経営主導から現場主導のエンゲージメント活動へ〜6年間のWevox活用で起きた組織と個人の変化

経営主導から現場主導のエンゲージメント活動へ〜6年間のWevox活用で起きた組織と個人の変化

株式会社バリューデザイン
林 秀治氏
林 秀治氏
株式会社バリューデザイン
代表取締役社長

大学卒業後、2001年に株式会社ジェーシービーに入社。 信用管理部門で与信管理、法人営業部門にてハウスクレジットサービスを担当。2006年、株式会社バリューデザインを創業後、取締役に就任。2016年の東証マザーズ市場(現東証グロース市場)上場に尽力。2022年4月にアララ株式会社との経営統合を機に同社取締役に就任し、同年6月にバリューデザインの代表取締役社長に就任。「独自Pay」のビジネスモデルを創り、国内導入実績No.1を達成する一方、リテール領域のマーケティング・DXを支援する株式会社デジクルの顧問も務める。

村田 加奈氏
村田 加奈氏
株式会社バリューデザイン
経営管理本部

経営管理本部にて、業績管理や予実管理などを担当。Wevoxの管理やサーベイ結果の分析、エンゲージメント活動の推進も担当している。

キャッシュレス決済とマーケティングを組み合わせた店舗独自ブランドのプリペイド型電子マネーの発行・管理サービスを展開する株式会社バリューデザイン。2022年6月の経営統合を機に、さらなる事業成長を目指す一助として、エンゲージメント向上に力を入れています。取り組みの詳細や効果などについて、代表取締役社長の林さんと、活動を推進する村田さんに伺いました。

経営陣、管理職が定期的にスコア・コメントについて議論し、アクションを起こす

―御社では、2017年12月よりWevoxを活用されています。導入の経緯をまずは教えていただけますか?

林:Wevoxを導入したのは、社内のマネジメント体制の改善に着手していく上で、取り組みの効果を測るためにデジタルな指標が欲しかったからです。当時、上司との人間関係などを理由に退職する社員が多発しており、管理職の任用基準の見直しやマネジメントスキルの強化など、会社を運営していく上でのマネジメント体制の見直しが急務でした。ちょうど、長年読んでいたアトラエCEO・新居さんのブログでWevoxというサービスができたことも知っていたので、「やってみるか」と導入させてもらいました。

―マネジメント体制の改善とWevoxの活用には、どのように取り組まれたのでしょうか?

林:それまでは、より多くの成果を挙げられる人、例えば、営業組織なら一番売上を上げている人を管理職に登用するなど、成果を重視した人材登用を行っていました。しかし、退職者の増加などにより成果だけを重視していては組織の成長に限界があると気づいたため、その考え方を変えていきました。

具体的には、メンバーやマネジメント層の評価の観点に、売上など定量的なものだけでなく、姿勢やスキルなどの要素を入れました。例えば、マネジメント層であれば人材の育成力があるか、メンバーであれば周りとの協調性があるか、上司と信頼関係を築けているかといった観点です。多面的な評価を行った上で点数の高い人を管理職にすることで、今では、人から信頼される人が上司になるような組織になりました。

この間、Wevoxのサーベイ結果は、メンバーのコンディションチェックの指標としてほぼ僕だけが確認して、何か課題が見られれば当該部門の部長に状況を確認し、対応をお願いしていました。

そこからより使い込み始めたのは、2022年の半ばごろからです。アララ株式会社と経営統合を行い、役員にも、社員にもアララにいたメンバーが入ってきたことから、今こそ使いどきだと考え、経営陣や部長陣と定期的にスコアを見て会話をする機会を設けています。

―具体的に、どのような会話をされているのですか?

林:経営陣に対しては、まず、Wevoxのスコアの見方などに関するワークショップを行いました。経営陣が「Wevoxのスコアは部長がマネジメントのために気にするものであって、経営陣は関係ない」と捉えないようにしたいという目的がありました。そのために、Wevoxの項目には会社と社員との関係を表すものがあるから、経営陣も含めたスコアであることや、そうしたスタンスがバリューデザインにおける社員との向き合い方の1つであることを伝えました。

―経営陣の皆さんの反応はいかがでしたか?

林:最初は戸惑った人もいたかもしれませんが、毎週の経営会議のうち、月1回はスコアについて議論しているので、今ではすべての経営陣に定着しているものになっています。結果の読み取り方には中級者と上級者がいて、例えば、中級者だとコメントに書かれた事象にあたふたしますが、上級者は「なぜこう書いたんだろうか?」と裏側を読んで議論できるようになっています。

―部長の皆さんとは、どのような会話をされているのでしょうか?

林:マネジメント会議という、部長が集まる会議を週1回行っているのですが、そのうち月に1回は、業績や数字を抜きにした話をする会にしているんです。そこでWevoxのスコアやコメントを見て話すのが定番メニューになりつつあります。

例えば、コメントの記入があった際には、まずはその部門の部長に「なんでこう書かれたんだろうね?」「どうしようと思っていますか?」「何かしてますか?」などと聞くようにしています。その上で、隣に座っている別の部門の部長に「あなたならどうする?」とも問いかけています。

この、別の部長にも問いかけることが工夫として大事にしていることです。こうすることで、自分の部にコメントをもらった部長も、そうでない部長も、多様な意見を聞けて、管理職としての課題解決の引き出しを増やすことができていると思います。

―この取り組みを始めて、経営陣や部長の皆さんにはどのような変化が起こっていますか?

林:僕が結果を見て指示を出していた時代と違って、今は、僕より先に結果を見て、ああだこうだと議論が生まれていますね。村田さんはどのように感じていますか?

村田:経営陣や部長の皆さんで会話をされる前は、私からスコアやコメントはお伝えしていましたが、皆さん「どうしたらいいですかね?」と答えを待っているような印象でした。でも今は、自分たちでどうすればいいかと考え、次のアクションについて相談されているのが、これまでとの大きな違いかなと感じています。

コメントへの対応を全社に共有することで、社員が主体的に改善を提案

―社員の皆さんには、何か良い影響は出ていますか?

村田:ここ1年くらい、全社員が集まる月1回の全社会で、経営会議やマネジメント会議でコメントやスコアを見て話し合っていることを共有するようにしているんです。最初は具体的な内容を開示していませんでしたが、途中から、内容に応じて「皆さんのコメントを見てこういうことをやろうと思います」と発表するように変えたんです。すると、経営者やマネジメント層と社員に懸け橋ができた感覚がありました。そのころから、皆「一方通行じゃないんだ」と感じられるようになったのか、「Wevoxに書きたいことがあるんだ」などと周りの社員から言われたりします。

部長の皆さんからは、「直接言えばいいのに」との声もありますが、社員のみんなにとっては、直接は言いづらいけれど課題に感じていることを伝えるものとしてWevoxが使いやすいのかなと感じますね。

―風通しの良さのようなものを感じられるようになったのですね。コメントの内容については、何か変化は起こっていますか?

林:ここ半年くらいで、だいぶ変わってきたなと感じています。これまでは、どちらかというと、会社や上司に対する不平不満や、「私、辛いので見つけてください」みたいなシグナルが多かったのですが、最近は、会社に対する提言や改善提案などがすごく多くなりました。村田さんが経営会議での議論の結果をコツコツ伝えてくれたことで、「意外と見てんだな」とか、「ちゃんと会話してくれるんだ」などと皆が感じて、「書こう」という意志に変わってきたんじゃないかなと感じます。

また、経営統合後の1年半で、「誰が発言したっていいんだ」という考えが浸透してきた結果なのかもしれないとも思っています。というのも、競合同士の統合で、「上司に相談せずに提案したらまずいでしょ」というバリューデザインの真面目な思考と、「やりたいんだから言っちゃおうよ」というアララの若い思考が入り交じった会社になったんですね。ともすると、どちらの考えが正しいかという議論になりそうなところを、どちらもいいということにしました。

「それなら提案していこう」となった社員も増えましたし、提案や意見に対してしっかりとリアクションをとるようマネジメントも強化しました。そのおかげか、会社が良い方向に進むために、どんどん意見や提案を出していこうという考えが浸透してきたと思います。

村田:サーベイへの回答も、皆さん協力的になってきました。以前は、回答期間を2週間設けていても回答率がすごく悪くて、リマインドを何度も送って、やっと回答率が100%になるような状況でした。それで、やっと集計に入ったら次のサーベイ期間が来て、「また未回答者に連絡しなきゃ…」と気が重くなることがありました。でも、ここ1年くらいは、未回答の人もつい忘れていただけで、連絡すると翌日には急いで回答してくれるので、回答期間を1週間にしても問題なく運営できています。サーベイに対する認識が、「回答することで意見を伝えられる」という前向きなものに変わったのかなと感じています。

―社員の皆さんによるエンゲージメント活動も始めていらっしゃると聞きました。どのような活動でしょうか?

村田:「バリューグローサポート団」というアンバサダー組織を、2023年9月に立ち上げました。それまでは、エンゲージメントに関して私がとりまとめをして社内に発信することを1〜2年ほど1人でやっていました。しかし、1人で現場を変えるのは簡単なことではないと感じていましたし、Wevoxのカスタマーサクセスの方からアンバサダーの重要性について聞いていたので、公募してみることにしたんです。エンゲージメントに興味がある人だけでなく、少し気になるとか、会社のことを一緒に考える仲間が欲しいといった人でもいいので一緒にやってみませんかと募集したところ、4人の人が手を挙げてくれました。そのメンバーを1期生として、一緒に活動しています。

―どのような活動をされているのでしょうか?

村田:当初は、エンゲージメントそのものに対する理解を深めることを目標に据えたのですが、蓋を開けると、本で読む内容がそのまま自社の現状に当てはまるわけではないと感じました。それに、メンバーの思いとしても、エンゲージメントへの関心以上に会社を良くしたいという思いが先にあったんです。そのため、Wevoxのサーベイ結果から見えてくる課題に限らず、自分たちなりに会社の課題を吸い上げられないか、アイデアを出し合うことに切り替えました。

その第一歩として、Wevoxの「やりがい」のスコアが伸び悩んでいることに着目して、「バリューデザインで働いてるメンバーは、どういうときにやりがいを感じるんだろう?」「バリューデザインらしい『やりがい』とは何だろう?」ということを話し合ってみています。

4人のメンバーがそれぞれに異なる個性を持っているので、ミーティングをすると、いろんな視点でいろんな意見が出てきて、「それでやりがいを感じる人もいるんだ!」という意外な反応や、「それなら私もこういうことでやりがいを感じられるかも」「マネージャーの人たちがこういうことでメンバーに声をかければ、もっとやりがいを持てたかもしれない」といった様々な気づきがあります。メンバー内でエンゲージメントが高まるやり取りがありますね。

社員にアンケートもとる予定で、アンケートの結果を見て、バリューグローサポート団で考えたやりがいや、悩みに応じたアクションの提案などを発信していけると面白いかなと話しているところです。

―林さんはこの活動をどのように見ていらっしゃいますか?

林:いきなりものすごい成果を期待していないと言うとバリューグローサポート団のみんなに怒られますが、過大な期待はしていなくて。まずは、これまで「会社は自分の業務をやるとこでしょ」と思っていた人たちが、「会社を良くするには?」と考える経験をしてみて、何でもいいので決めたことを社内に発表してもらう。そして、それを聞いたバリューグローサポート団に参加していない人たちが、少しでも会社を良くすることに興味を持ってくれればいいのかなと思っています。

あとは、僕にとっては、バリューグローサポート団のメンバーを通じて社員の生声を聞けることも貴重な機会になっていますので、社員の生の声を抽出できる存在としても期待したいなと思います。

エンゲージメントを高めることは、事業の成長につながっていく

―これまでの取り組みを通じて、事業成長と関連した変化や成長を感じていらっしゃることありますか?

林:Wevoxを始めたときは、社員がこれ以上辞めないように、ネガティブな状況のメンバーがいないか確認する、健康診断のような役割を持たせていました。しかし、その目的は他の手法で徐々に達成し、ここ数年間は人が辞める状況はなくなっています。

にもかかわらず、なぜ今もWevoxを利用し続けているのかというと、エンゲージメントを高めることで、業績を上げたいからです。というのは、「これは私の仕事じゃありません」とAさんとBさんが言い合って、2人の真ん中に野球のポテンヒットのように仕事が落ちることってよくあると思います。そのポテンヒットを、AさんもBさんも手を出して拾おうとする組織になれるかどうかが、業績の伸び代だと思っているんです。

「自分の守備範囲ではないから拾わない」ということが間違いではないときに、なぜ相手の守備範囲かもしれないのに手を出すのか?そこにあるのが、「この会社を成長させたい」「お客さんの期待に応えたい」「仲間のために活躍したい・頑張りたい」といった感情だと思うんです。その一歩を一人ひとりが踏み出せるようなチームになることで、業績がさらに上がっていく。それが、組織におけるエンゲージメントの価値でもあると思います。

エンゲージメントのスコアが上がっていったら、ポテンヒットを拾い合える会社になるとイメージして、今後もWevoxを活用していきたいですね。

―一人ひとりが一歩を踏み出せる組織になっていくために、今後御社において必要なことや取り組みをどのように考えていらっしゃいますか?

林:1つは、個人の主体性を高めることだと考えています。そのために、今期のスローガンを「主体性」とし、個々人が主体的・能動的に動くことを推奨しています。

具体的な施策の1つとして、社内表彰の月間MVP賞の対象を、今期は「主体性のある行動をとった人」にしました。これだけでWevoxのいろいろな項目のスコアがバリバリ上っていくものではないとは思いますが、1つの打ち手かなと思います。

―その取り組みによって、社員の皆さんの行動や考え方に変化は見られていますか?

林:先ほど話した、コメントの内容が不平不満から意見や提案に変わったことは変化の1つですね。加えて、バリューグローサポート団への立候補があったこと、また、「僕と座談会をしませんか?」という、ちょっと楽しそうでもあり、ビビるような取り組みにも手を挙げてくれる十数名のメンバーがいるなど、仕事の現場に限らずいろんなところに設けたチャンスに手を挙げるメンバーが出てきています。

手を挙げられないメンバーもいますが、挙げられる人を見て、「次は挙げようかな」と思っている人が徐々に増えているかもしれないと期待したいですね。

―村田さんは、現場から見て何か組織の変化や成長を感じていらっしゃいますか?

村田:はい。今までは、「仕事をしていく中で自己成長するんだ」という考えを持っている人が多い印象でした。それが、今、同僚との会話でよく出てくるのは、「会社やグループ、チームの成長に貢献するために、右に倣えではなく、各々で考えて正解を見つけ出そう」という話です。そこが、今までと大きく違うと感じることです。

あとは、それぞれが、自分では気づいていなかったパフォーマンスを最大化するためのきっかけを、隣にいる仲間や、新しく入ってくる後輩、若い人たちの頑張りなどから得ているようにも思います。経営統合によってこれまでとは異なる風土から来た方たちの頑張りを見て、「変わっていこう」という意識改革のようなものが自然と起こっているとも感じます。

また、手を挙げること自体がいいことだと会社から言ってもらえていることもあって、「やってみようかな」という人が増えた気がします。誰かからの指示を待つのではなく自分たちなりに考えてやっていいし、まずは手を挙げてみて、失敗したならリカバリーすればいいという雰囲気に変わってきたように思います。

―では最後に、今後の組織づくりとして取り組んでいきたいことについて教えてください。

林:今期は「主体性」という姿勢に関することをスローガンにしていますが、姿勢だけではなく結果を出していかなければならないので、その点で、人材育成にはとことんこだわってやっていきたいと思っています。「なぜバリューデザインで働くんですか?」という質問に対して、「成長の機会がたくさんある」とか、「実際に成長できているから」という言葉が聞けるような状態になるよう邁進したいなと思っています。

村田:弊社は、今まではどちらかというと精鋭部隊が活躍しているシーンが多かったのですが、社員一人ひとりができることが絶対にあると信じています。そうした可能性を一緒に発掘しながら、いきいきとした職場をつくっていけたらなと思います。

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