
【Teamwork Sessionレポート】現場との温度差は最小限に。チームと人事を繋ぐアンバサダーの重要性とは?

2001年にエンジニアとして新卒入社。2015年よりグループ内案件を担当する営業を兼務し、その後は営業専任に。2019年からは人事として組織開発に関わり、同年4月よりスタートした社内のエンゲージメント向上プロジェクトの推進役となる。2020年からは人事専任となりプロジェクトを牽引する立場になり、現在はエンゲージメント向上推進や新卒・中途採用など多岐に渡る役割を担う。
Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回は、ヤマハハイテックデザイン株式会社 管理課 エンゲージメント向上推進役/人事の坂本竜一さんにご登壇いただきました。2019年からWevoxを導入されている同社では、様々な試行錯誤をしながら活動が軌道に乗り始めています。その背景にはどのような取り組みがあったのでしょうか? Wevoxが運営するオンラインアカデミー「Engagement Run!」の体験談や、セッションに参加された方々からのご質問も併せてご紹介します。
―本日のテーマは「現場とエンゲージメントを一緒に考え、創る〜現場の巻き込み事例〜」です。坂本さん、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。ヤマハハイテックデザインの坂本と申します。ヤマハグループの製品開発を担う弊社では、楽器・音響製品、FA機器の開発に携わっております。本社は静岡県磐田市、社員は50名程度です。弊社でエンゲージメント活動が始まったきっかけは、前社長からの「エンゲージメント活動の推進役をやってみないか?」という言葉でした。弊社では、職場におけるエンゲージメントを向上させるPDCA活動を「エンゲージリング活動」と呼んでいます。エンゲージリングは婚約指輪を意味するので、夫婦関係のように会社と社員が対等なパートナーとして絆を強くできるよう、社長が命名しました。そして、このPDCAサイクルを回すため、2019年5月にWevoxを導入しました。
初年度の失敗で明らかになった課題の数々

初めに社長からエンゲージメント活動の概要を全社員に説明してもらい、全社一斉に活動をスタートさせました。自主的な活動を意識するため、活動の分析方法は各チームに任せ、活動内容を月1で社内の掲示板に発信するというルールを設けました。また、対策の実行として、アドバイザーが1on1を行う制度を設けました。アドバイザーになった人には、半日のセミナーで傾聴のスキルを学んでもらっています。
他にも、「Wevox values card」を使用した、お互いの価値観を知るための相互理解ワークショップを開催しました。主なテーマは「あなたが大事にしている価値観」「自分が仕事をする上で大事にしている価値観」「管理職として大事にしている価値観」で、選んだカードとその理由についてまとめたものを全社で共有しました。このカードは、お客様との価値観の共有や、面接の際などにも活用しています。また、管理職が考える課題、社員が考える課題を話し合うワークショップなども開催しました。

活動2年目は、初年度の振り返りを行い、失敗要因を分析するところからスタートしました。初年度は、人事主導でサーベイ分析議論を指示した結果、現場にエンゲージメントの重要性が理解されないまま、やらされ感や不満が先行していたので、この失敗を踏まえた上で、2020年度の活動について考えました。そこから辿り着いたのが、アンバサダーチームの結成です。自分の考えが思うように伝えられなかったり、人事側でできることにも限界を感じ始めていたため、アンバサダーを募り、現場主導の活動に変更しました。
また、現場の景色やメンバーの熱量・気持ちなどは、直接現場に出向いて一緒に感じる必要があると考え、私が現場に入って一緒にチームをつくる意識で臨みました。現場との温度差が極力生まれない進み方を常に心がけていましたね。初年度のWevox values cardは2年目も継続しましたが、アンバサダーと相談してチームの状態を見ながらテーマを決めるようにしました。チームで共通の目標を話し合うようになったあたりから、チーム全体の雰囲気が徐々に良くなったように感じます。現在は3年目ですが、2年目の活動で手応えを感じ始めていたので、大きな変更は加えていません。
交流会を通じて社員の相互理解を深める
私が現場に入り込んでいるチームでは、社員からも積極的な意見が増えてきたこともあり、今期は、チームメンバーからの提案により以下のような会をスタートしました。


各テーマによって仕切り役は異なりますが、私が担当しているエンゲージメント講座では、Wevoxが運営するオンラインアカデミー「Engagement Run!」 などで学んだ知識を少しアレンジして共有しています。実は、Wevoxの平木さんのラジオ「Weradio」も活用させていただいているんですよ。主体性について説明する際に、このラジオを聴いてもらうところから始めたのですが、メンバーがリラックスし、楽しんで会に入ってもらうことができました。他にも、書籍の紹介や、メンバーのBig five・FFS当てクイズ、NG行動を考える、AIアプローチ、特性診断を通して相互理解を深めるなどといったテーマを取り上げています。
以下は、サーベイの結果の推移です。

左が全社の結果ですが、Wevox導入当時からほぼ変化がありません。しかし、私が現場に入り込んで一緒に活動しているチームでは、活動をリスタートしてから11ヶ月目あたりからエンゲージメントが上昇し続けています。Wevox導入から数えると、約2年でようやくスコアに変化が現れ始めたと言えます。

また、エンゲージリング活動のチームで実施しているカスタムサーベイの結果にも変化がありました。このサーベイは6ヶ月おき(去年6月・12月、今年6月)に実施していますが、「組織チームが活性化している実感はありますか?」という質問については、1年前と比べて23点もスコアが上がっていました。その他、「今後も活動を継続したいと思いますか?」といった質問や、心理的安全、主体性に関する質問についても、軒並みスコアの上昇が見られています。コメントについても、今後の課題などに関するものも含めて前向きなものが多く、チームの雰囲気が良くなっているなと実感しています。
チーム=みんなで協力してつくるもの
これまでの施策を通して私が感じたことは、いきなり活動をチームに任せても高確率で失敗するということです。全体でやってみて上手くいかない時は、小規模で仕切り直してみるのも良いと思います。また、人事が熱い気持ちを持っているだけではダメで、現場との温度差が極力生まれない進め方を常に意識する必要があると思います。人事自らが現場に入り込み、一緒にチームをつくるという意識で活動することが成功への近道です。そういった時、アンバサダーは人事の強力な味方になるはずです。
今後の課題・展望としては、今回の成功事例を社内で共有し、他のチームにも「やってみようかな」と思ってもらえるような雰囲気づくりを目指していきたいです。そして、社内での成功事例をさらに増やし、組織全体のエンゲージメントの向上に繋げたいと考えています。ただ、強制できるものではありませんので、単純にはいかないだろうという心構えは持っています。個人的な目標になりますが、これまでの活動を3年間やってみて、社内のコンサル的な立場になりたいと考えるようになりました。現場の頼りになる存在になれるよう、今後も精進して参りたいと思います。
―ありがとうございました。Wevoxをご利用いただいているお客様の中にも、どうやって管理職の方を巻き込んでいけばいいかに悩まれる方が多いのですが、工夫点やポイントなどはありますか?
最初は自分の想いや考えを説明してもなかなか理解してもらえないだろうなとは感じていましたし、私自身もエンゲージメントについて深い知識があったわけではないので、当時アトラエさんが始められたEngagement Run! に参加することにしました。管理職の人達にも3ヶ月限定で一緒に参加してもらったのですが、劇的な変化は感じられなかったものの、私からしてみれば、前よりも想いや考えが伝わるようになったと思います。少しずつ、巻き込みを始めているといった状況です。
―坂本さんには、Engagement Run!のかなりの初期段階に、管理職の方や社長とご参加いただきました。今回、社長である中村さんにもこのセッションにご参加いただいていますが、Engagement Run!の感想や管理職の方の巻き込みについてお話いただけますか?
(中村氏)最初は管理職それぞれのエンゲージメントに関する認識が浅かったですし、重要性などもバラバラでしたので、坂本を含めた5名でEngagement Run!に参加したことにより、認識合わせができたと思います。3ヶ月という短い期間ではありましたが、そういった時間を取れたことは非常に良かったです。Engagement Run!には本当に多種多様なテーマがあって面白かったですし、私自身、同じような課題を持たれている他社さんと会話ができたので、とても有意義なセミナーだったと感じています。
―ありがとうございます。アンバサダーを募ることに関してご興味を持っている会社様が増えてきていますが、坂本さんはアンバサダーを選ぶ条件についてどう思われますか?
アンバサダーをやりたいと自ら思ってくれる人、というのは最低条件だと思います。あとは、私とアンバサダーが互いに心理的安全性を確保できている、そういう状態が理想ですね。アンバサダーと何でも言い合える関係でないと、そこからすれ違いが生じて溝が深まるような気がします。お互い本音で言い合える方が協力もしてもらいやすくなりますから。人事から見える景色と現場から見える景色は違いますし、人事側が良いと思ってやっていても現場には伝わらないこともあります。そういった面は、現場にいるアンバサダーと話し合って進めるようにしていますね。
―なるほど。お話にあった交流会についてですが、始めることになったきっかけと、内容の選定方法や伝える際のコツなどはありますか?
実際、1年目の時に失敗したんですが、いきなり何かを人事側からやろうとしても聞いてもらえないですし、なんでやるの?と思われてしまうんですよね。人事がまた綺麗事を言い始めた、と言われたこともありましたし(笑)。そういった失敗から感じたのは、まずはメンバーが何を考えているか、どういう風にやりたいか、どういう価値観を持っているかなどを、メンバーと一緒になって共有することの重要性です。話し合っているうちにメンバー自らが課題を見つけてくれるので、そのサポート的な存在になってやりとりを進めることにより信頼感が生まれます。
そこでやっと、自分が発信したいと思うことが受け入れられるようになるんですよね。エンゲージメント講座を取り入れるようになったのもこの影響です。いきなりではなく、まずは現場の話を聞くところから始めないと上手くいかないのではと思いますね。
―その辺りは、現場の方と一緒につくっていく上でも根本的に大事なポイントになりそうですね。ではここからは質疑応答へと移ります。
参加者の質問: お話の中にあったアンバサダーチームは、御社の様々な部署から混成で集められたチームなのか、それともどこかの部署のチームですか?
A. 後者ですね。6人ほどのチームですが、それぞれが違った職種や仕事をしていたりするので、最初は共通の課題を見つけるのに苦労しました。
参加者の質問:2019年の失敗要因の分析は、どなたが何をもとに、どのように行いましたか?
A. 自分自身が感じた反省や、社長やアンバサダーの結成に興味を持ってくれていた人から現場の雰囲気を聞いて感じたものなどですね。アンバサダーチームを結成してからも振り返りを行っていたのですが、やはり自分自身や社長が分析した通りの結果になっていました。振り返りに関しては、推進者側が仮説を立てるのも大事ですが、現場からの生の声をたくさん拾う必要があると思います。Wevoxのスコアは、最初こそ私自身も気になっていたのですが、途中からは「スコアが全てではない」という考えにシフトしました。現場の雰囲気・景色を重視するようになってから、すべてがガラッと変わったように感じます。
参加者の質問:現場に入ってチームをつくっていかれたとのことですが、実際にはどのようなことをされてきたのでしょうか?
A. 私は元々エンジニアだったので、エンジニアの一員というような感じでフレンドリーに接し、仲間意識を持ってもらえるようにしました。嫌われ役でもいいと思っていた時期もありましたが、そういう意識では現場との間に溝ができてしまって。私の場合は、素の自分で接した方が上手くいきましたね。また、このチームは週1で定例会を開催しているのですが、アンバサダーに確認を取り、毎週参加するようになりました。技術的な勉強会のような内容になることもあり、理解できない時もありますが、社員が今やっている仕事を知ることで上手く循環している部分もあるので、一見自分に関係のなさそうな会でも極力参加するようにしています。あとは、何かちょっと問題があるのかなと感じた社員には積極的に声をかけて、30分くらい、お互いの情報交換の場を設けています。
参加者の質問:サーベイで正直に回答してもらうための工夫はありますか? 現在、弊社では管理職に気を遣って回答されることを懸念しており、結果を公開していないのですが、いかが思われますか?
A. 同じような理由で、弊社も元々は結果を公開していませんでした。すべて公開してしまうと点数の競争が始まったり、本来の答えと違った回答を付けられてしまうかもという懸念がありました。現在弊社でやっているのは、全社のスコアと、あとはその本人が所属する課とチーム、この3つの結果のみの公開です。管理職は個人を除いたすべてのスコア、社長と人事の私は個人と全体を閲覧できるようになっています。しかしながら、私の入り込んでいるチーム以外ではネガティブな意見を聞くことがあるので、まだまだ改善点はありますね。
参加者の質問:推進側は坂本さんお一人ですか?
A. 1年目は前社長に声をかけてもらい、二人三脚で始めました。この頃は本当に心が折れそうになりました(笑)。2年目からはアンバサダーが加わり4人体制となったこともあり、とても気持ちが軽くなりました。あとは、Engagement Run! で同じような悩みを抱えている他社の方々と話すことも心の支えになりましたし、そういうのがなければ継続はなかなか難しかったかなと思います。
参加者の質問:弊社ではこれからアンバサダーチームを募る段階なのですが、アンバサダー以外の社員との関わり方についてアドバイスをいただけますか?
A. 私も最初は同じ悩みを抱えていました。最初から多くの人にポジティブな考えを持ってもらおうと思ってもなかなか上手くいかないので、アンバサダーなど小さな単位からじわじわと広げていくイメージで進められるのが良いと思います。Engagement Run! でも学んだのですが、262の法則にもあるように、まずは上位の人とタッグを組んで、そこから6割の人をじわじわと上に持っていくと、会社の8割の雰囲気が変わりますよね。そこに2割の人も引っ張られていきます。一気に変えるのではなく、近い人から少しずつ自分の方に。でないと、推進側の心が折れてしまうと思います。
―ありがとうございます。最後に、坂本さんから皆様にメッセージをお願いいたします。
弊社のスコアはあまり優秀なスコアではないですが、3年目にしてようやく結果が現れ始めてきました。今までは、紹介できる事例なんて1つもない状況でしたが、諦めずに蒔いた種はどこからか芽が出てくるはずです。推進者の方々には、折れない心で継続していただきたいです。一緒に頑張りましょう。
【編集部コメント】
諦めずに少しずつ継続することの大切さを改めて感じさせられるプレゼンテーションでした。また、Engagement Run! での学びを実践に活かすことの重要性も伝わりますね。自社にも活かせられそうなアクションがあれば、積極的に取り入れてみましょう!







