
“仕事の面白くなさ”は、受身姿勢と「漂白された仕事」から来る【Weコラム-みんなで考える組織づくり- #13】

エンゲージメント向上に必要なスタンスやマインドセットを得るための学び/クラスを主に担当。「組織開発の悩みの多くは適応課題である」という考えのもと、テクニックに頼らない組織開発の考え方や、エンゲージメントの高め方などを参加者との対話を重視したセミナーによって伝授していく。大手企業を中心に企業研修も多数手がける。
このコラムでは、Wevoxやエンゲージメントをテーマに、これまで私達が蓄積してきた知見や考えを皆さんに伝えます。ぜひ、チーム作り・組織作り・組織開発の際の参考にしてください!
Wevoxカスタマーサクセス/Engagement Run!Academy講師の平井です。
企業での研修を通して、エンゲージメントが低下し、仕事が面白くなくなるという話も耳にします。今回は、現代における“仕事の面白くなさ”がどこから来るのかを考察してみました。今ご自身が仕事を面白くないと思っている方や、部下のやる気がなくて困っているというマネージャーの方は、ぜひ参考にご覧ください。
指示された作業としての仕事
仕事が面白くない理由の一つ目は、与えられた業務が他者によって決定された内容で、自分で選ぶ余地がないということがあります。シンプルに「言われたから仕方なくやっている」状態です。
これは、学校時代に感じた「勉強の面白くなさ」と非常に似ています。自分が特に興味のない教科で「これをやりなさい、あれをやりなさい」と指示されるような状況では、勉強が楽しいと感じた人はほとんどいなかったでしょう。楽しめていたのは自分の好きな教科など、前向きに取り組めていたものに限られると思います。他の例で言うと、部活動や課外活動のような、自分で選択できる活動を魅力的に思ったケースも多いのではないでしょうか。「部活のために学校来ている」「文化祭で焼き鳥売っているときはとてもおもしろかった」という経験はきっと頭に浮かぶ人もいるはずです。つまりは、ただ受け身で言われたことをこなすだけでは、面白さは生まれにくいということなのです。
ここから考えると、現代のエンゲージメント低下の背景には、企業があまりにもシステム化され、個人が上層部の指示に従うだけの状態になっていることが挙げられます。私は「現代の会社の慢性疾患」という表現をすることがありますが、言われたことをずーっとやっているだけではどんどん仕事に対する楽しさは減っていきます。
漂白された仕事
仕事が面白くない二つ目の理由が、かつては仕事に付随していた良い意味でのめんどくさい作業や人間関係が失われ、純粋な作業のみとなってしまったということです。例えば、過去、家を建てる際には、「柱を立てるための穴を掘る」という作業がありました。今ほど効率化が進んでおらず、即座に連絡を取れる手段もないため、場所を決め、道具を用意し、どのように作業を進めるかを考えるところから、現場にいる人が協力して作業を進める必要があったわけです。「穴を掘る」という目的を達成するためにとにかくたくさんの業務を現場にいる人が協力し合って行っていました。しかし現代では、「穴を掘る」という目的さえあれば、ドリルを用意するだけで一人で穴を掘ることが可能になりました。
進化心理学的な視点から考えると、私たちはかつて、苦労を伴う作業の中で工夫を凝らした際には、好奇心やドキドキ感、そして仲間と協力して成し遂げる喜びを感じていたはずです。しかし、現代では仲間と協力しないと成し遂げられない仕事が減り、創意工夫の要素は仕事からどんどん失われ、まるで「漂白」されたかのような無味乾燥な「作業」だけが残ってしまいました。私は、このような現代の仕事を「漂白された仕事」と呼んでいます。「穴を掘る」ひとつをとっても、自分の脳を使い、仲間と共に苦労を乗り越えることで楽しみや充実感、幸福感を味わっていた仕事も、一人でドリルを使えばすぐに終わってしまう。単調で面白みが少なくなってしまったのです。

逆に言えば、現代の仕事にもう少し創意工夫や人間関係などの要素を取り入れることで、仕事自体の面白さを取り戻すことができるのではないでしょうか。与えられた仕事のやり方を自分なりに工夫し、仕事をするための人間関係にこだわってみる。仕事の捉え方を工夫して、見えない客や仲間への貢献を意識する。.....お気づきの方もいると思いますが、こうした試みは「ジョブ・クラフティング」とも呼ばれます。
ジョブ・クラフティングは、無味乾燥に漂白された仕事に自分なりの彩りを加える行為と言えます。現代でもそれを自然にできる人はいますが、できない人は技術を身につけることで仕事に楽しみを見出すことができるようになります。
皆さんも仕事が面白くないと感じたとき、一度、自分が「漂白された仕事」にただ従事していないか、仕事を自ら漂白しようとしてないか、を考えてみてはいかがでしょうか。良かれと思って、仕事を漂白してから、部下に渡している方もいるかもしれません。仕事を楽しくするためには、創意工夫できる要素を確保することが必要です。仕事に対する捉え方や考え方を少し変えるだけで、本来の味わいや深み、苦味といった、旨味の要素を取り戻せる可能性があります。適度な渋み、旨味、塩気、辛味をおかずとすることでご飯がより美味しくなるのと同様に、仕事にも多様な要素や変化を取り入れることで、より魅力的なものになるのではないでしょうか。
ぜひ一緒に仕事の旨味を取り戻していきましょう。
執筆:平井 雅史(Wevoxカスタマーサクセス/Engagement Run!Academy講師)
編集:小澤 未花/長瀬光弘/平木 美紀







