やりがいと向き合う、DNP 品質保証部のチームづくり——"らしさ"を活かした仕組みで、メンバー自らが動き出す

やりがいと向き合う、DNP 品質保証部のチームづくり——"らしさ"を活かした仕組みで、メンバー自らが動き出す

大日本印刷株式会社
竹内 清氏
竹内 清氏
大日本印刷株式会社
ファインデバイス事業部品質保証本部品質保証第2部 部長

2005年、プリント配線板を製造するエンジニアとして大日本印刷に中途入社。2011年に開発本部へ異動し、ベイパーチャンバー(冷却部品)や、スマホ用のカメラ部品の開発に携わる。その後、2021年から品質保証部に異動し、2023年から「Wevox」を活用したエンゲージメント向上の取り組みを本格化させる。

三浦 陽一
三浦 陽一
大日本印刷株式会社
ファインデバイス事業部品質保証本部品質保証第2部

1991年に大日本印刷に中途入社。半導体パッケージ基板や、ハードディスクのサスペンション用配線板やフォトマスクの開発に携わった後、2017年から品質保証部に異動。2023年に竹内氏に声を掛け、部内のエンゲージメント向上の取り組みをスタートさせる。

エンゲージメントのアクションを、メンバー自身が次々と自発的に企画してくれる––そんな理想的な状態を、部の「らしさ」を活かして実現したチームがあります。

今回お話を伺うのは、大日本印刷株式会社(DNP)品質保証第2部の竹内様と三浦様です。

どのようにして、エンゲージメント向上の取り組みをメンバーに根付かせ、その輪を広げていったのか。具体的な活動の変遷と、今後目指したいチームの姿を伺いました。
※取材時(2025年8月)の部署・役職になります。

マイナスをゼロに戻す日々——「メンバーの幸福度を高めたい」が活動の原点

—品質保証第2部では、メンバー自らが話し合い、アクションを決めて、エンゲージメント向上の取り組みを実践されていると伺っています。メンバーが自発的に活動されるようになった経緯について、今日はぜひお聞かせください。

竹内: はい、よろしくお願いします。私たちの経験が、同じようにエンゲージメント向上に取り組む方たちのお役に立てれば幸いです。

—まずは、お二人の自己紹介と、現在のエンゲージメント向上の取り組みとの関わりについて教えてください。

竹内: 大日本印刷(以下、DNP)には2005年に入社し、2021年から品質保証部に異動しました。私が品質保証に来た時から「Wevox」のサーベイは導入されていたので、定期的に結果を確認し、課題に応じた活動を考える立場として関わっています。

三浦: 私は1991年にDNPに入社し、2017年から品質保証部に異動しました。2021年にWevoxが導入された後は、部署のスコア全体を把握する立場でエンゲージメント向上の取り組みに関わっています。

—品質保証部ではどのような仕事をされているのでしょうか?

竹内: 主な仕事は二つあります。一つは、製造している半導体用リードフレーム、ハードディスク用の部品、スマホ用のカメラ部品などに対し、お客様から受ける不具合の指摘に対応すること。もう一つは、そもそも不良が発生・再発しないように、品質管理の「仕組み」を構築していくことです。

特に後者の仕組みづくりが重要で、製造工程で問題が起きた際、「なぜそれが起こったのか、なぜそれに気づけなかったのか」という根本原因まで掘り下げます。
二度と同じ問題が起きない仕組みを考え、それを関係部署にまで共有し、良い品質を保つのが私たちの役割です。

—エンゲージメント向上の取り組みを始める前はどのような課題があったのでしょうか?

竹内: 私が4年前に来た時にまず感じたのは、品質保証部の担当外の業務まで抱え込んでいることでした。 他の部署がやるべき仕事を「なぜうちが?」と思いながらやっている状況で、これではメンバーの仕事への意欲が上がらないのも当然だと感じました。

これは約1年かけて、あるべき部署に業務を切り分けていくことで整理しました。

ただ、業務を整理しても、品質保証という仕事の特性は残ります。開発部なら「製品が完成した」という達成感がありますが、私たちの仕事はトラブルや事故の発生など、マイナスから始まりゼロに戻す作業が多いので、どうしても受け身になりやすく、だからこそやりがいを感じにくいという課題がありました。

—その課題が、活動を始めるきっかけになったのですね。

三浦: 私もエンゲージメントスコアを見ていて、「やりがい」や「達成感」が低いことに課題を感じていました。

そのような状態では仕事の効率も上がらないし、何よりメンバーが幸せに働けていないのではないかと思い、「メンバーの幸福度をもっと高めたい」「何かやりませんか」と竹内さんに声をかけました。

竹内: そうですね。この状態はどうにかしないといけないなと思っていたところへ、三浦さんが「何か一緒にやりましょうよ」と声をかけてくれました。おかげで、本格的なエンゲージメント向上の取り組みが始められました。

メンバーの自走化も、仕事のやり方でうまくいった

—実際にどのようなことから活動を始めたのでしょうか?

三浦: まずは、エンゲージメントスコアの分析結果から見えた「やりがい」や「達成感」の低さについて、メンバー自身はどう感じているのか、本音を知ることから始めました。 無記名アンケートで意見を集め、その結果をAIで分析して、皆が潜在的に望んでいることを可視化したんです。

その後、「何でも言い合える会」という全員参加の討論会を開きました。スコアやアンケートの分析結果を共有して問いかけることで、意見を引き出していきました。 管理職も交えて議論を重ね、最終的にはメンバーが自主的に「これをやろう」とチームをよくするアクションを決める形を大切にしました。

—討論会を経て、具体的にどのようなアクションが決まったのでしょうか?

三浦: 大きく三つあり、一つ目は「勉強会」です。 「なぜなぜ分析のやり方」や「製品製造プロセスの理解」から、実際に製品が使用される「半導体の組み立て工程」といった技術的な知識、論理的思考やプレゼン資料の作り方といったビジネススキルまで、様々なテーマで開催しています。

—勉強会はどのように運営されているのですか?

三浦: 共有フォルダに「こういうことを知りたい」と誰でも書き込める場所があり、要望が挙がれば開催します。また、特に活動初期にアイデアが出てこなかった際は「このテーマでやるのはどうでしょうか」と私から提案し、希望者が一人でもいれば開催していました。

これまでにもう20回近くは実施し、 特に、品質保証の仕事の根幹である「なぜなぜ分析」の実践練習は人気で、部署のほとんどのメンバーが参加しました。

—1人が「やりたい」といえば必ず開催するからこそ、どんどん意見が出るようになったのかもしれませんね。他には、どんな活動をされたのでしょうか?

三浦: 二つ目は、感謝や称賛を伝え合う文化をつくるための「いいね!ボタン」の活用です。 アンケートで「仕事に対してあまり褒められたり感謝されたりすることがない」という声があり、メールに付いている「いいね!」機能を使ったり、「ありがとう」「助かったよ」と意識的に伝えることを始めました。

三つ目は「業務の文書化」で、その人がいないと仕事が進まないという属人化をなくそうというメンバーからの要望で、手順化を進めることにしました。

ベテラン層の「自分がいなくなった後も、残されたメンバーが困らないようにしたい」という思いと、若手層の「先輩の知識をしっかり引き継ぎたい」という両方の気持ちが背景にあります。

—全てのアクションは、メンバーの「やりたい気持ち」がベースにあるのですね。

竹内: 決まったアクションが全て「自分たちがやろうと決めたこと」であれば、そのアクションも自然と進むようになるのではないかと考えていました。なのでエンゲージメント向上の取り組みを始める際にも、「メンバーに自発的に進めてもらえる仕組みにしよう」と話していました。

—実際、今は皆さん自発的に進めていらっしゃるのでしょうか?

竹内: はい、そうです。こちらから何も言わずとも、勉強会のアイデア出しなども、積極的に行ってくれています。

メンバー自ら話し合い、アクションを決定し、それを実行する仕組みを作ることで、自然と取り組みが進んでいます。そうした仕組み作りや、仕組みを回すことは、品質保証部の仕事柄にも合っているんです。

—「仕組み」で解決する品質保証部の仕事の進め方を、エンゲージメント向上の取り組みにも活かされているのですね。

竹内: 最初からそこまで考えていたわけではありませんが、無意識のうちに自分たちの得意なやり方を応用していたのかもしれません。

三浦:そうですね。やってみるまで上手くいくかはわかりませんでしたが、結果的にはメンバーにも受け入れられやすく、良い方向に転がったなと思っています。

エンゲージメント向上の取り組みで培う、仕事への誇りと意見を伝える勇気

—活動を通じて、メンバーにはどんな変化がありましたか?

竹内: 一番の変化は、メンバーが能動的になったことです。 以前はどこか受け身で、言われたことだけをこなす雰囲気もあったのですが、今は皆が主体性を持って、自分で考えて動いてくれるようになりました。

三浦: 具体的なエピソードとしては、トラブル対応の仕方が変わりましたね。 これまでは不良の発生などトラブルが起きて担当チームが忙しくなっても、周りは手を出さない、という状況がありました。 でも、討論会で「本当は自分も意見を言いたいし、手伝いたい」という声がメンバーから挙がったんです。 その意見を踏まえて、今ではトラブルが発生したら追加メンバーを加えてチームとして対応する体制にしています。

また、他部門を経験してから来たメンバーから「今のうちの部署にはこのアクションが足りないのでは?」と提案してくれることもありました。

多様な背景を持ったメンバーから、それぞれの視点での意見が集まることで、よりチームが良い方向に変わっていけていると感じています。

—最後に、今後どのようなチームを目指していきたいか、展望をお聞かせください。

竹内: 関係部署に対して、品質保証部としての自分の意見を100%主張できるような、強いチームにしていきたいです。

品質保証部というのは、時として他部署に対し厳しいこと、耳の痛いことを言わなければならない立場です。他部署に遠慮して、自分の意見を100%伝えられないメンバーもいるかもしれません。

内部的には、意見も言い合えるし、意欲高く勉強していて、本当にいいチームだと思っています。だからこそ、発言に自信を持って、他部署に対しても堂々と意見を伝え、牽引していけるチームにしていきたいですね。

三浦: 私も竹内さんと同じように考えていて、そのためにも、メンバーの一人ひとりが知識とスキルを身につけ、自信を持つことが不可欠だと考えています。私たちが取り組んでいるエンゲージメント向上の取り組みは、まさにその土台作りだと思っています。

活動を通して個々のレベルが上がり、それが自信となって、他部署にも自分の意見を自信をもって主張できるようになる。そして、品質保証の仕事にやりがいや、誇りを持って働けるようになる。 そんな好循環を、このチームでつくっていきたいです。

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