
【Teamwork Sessionレポート】Engagement Run!での学びや社内の好事例を積極的に発信し、活動の輪を広げていく

1989年大日本印刷株式会社 九州事業部配属。2001年営業課長、2006年営業部長、2011年ソリューション部門部長、2013年西日本エリアの働き方の変革事務局長、2016年本社労務部働き方の変革事務局リーダーを経て、2018年以降、本社価値創造推進本部にて「価値を生みだすための組織風土づくり」や、「社内DX環境づくり」に取り組んでいる。
Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回は、大日本印刷株式会社 価値創造推進本部・業務革新推進室 室長の立野和浩さんにご登壇いただきました。立野さんはEngagement Run!に参加し、そこで得た資料を活用して、積極的に社内に知見を展開しています。Engagement Run!での学びは、どのような効果を生んでいるのでしょうか?
他責思考を変えるために、OSチェンジに挑戦中
―本日のテーマは「価値を創出する組織風土へ〜Engagement Run!の学びを活かす〜」です。どうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。明治9年創業した当社ですが、現在のグループ全体の社員数は約37,000人です。これには海外の5,000人も含まれています。ただ、エンゲージメントサーベイについては、上場している幾つかのグループ会社を外していますので、規模的にはここまで大きくありません。私が現在所属している価値創造推進本部では、社内の環境づくりや働き方、エンゲージメントサーベイを使った人的資本や資本、表彰制度などをもとに、学び合いの醸成を行っていくことを目指しています。

私がこのあたりの業務に携わったのは、働き方の変革が動き始めた2013年頃です。2018年からは、価値創造プログラムと呼ばれる社内の仕組みと一体化し、価値を創出する組織風土や価値を提供し続けるような仕組みを作ろうと動いています。その活動の中で、持続的な成長に向けた施策の1つとしてWevoxの導入へと至りました。
これまでも「はたへん(働き方変革)」という活動の中で、サーベイを1年に1回実施していましたが、分析に2ヶ月ほどかかり、その間に組織も変わってしまうため、結果を自分事化しないという1つの課題がありました。また、様々な研修に立ち会ってみたりもしましたが、やはり課長層がなかなか他責思考で、自分で変えていこうという想いを持ち合わせていない様子でした。そうした風土を変えようと、サーベイフィードバックの活用を目指しております。全社では、意識のOSチェンジといった形で、人材開発の組織などでは、それにかかわる様々な研修を手挙げ式で行っています。
手挙げ式を採用することにより「やらされ感」をなくす

3年前から当社の人事制度に関しては様々な変化がありました。世の中の色々なパラダイム変化(例えば、計画性のマネジメントから不確実性のマネジメントなどの変化)に対応して、我々も変わろうという動きの中で、昨年、大きく3つの動きがありました。まず、1つ目に、4月に、健康宣言を出させていただきました。その宣言の内容の一つは心理的安全性の向上です。2つ目に、従来のMBOにOKR的な要素も取り入れた新たな目標管理の制度。これはチームの力を高めていくことが主体で、1on1ミーティングやチームミーティングのやり方を変えながら、チーム意識を醸成して自律的キャリアの支援をしていくことを目標としています。
そして、3つ目はエンゲージメントの向上で、Wevoxを使ってその関係性を指標化していくこととしています。つまりは、非財務にあたる経営基盤(人的資本)の強化をやっていくことで価値創造へと繋げる仕組みです。Wevoxのスコアをリアルタイムで全員が共有し、チームで価値を生み出すための「ありたい姿」を目指し、どういった対話や改善活動を重ねていくかに焦点をあてています。

全員に組織の自分事化をしてもらいたいですし、チーム全員で意識を高めてもらいたいので、当社では閲覧権限を全員に渡しています。これは会社さんによって少し異なるかもしれませんが、我々の場合は自組織と全体がすべて見える形で、例えばこのスライドの例でいうと、31,600名のスコアや中身と、自組織の結果が対象となります。説明会は昨年6月から実施しており、参加してくれたアーリーアダプター的な人たちから、少しずつ輪を広げていきたいという想いから、ずっと手挙げ式で参加者を募集しています。それに、管理職や部署の全員が参加必須となると、どうしてもやらされ感が強くなってしまいますからね。
アンケートを通じて分かったこと
私自身、職場単位での活動(ボトムアップ的活動)がなかなか上手くいかない経験をたくさんしてきたので、働き方の変革に関してはそうした経験を念頭に置いてスタートしました。また、仲間づくりや、やらされ感の払拭、自分事化の必要性、そのチームや組織の中で自走させていくにはどうするか、あとは、管理職だけが負荷がかかるような形は取りたくないなど、色々な要素も考えていました。

やはり、なかなか自分でアクションを起こさないような場合もあります。例えば、スライドの右側のグラフについて、「Wevoxの趣旨や改善アクションの取り組みに対してどのように感じましたか」という質問に対して、6割は前向きですが、4割は若干ネガティブな反応を見せています。左側のグラフで示されている通り、約半数が「振り返り・共有を行わない」現状において、毎月サーベイを行うと意味を感じられず、形骸化してしまいます。ここは、悩みどころですね。
また、表面的な対話に留まり、「真の対話」がなされていないのではないかとも思っております。「どこから進めていいかわからない」、「管理職が動いてくれない」、「目先の仕事が優先される」などといった声も受けました。これらに関しては、昨年12月以降から手厚くやっていかなければいけないなということで、課題として捉えています。
Engagement Run!での学び、社内の好事例などを積極的に社内展開

僕はEngagement Run!には10月から参加しています。その中で、他社の参加者から、Engagement Run!の資料を使用してワークショップをやられていると聞きました。
その話を参考に、当社でも実際に、四半期見直しの整理やコンテンツにRun!の資料を使用しています。また、Engagement Run!のクラスの中でも、センターピンの話はワークショップで非常に使えると思いますし、学習目標、ルーブリック評価はレベル到達の確認用に使ったりもできます。あとは、ポジティブアプローチについての資料も、思考の面を捕捉する上では非常に役立つので、説明会資料に入れたこともあります。
こういった形で、自ら実践していく、仕組みの中に組み込んでいくことで初めて「学び」は価値が生まれると私自身は思っています。Engagement Run!はインプットだけでなく、アウトプットにまでつなげていくことが大切なのかな、と考えています。

それから、エンゲージメント活動の輪を広めるために、社内のイントラで、Wevoxが運営するメディアDIOでの当社の取材記事を共有しました。この取材記事を通して、スコアが高いチームの共通点として、ビジョンが明確で、管理職からメンバーへの感謝や承認、称賛といった行為を非常に大切にしていることが分かってきました。相互理解や相互尊重がチーム全体でしっかりと行われているからこそ、メンバーそれぞれが助け合ったり、他者貢献の意識が高くなったり、工夫してオンラインでTeamsを利用したりなどといったことが繋がっていると感じています。
Wevox活用の事例共有会も行っており、参加者からは「スコアという定量データを使って上長として話をして、人員配置などを見直すことになり、環境改善に繋がりました」「Teamsの称賛バッジ機能をフルに使っています」「入社2年目の社員の方がWevoxをもとに課の中で話し合えて非常に良かった」といった声が聞けるので、こちらとしても好感触を得ています。あとはワークショップを行っていますが、ここでの手挙げ式は少々難しいなと感じています。ですから、事業部やグループ会社の総務の方を中心に組織を良くしていきたいという想いがあるところについて、フォローしていくようにしています。

こうしていろんなことをやってきてはいますが、ネガティブな意見もたくさん受けます。そういった意見には、思い切りポジティブな形で返しています。また、リアクションの薄い組織にはソフトアプローチとして、メールを送って説明会への参加を促しています。あとは如何に学びに昇華させていくか、何かトリガーになることを作り出していけるといいですね。
みなさんも仲間はどこにいるのだろう、誰なのだろうと考えながら活動されていると思います。「変革への想いを伝えられるのは誰か」という点を心に留めてぜひ活動をがんばっていただきたいですし、一歩でも踏み出せるといいんじゃないかと思っております。まだまだ私も踏み出せていない部分はありますが、一緒にがんばっていきましょう。
自走する組織づくりのために、どこまで現場に介入するか?
―ありがとうございました。経営陣の巻き込みについて意識されていることや、レポートの作り方などがあれば教えていただけますか?
1ヶ月に1回課長とミーティングする場があるので、その内容をもとに3〜4ヶ月に1回は資料を抜粋しながら経営陣にレポートを渡しています。ポイントはDNP単体のグループでの差分や、あとは他社との比較ですね。スコアの良し悪しだけではありませんということは伝えています。昨年からは社長もメッセージをどんどん出しているのですが、労使の協議会のような場所では、役員と組合に向けてエンゲージメントについて話をすることもあります。
資料については、カスタムサーベイをとっているので、そのポイントや、やって欲しいことなどを出しています。この内容は推進役と役員の両方に向けたものでもありますね。あまり数字を全面に出すと、そのスコアの良し悪しが左右する面もあると思うので、例えばランキングなどは出していません。しかしながら、それに準ずるようなもの(チーム全員で振り返りや共有は行っているのかのスコアなど)を出して、良いピアプレッシャーを与えた方が良いとは考えています。
―説明会をたくさん実施されていますが、どのようなことを伝えていらっしゃるのでしょうか?
まずは導入の背景みたいなところとエンゲージメントの意味、あとは「Wevoxってなに?」といったところですね。エンゲージメント向上サイクルの「チェック・レビュー・アクション」のうち、レビューはこんなことをするんですよ、といった説明をします。あと「陥りがちな罠」というものがありますが、それをアトラエさんの資料とは少し違った形で5つほど具体的に説明して、どこから始めていいか分からない場合のポイントを挙げています。
参加者からの質疑応答
―ありがとうございました。ではここからは質疑応答へと移ります。
Q. 弊社も対話会をやってみたいと考えており、管理職がファシリテーターをしてスコアを見ながら話して行く場を試験的に設けていましたが、一部の部署では「なぜスコアが上がらないのか」と犯人探しのような雰囲気になったという話もありました。対話会を展開して数をこなす中で、ファシリテーター向けに行っているサポートやインポートなどがあれば教えてください。
A. 会社内でも、ファシリテーター研修とか色々あるので、そういう内容とミックスすればいいのかもしれませんが、本当に難しいですよね。うちでは、チームミーティングという形で、決めたチームの目標の進捗確認の場があります。毎週行う、そのミーティングの中で、どこかで1回は振り返ってくださいという程度に抑えています。なのでHow Toまでは入り込んでいないですね。既にできているところはできているし、できていないところは全くできていないというのは僕も想像がつくので、あとは部署内で意見交換してもらうようには勧めていますけど、基本的にはその部署に任せています。一緒に入っているメンバーが気付いてやってくれるんじゃないかな、と期待していますね。
Q. 弊社も3月から全社展開でサーベイをやっておりまして、この後対話に進んで行くのですが、サーベイをするにしろ対話をするにしろ、心理的安全性は非常に重要になるかと思います。この醸成にはどのような施策を取られているのでしょうか?
A. 恐らくうちの会社は「これやりなさい」「あれやりなさい」っていうのが増えると嫌な感情を持つ人が多いかと思います。ですから、そういう言葉やメッセージを社長が発しつつも、私からはあまり言い過ぎないように控えるようにしています。去年の6月頃には、全役員にエイミー・C・エドモンドソンさんの本を配布したりしましたね。あとは、価値創造推進本部では心理的安全性に関するセミナー的なものを開いたり、ゲストに登壇してもらってそういった話をしてもらったり。
また私自身、Engagement Run!の内容を咀嚼しながら少しリライトして、簡単なワークショップを行ったこともあります。わりとみんな本を読んでいるし、この1年でだいぶ変わってきたという手応えはありますね。ただ、古い体質を引きずっている職場などでは難しいのかもしれません。この前はGoogleの方にセミナーに来ていただき、800人ぐらいが参加していました。外部の方にいろんな話を聞くセミナーというのは、職場に任せたほうがいいと思いますね。「これをやりなさい」と言われても「うーん」と思う人が多いでしょうから。やり方・考え方はいっぱいありますよね、っていう考え方の事例だけ出して、あとはもう自由でいいんじゃないかなというのが個人的な考えです。
―ありがとうございました。では最後に、立野さんからみなさんにメッセージをお願いいたします。
まだまだやらなければいけないことがたくさんあります。今日も、逆に質問をもらってご指摘を受けたような感じなので(笑)。ぜひ、今日ご参加のみなさんのお話も聞いてみたいです。またEngagement Run!でみなさんから指摘やアドバイスを受けながらやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
(編集部コメント)
対話会や説明会などを繰り返し、根気強く施策を進めていくことの重要性が非常によくわかるプレゼンテーションでした。参考になった部分は積極的に取り入れて、ぜひ自社の中でも挑戦してみてください!







