
【Teamwork Sessionレポート】やらされ感を変える「問い」の力〜エンゲージメントを組織に広める、JA愛知信連の1年間の挑戦〜

2013年入会。入会後、農業制度資金に関わる業務を2年、県下JA信用事業の企画・開発業務を5年経験。現在は、総合企画部に所属し、組織の全体統制・管理業務に従事するとともに、エンゲージメント改善活動に携わる。
Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。愛知県信用農業協同組合連合会 総合企画部の山本大貴さんにご登壇いただきました。山本さんはエンゲージメント向上アカデミー「Engagement Run!」にもご参加いただき、学んだ内容を職場でも活用されています。Engagement Run!で学んだことは、組織にどのように役立てられ、どのような気付きをもたらしているのでしょうか?
人財戦略の一環としてエンゲージメントに着目
―本日のテーマは「エンゲージメントを組織に広めるための活動事例〜JA愛知信連の1年間の挑戦〜」です。どうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。当会の正式名称は愛知県信用農業協同組合連合会、通称はJA愛知信連です。愛知県にはJAが全部で20組合ありまして、その信用事業の部門、いわゆるJAバンク部門を様々な形でサポートさせていただいてます。職員数は全体で300人ほどです。我々は、令和2年から「10年ビジョン」というものを設定しており、目指す姿の一つとして「働きがいや挑戦意欲に溢れた職場にしていこう」、「個人の力が発揮されやすい環境を作っていこう」、「そんな活力ある組織を作っていこう」という点に注目して進めています。このようなビジョンの実現のためには個人の主体性が重要になってくると考え、人財戦略の一環としてエンゲージメントの向上を掲げています。

ツールの選定にあたっては、書籍「組織の未来はエンゲージメントで決まる」で学び、また、トライアル中の早い段階で「Wevoxっていいね」と感じたということもあり、結果的にWevoxを導入させていただくことになりました。
やらされ感の払拭が大きな課題に

このスライドは、令和2年度から令和3年度にかけて取り組んできた内容を示したものです。Wevoxは令和2年5月から導入し、3ヶ月毎にサーベイを配信しています。導入当初のエンゲージメントの状態については、部署やグループ毎で様々でした。全社的なアプローチではなかなか届きづらい部分もあるのではということで、それなら現場主体で改善活動を進めてもらおうと、マネージャーが自チームのスコアを見られるようにしました。さらに、フィードバックミーティングでのスコアを題材にした対話を通じて、チームの改善を進める方法を促してきました。
しかしながら、相対的には「実施して良かったな」という声がある一方で、「抵抗感があるんだよね」「やらされ感を感じるんだよね」という声もありました。実施できていないグループの人からも「通常業務で忙しい」という声があったため、令和2年度の取り組みについては、結果として単発で終わった感が否めなかったです。事務局として考えてきたことも短絡的過ぎたのかなと反省しましたし、取り組みの意義や目的をもっとしっかりと伝え、現場の負担も考慮して進める必要があると気付かされました。
学びの場や会内広報でエンゲージメントの理解と浸透を促進
それを踏まえ令和3年度からは、理解・浸透をメインにして、興味のある職員を少しずつ増やしていくところからスタートすべく、全職員の希望者を対象とした学びの場を開催し、ワークショップや勉強会を通じての理解・浸透に注力しました。
この学びの場は、事務局がファシリテーターとなって毎月1テーマを2〜3回のコマに分けて実施しており、毎月30名ほどの職員が参加しています。内容には、エンゲージメント向上アカデミー「Engagement Run!」に参加して学んだ内容を活用させていただていますね。
例えば、相互理解を深めるためのワークショップを開催したり、チームビジョンとその実現方法についてみんなで話し合ったり、エンゲージメント理解のための勉強など、学びの場に参加した人達と一緒に取り組んでいます。

また、これに合わせて組織活性化につながる施策を随時展開し、取り組みをより多くの職員に知ってもらうために会内広報を発信しています。広報は、学びの場の様子の掲載はもちろん、現場の取り組み事例の紹介や、サーベイ結果の共有などにも使用しています。この1年は特に浸透強化期間ということもありましたので、啓発ポスターを作ってオフィスに掲示したりもしました。
エンゲージメント推進活動が自分の成長を見つめ直すきっかけに

こういった取り組みの結果、どういう風にスコアが動いたのかというと、全体のスコアは横ばいのまま変わらなかった一方で、浸透スコアには徐々に上昇が見られました。ただ、共感度はなかなか高まっていないので、今後としては組織活性化に向けていかに空気感を作っていくかというところが課題の一つかなと考えています。道のりは長いかもしれませんが、今後の展望としては、エンゲージメントが自然と高まる職場を目指していきたいですね。
エンゲージメントは結果として高まるものだと思っていますので、みんなでエンゲージメントが高い状態を描いて、それに向けてどうアクションしていくかが肝心かなと。そういったところを事務局として支援できる仕組み・体制も今後作っていきたいです。具体的には、成長につながる学びの場を再設計したり、内部・外部の人が交流してより学びを深める場を作ったり、あと効果的な情報発信はもちろん、これまでに培ってきた知識や知見、ノウハウをデータベース化して、みんなで高め合っていける土壌を作れるとベストですね。
最後に、エンゲージメントの推進活動の中で生まれた私自身の心境の変化について少しお話をさせていただきたいのですが、エンゲージメントという考え方に出会った当初は、「会社の想いと自分の想いが重なるってどういうこと?」「自分のやりたいことって一体何だろう?」と疑問に思っていました。

色々と過去の自分がやってきたことを振り返ってみると、会社や他人が決めたことに対して文句を言わずに黙々とやってきた自分がいて、それが自分にとって心地いい状態だったのかと思う反面、「あなたの意見は?」と聞かれると困ることが多かったんですね。
そんな中、Engagement Run!に参加させていただいて、そこで知り合った方々の考え方を聞いているうちに、信念が伝わってくる人というのは魅力的だなと改めて思いましたし、自分の人生を生きているが感じがして、とても考えさせられたんです。自分を持てていなかったのは、自分を殺してきたことによる結果なのかもしれないな、と。そうすると自分に対する憤りが徐々に芽生え始め、自分の人生の主導権は自分で握りたいと初めて思うようになりました。
これは最近の出来事なので、つまり、私の旅は始まったばかりということです。今もなお試行錯誤の中ですし、今後は一歩一歩、自分個人としても前進していきたいと考えています。組織・チームを良くしていきたいという想いはみなさんと共通している部分だと思いますので、ぜひ一緒に頑張って働きがいのある社会を作っていきましょう。外部の方と交流することで気付きに繋がるのは、非常に価値のあることです。お悩みだとか気付きを個別に共有したい方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡いただけたらと思っています。ご静聴ありがとうございました。
―ありがとうございました。エンゲージメントの向上において主体性は引き剥がせないものだと思うのですが、この主体性が育まれる上でのポイントは何だったのでしょうか?また、主体性の育みについて従業員の方に体感してもらうために今後やれそうなことなどはありますか?
Engagement Run!に参加すると、否が応にも考えざるを得ないというか、いろんな問いかけをされるんですね。ですから、重要なのは「問い」かなと。セミナーなどを受けさせていただく中で、「自分にとって本当に大切なものは何ですか?」とか、「あなたの隣にいるメンバーの人の実現したいことは何ですか?」と問いかけられたとき、考えないと分からなかったんです。そういったことを聞かれること自体が初めてだったので。ですから、それにまず衝撃を受けましたね。色々な方向から問いかけられて、考えていったところが大きなポイントだったかなと思います。自分自身この経験によって発想の転換をさせていただいたので、最初の一歩として周りの人に問いかけることが良いのではと考え、今取り組んでいます。
―問いかけについて考えさせられる環境におかれたことで、違う捉え方や様々な面の気付きがあったんですね。自社で事例を発信されているWevoxのお客様が増えてきている印象ですが、山本さんの組織ではこの事例探しをどのようにされていますか?
現場事例に関しては、比較的にスコアがよかったグループのグループ調査にアポイントメントを取り、色々と話を聞かせてもらっていますね。グループのマネジメントなどを教えてもらう中から内容をピックアップしています。
―Wevoxのスコアもヒントにしながら探されているんですね。ありがとうございました。ではここからは質疑応答へと移ります。
Q. 弊社も現在、エンゲージメントの概念を理解・共感してもらうという同じような課題を抱えているのですが、学びの場の設計はどれぐらいの規模やチームでやられているのでしょうか?
A. チーム体制としては、エンゲージメントの推進活動を進めて行く中で4人ぐらいの事務メンバーで運営しています。ワークショップや勉強会の中身についてはEngagement Run!で得た情報を活用させていただいている機会が非常に多く、そこから自社なりに伝え方をアレンジしながら展開しています。ファシリテーションもメンバーが役割分担をして取り回している状態です。
Q.認知度・理解度・浸透度についてはどのような質問をしてスコアを測っていますか?直接的に「理解していますか?」と聞かれているのか、それとも色々な質問を組み合わせて聞かれているのでしょうか?
A. 「エンゲージメント改善活動について認知していますか?」「活動自体を評価していますか?」といった具合に、Wevoxのカスタムサーベイを通じて直接的に聞いています。四半期に1回同じような質問をして浸透度のスコアを見ていますが、質問に対するコメントももらっています。例えば、「理解が進まない理由は何ですか?」とか「共感できない部分はどういうところですか?」といった部分も聞いているので、定性的なコメントも踏まえながら学びの場をブラッシュアップしたという経緯がありますね。
Q. 共感度を向上させるにはじっくりと仲間を作りながら進めるのが良いと考えているのですが、どう思われますか?
A. おっしゃる通りで、私としてもそういった仲間を増やしていきたいと考えています。スコア的にはあまり上がっていないように見えますが、4月から活動を進めてきてきた結果、声をかけてくれたり、エンゲージメントって重要だよねと言ってくれたりする人が増え始めました。そういう意味では変化を少しずつ実感しているので、長い目で見て色々とやっていきたいですね。
Q. スコアが上がっていない部分に関してはどう捉えてらっしゃいますか?
A. 確かに上がった下がったは気になるところではあるんですけど、個人的にはあまり気にしていません。測定ツールは体重計のようなもので、日々の行動や習慣の積み重ねの結果としてそれが表れているのだと考えています。ですから、そこに捉われるよりは、変化があったことに対して何の意味があるのかとか、その点数においてメンバーが何を考えているかというところを深掘りしていくことの方が大事かなと思います。
Q. 山本さんのように若い方に推進役をお任せするというのは、組織として、こういうことは若い方にという想いがあったのでしょうか?お話を聞きながら、ご自身の年齢が若いと苦労されることもあるのではと思ったのですが、経営陣などからのバックアップはどのようになっていますか?
A. 若い人に任される経緯に関しては存じ上げないのですが、私のいる部署自体が平均年齢が若めなので、部署単体として推進していくところに関しては、非常に前向きに活動させていただいています。バックアップに関しては課題も確かにありますね。いかに経営陣やシニア層と同じベクトルで同じ目的意識を持って取り組んでいくかというところは課題のひとつなので、色々と工夫しながらやっているのが現状です。
Q. 施策の中に役員対話会の実施がありましたが、どのようなことをされているのでしょうか?
A. それまではやっていなかったんですが、新しい取り組みとして理念・戦略を浸透させていきたいという想いや、役員と現場の職員のつながり・距離感を縮めたいという想いもありましたし、役員も対話会に非常に前向きでしたので、こういった対話の場を作り、役員・職員の想いを伝え合うようにしています。今後もこのような取組みは絶やすことのないようにしていきたいです。
Q. スコアについて、公開の仕方はどのように対応されましたか?例えば、全社の合計を全社にアップして公開されたのかなど、詳しくお聞かせいただければと思います。
A. 公開については、全社に対しては組織全体のスコアしか見せていないのが現状です。なので、各部門や部署のスコアは見れないような形で共有しています。自分のグループのスコアと他の部署のスコアを比較すると、ネガティブな反応を示してしまう可能性も少なからずあるので、そういった点も考慮しつつ、スコアの見せ方には慎重になっていますね。ですので、共有できる土壌を作りながら、徐々に対処範囲を広げていけるよう、その辺りの方法も検討していければと思います。ちなみに、事務局はすべてのスコアを把握できているので、部署のスコアを見ながら、アラームがあったときはその部署と対話をしながら課題を探っています。
Q. サーベイの後は対話などのアクションを検討されていくと思いますが、その時、事務局はどの程度関与されているのでしょうか?事務局としての入り込み方などがあれば教えていただきたいです。
A. 率直に言うと、なかなか入り込めていません。ただし、個別にチームや部門の支援を行っており、こちらから声かけをする場合も、相手の方から「相談に乗ってほしい」と声をかけてもらう場合もあるのでどちらも対応はしています。入り込み方の一つの例としては、その部署に入って「こういうワークをみんなでやりませんか?」だとか「1カ月に1回集まる場を作って対話してみませんか?」みたいなことはやっています。現状はこれが3カ月などの短期間の取り組みで終わってしまっているので、職員のメンタルまでは変えられていないと言うか、なかなか行動につなげていくところまでは至っていません。現場への入り込みにはリソースも必要ですし、考える必要がありますね。
―ありがとうございました。では最後に、山本さんからみなさんにメッセージをお願いいたします。
今日は本当にありがとうございました。少しでもみなさんの気付きになれることができれば幸いですし、この機会を通じて我々の交流を深めることにも繋がれば嬉しいです。引き続き、頑張っていきましょう!
【編集部コメント】
対話をメインに、職員の方への浸透を図る様子がとても印象的なプレゼンでした。また、自分自身の成長にも繋がったという話も素敵ですね。お話の中で真似できそうだなと思った部分は積極的に取り入れて、自社の中でチャレンジしてみてください!







