
社外の知と触れることで、新たな気づきを、新たな学びを! 〜大日本印刷株式会社主催の「エンゲージメント・セッション IN DNP」 特別公開イベントレポート〜

1989年大日本印刷株式会社 九州事業部配属。2001年営業課長、2006年営業部長、2011年ソリューション部門部長、2013年西日本エリアの働き方の変革事務局長、2016年本社労務部働き方の変革事務局リーダーを経て、2018年以降、本社価値創造推進本部にて「価値を生みだすための組織風土づくり」や、「社内DX環境づくり」に取り組んでいる。

2003年大日本印刷株式会社 電子デバイス事業部配属。2011年以降デジタルサイネージ推進本部、ABセンター、情報イノベーション事業部にて開発・営業企画を経験し、2022年より現オプトエレクトロニクス事業部事業企画・マーケティング本部にて新規事業創出のためのマーケティング活動に取り組んでいる。

1997年大日本印刷株式会社 包装事業部配属。2014年営業リーダー、2021年営業部長、2022年イメージングコミュニケーション事業部内部統制室副室長、2024年10月より同内部統制室長として、組織のリスク管理や不正防止、業務プロセスの改善などを通じ、事業部の健全な運営に寄与するために取り組んでいる。

2008年新卒入社。プログラム開発、システム運用、社内支援、金融業界のシステム基盤開発・運用などを担当したのち、現部署にてクラウドサービスの企画・運営を担当。設計構築リーダーとして約10名のチームを運営している。2022年4月よりネットワークサービスマネジメント部全体のエンゲージメント活動を推進する委員会のメンバーとなり、計3名のコアメンバーで推進活動を行っている。

2015年大学卒業後、新卒として株式会社三井住友銀行に入社。2020年よりアトラエへ参画。現在はエンゲージメント解析ツール「Wevox」にて、カスタマーサクセスとして、大企業からベンチャー企業まで幅広いクライアントの組織改善に向き合っている。現在は事業部人事的な役割も担いながら社内での1on1や副業にてコーチングを実施する等、個人の支援も行なっている。
大日本印刷株式会社(DNP)主催の社内イベント「エンゲージメント・セッション IN DNP」。今回は、自社の事例のみならず、Wevoxユーザーの企業様から事例をご紹介いただき、対外的にも内容を公開いただきました。各社での工夫を凝らした取り組みの数々にご注目ください。
※イベント時(2024年11月)の部署・役職になります。
トップダウンを待たなくてもビジョンは自分たちで描ける
立野:司会を担当します、DNPの立野です。今回は、社外の方と触れ合うことで活動をリスタートまたは内省するきっかけや、取り組みのヒントを得られるようなイベントになればということで、このような場を設けさせていただきました。早速、株式会社野村総合研究所の横山さんより同社の事例をご紹介いただきます。
横山:野村総合研究所の横山です。野村総合研究所は、コンサルティングやITソリューション・IT基盤サービスを提供している会社で、私はクラウドネットワークサービスの設計構築リーダーとして従事する傍らエンゲージメント活動を行っています。今回は、エンゲージメント推進のために行った取り組みの事例を2つご紹介します。

1つ目はメンバーと一緒につくる「自分たちの1on1」です。組織開発は正解がない問題というのは色んなところで耳にする話ですが、リーダー自身も答えを知らないことを理解した上で対話をしていくことが大切だと考えました。そこで生まれたのが「私とあなたの1on1にはまだ正解がないから、一緒に正解を探そう」といった目的の取り組みです。自分たちで1on1をデザインして実施し、どんどんブラッシュアップしていくというのは現場だからこそできることだと思います。

2つ目は、描けるチーム・組織単位から描く「ビジョン」です。ここでは、ビジョンとは経営や会社のトップから降ってくるのを待つものではなくて、現場の3人のチームからでも描けるものだということを強調しています。つまりは、組織全体のビジョンと個人のビジョンとの重なりを感じながら、自分や自分の人生、組織に貢献できるような活動ができれば良いということです。例えば、経営のビジョンが降りてきた時に、現場の人間から「現場のことが分かってない」「こんなビジョンを描いても出来ないんじゃないか」というような声が挙がる場合がありますが、各チームで自分たちのビジョンを描けていれば経営のビジョンとの重なりを感じることができるので、そういった不満の声は出にくくなります。皆さんにも是非、「所属しているチームの仕事の目的は〇〇だから、こういう未来を描きたい」といったビジョンを描いてみていただけたらと思っております。
立野:ありがとうございます。では続いて、アトラエの魚住さんからインプットセッションを行っていただきます。
ただの対話ではなく、価値観を分かち合うコミュニケーションが重要
魚住:株式会社アトラエでWevoxのアカウントマネージャーを担当しております、魚住と申します。DNPさんとは、2021年に全社でWevoxをご導入いただいてからご一緒させていただいています。今回は取り組みをリスタートする場ということで、対話の重要性を直感的に理解できるゲームのようなコンテンツをご用意しました。次の文章を読んでみてください。
Aさん(①)は、レストランの会計時に財布を忘れたことに気が付きました。日本語が話せないAさんは「後で支払うので」と必死に説明しようとしましたが、レストランの店員(②)は警察(③)に通報しました。駆けつけた警察官はAさんを連行します。その様子をスマホで撮っていた隣の客(④)はSNSで動画を拡散し、ネットは炎上。賛否両論が巻き起こりました。
SNSでよく目にするような例ですが、この文章の登場人物を、皆さんが許せないと思う順番に並べて考えてみてください。おそらく、④の隣の客が一番悪いと思う方や、③の警察が悪いと思う方など、読んでいる文章は同じなのに様々な意見があるかと思います。ここで起きているのは解釈のズレです。
氷山モデルの話で言うと、まずは警察官または隣の客が悪いという発言があって、そこを対話で掘り下げていくと「わざわざ逮捕することはないだろう」「なんで関係ないのに拡散するの?」という思考があります。でもそれぞれ根本には「警察官は市民の模範として中立であるべき」とか「実はSNSで自分が風評被害に遭ったことがある」という価値観や前提があるんですね。

日常の会話で、この価値観や前提を分かち合うレベルでコミュニケーションができていないと、勝手な解釈が起きてしまい、無駄な怒りや許せないという感情が生まれる可能性があります。自分の解釈のズレで本来なら必要のない争いが起きてないかどうかを確認するためにも、対話の際は是非このことを振り返って、改めて対話の重要性を意識していただければと思います
世の中の動きに対して、DNPはどうなのかと考えるようになったことがきっかけ
立野:ありがとうございます。続いて、DNPの「ウェルビーイング表彰」という取り組みの事例についてお話ししますが、分かりづらいところがあるかもしれませんので、先にその定義をご説明します。

2021年4月からDNP価値目標制度(DVO制度)というMBOにOKR的要素を組み入れた目標管理の制度を開始しました。具体的には、価値創造に向けてトップダウン目標だけではなくボトムアップのチーム目標も立て、1on1やチェックイン・チェックアウト(CICO)ミーティングと3点セットでまわしていくことによって、一人ひとりの強みを伸ばすとともにチームの力を最大限に高めていくことを目的としています。ミーティングのやり方については、それぞれのチームや課に裁量を持たせているので、皆さんのヒントになるのではと思います。

導入時の建付けについてですが、まず、2020年頃に会社でパラダイム変化に関するセミナーが行われ、その後2021年4月に、DNP独自の健康経営の目指す姿としてDNPグループ健康宣言が制定されました。同時にDVO制度が開始し、6月以降からはエンゲージメント向上を目的とした取り組みが始まりました。

目的は新しい価値を生み出す基盤を作ることだったのですが、このきっかけには、世の中の動きに対してDNPはどうなのかと考えるようになったという背景があります。2020年のコロナ禍に様々なITツールにより働きやすくはなったものの、その一方で働きがいはどうなのかということが経団連で叫ばれ始めた時期でもありました。また、それまでのサーベイは自社の中のサーベイで、これでは自分たちの立ち位置が分からないということで、Wevoxの導入へと至りました。これと並行して、他にも人事制度改革やDNPアワード、DNPウェルビーイング表彰などを行っている状況です。このDNPウェルビーイング表彰では、168案件のノミネートのうち合計30案件が表彰されました。今回は、その受賞部門からオプトレエレクトロニクス事業部の引地さんに事例を紹介していただきます。よろしくお願いします。
「真面目な雑談」の輪を広げ、チームの助け合いを促進

引地:オプトエレクトロニクス事業部 事業企画・マーケティング本部の引地です。私たちのチームでは、「やる気スイッチを押す会」というキャッチーな名前の会を設定して、何をやっていくかを議論しながら活動を続けています。
現時点でのエンゲージメントスコアの推移も出してみましたが、なかなか上手く活動できているのではないかなと思います。たった4人のメンバーですが、実はそれぞれの年齢や性別はもちろんのこと、国籍や出身事業部も異なっているというバラエティ豊かなグループです。最初はどのような課題があったかというと、個々のテーマでアクションを取っている時にどうしても1人になってしまい、業務上の孤立感が生まれてしまう部分が多々ありました。そういう時に、隣にいる人に「ちょっと困っているんだけど、どうしたらいいかな」と声をかけることはあったのですが、時と場合によっては「もしかして今忙しいんじゃないかな」「こんな相談してもいいのかな」と考えてしまって、話しかけづらい時もありました。そこで、チームメンバーが困っている時に、周りのメンバーがサポートして全員で解決のアイデアを生み出す状態を作るための試みを始めました。

2023年4月から、CICOのテーマとして始まったのが「真面目な雑談」です。普段の業務では目的を決めて打ち合わせを実施することが大半ですが、真面目な雑談は本当にただの雑談なので、最終的に意見を集約する、または何かを生み出すことは目的としていません。ただ、世間話をするだけではなくて少し真面目な話題で雑談することを目指しています。これに伴い、それまでは上司と部下での1on1だったものを隣同士でやるようにしてみたり、雑談のトピックとして「コミュニケーションスタイル診断」もやってみたりしました。この診断は、設問に答えて自分自身を評価するものもあれば、私ってどんな人間だと思いますか?という質問に回答・分析をしてもらうことで自分の新しい一面に気付けるものもあり、真面目な雑談のトピックの1つとなっています。

通常の打ち合わせであれば、期日までに新しいアイデアを抽出しなきゃいけないなどの縛りがありますが、雑談では話している中で出てくるアイデアを大事にしています。これまではお互いを助け合っていくためのアイデアを皆で導き出すことに注目していましたが、もしかしたらこの雑談を続けていれば何か新しいビジネスや取り組むべきテーマが出てくるかもしれないということで、今年に入ってからは交流の場を広げる試みも始めました。現在も、他の部門や他の事業部の方、元々仕事で関係していた方々に真面目な雑談をしてみようと声をかけて、部門を超えた雑談を実施しています。これにより、元々コネクションがなかった方々を新しく紹介してもらって、そこでまた真面目な雑談の輪を広げるという状況にも展開しました。
それまで我々のグループがギクシャクしていたわけではないのですが、真面目な雑談によって変わったことは、雑談をきっかけに、仕事の悩みや解決しないといけない課題に関する相談を、相互に尊重しながら出来るようになったことです。それまでは、困ったことがあればとりあえず上司に相談することがほとんどでしたが、今は上司だけではなく周りにも色々聞いてみて、いろんな意見を持って解決の行動に移っていくことが出来ています。真面目な内容ではあるものの、あくまでも雑談というスタンスをキープしているからこそ、リラックスした雰囲気で解決に向けたアイデアが生まれる現状に至っているのかなと思っています。私からの事例の発表は以上になります。
立野:ありがとうございました。次は、イメージングコミュニケーション事業部から内部統制室の岡崎さんに事例を発表していただきます。
交流会を通じて自分たちの仕事内容を他部門に周知
岡崎:イメージングコミュニケーション事業部・内部統制室の岡崎です。内部統制室は社内の基本的なビジネスのルールを構築し、そのルールがきちんと正しく日々運用されているのかを確認する部署です。

私たちが活動をスタートした時は、今回のように皆様に活動をご紹介する姿なんて1ミリたりとも想像できない状況でした。というのも、職務内容上、定量的な目標設定が難しく、職場環境の改革や改善について何をやっていいのかも分からなかったため、メンバーの活動へのモチベーションが上がることもありませんでした。そこで、どう取り組んでいくかを話し合っているうちに、「まずは目標を定めること」をDVO活動の目標にしてみたらどうかとアドバイスを得たので、そこからスタートすることにしました。
CICOミーティングや1on1を通じてメンバーの抱えている課題や悩みを聞いてみて分かったことは、「日々の業務にやりがいを感じられていない」と考えているメンバーがいたということです。具体的には、「自分たちの仕事内容が理解されていないんじゃないか」「なんとなくそういう組織があるのは知っているけど何をやっている人たちなのか分からないんじゃないか」という声がありました。あとは、単独で業務を行うことが多い部署のため、皆で協働する場がないという意見もあり、こういったことが仕事に対するモチベーションが上がらない原因に繋がっているのかもしれないと予想しました。では自分たちの仕事内容を理解してもらうにはどうすればいいかを考えてみたところ、知ってもらう機会を作るのがいいのではということで、交流会の実施を決定しました。

内部統制室について知ってもらうための会なので、それに向けてメンバー全員でかなりの時間をかけてプレゼン資料を作成しました。日々仕事をしてはいるものの、なぜ内部統制室が必要なのかといったところまではあまり振り返っていなかったので、資料作りをきっかけに改めて勉強をし直していくうちに、内部統制室の必要性に対する理解が深まるという想定外の収穫がありました。
その後、イメージングコミュニケーション事業部の営業部門にこちらからドアノックをして、定例で行われている営業本部会に加えさせてほしいとお願いをしました。最初は内部統制室が急に声をかけてきたものですから、何事だ?という雰囲気ではあったのですが、DVO活動の一環でやりたいんだと説明してみたところ、承諾してもらえました。スライドの下部に表示されているのは、実際の紹介資料です。当初は小難しい文字ばかりの資料を作っていましたが、ただでさえ身構える相手に対してそんな調子ではダメなので、紙芝居的な理解しやすいものを用意して取り組みました。

誰からも賞賛されないという声に対しては、確かに他の部署で内部統制室のことを詳しく知っている方は多くないので、それなら職務を知っている仲間同士で賞賛し合おうということで、「良い所リスト」という活動を行っています。内容は業務に関わることだけではなく日常の些細なことも含めて、良いところと思ったことをリストに書き込んで、毎週定例のCICOミーティングで共有します。また、その良い所が5ポイント溜まったら食堂でコーヒーを奢るというおまけ要素もあって、その場にみんなが揃っていれば、コーヒーブレイクでコミュニケーションを測るというようなこともやっています。

その他にも、性格診断の診断結果を全員で共有するという企画を行いました。この企画では、よりお互いの性質を知るという効果があったかと思います。あとは、自分が受講したセミナー等の内容を講師役になって発表するという企画もあります。これは知の共有や人前で話す力を蓄えることにも繋がるので今でも継続中です。百均アイテムプレゼンは一番若いメンバーが提案してくれたのですが、各々が百均もしくはネットで見つけたアイテムを買ってきて、皆の前で紹介する企画です。これも性格診断と似たところがあって、どういったものが良いと思ってチョイスしているのかという面で各々の性格が出ますし、お互いの性質を知ることができます。また、紹介方法もかなりバラエティに富んでいて、非常に面白い企画になっています。お菓子プレゼンでは、予算を決めて、なぜこのお菓子がいいのかを皆でプレゼンし合った後、最後にそのお菓子とコーヒーを楽しみながら雑談をするといったことを行いました。
一連の活動を通して私たちが得たものは、他部門との関係の強化です。内部統制室が何をやっているのか知らないという方が多かった中で、「そんなことをやっていたんだ」という率直な意見をいただけました。また、私たちが自らドアノックしたということもあったかとは思いますが、近い距離にいる人間だということを知ってもらうこともできました。あとは、私たちは日々の些細なことを毎週褒め合っているので、それが習慣化しつつあると思います。年齢に関係なく、褒められると嫌な気はしないですし、褒める習慣によりメンバーのちょっとした良いところにも気が付くようになったことは最大の成果です。ご紹介した様々な活動を通じて皆で話し合う機会が非常に増えたこともあり、一人で黙々とやるような職場の環境から大きく変化しました。これにより、やりがいという目に見えないものがアップしたという手応えを感じています。

実際この取り組みにより、当初63ポイントだったスコアが現在では75ポイントにまで上がっています。特に成果に対する承認や達成感の項目が大きく上がっているので、ここにも活動の成果が反映されていると捉えています。
内部統制室は非常に個性豊かで、様々なジェンダーや年齢の方が所属しています。ただ、さも何もかもが順調かのようにお話をしましたが、日々の中では意見の相違や衝突もありますし、全てが上手くいっているわけではありません。ですが、活動を通じてそれぞれの違いをよく理解することで共に乗り越えていけると信じて、これからも活動を継続していきたいと思っています。ご清聴ありがとうございました。
(編集部コメント)
各社ならではの問題を解決するための、工夫を凝らした取り組みの数々をご紹介いただきました。社内で活用できそうな施策があれば、積極的に取り入れてみてください!







