
相互理解と主体性の向上で、より良い組織をつくりたい〜物流業界でエンゲージメント活動に取り組む事務局の思いと活動〜

証券会社を経て、ダイワコーポレーションに入社。現在は人事・総務を担当。その一環として、Wevoxの導入から携わり、サーベイを活用したエンゲージメント活動の事務局も務めている。

2009年に新卒入社。2年間の営業所での倉庫業務を経て、現部署へ。現在は、給与・人事制度等の見直しや策定などを担当するとともに、エンゲージメント活動の事務局も務めている。

2014年に新卒入社。6年間の営業所での倉庫業務を経て、現部署へ。採用業務を担当したのち、現在は、人事・総務・研修を担当。エンゲージメント活動の事務局業務にも携わり、エンゲージメント活動と研修内容の連携などに取り組んでいる。
倉庫業を主たる事業とする株式会社ダイワコーポレーションでは、より良い組織づくりを目指し、2022年よりWevoxを導入し、対話会を中心とした活動を進めています。その思いと活動内容について、事務局の3人に伺いました。
※取材時(2024年5月)の部署・役職になります。
部門ごとの対話会により、相互理解と主体性の向上に取り組む
―まずは、御社がエンゲージメント向上の取り組みを始められた経緯を教えてください。
先崎:2019年ごろに、アトラエの新居社長とグロービスの方の対談動画を当社の新井(常務取締役 経営本部長 新井康弘氏)が見たのがきっかけです。その後、世の中で広く人的資本経営が言われるようになり、当社には情報開示義務はないものの、取り組んでいかなければならないという考えから、2022年にWevoxを導入しました。
―組織の課題を、どのように認識していらっしゃいましたか?
先崎:これまで、社内では福利厚生の充実や働き方改革などを進めてきました。ただ、社員からは、会社に対して「◯◯するんだ」ではなく、「◯◯してもらいたい」という声が多くなっている印象がしていたので、それを変えたいと思いました。
Wevoxを活用したエンゲージメント活動は、社員に「会社のために何かをしよう」とか、「会社を良くするために/自分が良くなるために何かをしよう」という意識を喚起する取り組みに向いていると感じました。そこでとりあえずやってみようと思い、まずはWevoxでサーベイを行うことから始めました。ただ、次のステップとして何をすればいいかわからなかったため、導入して1年ほどはサーベイを行うだけの状態でした。
―1年間を経て、どのような取り組みを始められましたか?
湯澤:2023年7月より、部門ごとに対話会を始めました。初回の対話会では、サーベイの改善推奨項目の中から、部門ごとに重要な項目を事務局で選び、そのスコアを改善するには何をするとよいかなど、チームごとに行動計画を立ててもらいました。そして、2回目の対話会では、行動計画の振り返りと、次回の対話会の内容の企画をしてもらいました。その企画内容に応じて、2024年度も、部門ごとに順次対話会を行っています。

―初回の対話会のテーマには、どのようなものがありましたか?
先崎:例えば、我々が所属している経営本部では、「理念戦略」や、その中の小項目である「事業やサービスへの誇り」のスコアをどのように上げていこうか、という内容で対話会を行いました。その他の部門は「やりがい」「ワーク・ライフ・バランス」「自己成長」などが多かったです。Wevox導入当初から、全社的に「事業やサービスへの誇り」のスコアが低いことが課題としてありますが、まずは対話会がスムーズに進むことを重視して、話しやすいテーマを選びました。
―社員の皆さんの対話会への参加は、スムーズに進みましたか?
湯澤:スムーズに進みました。最初に、社長が社員に向けて目指したいチームの在り方について話をしてくださったからだと感じています。対話会に参加した社員の感想も「やって良かった」「他の人が考えていることが聞けて良かった」といったものが多かったですね。対話会に関する調整は各部門の部門長やサブリーダーと行っていますが、話をすると、みんなそれぞれに組織をもっと良くしていきたいという思いを持っていることを感じます。
―3回目の対話会のテーマは、部門ごとの課題に応じて決められたとのことですが、例えばどのようなテーマがありますか?
先崎:ある部門では、部門のサブリーダーがファシリテーターとなり、「対話会のテーマを決める」という内容で対話会を行いました。この部門ではWevoxのスコアも高く、対話会を重ねるごとに言いたいことが言える雰囲気ができてきているので、今後は互いに声を掛け合って自分たちで対話会を続けていくような形がとれればと思っています。
また、これから対話会を行う別の部門では、「成長って何だろう」をテーマにする予定です。エンゲージメントを高めることと、個人や組織の成長は密接に繋がるものでしょうから、一人ひとりが思う「成長」を話し合ってもらうことでお互いの理解を深め、個々の成長を周りが助ける関係性や組織になればと思っています。
このように、部門によって対話会を始める時期もテーマもバラバラなので、2024年9月ごろには、各部門のエンゲージメント活動のリーダー格の社員を集めてそれぞれの状況を共有する機会を持ちたいと思っています。そうして情報共有を重ねていくうちに、何かしら全社で一つの方向性が出てくることを期待しています。

「My Way Note」で「自分が」やりたいことを見つめ直す
―他にはどのような取り組みをされていますか?
岡部:Engagement Run! Academyのクラスで経験した「自分のエンゲージメントの取説を作ってみよう!」というワークを少しずつ社内に導入しています。対話会の取り組みを通じて、エンゲージメントを具体的に理解していない社員が非常に多いと感じたからです。そこで、社員一人ひとりが自分自身について振り返りながらエンゲージメントを理解することを狙いとして、まずは自部門でやってみてから新入社員研修にも展開しました。
―ワークに取り組んだ社員の皆さんの様子はいかがでしたか?
岡部:日々一緒に仕事をする中でもお互いの避けてほしい対応や、どのタイミングで仕事に対するやる気が起こるかなどは何となく認識していましたが、それらをしっかりと言語化して話す場となり、非常に盛り上がりました。
新入社員は、仕事への向き合い方やパフォーマンスを発揮する場面などについてまだまだ発掘されていない段階ではありましたが、学生時代の物事への取り組み方の分析と共有を通じて、相互理解が進んだのではないかと思います。
―他にも取り組まれていることはありますか?
岡部:アトラエさんが作った「My Way Note」を活用した研修を企画しています。背景にあったのは、昨年度社内の40代・50代向けキャリア研修を実施する中で感じた、「会社に対してどう貢献するのか、その中で人生をどう豊かにするのかについては、若いうちから考えるべきなのではないか。」という課題です。自分自身も、30代以降のバケットリストを書いてみると意外と埋まらず、今後のキャリアや人生で取り組みたいことが明確ではないことに気づいたので、若手社員にも研修は実施すべきではないかと考え、「My Way Note」を活用した研修を作成中です。そして、手始めに2024年度入社の新入社員研修で取り組みました。
―新入社員の皆さんの取り組みの様子はいかがでしたか?
岡部:ほとんどの社員が、30代以降は何も書けていなかったです。研修担当としては、目先の数年を見て生きている傾向にあるのだという気づきになりましたし、新入社員にとっては、早い段階で自分のキャリア人生を見つめ直すきっかけになったのではないかと思います。次は30歳前後の世代に向けてこの研修を実施したいと思っています。
―「My Way Note」を通して、社員の皆さんにどのようなことを考えてほしいとお考えですか?
岡部:自分のキャリアや人生を見つめ直すきっかけにしてほしいのもありますが、会社とのエンゲージメントを改めて理解・再認識してほしいと考えています。当社に対する思いが、「福利厚生がいい」とか「給与等の待遇がいい」だと、会社と社員とのつながりが弱くなってしまうように思います。だからこそ、自身の経験を振り返り、やる気があった場面や会社に対して感謝した場面などを見つめ直す機会をどんどん作っていきたいです。プライベートでやりたいことはもちろん、会社の中でやっていかなければならないことや期待されていることなどをちゃんと理解することが重要だと思っています。その結果として、今、スコアが最も低く出ている「事業やサービスへの誇り」のスコアも上がっていくことを期待しています。
―岡部さんご自身は、Engagement Run! Academyでの学びによって何か変化はありましたか?
岡部:会社に対する見方や関わり方、そして、自分自身のエンゲージメントについての考え方がだいぶ変化したように思います。クラスによって知識向上したこともそうですが、他社と交流することが一番の学びに繋がりました。どうしても同じ業界・会社の方との関わりですと凝り固まってしまうことがあります。別の業界の方からのアドバイスは非常に有り難いです。

主体性によって、長期的な利益が生まれる基盤ができる
―では改めて、活動を通して働く上でのエンゲージメントの重要性をどのように感じていらっしゃいますか?
先崎:「自分はこれをしたいんだ/するんだ」という思いがあると、会社のどのあたりとエンゲージメントで繋がるのかが明らかになってくるんですよね。
私が最初の対話会で「やりがい」「自己成長」などのスコアを上げていくには?という話をした際に、「あなたは何をしますか?」「『私は◯◯をします』と考えてください」と投げかけたところ、みんな戸惑った様子でした。人にやってもらうことには慣れていますが、自分からすることに慣れていないのです。この点で、社員のみんなには、各種研修を通じて「自分がどうするか?」ということをしっかりと考えてほしいと思っています。そうして、組織の中で個が立つような組織、すなわち、組織の中で自分が自分としていながらもうまく回っていく組織をつくりたいというのが私の思いです。
湯澤:なぜこの会社を選んだの?という問いに対して、当社の社員からは「人がいいから」という答えが多く出てきます。私としては、その言葉の深掘りをし、もっとお互いのことを知りたいと思っています。「お互いのために」「自分のためではなく人のために」というところをもう少し深掘りしてエンゲージメントを高め、お互いを理解した上で会社を良くしていきたいです。そして、同じ目標に向かってチームとなって戦えるような仲間を増やしたく、エンゲージメントに着目しています。
加えて、当社の今年度のテーマが「和」です。人を信頼することが生産性向上に繋がることをみんなが理解した上で、個のつながりをもう一段階レベルアップしていく。そういう観点からも、エンゲージメントは大事だと感じています。
岡部:私のエンゲージメントに関する考え方が最も変わったタイミングが、Engagement Run! Academyで「主体性」と「共同体感覚」について聞いたときでした。
先ほど湯澤からも「人がいい」という話がありましたが、当社は、社員同士の仲がすごくいいです。お酒を飲みに行ったり、休日も一緒にキャンプに行ったりする社員も多く、また、全社員が集まる新年会を開催したりと、どちらかというと共同体感覚は元々あると思っています。
一方で、先ほども話に出ていた「自分はどうするか」という主体性の部分は、まだ十分とは言えません。それは、倉庫業という仕事の特性上、お客様の指示によって、入出庫保管を行う業務が多いので、どうしても受け身の姿勢になりやすいからです。例えば、対話会一つとっても、何をしたいのか聞いても具体的な意見を持たない社員が多いのが現状です。エンゲージメントを高めていく上で、主体性と共同体感覚は非常に重要です。共同体感覚が備わっている状態にある当社は、今後主体性をさらに強化していく必要があると考えています。

―社員の皆さんが主体性を上げ、エンゲージメントが高まることは、事業にどのようにつながっていくとお考えですか?
先崎:自分の会社や事業、仕事にエンゲージメントを持っていれば、取引先様に対しても、お客さまに対しても、必要なことをきちんとお話しできたり、提案ができたり、お互いに「こうするといいんじゃないか?」という話ができる。そうなれば、長期的に会社が存続する基盤ができてくるのかなと思っています。
岡部:今、業界として「物流2024(※)」と呼ばれる課題があります。当社は運送事業を行っていないため、直接的なダメージはあまりありませんが、会社に対して働きかけていかなければ勝ち残っていけなかったり、消費者の方々に荷物が届かないことが起こったりしますので、運送業を始めとした協力会社の方々と連携を取りながら、業界全体として取り組まなければならない課題です。こういった課題に対してエンゲージメントを持つ、あるいは、業界への誇りを持つことで、業界が抱える課題をクリアしていけると思います。
(※働き方改革法案により、ドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題の総称。)
したがって、今はエンゲージメント活動の主眼を社員のやりがいなどに置いていますが、最終的な目標としては、業界全体の課題解決に会社として取り組んでいきたいと思っています。
―では最後に、御社の社員の皆さんにメッセージをお願いします。
先崎:エンゲージメント活動を始めて3年目ですが、我々も素人で、手探りで進めている状況です。だからこそ、社員のみんなと一緒になってやり遂げなければならないと思っています。ただ、エンゲージメントがものすごく難しいと思うのは、人や会社によって定義が異なること。このあたりも、我々が得た知識は、何かしらの機会にみんなと共有したいですし、みんなで一緒に考えてやっていきたいなと思っています。
湯澤:人それぞれ、仕事をしている上で障壁になっているものがあると思いますが、それって、「これが障壁になっているんです」と周りに相談してみると、意外とすぐに解決することも多いんですよね。その発言をする勇気と、周りの人の受け入れる度量があれば、解決します。このことを対話会を通して感じましたし、悩みの質もどんどん上げていかければならないとも思いました。それぞれの部門の課題をもっと出していくこと、そしてそれを受け止めて解決していくことを少しずつレベルアップさせていきたいなと思います。
また、先崎の発言にもありましたが、正解のない取り組みですので、私たちも悩むことが多いです。なので、一歩ずつ、みんなで進めていきましょうと伝えたいですね。
岡部:当社の社員が当社で働く理由は、「物流業界で働きたいから」「人がいいから」「福利厚生がいいから」など人それぞれです。ただ、1日の約3分の1の時間を一緒に過ごすのですから、せっかくなら同じ目標を持ってお互いに高め合っていける集団を目指しながら仕事をしていきたいと思っています。
対話会の活動については、試行錯誤しながらの活動になりますので、全社員で一歩ずつ前に進んでいきたいと思っています。








