
自走するチームに必要な2つの土台 【Weコラム-みんなで考える組織づくり- #6】
このコラムでは、Wevoxやエンゲージメントをテーマに、これまで私達が蓄積してきた知見や考えを皆さんに伝えます。ぜひ、チーム作り・組織作り・組織開発の際の参考にしてください!
Wevoxカスタマーサクセス/Engagement Run!Academy講師の平井です。これまで多くの企業様の社内研修や、エンゲージメント活動のプログラム設計等のサポートを、各社様の推進チーム局の方々と併走してきました。
自走できないチームの共通点は『他責』と『無関心』
エンゲージメント推進活動・プロジェクトのサポートを多数実施していると、多くの企業様が口を揃えて「自走」を実現したいとおっしゃいます。しかし、それは言葉以上に難しいことであり、プロジェクトをスタートしても1年以上全く進まない、目にみえる効果が出ないということもあるのが現状です。
初期段階で失敗してしまう活動例を紹介します。
チームそれぞれにエンゲージメントスコアを公開する
簡単に数値の見方と、対話や習慣の変化など何をしてほしいのか?をセミナーなどで伝える
3か月後、半年後などに再度セミナーを開いて確認をする
実は、このような活動だと、自走の実現は難しいのです。「現場にスコアさえ見せて、やり方を伝えれば自走できるのでは?」と多くの推進チームの方々は思われるのですが、実はそれだと全くうまく行きません。
エンゲージメント推進活動がうまくいかないチームの事例を数多く見ると、考え方に下記のような共通点があることに気が付きました。
◾️本人も気がついていない他責思考
「経営、環境、チームメンバーに恵まれてなくて...」
「仕事柄、職業柄、点数が低いのは仕方ないんですよ」
「業務が多くて他に割ける時間がなくて...」
「もっと簡単に教えてくれないと私にはできない(=教え方が悪い)」
◾️他者への無関心
「なんで私が、あの人のことを理解しなければいけないんですか?」
「私は私の言われたことをちゃんとやっているから、問題ないでしょう」
「(チームメンバーの悩みを聞いて)それはマネージャーや人事が悪いよ」
これらの考えが蔓延しているチームには、どんなにエンゲージメントの問題点や改善のやり方を丁寧に伝えたとしても、「言い訳」を持ち出して動かなくなってしまうのです。
チームづくりに大切なのは『基礎力』
Wevoxでは、エンゲージメントをデータで示し、組織の課題点を明らかにしてくれます。また、数値の下がった項目に対する具体策も、他社事例などを通じて一定示すこともできます。しかし、それでも改善につながらないことがあるのは、一体なぜでしょうか。
スポーツチームに例えて考えてみましょう。

データを見ても何もできないチームと多くのことができるチームがいる
あなたはバスケットボールチームに所属しています。今リーグにおいて、残念ながら10チーム中9位という振るわない成績でした。そこで、チームが勝てない理由を数値化して分析を行ってみます。分析をすることで、オフェンス、ディフェンス、セットプレー、ファールの数が数値として現れ、様々な問題を特定することができました。かつ、1位のチームや強いチームと比較をして、改善すべき点や差分もわかってきました。
では、それを眺めているだけでチームとして勝つことができるでしょうか。答えはNOです。上位のチームがやっていることを同等に、もしくはそれ以上に遂行しなければいけないわけです。
しかし、上位のチームがやっていることを、あなたのチームは遂行できるのでしょうか?例えば、上位チームが毎日8時間練習していたとしたらどうでしょう。これまで5時間しか練習してなかったチームが、8時間動ける体力があるでしょうか。
上位チームの真似をするには、遂行できるだけのチームの基礎力が必要です。体力以外にも、瞬発力、持久力、チームワーク、パス力、シュート力など様々な基礎力があります。基礎力がないと改善策の実行もできないので、具体策がわかっていても改善が進まないという状況になるのです。
つまり、改善の実行には、「そもそもの基礎力がある」という前提が必要なわけです。
エンゲージメントの点数化と推進プロジェクトを進めようとしても、それと似ていることが起こります。
多くの会社ではうまく行かなかったときに、「このやり方ではない方法があるはずだ」ということで別の解を求めますが、実は何を提示しても前に進まないことが多いです。それは「そもそもの基礎力」に課題があることが多いと考えています。
会社の基礎力である『主体性』と『共同体感覚』
では、バスケットボールにおける体力のような、会社にとっての基礎力は何になるのでしょうか?実は、上記の自走がうまくいかないチームの共通点から見えてくるのです。つまり、
他責にしない「主体性」
他者への関心を持つ「共同体感覚」
ということになります。
では「主体性」とは何か。いくつかの特徴で説明します。
行動の選択ができる/行動の結果を他責にせずに自分で受け入れる責任感がある
仕事だけという狭い視野で考えるのではなく、人生という目線で考える目線がある
自分だけしかわからない、自分の未来ややりたいゴールの設定ができる
目の前に起こっていることに対して、脊髄反射的に反応をするのではなく、捉え直して反応を変えることができる
自分が何を考えているのかを理解している/自分を俯瞰して見るメタ認知ができる
「忙しい」の一言で終わらせない/時間の工夫や環境の工夫が自分でできている

同じく共同体感覚もいくつかの特徴をまとめています。
一人では生きていけないと理解している
相手に頼り、その代わりに頼られる関係性になっている
「迷惑をかけちゃいけないからすべてを自分でやる」ではなく、迷惑をかけることはしょうがない、その代わりに困った人を全力で助けようという考えを持っている。
挨拶や笑顔、声掛けなど普段の行動や振る舞いから、信頼貯金を大切にし、相手との長期的な関係を意識している
「Win-Winの関係になるために何をすればいいのか?」ということについてよく考えている

エンゲージメント向上活動を現場で実行していく前に、主体性・共同体感覚といった基礎力を上げるトレーニングが必要になってくるのです。
基礎力を意識し、トレーニングする
上記の主体性や共同体感覚というものがない状態で「現場で対話をしてください、推進活動を自走をしてください」といっても難しいことがなんとなく分かっていただけたでしょうか。
まずは、自分たちにどのくらい主体性や共同体感覚があるのか、もしくはどのくらい足りないのかを正しく理解をして貰う必要があります。そして、それらを意識しながらお互いに対話をしたり、話し合いをしてもらったり、普段の仕事の取り組み方の意識をして貰う必要があるのです。
特に基礎力が弱いチームや個人に対しては、特別に準備をしたトレーニングを行うことが効果的な場合もあります。対話のワークシートを使ったり、アクションプランを実行してもらうなど、基礎力をトレーニングしながらエンゲージメント推進活動に入っていくわけです。
また、主体性や共同体感覚を向上するための方法は決して一つのやり方ではありません。Wevoxでは、それぞれの会社やチームのレベルに合わせて、一緒になってプログラムを考えていきます。主体性と共同体感覚のおおよその段階としては、下記のようなレベルがあると考えています。

Think:自分のことを考える
自分の頭で考えるという訓練をします。
合っているかどうかは関係ありません。
対話のワークシートなどを使って、自分なりの意見をちゃんと書き出せるのか?その深さはどうか?などが重要です。
Speak:自分のことを発信する
誰かに自分の考えを伝える練習をします。
正しいかどうかわからないことは、トレーニングをしないと話すことはできません。
周りの聞く姿勢がなければ、伝えるハードルは上がっていきます。
Realize:自分の意見を色々な角度から認識をする
自分の発言の中の矛盾や、他責している部分、考えの浅さなどに気が付きます。
他者との相違を知り、自分の中に譲れない意見や価値観があるということに気が付きます。
もちろん、感情的にならずに、違いを受け止めることが必要です。
Listen:相手の意見に耳を傾ける
他の人の意見に耳を傾けます。
正解を探さず、ただ他の「意見」があることを受け入れます。
自分との違いを理解しながら、他の意見にも価値があると実感することが重要です。
Challenge:やったことがないことに挑戦する
自分はやったことがないと思うことでも、一度チャレンジをしてみます。
自分の中にはないモノにチャレンジすることで、他の人と協働したり、意見を参考にする機会が生まれます。
他者とのコラボレーションが、自分の視野を広げることに繋がります。
Respect:自己・他者、両方を尊重する
相手の考えにも一理あることを理解し、自分の意見と同様、尊重できるようになります。
他者の感情や状況に目を向け、他者の目線で見える景色を想像し、気持ちに寄り添えるようになります。
これらのレベルをどのように向上させていくのか?ということに目を向けながら、アクション設計をプランニングしていきます。
当たり前のことだからこそ、必ずレベルは上がっていく
主体性や共同体感覚というのは人間として当たり前に誰しもが持っている力です。しかし、使っていない筋肉が衰えていくように、使わないと衰えていく力でもあります。だからこそ、丁寧に向き合いながら、トレーニングを実施していくことが必要です。必ず、結果はでますし、チームの力は上がっていきます。
ぜひ一緒に、組織の力を引き出していきましょう。
執筆:平井 雅史(Wevoxカスタマーサクセス/Engagement Run!Academy講師)
編集:小澤 未花







