部課長を中心にエンゲージメント活動を広げるポイントは「共通の学びを通じて共通言語を生み出すこと」

部課長を中心にエンゲージメント活動を広げるポイントは「共通の学びを通じて共通言語を生み出すこと」

三井倉庫エクスプレス株式会社
鈴木 公平氏
鈴木 公平氏
三井倉庫エクスプレス株式会社
人事総務部 人事課 課長

2022年のWevoxの導入当初より、サーベイの運営からエンゲージメント向上のための施策の企画・運営、三井倉庫グループ各社との連携まで、エンゲージメント活動の旗振り役を担っている。

白鳥 奈津子氏
白鳥 奈津子氏
三井倉庫エクスプレス株式会社
人事総務部 人事課

2023年4月に人事課に異動。主に新卒採用と、社内研修の企画・運営、Wevoxの運営や従業員エンゲージメントメント向上のための各種施策の企画・運営を担当。

三井倉庫エクスプレス株式会社では、働きがいのある組織づくりに取り組むべく、エンゲージメント活動のマネージャー層への伝播に重きを置いた取り組みを行っています。具体的な取り組み内容について、事務局を務める人事課のお二人に伺いました。
※取材時(2024年4月)の部署・役職になります。

働きがいのある組織を目指して、まずは部課長に行動を促す

―まずは、御社がエンゲージメント活動に取り組むようになった経緯を教えてください。

鈴木:2021年の夏ごろ、三井倉庫グループ全体でESG経営を推進していくにあたり、S(Social:社会)の重要課題を「安全、多様性、働きがいのある労働環境の実現」とし、KPIの一つを「従業員エンゲージメントの向上」とすることが決まりました。加えて、グループ各社にWevoxを導入し、毎年2〜3月に測定するグループ全体のスコアが前年度よりも向上していることを目標に各社で施策に取り組んでいくという話が弊社にも入ってきました。

この方針を受けて、弊社では私がエンゲージメント活動の担当となり、2022年2月に1回目のサーベイを実施したのが最初の取り組みです。

―鈴木さんとしては、グループの方針をどのように受け止められましたか?

鈴木:当時、弊社の中に「エンゲージメント」という言葉すらなく、私自身も理解していなかったので、まずは私自身が旗振り役としてエンゲージメントについて理解を深めていかなければと思い、2022年8月よりEngagement Run! Academyに参加しています。

また、Wevoxで可視化できるエンゲージメントのスコアは簡単には上がらず、人事や経営だけが力を入れて推進してもダメで、社員も巻き込みながら継続的に粘り強く取り組んでいく必要があると直感的に感じていました。

―そこから現在に至るまでの2年間で、どのような取り組みを進めてこられましたか?

鈴木:まず、2022年度までは、エンゲージメントについて全社員にある程度認識してもらうことを目標に研修に取り組みました。具体的には、初回のサーベイから半年後の2022年8〜9月にアトラエへ依頼し部課長向けの研修を90分×全3回行い、エンゲージメントとは何かということや、Wevoxのスコアの見方、信頼貯金などについて講義いただきました。

部課長向けの研修をまず行ったのは、どの層からエンゲージメントという言葉を知ってもらおうかと考えたときに、やはり管理職、部課長なのかなと思ったからです。とはいえ、なかなかピンとくる言葉ではないので、より働きやすい職場をつくっていくための取り組みであって、何か特別なことをするわけではないんですよといったことを含めながら講義いただきました。

そして、さらに半年後の2023年1〜2月に、部課長を除いた全社員を対象に、90分1回のエンゲージメント研修を実施しました。ここで、全社員が「エンゲージメントとは何か」ということについてある程度共通認識を持てたかなと思います。

―研修を受けた、部課長や社員の皆さんの反応はいかがでしたか?

鈴木:信頼は少しずつ貯めていくことが大切だという意味の、信頼貯金という言葉にインパクトがあったようで、社内の共通言語になりつつあります。また、私たち事務局がしつこくリマインドしていることもあって、サーベイの回答率は毎回90%を超えている状況です。

Engagement Run! Boosterを活用して、課長の理解を促進

―続く2023年度は、どのような取り組みをされましたか?

鈴木:全課長にEngagement Run! Boosterをひと通り受講してもらうことと、全社員向けの研修を行いました。

全課長を対象としたEngagement Run! Boosterの受講は、弊社の場合、働きがいのある職場づくりには課単位で取り組むのが人数的にちょうどいいので、鍵となる課長にエンゲージメント活動やWevoxについての理解を深めてもらいたいという意図から実施しております。

ただ、いきなり全課長に受講を促すのは難しい面があったため、まずは2023年度に部長及び課長に昇格した5名を対象に、2023年8月に試験的に「チームマネジメント基礎コース」を受講してもらいました。私と白鳥も視聴させてもらいましたが、職位の違いはありながら、同じ「昇格して新たな職位に就き、組織を運営する」という立場同士で悩みや意見を共有し合うのは意味があることだと感じました。また、受講者からも「受講してよかった」という感想を多くもらえたので、2024年1月から、全課長を5つのグループに分けて、グループごとに順次、「チームマネジメント基礎コース」を受講してもらっております。

そして、受講を条件に、希望する課長には課のスコアを開示することにもしました。それまでは、課長以上に部のスコアを開示していました。しかし、課長は自分の課のスコアを見たいであろうこと、エンゲージメントに興味を持った課長には、自走する組織づくりに取り組んでもらいたいという考えからの取り組みです。Engagement Run! Boosterでスコアの見方や捉え方を学んだ上で、スコアを見ながら自分自身の取り組みを振り返り、考えていってもらうことを期待しています。

また全社員向けの研修は、グループとしてエンゲージメント向上に力を入れている姿勢を改めて見せることと、2022年度だけの単発の取り組みとして終わらせるわけではないというメッセージも込めて実施しました。「昨年の内容を思い出しました」といった感想などももらっているので、私としては成功だったかなという感触を得ています。今年度も実施する予定です。

―2年間の取り組みを経て、課長の皆さんに何か変化は見られますか?

白鳥:自分の課を俯瞰して見て、組織・メンバーの特徴や傾向を言葉にできる課長が多くなっていると思います。というのは、Engagement Run! Boosterの4週目・8週目の振り返りのセッションを行い、「自分の課はこういう特徴のある人が多いんだよね」「こういうタイプが多いけどどうすればいいかな?」など、私から見てメンバーをすごく見ているなと感じる発言をしている課長が多く見られました。以前から漠然と「うちの課はこんな感じだな」とは思っているとは思いますが、Engagement Run! Boosterが、改めて自分の課を俯瞰して見る機会や、自身の課のメンバーに対する気づきを得る機会になっているのではないかと感じました。

―2022年度の研修でも共通言語が生まれたと話されていました。共通の学びをすることで、共通言語が生まれ、言葉にして発信しやすくなるという効果がありそうですね。

白鳥:はい、そう思います。それに、階層別研修などでも悩みを共有する時間はありますが、「うちの課ってどんな課だろう?」と改めてじっくりと考える時間は設けていなかったので、Engagement Run! Boosterが良い機会になっていることは、事務局としての私自身の気づきにもなりました。

鈴木:部長の中にも、管掌する課のスコアに関心を持つ人が何名か出てきていますね。部長には部以上のスコアが開示されていて、直属の課長がEngagement Run! Booster受講後に課のスコアの開示を希望すれば部長にも開示しています。複数の課を持つ部長から、「この課ってまだ開示されないんですか?」と受講が完了していない課長の課について問い合わせが来ています。

―部課長の皆さんの組織運営において、Wevoxのスコアはどのような役割を果たしていますか?また、同様に事務局であるお二人の活動においてはいかがですか?

鈴木:各部署においては、スコアに一喜一憂するのではなく、スコアを見た上で、どうすればより働きがいのある職場づくりができるのか?ということを各課長に考えてもらいたいです。また、どうすればいいかわからない場合はEngagement Run! Boosterを通じて気づきや学びを得たり、我々事務局に相談したりしてくださいということを今は伝えています。次の段階として、スコアの高低や推移を見て、取り組みを考えることになると思いますが、そこまではまだ進んでいない状況です。

我々事務局も、今のところスコアはそこまで意識していませんが、上昇した背景と下降した背景はサーベイごとに検証していかなければいけないという考えで、3カ月に1回のサーベイ終了後には、毎回仮説を立てて背景を分析しています。ただ、「やりがい」のスコアが低めなので、そこは上げていきたいかなというのは一つ考えていることです。

自走する組織づくりを目指して、意欲ある層から後押ししていきたい

―2024年度以降は、どのような取り組みをされる計画ですか?

鈴木:引き続き、全社員に対してエンゲージメントについて学び、理解を深める機会を平等に設けることは継続していく予定です。

他方で、マネージャー層に関しては、興味のある人やもっと学びたい人がグイグイ学び、そうでない人を巻き込んでいくスタイルにそろそろ変えていく時期かなと思っています。その第一歩として、関心のある課長には、Engagement Run! Boosterの各講座で気になるものがあれば閲覧できるように後押ししていくことを検討しています。「チームマネジメント基礎コース」の受講を終えた課長に対するアンケートでは、6〜7割から「継続して学びたい」という声をもらっているので、それに応えていきたいという意図もあります。

白鳥:どこの会社もそうなのかなと思いますが、エンゲージメントの活動に対して、課長ごとに温度感の高低があるので、まずは意欲を持って取り組む課長を少しずつ増やしていきたいです。そうする中で、温度感が低めな課長も「あの部署、うまくいってる感じだな」「なんだか楽しそうだな」「うちの部署も本腰を入れてやってみるか」と、巻き込んでいけるように今後やっていきたいなと思っています。

あとは、2024年度から、新たに新入社員向けにエンゲージメントの研修をやってみました。アトラエの方に来ていただいて、エンゲージメントとは?というところから研修をしていただいたんです。バリューズカード(Values card)を使って新入社員10人が3〜4人ずつのチームになって、お互いにどんなことを大切にしているのかといった価値観を知り合う時間も設けました。全社員向けの研修とはまた別の手応えがあったというか、やってよかったなと感じています。

―どのような点からやってよかったと感じていますか?

白鳥:新入社員から「パーソナルな価値観が知れてよかった」「エンゲージメントや主体性といった言葉を耳にしたことはあったけれど、意味までは考えていなかったので、知識を吸収できてよかった」などの言葉をもらえました。実際に、研修中の様子を見ていても、乾いたスポンジが水を吸収してるような勢いで知識を吸収していたんです。

業務をしながらの研修だと、「忙しいのになんでエンゲージメント?」と思う社員も少なからずいる一方で、エンゲージメントを高めていくという考え方は、働く上で絶対に無駄にならないですし、面倒がらずにやってほしいなという思いがありました。それを新入社員に向けて取り組んでみたら、「面倒だと思わない状態の時はこんなにたくさん吸収してくれるんだ」と感じるほど吸収してもらえて。また、グループとしてエンゲージメント向上に取り組んでいることをまっさらの状態のときに知ることで、2年後や3年後、あるいは、マネジメント層になったときに活きてくるのではないかと思うので、来年度も続けていければと思っています。

また、年1回の全社員に対する研修も続けていきたいと思っています。方法としては、座学でただ話を聞いたり知識をつけたりするというよりは、グループでワークやバリューズカードを活用するなどして、数名ずつで自部署の取り組みや自分自身の取り組みなどについて深く話す場があるといいのかなと思っています。階層別研修なども含めて、誰かとコミュニケーションをとってアウトプットできる場所がもっと増やせればいいなと思っているので、その一環として、エンゲージメントの研修も何かしらの形で継続的に続けていければと思っています。

―最後に、推進役を担うお立場として、エンゲージメントの重要性や、自社でエンゲージメント向上に取り組む意義を、どのようにご自身の中に落とし込んで取り組まれていらっしゃいますか?

鈴木:事務局として研修に同席したり、Engagement Run! Academyに参加したりする中で、個人的に好きな言葉というか、エンゲージメント活動を推進する上で一つの核となっている言葉があります。それが、「エンゲージメントは適応課題である」です。

適応課題なので、正解がないんですよね。それくらいエンゲージメントというものは、考え方は理解できるものの組織として高めていくとなると難しいというか、エネルギーを使うことだなと感じています。正解がない中で、意味づけをしながら、期待する効果をある程度想定して情熱を持ってトライ&エラーでやっていかなければ、推進する立場としても、会社としてもうまくかない。そのスタイルは自分には合っていて、適応課題だからこそいろんなことに挑戦していこうということが、私自身の原動力になっているのかなと思います。

今、それが多少スコアに結び付いている実感がありますし、部課長や社員が少しずつ行動変容している結果なのかなと感じる部分も出てきているので、ある程度の種まきができた実感もあります。ここから水を撒いて、育つところにはさらに育つように働きかけていきたいですし、育たないところにも力を入れて、配分を考えながらアプローチしてうまく回転し始めるといいなと思っています。

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