え、自発的に動ける状態になるよう、取り組みを続けていきたいですね。






