「対話の連鎖が生まれている」――エンゲージメント活動のリーダーが振り返る、1年間の取り組みと組織の変化

「対話の連鎖が生まれている」――エンゲージメント活動のリーダーが振り返る、1年間の取り組みと組織の変化

ナガセヴィータ株式会社(旧:株式会社林原)
丸山 幸宏氏
丸山 幸宏氏
ナガセヴィータ株式会社(旧:株式会社林原)
生産部門 生産統括部 藤田工場 工場管理課

藤田工場(岡山県南区)にて、生産計画を担当。同社のサステナビリティ活動を全社に浸透させるために2021年4月に発足した部門横断プロジェクト「全員参加プロジェクト」の2022年度メンバーとして、藤田工場約30名へのエンゲージメント活動を担っている。

笠石 容子氏
笠石 容子氏
ナガセヴィータ株式会社(旧:株式会社林原)
知財・法務部門 知財部 調査・商標課

知財部にて、商標の出願・権利化、調査、侵害対応等、商標業務全般を担当。2022年度の全員参加プロジェクトのメンバーとして、知財・法務部門約15名へのエンゲージメント活動を担っている。

櫻井 岳夫氏
櫻井 岳夫氏
ナガセヴィータ株式会社(旧:株式会社林原)
研究・技術部門 技術開発センター 生産技術一課

基盤研究部が開発した製品の工場レベルまでのスケールアップを担当。2022年度の全員参加プロジェクトのメンバーとして、研究・技術部門約60名へのエンゲージメント活動を担っている。

事業を通じて持続可能な社会を実現するための「サステナビリティ行動計画」を定め、重要課題の1つ「社員エンゲージメントの向上」の実現のために2022年3月にWevoxを導入した株式会社林原。エンゲージメント活動の牽引役として、部門横断プロジェクト「全員参加プロジェクト」のメンバーが活動に取り組んでいます。2022年度の1年間、プロジェクトメンバーとして活動した3名に、実際の活動内容や活動による組織の変化について伺いました。

部門に応じた取り組みで、エンゲージメントの考え方を浸透させる

―皆さんは、組織力向上プラットフォーム「Wevox」を活用することや「エンゲージメント」という考え方について、当初、どのような印象をお持ちでしたか?

櫻井:当初はWevoxの活用イメージがわかず、「サーベイはどのくらいの効果があるんだろう?」と、未知のものととらえていました。エンゲージメントについては、従業員満足度とか、会社との約束・契約といった受け身の印象を最初は持っていました。そのような状態でオンラインアカデミー「Engagement Run!」の受講を開始し、多くの講座の中で、初級編の15クラス(1時間×15)を受講しました。受講を続けることで、エンゲージメントに対する理解が深まり、会社や周りの人との対話の重要性も理解することができ、研究・技術部門にも浸透させていきたいと思うようになりました。

笠石:私も櫻井さん同様、「エンゲージメント=従業員満足度」と思っていました。それが、全員参加プロジェクトの活動の一環でエンゲージメント向上アカデミー「Engagement Run!」に参加して、「エンゲージメントと従業員満足度はこんなにも考え方が違うんだ!」と学びがあったんです。「会社と従業員が対等な関係にあり、お互いに高め合うことでエンゲージメントは醸成されていく」という説明が私の中ではすごく腑に落ちました。お互いに高め合うからこそ、組織内の人間関係や業務が良くなるとわかったんです。

丸山:エンゲージメントという言葉自体を初めて聞いたので、当初は言葉そのものに慣れませんでした。Engagement Run!で、エンゲージメントはモチベーションとは少し異なるもので、「モチベーションが高い=エンゲージメントが高い」ということではないと知れたのは大きかったです。今は、モチベーションが「持続」している状態が、エンゲージメントが高い状態だと解釈しています。

―皆さんは2022年5〜7月の3カ月間、Engagement Run!に参加し、そこでの学びをもとに自部門でエンゲージメント活動に取り組まれました。具体的にどのような活動をされましたか?

丸山:所属する藤田工場で取り組んでいる「サステナチーム」の活動を通じてエンゲージメント活動を行いました。サステナチームは、2021年に全社の「サステナビリティ行動計画」が策定されたことを受けて、その浸透のために課ごとに結成されたものです。月1回、各課のサステナチームの代表者による会議を行っているのですが、そこで僕がEngagement Run!で学んだことを共有するなどして、まずは各課の代表者にエンゲージメントについて理解してもらって、代表者から各課の課員に落とし込んでいくというやり方をしました。

その他にも、サーベイの結果を僕が課ごとにグラフ化した資料を共有し、各課の代表がその資料をもとにメンバーとスコアについて話し合い、翌月の会議でその内容を発表することを行っています。

また、部で設定しているスローガンが浸透していない課題がありました。そこで、スローガンに対する目標を課ごとに決めて活動することで、スローガンの浸透だけでなくWevoxのスコアも変化するのではないかと考え、各課で目標設定とその内容の共有を行いました。

あとは、全員参加プロジェクトの活動として「各課の理想像を決める」というものがあったので、それもサステナチームの会議で意見を募りしました。

笠石:私の場合、まずはエンゲージメントの意味・意義について、Engagement Run!での学びをもとに部門のメンバーに説明しました。それから、Wevoxのスコアの見方について、部門内で説明会を開き、スコアに基づく組織の強み・弱みの見極め方やスコアの変化の捉え方などを説明しました。

そして、10月ごろから月1回、Wevoxのスコアをもとに対話をする時間を課ごとに設けました。スコアを見て、自課の強みと弱みはどこにあるのか、改善しないといけないところはどこかを対話し、その上で、改善の取り組みを決めるところまでを1回で行います。そして、翌月に1カ月間の取り組みの振り返りと、改善できることを話し合うという流れです。私は部門内の3課すべての対話に入り、改善策を検討する際には、Wevoxの小項目の結果画面に表示される「他のユーザーが取り組んでいる改善アイデア」に書かれている内容も参考になることを伝えたりもしました。

―課員の皆さんからの改善提案にはどんなものが挙がってきましたか?

笠石:例えば、「課の中でもう少し対話が必要だよね」という意見からミーティングの回数を増やしたりしています。あとは、他部署との関わり方や協力体制も改善していけるんじゃないかということで、具体的な方策を考えたりもしています。

Wevoxのスコアを見ると、ベンチマークとの乖離も目に見えてわかりますし、何より、皆が自課の改善点に気づけたのはすごく大きかったですね。「この課はすごく人間関係がいい」とか、「協力体制がすごくできている」「これはちょっとコミュニケーションが不足しているのでは?」などと結構な気づきがあって、ありがたいツールだなと思いました。

―櫻井さんはどんな取り組みをされましたか?

櫻井:最初はエンゲージメントの考え方を部門内に浸透させるために、10月ごろまで月1回、「エンゲージメント通信」を作成して、メール配信しました。そして、11月から課ごとに5名程度のグループを作って対話を始めました。Wevoxでは、価値観カードゲームを活用しました。全員参加PJの活動の最初に、社内でもこれまであまりかかわりのなかった方々と、価値観カードゲームをして距離が縮まった感じがしました。この経験から部署でも価値観カードゲームを行いました。これは皆さんに感謝したいのですが、積極的に盛り上げる・楽しんで取り組んでいただけたのがよかったと思います。この活動は楽しく行うというきっかけができたと思います。

2回目以降は課の理想像について対話を行い、理想像を設定しました。理想像についての対話では、Engagement Run!の「毎朝15分でできるエンゲージメント改善行動」のクラスで学んだワークを盛り込み、楽しみながら対話できるようにしました。

部門内での相互理解が深まり、対話が活性化

―皆さん、活動の中にEngagement Run!での学びや気づきを盛り込まれていますが、その他に、活動に影響を与えたことはありましたか?

櫻井:発言した人へのリアクションですね。Engagement Run!の講師の皆さんは、皆、相手の話を聞いてうなずいたり拍手をしたりしてくださっていたので、私も部門内での対話の際は対面であってもリモートであってもリアクションすることを心がけました。メンバーにも、リアクションを心がけるよう会の冒頭に必ず呼びかけていました。

笠石:「エンゲージメントの要素と高め方」のクラスの内容がエンゲージメントについて理解する上で理解を深めやすくて、そこで学ばせてもらったことが、自分自身の理解にも、部門内への説明にも役立ちました。

丸山:どのクラスでも毎回、それぞれの発言を否定しないようにしようという話があったことが印象的でした。実際、発言が否定されない環境があることで、話すのが苦手な人も話しやすくなるので、部署で対話を行う際も毎回アナウンスしています。あとは、これから取り組みたいと思っていることになりますが、各課のミーティングや会議のファシリテーションをメンバーで順繰りで回してみないかと提案したいと思っています。エンゲージメント向上に繋がるかどうかはわかりませんが、ファシリテーターを務めることで話すことに自信がついてくる面があると思うので、特定の人だけでなく、皆が経験できるといいのではと思っています。

―1年間の活動を経て、部門の皆さんの変化をどのように感じていますか?

丸山:全員参加プロジェクトのメンバーや事務局さんが社内ポータルサイトで発信している情報を「あまり見ないな」と言っていた人が「ちょっと見るようになった」と話していたり、サーベイの結果について隣同士の席の人たちが会話しているのが聞こえてきたりするのは、これまでになかった現象だと感じています。

また、各課のサステナチームの代表の人たちが、課内に発信すること自体がこれまでにないことです。まずは代表者の間にエンゲージメントの考え方が浸透し、それが各課に持ち帰られることで、各課のメンバーにも少しずつ浸透していくという状態ができたのが良かったです。

笠石:活動前から対話ができていた課とそうでない課があったのですが、そうでない課において、今回の対話の機会を通じて、対話がうまく連鎖して、さまざまな会話や対話をスムーズにできるようになったことを感じます。スコアを読み解いて対話する過程で個々の思いや考えがわかり、相互理解が深まったことで、話しやすくなりました。

また、私自身の変化になりますが、対話の重要性を理解し実感したことから、自分の商標業務において、事業部門に定期的にヒアリングする機会をつくることにしました。そうして、これまでだと気が回らずに聞き出せなかった事業の特徴をしっかりと聞き出せたり、出願が必要な国を漏れのないように精査できるようになったりと、業務上でも良い効果を得られました。

櫻井:まず私自身が、活動当初にあいさつが大事だと考えて朝夕のあいさつをこれまでよりも大きな声でするようにしました。その影響かどうかはわかりませんが、部門内であいさつが増えたと感じています。あとは、普段の会話も増えたと思います。以前は、なにも言わなくてもわかっているというようなところもありましたが、定期的な対話の機会を経て、お互いの距離が縮まり、会話も増えているように思います。

―丸山さんの全員参加プロジェクトの任期は2023年3月で終わり、櫻井さん、笠石さんは新年度からも継続されるようですね。今後、部門内でどのようにエンゲージメント活動に携わっていきたいとお考えですか?

櫻井:今期、課の理想像を設定するところまでできたので、部門内の皆さんの間でエンゲージメントについて理解が進み、次年度からも活動をどんどん進めていけると思っています。今期は部長さんや前年度の全員参加プロジェクトメンバーのサポートがあって1年間やり遂げられました。また、部署の皆さんに積極的に参加するという意思があったから一年間の活動ができたと思います。次年度も引き続き全員参加プロジェクトを担当いたしますので、今期経験したことを生かして、新しくプロジェクトに参加される方に声をかけたり、感想を伝えたりといったサポートもしていきたいです。

それから、部門内でのコミュニケーションにおいても、普段から意識して同僚に声をかけていきたいですね。エンゲージメント活動は普段から継続することが大事ですし、会社全体の活動として、全員参加プロジェクトでのエンゲージメント活動が次年度も続くので、部門の皆さんと一緒にエンゲージメント活動を盛り上げていきたいと思います。

笠石:今年度私が活動する中で、部長さんが大いにサポートをしてくださり、プロジェクトメンバーとしての活動をやり遂げることができました。今年度プロジェクトメンバーとして活動した経験をもとに、次年度も、部門内での対話をさらに深めたり、他部門の新たなメンバーとも積極的に交流することで、新たな気付きを得て、部門内でのさらなるエンゲージメント向上につながるような取り組みを行っていきたいと思っています。

丸山: 1年前に自分が全員参加プロジェクトのメンバーになり、部長さんや前年度の参加メンバーのサポートがあって1年間やり遂げられました。だから自分も、経験者として次年度のメンバーのサポートをしっかりしていきたいと考えています。また、この1年取り組んできた各課でスコアを見て話し合ったり、エンゲージメントやサステナビリティについて話し合う取り組みを今後も続けることで、数年先の変化や改善度合いが変わってくると思うので、継続できるように動いていきたいと思います。

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