
社員1人ひとりの行動変容で組織風土の変革を目指す―第一生命人事部の挑戦―

人事部長
新ビジョン「安心の先にある幸せへ。」の実現を目指し、組織と個人の結びつきを強めて、社員のポテンシャルを最大限に発揮できる組織づくりに取り組む第一生命保険株式会社。そのための課題の1つである社員エンゲージメントの向上のために、同社は2021年8月にWevoxを導入しました。導入の経緯や活用推進の取り組みについて人事部長・井口さんに伺いました。
組織状態のタイムリーな把握と、風土の見える化のためにWevoxを導入
―まず、Wevoxを導入された経緯を教えてください。
大きく2つ、きっかけがありました。1つめは、従業員満足度調査(ES調査)に代わる新たな調査方法を模索していたことです。年1回のES調査は分析に時間がかかるため、タイムリーに結果が得られないことで、各所属にフィードバックするタイミングでは所属の状況や課題が変化しているケースもあり、適時適切に打ち手を実行できていない可能性がありました。よりタイムリーに社員の状態を把握して課題を見つけ、手を打つための方法を模索していたのです。
そこに、金銭不正取得事案が発覚し、社内に経営品質刷新プロジェクトが発足しました。そこでの検討で課題視されたのが、会社の風土です。例えば、内向き思考であったり、横の連携がうまくできていなかったり、上司に伝えにくい空気があったりするのではないかという分析がなされ、風土改革の取り組みが始まりました。その際に、風土を見える化するツールを必要としたのが2つめのきっかけです。
風土というぼんやりしたものを見ていく上で、ES調査は自社の過去の結果しかベンチマークにできません。Wevoxであれば、同じ業界、あるいは、同じ従業員規模の他社さんの事例をベンチマークにできます。さらに、気軽に回答でき、かつ、オンタイムで組織の状態を見られることも決め手になりました。

まずは、部長職のへ周知・浸透を徹底
―導入はどのように進められましたか?
まずは2021年8月からトライアルとして全社員を対象にサーベイを実施し、社員への負荷のかかり方を見ながらサーベイの頻度を検討しました。当初は、内勤職約1万名は月1回、営業職約4万名は年2回の回答としましたが、サーベイを重ねていくうちにちょっとしたことで組織の状態が変化することがわかったので、その変化を素早く把握し手を打った方がいいだろうと判断し、現在は、内勤職は月1回、営業職は2カ月に1回の回答としています。
―「ちょっとしたことで組織の状態が変化する」とは、どういうことでしょうか?
例えば、新しいメンバーが入ってくる等の理由からか、期始には仕事への意欲が上がる傾向にあります。逆に仕事に慣れないために仕事量に関する感度やストレスのかかり方が上がる様子が伺えます。
―社員の皆さんへの周知・浸透にはどのように取り組まれましたか?
まずは部長職、当社で「所属長」と呼んでいる役職の社員に対して、時期を分けて3種類の研修を行いました。導入時のエンゲージメント活動の目的などを周知する研修、サーベイ実施後のスコアの見方を理解する研修、組織ごとの取り組みが進んできた時期の事例共有型の研修です。外部からの視点でお話しいただくことによる社員の納得度の高まりを期待し、すべての研修にWevoxメンバーに入っていただき、他社さんの事例などもご紹介いただきました。
さらに年2回、期始にグループ各社のライン部長と支社長、そして、役員、社長が集まり経営方針や課題を周知し、情報共有をし合う研修「トップマネジメント塾」でも、エンゲージメントについて考える時間を設けています。ディスカッション形式の対話を通じて、各自が自組織のサーベイ結果を見て感じたことやこれまでの取り組み、悩み、今後取り組みたいことなどを話し、自組織について考えたり、相互理解を深めたりしてもらっています。
所属長は皆、自分の組織を少しでも良くしたいと考えているので、互いに悩みを話すことで、自分のマネジメントの癖や組織の癖に気づいたり、その癖が改善した方が良いものであれば、直し方を他の所属長の取り組みから学んだりといったことができていると感じています。
―所属長の皆さんには、どのような変化が起こっていますか?
所属長がサーベイ結果をよく見るようになりました。これが、私がいちばん良かったなと思うことです。
というのは、仕事に向き合っていると、自組織の社員が今感じていることについて考える時間があるようでないと思うのです。メンバーのことを常に考えるのは意外と難しい。そのときに、月に1回ないし2カ月に1回、スコアを見て自分の所属組織の状態を考えたり、メンバーと話したりするのは、大きな変化だと思います。

私たちの狙いは、行動を変えることであり、風土を変えることです。年1回のサーベイだと、「この項目が悪かった。でもまた来年お楽しみに」になってしまうところが、毎月のサーベイなら「今月は『健康』の項目のスコアが下がった。何かあったのだろうか?」と考え、アクションを起こす。例えば、メンバーに声をかけることもあるかもしれないし、要因を周りに聞いてみることもできます。仕組みで人のアクションを変えられるのは大変重要なポイントだと思います。
―逆に言うと、仕組みがないとなかなかアクションは変わらないということでしょうか?
どうでしょうか…これは個人的な感想ですが、研修を受講したときなど、とても意欲が上がりますよね。しかし、その一瞬の高みは割と早く消えていきます。それを考えると、おそらく日常生活に普通に入り込んでくる仕組みが、何かに取り組むときの意欲の維持に大事なのだと思います。
他方で、慣れてくると惰性が生まれるので、慣れを阻むイベント、例えば、事例や悩みを共有する時間などを設けることが大事ですし、そこは私たち人事が、アクセントをつけて取り組む必要があると考えています。
―一般の社員の皆さんに対しては、どのように周知・浸透に取り組まれましたか?
まず、導入時に社内通知を行いました。あとは、2022年の期始に「社員well-being方針」を伝える際に、取り組み方針の中心的な概念としてエンゲージメントを位置付けていることを説明しました。皆がイキイキと、やりがいを持って働くことができる状態にしていくために、自分たちが変わり、手をあげ、声をあげ、仲間に手を差し伸べることが大事だというメッセージを伝えています。
―社員の皆さんには、何か変化は見られますか?
人事として働きかけていくべきことがまだ多くある状況ですが、今のところ、対象者の7〜10%にあたる3000〜4000件のフリーコメントが挙がってくるので、サーベイが機能していることを感じています。会社に期待しているからこそ声が挙がっていると信じて、フリーコメントはすべて見て、手を打つべきものとその時期の判断をしていくこと、また、組織にフィードバックしていくことに取り組んでいきたいと思います。

社員1人ひとりが組織・風土変革の当事者になるために
―弊社が関わることによって、手助けになっている点はありますか?
色々な意味で助かっています。エンゲージメント向上の取り組みに正解はないですし、組織の状態は無限に変わっていきますので、私たちは今も、おそらくこれからもトンネルの中を進んでいる状態です。他方でWevoxチームそしてアトラエ社の皆さまは、同じくトンネルの中にいながら、少し先を歩いてくれているんですよね。他社さんが今、どのような課題を抱えているのか?導入時に起こりやすいつまずきは何か?スコアをどのように見ればいいのか?どのようにすれば社員を巻き込めるのか?などの事例をたくさん把握されていて、私たちが納得できる情報をたくさんお持ちです。そういった点が大変ありがたいと感じています。
また、「経営レポート」もお手伝いいただいているので、データの見方などのアドバイスを今後もお願いできればと思っています。
―今後の課題や組織づくりの展望を教えてください。
今もサーベイの結果は組織ごとにメンバーにフィードバックしてもらっていますが、そこから組織の課題を考えたり、スコアの状況を分析したりということを1人ひとりが当事者として行えるようにしていきたいですね。そのために、マネジメント層と同じように、一般社員に対しても全社的な結果のフィードバックや、社員の声とそれを受けての問題提起や課題発信などを働きかける機会や場をつくりたいと思っています。
そうして、風土は誰かが変えてくれるものではなく、1人ひとりが当事者として関わり、皆で変えていくものだというフェーズに進んでいきたいです。
また、Wevoxのスコアやコメントを人事施策とも紐づけていく必要があります。例えば、今、「やりがい」のスコアが他社さんと比較して低い状況にあるため、人事評価制度の改善や、公募制度や社内外での副業が可能な制度等の打ち出しを実施しています。
同様に、個人のやりたいこと、ありたい姿が組織・会社のやりたいことに繋がるよう、組織や会社のミッション・ビジョンとの紐づけにも取り組んでいきたいと思います。








