
「会社をみんなでよくしていく」創立100周年を見据えてホーユーが歩みだした双方向な組織づくり

2003年に新卒入社し、約10年間、製品開発研究室でヘアカラーやヘアケアなどの頭髪化粧品の開発を手がける。2014年に経営企画室に異動し、中計の取りまとめなど戦略策定やグループ経営管理の整備の他に、チェックカードにまつわる業務を担当。2020年よりマネージャーに。

2005年に新卒入社し、包材開発研究室で国内外向け新製品の包装資材の開発に従事。2020年3月より経営企画室に。チェックカードなどの全社的な調査やビジネス環境分析といった業務の他に、研究所での経験を活かしてSDGsの推進も担当。
「個人と組織」、「個人と仕事」などとの繋がりを示すエンゲージメント。近年経営指標としても注目を集めるエンゲージメントは、10の組織があれば10通りの形が存在します。このシリーズでは、エンゲージメントサーベイ「Wevox」と共に組織づくりを行う企業のストーリーを通じて、様々なエンゲージメントの形を届けていきます。
今回は、ヘアカラー・頭髪化粧品などの製造、販売を手がけるホーユー株式会社のケースを紹介します。2023年に創立100周年を迎える同社は、コロナ禍における「新しい働き方」の導入に際して、社内のエンゲージメントサーベイをスタート。従来の社員アンケートと組み合わせるかたちで組織改善を行うプロジェクトを立ち上げました。事務局である経営企画課の笹尾祐貴氏と小島久幸氏に、プロジェクトを振り返っての気づきや、今後の組織づくりの展望を語っていただきました。
従来の社内アンケートとWevoxを融合させ、社員の声を調査・分析
(笹尾)当社では2020年12月より、エンゲージメントサーベイとカスタムサーベイを併用した組織改善の取り組みを進めてきました。今回はその振り返りも兼ねて、当社の取り組みを紹介させていただこうと思っています。
(小島)その話を進める前に、当社が独自に行っている「チェックカード」という取り組みについて説明しましょうか。
当社では、経営計画や経営方針など戦略立案を行うにあたり、内外の要因をしっかり把握することを目的に入社3年目以上の社員を対象にフリーコメント式の調査を年に1回実施しています。これを「チェックカード」と呼んでいて、もう10年以上続いているものです。
(笹尾)自社の強みと弱みだけでなく、機会や脅威といった外部環境についての意見を社員から吸い上げるものですが、同時に社員の会社への思いや考えを経営層が読み取るという意味でも貴重な機会になっていますよね。

(小島)これまでも、コメントの中で「人間関係」や「職場環境」といったエンゲージメントに関するものはいくつも寄せられていました。ただ、なかなか定量的な分析ができておらず、毎年実施しているものの変化を捉えるのが難しいと感じていました。分析が属人的になりやすい点も課題でした。
(笹尾)あわせて、ちょうど当社でも新型コロナウイルスの拡大で、昨年よりリモートワークを導入しました。
(小島)はい。まさに「新しい働き方」を推進していく過程では、社員と組織や仕事との関係性を示すエンゲージメントをしっかり捉えていく必要があると感じていたんです。そこで定量的にサーベイでき、把握もしやすいツールを探すことが、今回のプロジェクトのスタートでした。
(笹尾)実は最初は、エンゲージメントサーベイを開始するタイミングでチェックカードも刷新しようと考えていました。ですが、経営層が年に1回社員の生の声にしっかり目を通すことに対し、我々が思っていた以上に重きを置いていらっしゃったんです。であれば、全てを変えるのではなく、今までのいいところを残しながら新しいことができないかを検討した結果、Wevoxのカスタムサーベイを組み合わせる方法に至りました。
(小島)チェックカードの機能を維持しながら定量的にサーベイできるのが必須条件でしたから、まさにWevoxは我々の希望通りのツールでしたよね。設問の追加や変更ができるカスタムサーベイを使ってこれまで通りにコメントを取りつつ、エンゲージメントを定量的にサーベイできます。
パソコン以外にスマホでも回答できて、定点観測して比較しやすいですし、集計や分析がある程度自動化されていて、部署や役職、性別などいろんな切り口で分析しやすい点も良かったです。あとは他社さんのサーベイ結果をベンチマークできるところはすごくありがたかったです。コストパフォーマンスの良さは言うまでもありません。
「経営層」「部・課(組織)」「全社員」の3つ視点で具体的なアクションに取り組む
(笹尾)トライアルを経て、対象を全社員に広げ、最初のサーベイをチェックカードと同時に2020年12月に実施したんですが、その分析結果をもとに「3つの視点」で新しいアクションを考えたんですよね。
(小島)はい。それが今回の話の骨子になります。具体的には、「経営層」「部・課(組織)」「全社員」の3つに分けて、それぞれに対して具体的なアクションをしたんです。
(笹尾)それぞれの説明の前にちょっとお伝えしておくと、これまでのチェックカードの取り組みの中で、具体的なアクションになかなかつなげられなかったことが事務局として反省していた部分だったんです。だからこそ今回は「このサーベイ結果を活用して絶対にアクションを起こしていくぞ!」という意気込みだったんですよね。
(小島)そこはすごく意識しましたね。そして、コンセプトとして「課題改善はみんなで対応する」を掲げ、双方向のコミュニケーションにこだわってアクションを設定していきました。

(笹尾)まず、1つ目のアクションが「経営層」に向けたものですね。
(小島)昨年12月に実施したサーベイ結果を今年2月の役員向け報告会に提出したのですが、その報告で終わらせるのではなく、執行役員以上の方々に「レポート作成」をお願いしたんです。サーベイ結果からどんな気づきがあったのか、どういった改善策や取り組みが行えそうかをフィードバックいただいたうえで、4月に「役員集中検討会」という場を設けました。そこで今回のサーベイで浮き彫りになった全社的な課題、特に組織風土や新商品の話にフォーカスしてディスカッションを行ったんです。
(笹尾)ポイントは、報告内容をもとに経営層の方々にレポート提出をお願いしたことです。忙しい中で大変なお願いではありましたが、経営層が社員の声から危機感を感じて議論する場は絶対に必要だと思ったので、心を引き締めてお願いしました。
(小島)特に今回議題にした組織風土の話は、一朝一夕に対応・解決することが難しいテーマ、長い歴史の中で染み付いてきたものです。でも、改善や解決の糸口を見つけるために意見交換・議論を重ねることはとても意義のあることだと思っています。
他社事例を参考に、現場に改善活動のためのアクションを考えてもらう
(笹尾)2つ目のアクションが、部や課などの「組織」に向けたものです。ここも同じく、改善策の検討がテーマですよね。
(小島)はい。ワーク・エンゲイジメントのスコア、具体的には「職務」「自己成長」「健康」「支援」「人間関係」「承認」といったスコアが全社的に見て低かった部門に対して、担当役員を経由して個別のスコアを開示し、部門ごとに改善策を検討してもらいました。
(笹尾)スコアを開示する以上、数字が見えるデメリットを心配した部分はありましたよね。
(小島)そうですね。こうしたサーベイを今までしていなかった分、下手に「犯人探し」のようになってしまうのは本望ではなかったので、慎重に開示する必要があると感じ、担当役員を経由するかたちをとりました。
(笹尾)ここの取り組みに関しては、各部門から具体的なアクションが上がってきたのがすごく印象的でしたよね。
(小島)例えば、「職場でねぎらいや感謝の言葉を発信する機会を増やす」とか、「メンバー同士で成果や成功事例、改善提案について共有する場を設ける」とか、「目標管理の設定や評価フィードバックの仕方を改善する」、「社内外の研修や講習会への参加を促して成長機会を増やしたり、他部門との交流を増やす」といったものまで、すごくたくさんありました。
(笹尾)考えてもらうにあたっては、Wevoxを活用している他社の事例を共有したのが大きかったですよね。「他社だとこんな取り組みをやってます」というアトラエさんの持っている知見を最大限活用させてもらいました。いきなり改善活動を考えるのは難しいですからね。
(小島)今までは定性的にしか見えなかった課題が、定量的に見えるようになったからこそ、現状を振り返って見つめ直すことの重要性が高まったと思っています。今後は部門で検討していただいたアクションをしっかり実践していただくとともに、事務局としても経時でのスコア変化を追っていきたいです。

(笹尾)最後の3つ目が「全社員」に向けたものですね。
(小島)ここについては、定性的なフリーコメントの内容を掘り下げたかたちの取り組みになっています。サーベイで集まったコメントは改善策が具体的に書かれているものも多かったのですが、全部を一度事務局で整理し、テーマごとに分類して全社員にもう一度公開。それを見ていただいたうえで、さらに会社を良くするための「プラスアイデア」があれば掲示板に寄せてほしいとお願いしました。
(笹尾)正直なところ、どの程度集まるのか、業務の負担にはならないかなど不安はあったんです。でも1カ月間で85件の投稿があり、皆さんの熱意を感じることができたのは嬉しかったですよね。
(小島)サーベイの回答率も91.8%で、コメントもプラスアイデアの投稿も想像以上の数でした。とてもありがたかったです。こういうアンケートが定期的にしっかりと運用できれば、会社を良くするためのアクションを生み出す基盤にしていけそうだと思いましたね。そのためにも、今回集まったコメントについては次の役員集中検討会で報告・共有し、今後の改善活動のための参考情報として活用していくつもりです。
(笹尾)これまで具体的なアクションにつなげられなかったことが課題だったからこそ、アクションにつなげていく取り組みを社員の皆さんに見ていただけることは、第1回目としては重要だったかなと感じています。
振り返って感じる「現場の力」「双方向コミュニケーションの大切さ」
(笹尾)正直なところ、まだ1回目のサーベイが終わったところで、活動がスタートしたばかりではありますが、会社が変わっていきそうな兆しを感じているんです。昨年までのチェックカードの取り組みよりも経営層の議論は間違いなく白熱しましたし、それはすごく大きな変化だったと思います。
(小島)確かに、数字でわかる「生々しさ」で皆が自覚できた部分はあったと思います。定量的にも定性的にもわかって、なおかつ他社や他業界などと比べてどうなのかも分析できるので、考える材料は増えたように思います。
(笹尾)一番大きな点は、これまで活用の範囲が限定的だったチェックカードを、全社でしっかり共有することで、今後活用の幅が広がるきっかけになったことです。実はみんなすごく考えていて、現場には色々なアイデアが転がっているんだということを改めて感じました。これは双方向のコミュニケーションにこだわり、「みんなで取り組もう」という姿勢で進めたからこそわかったことだと思います。
(小島)そして、そういう思いが経営層にも今まで以上に届き始めているのかもしれませんね。
(笹尾)そうだと思いますし、これからも事務局としてしっかり届けていくことこそが課題になると思いますね。
(小島)私が今後大事にしていきたいのは、経営と現場、事務局が共通の認識をしっかり持ち、「みんなで高めていこう、支援していこう」という状態・雰囲気をうまく作っていくことです。そのためには、もう少しエンゲージメントという言葉を社内に浸透させて、経営層と社員のコミュニケーションを増やしていく取り組みができればと思っています。
(笹尾)その時に「事務局よがり」にはしたくないですよね。「事務局からエンゲージメントサーベイというものがおりてきているな」ではなくて、各部門がスコアに対して自主的にアクションを考えられるような環境を根付かせていきたい。そうなった時に、うちの会社はもっと強くなるはずですし、そこにたどり着くために今後も試行錯誤を続けていこうと思います。






