
エンゲージメント推進のための3つの柱「自助」「共助」「公助」【Weコラム-みんなで考える組織づくり- #11】
このコラムでは、Wevoxやエンゲージメントをテーマに、これまで私達が蓄積してきた知見や考えを皆さんに伝えます。ぜひ、チーム作り・組織作り・組織開発の際の参考にしてください!
Wevoxカスタマーサクセス/Engagement Run!Academy講師の平井です。
エンゲージメント推進プログラムを考える際には、「自助」、「共助」、そして「公助」の3つの柱をしっかりと考慮しているでしょうか?これらの言葉は、震災などがあったときによく使われる言葉として有名だと思いますが、エンゲージメントの推進でも重要な概念になります。
まず「自助」とは、自分たちでできることは自分たちでやろうという考え方です。
次に「共助」は、半径5メートル以内の中でお互いが助け合いながら様々なことをサポートし合うことを指します。
そして「公助」は、会社全体や社会の中で経営ルールや制度を設けることによって、多くの人たちを助けることを意味します。
公助の役割とその問題点
公助、つまり経営ルールや制度の設置は、エンゲージメント推進において重要な役割を果たしますが、これが過度に優先されると問題が生じることがあります。
公助の本来の目的は、組織全体の「後方支援」としての枠組みを提供し、全社員が働きやすい環境を整えることです。
しかし一方で、制度やルールが硬直化したり、現場の実情や個別のニーズに対応できなくなるという問題が起こる可能性もあります。
例えば、パワハラ防止のための教育を実施した結果、管理職が現場の社員と適切にコミュニケーションを取ることが難しくなることがあります。管理職がパワハラを恐れて指導ができなくなり、逆にエンゲージメントが低下するというケースです。
ここでの問題は、パワハラ防止の教育が、本来では問題にならないはずの指導や注意にまで及ぶかのようになってしまうことです。伝える側が現場の実情を細やかに理解し、どのようにコミュニケーションを取れば良いのかを管理職側に明確に示すことは困難です。実はここで、「公助」を使いながらも、現場のケースバイケースの問題を自身で判断していくという力が必要になります。
また、男性の育休取得率を向上させる施策でも同様の問題が見られます。形式的に育休を取らせることで数字上は改善しているように見せかけても、実際には1〜2週間しか取得されていない場合が多いのです。これでは真のエンゲージメント推進には繋がりません。
育休制度の整備が、株主をはじめとした外部向けのアピールに留まることを防ぐには、実際の取得率や取得期間、もしくはその意義を自ら考えて判断する必要があるのです。
また最近は「子持ち様問題」ということもあるそうです。「子供を持っている人だけが優遇されている」と、子育て中の社員が批判されてしまう問題です。おそらく現場では、「周りのことを考えずに当然の権利のように振りかざして休む人」がいたり、仲間意識が薄れ、「子供を持っている人は悪だ」という、過度な一般化が進んでしまっているケースもあるかもしれません。さらに、リモートワークの推奨も同様に問題を引き起こしかねません。リモートワークは柔軟な働き方を提供する一方で、適切に管理されないとチームビルディングがうまくいかず、かえってコミュニケーションが希薄になる恐れがあります。リモートワークが推奨される中で、社員同士の連携が薄れ、チームの一体感が失われるということが、実際に発生しています。
これらの現象が昨今多く報告されているのは、人的資本経営という言葉が出てきて数年経つ中で、公助頼みのアクションのみを行った会社が増えたことによる副作用なのではないでしょうか。
これまでの例からもわかるように、公助だけを優先するアプローチは、必ずしもエンゲージメント推進に効果的ではありません。制度やルールを整備することは必要ですが、むしろ、制度やルールを過度に強調することで、社員の主体性や協力精神が損なわれるリスクもあります。
「自己責任論」ではいけない理由
エンゲージメント推進のために公助をうまく使うには、まず共助と自助を強化することが重要です。自助と共助の考え方が浸透していない状態で、経営ルールや制度を設置しても、うまくはいきません。
自助には、主体性、すなわち「自分の人生の舵は自分で切る」という考え方が根底にあります。これには、自己のキャリアや目標を明確にし、それに向けて努力することも含まれます。
しかし、自助の考え方のみでは、「自己責任論」と間違えられかねません。自己責任論の問題は下記のようなものがあります。
過度な自己責任の押し付け
組織が基本的な支援を提供しているとしても、それが全ての社員に対して十分であるとは限りません。特に育児や介護など、個別の事情に対応しきれない場合はあります。しかしそれを「会社は十分用意した。あとは自己責任」として片付けてしまうことがあるかもしれまえん。この場合、社員が制度を利用できない状況に対して組織が責任を負わず、個々の社員に負担を強いる結果になります。
やりがい搾取
やりがいを理由に低賃金や過剰労働を強いることも、自己責任論の一形態です。「この職場を選んだのは自分の意思なのだから、厳しい環境でも耐えなければならない」という考え方が強調されると、リスクがあります。社員のやりがいを搾取し、適切な報酬や労働条件を提供しないことは、公助の役割を放棄する行為です。
管理職の責任逃れ
管理職が部下の問題を「自己責任」として片付けてしまう場合もあります。例えば、業績不振や職場の人間関係の問題を部下のせいにし、適切な支援や指導を行わないことです。これは、管理職自身が共助や公助の役割を果たしていないことを意味します。
自助だけでも、エンゲージメント推進はうまくいかないのです。
自助、共助、公助のバランスの取れたアプローチを!
また一方、共助の精神は、共同体感覚に基づいています。これは、お互いが互いのことを思いやり、必要な時には手を差し伸べるという態度です。会社が強固なエンゲージメントを築くためには、共助の精神が欠かせません。共助が機能している職場では、困った時に自然と助け合いが生まれ、全体としての生産性も向上します。
エンゲージメント推進のためには、自助、共助、公助のバランスを取ることが重要です。
自助は主体性を育み、共助は協力とサポートを促進します。そして公助は、組織全体の後方支援として制度やルールを整備することでこれらを補完します。これら三つが揃って初めて、真のエンゲージメント推進が実現します。
また、エンゲージメント推進のためには、自己責任論を押し付けるのではなく、個々のニーズや状況に応じた支援が必要です。例えば、育児制度が適用できない家庭や、特別なキャリアパスを必要とする社員には柔軟な対応が求められます。また、やりがい搾取のような不当な労働環境を改善するためには、働く環境そのものを見直す必要があります。
自助、共助、公助それぞれを適切に機能させることで、社員一人ひとりが主体的に行動し、チーム全体が協力し合える環境が育まれ、組織全体のエンゲージメント推進が加速するのです。
下記の動画で自助、共助、公助の話をしてますので、是非ご覧ください。
一緒に、組織の力を引き出していきましょう!
執筆:平井 雅史(Wevoxカスタマーサクセス/Engagement Run!Academy講師)
編集:小澤 未花/平木 美紀







