オリエンタルランドのマネージャーたちが実践する“ハピネスの創造”のためのエンゲージメント活動

オリエンタルランドのマネージャーたちが実践する“ハピネスの創造”のためのエンゲージメント活動

株式会社オリエンタルランド
永田 雅人 氏
永田 雅人 氏
株式会社オリエンタルランド
スポンサーマーケティングアライアンス部 マネージャー

テーマパークのスポンサー企業に対する法人セールスを担当する部門にて2022年4月よりマネージャーを務める。直属のメンバーは6名。

趙 麗櫻 氏
趙 麗櫻 氏
株式会社オリエンタルランド
運営本部 パークサービス運営部 カストーディアルグループ マネージャー

パーク内外の清掃を担当する900人規模のグループをマネージャーとして統括。 直属にユニットマネージャー6名、スーパーバイザー42名がおり、残り8割以上を準社員(アルバイト)層で構成。

出川 千恵 氏
出川 千恵 氏
株式会社オリエンタルランド
商品本部 商品開発部 イベント・レギュラー商品グループ マネージャー

テーマパークの土産品のうち、文具やぬいぐるみ、玩具、カプセルトイなどの領域の商品開発を担当するグループのマネージャーを務める。メンバーは28名。

エンゲージメント活動においては、マネージャー層の積極的な取り組みが大切です。東京ディズニーランド、東京ディズニーシーを運営する株式会社オリエンタルランドの3名のマネージャーのみなさんもそうした役割を自覚し、学びを深めながら活動を進めています。「変化の時代」に成長できる組織になるために、3人はどのような取り組みをしているのか。具体的なエンゲージメント活動の内容、活動の中でのきづき、そして組織の変化について語っていただきました。

変化に強い組織になるために、自分たちで未来を描けるチームをつくる

―みなさんはそれぞれが統括されているグループでどのようなエンゲージメント活動に取り組まれているか、どのような工夫をされているか教えてください。まずは、趙さんからお願いします。

趙:私が統括するカストーディアルグループでは、どのようなチームにしていきたいか、私自身の考えをメンバーに宣言することから活動をスタートしました。

そのときに伝えたのは、「人任せにせず、自分たちで責任を持って未来を描いていくチームにしていこう」ということです。コロナ禍の2〜3年近く、過去に例のない環境の変化に対応していくためにどちらかというとトップダウンに近い形で組織づくりを行わざるを得ませんでした。それにより、決められたことを決められた通りに再現性高くやっていく意識がメンバー間で強くなってしまったと感じていたんです。だからこそ、改めて自ら考えて行動する組織にしていこうと、私から宣言をしました。その方が、環境の変化に即応できる、変化に強い組織になれるという考えもありました。

そして行ったのが、「ゼロから」チームの立ち上げです。コロナ禍の環境変化、内部プロセス改善と…とにかく前進してきましたが、コロナアフターの働きかたを考えるときに、求められる役割と認識にギャップが生じている状態でした。一度立ち止り、内外環境変化を踏まえながら肥大化した業務を見直す必要性を感じました。同時に、メンバー主体で何に注力するかを考え、ありたい姿を思い描き、具現化していく好機と捉え、チームを変えていきたいという意思のあるメンバーを自薦で募り、「ゼロから考えるオペレーション手順」「ゼロから考える仕事量」などの活動を進めています。

今では、「ゼロから」チームが業務の再定義やオペレーションの改善をグループメンバーに提案するだけではなく、「自分たちのDNAの確立」など、スーパーバイザー発信の組織変革にも繋がってきています。また、各オペレーションの中で私が何か一つ示唆をすると、そこから気付きを得て、私の想像を超えるレベルの改善行動をするような変化も見えてきています。

―メンバーが自発的に意見を出す取り組みは、始めてもなかなか意見が出てこず、メンバーの主体性の引き出し方に悩むマネージャーの方も多いです。趙さんは、メンバーのみなさんの主体性を引き出すためにどのような工夫をされましたか?

趙:メンバー一人ひとりが思いを持ちながら、普段の仕事での行動になかなか結びつかない、つまり主体性を発揮できていない要因について、ユニットマネージャーやその他のメンバーととことん対話しました。

その対話の中では、「自分たちは、本当はどうありたいですか?」「何をもってこの事業に貢献していきたいですか?」といった仕事の根底にあるものについて、話をするようにしたんです。「このままでいいのか?自分たちだからこそ作れるオペレーションがあるんじゃないか?今変わらなかったら私たちは一生変わらないんじゃないか」などの問いかけを続けたことで、メンバーが「今こそ変わらないと」という意識になり、主体性を発揮するようになってくれました。

また、ミーティングや年1回のキャリア面談の場でも、「現状に満足しているのか?」「本当はどうしたいのか?」とその都度投げかけていきました。キャリア面談では、「どういった想いを持ってオペレーションしているのか?」「どんなことを考えて日々働いているのか?」といった個々のWillも把握し、そこにうまく重ね合わせていくことを意識しましたね。

―なるほど。リーダー自らが、粘り強く「ありたい姿」や「変化」について問いかけを続けた結果、個々の主体性が芽生えてきたのですね。「ゼロから」の活動について、もう少し教えてください。どのような立場・役割の方からの手挙げが多かったですか?

趙:手は全体から挙がったのですが、船頭が多すぎても困ってしまうので、スーパーバイザーを主なメンバーとし、統率する役割としてユニットマネージャーを1人アサインしました。ユニットマネージャーに統率を任せたのは、育成の側面もあります。

―実際に、ゼロからチームから出てきた意見をふまえてオペレーションなどが変化した具体例があれば教えていただけますか?

趙:まだいろいろと揉んでいる状況ではありますが、1つ進めているのは、6ユニット共通の業務基準作りや、考え方の言語化です。カストーディアルグループは6つのユニットに分かれていて、横並びで共通業務を行っています。その中で、例えば「仕事量」の根拠、前提条件とは各ユニットが担当するエリアの広さなのか、人流の多さなのか、施設の利用率なのか、といった認識が揃っていない場面が多々ありました。ですので、そうした認識をしっかりすり合わせて言語化し、業務基準を作っていこうという取り組みです。

マネージャー自らが、まずは意識を変えていく

―出川さんのチームでは、どのような取り組みをされていますか?

出川:私が所属する商品開発部では、まずマネージャー間で取り組みを始めました。エンゲージメントを高めていくにあたり、主体性を発揮することや自分の気持ちを仕事に乗せていくこと、また、自分の思いを言語化してメッセージとして発することが重要だと感じていたので、マネージャーだけで集まって話をする場を設けました。

そこでまず行ったのが、お互いの自己開示です。コロナ禍でとにかく仕事が忙しかった上にオンラインでのコミュニケーションが増え、飲み会などの交流機会もなかったため、マネージャー同士でも人となりがわからない状況になってしまっていました。自己開示にあたっては、当時私が勉強していた、自分が好きなことや、気持ちが前向きになることを、項目の中から選んでいく自己分析ツールを使って、それぞれが発表する形を取りました。各マネージャーの意外な側面が見えたりして、とてもいい機会になりました。

そこからさらに、私が参加していた、御社が運営するエンゲージメントについて学ぶオンラインアカデミーの内容の共有も行いました。「エンゲージメントが高い」とはどういう状態なのか、エンゲージメント向上のポイントなどについての理解が必要だろうと考えたからです。あとは、感情をどのように仕事に乗せていくかといったことについて、まずはマネージャー自身が体感してもらいたいという考えもありました。

―取り組みを経て、マネージャーさん同士の関係性で変わった部分や、コミュニケーションが取りやすくなった点などはありますか?

出川:他のマネージャーからは、「相手のことを知るってすごく大事だよね」とか、「自分のことを話すって気持ちがいいね」「相手のことをわかっていると仕事を進めやすい」などの声が出ました。こうした相互理解のメリットは、理論上でわかっているのと実際に体験するのは異なります。マネージャー自身が体験することで、今度はメンバーに伝わっていくと思うので、こうした機会を設けられたのはすごく良かったですね。

―永田さんのチームではどのような活動をされていますか?

永田:私の場合、2022年4月に現部署に着任したため、この半年間は出川さんと同じくオンラインアカデミーに参加してエンゲージメントについて理解を深めることに重きを置いていました。したがって、現部署において胸を張って「ここまでやれました」言えることはまだありません。ただ、メンバーの6人に対しては、自分がオンラインアカデミーを受講する理由を早い段階で伝え、その後も週1回のチーム会で学んだことを共有することは続けてきました。マネージャーとして、しっかりチームのエンゲージメントと向き合うという姿勢を見せたかったんです。

このように、この半年は、自分自身の理解を深めつつ、少しずつメンバーにもエンゲージメントについて、組織づくりの知見をシェアすることを進めていきました。

学ぶことでエンゲージメント活動の幅が広がる

―先ほど出川さんと永田さんのお話にも出てきましたが、みなさんは、弊社のオンラインアカデミーを半年間受講してくださいました。他にも、書籍を読まれるなどしてエンゲージメント活動を推進するためのインプットを続けていらっしゃると思いますが、それらの学びの中で活動に活かせているものがあれば教えてください。

永田:私の場合、オンラインアカデミーで聞いた「ジョブ・クラフティング」という考え方が、エンゲージメントを表すわかりやすいワードとして印象的で、チーム会でも紹介しました。「みんなはジョブ・クラフティングだと思えるような体験をしたことはある?」と問いかけたりもしましたね。ほかにも、NG行動について、上司や同僚にどんな行動をされると嫌かと尋ねてみたりもしました。

そうやって、雑談の延長線上でエンゲージメントとの距離を近く感じてもらえるようメンバーに働きかけています。

―趙さんはいかがでしょうか?

趙:私もオンラインアカデミーには参加しており、印象に残った内容は、メンバーにシェアしたりエンゲージメント活動に活かしたりしていました。とくに、エンゲージメントをメンバーが正しく理解するために有効なアプローチで参考になる学びが多くあり、メンバーとのコミュニケーションにも活かすことができました。

―具体的には、どのクラスのどのような内容が参考になりましたか?

趙:「『7つの習慣』とエンゲージメント」のクラスの内容です。ちょうどキャリア面談をしている時期でもあったので、クラスで学んだ「自分軸を育む」という観点から、メンバー一人ひとりの自分軸を意識させるコミュニケーションができました。メンバーの働き方も仕事に対する価値観も多様なので、それぞれに対してどのようにアプローチすればいいのかという点をすごく参考にさせていただきました。

―出川さんはいかがでしょうか?ご自身の中でのきづきや、エンゲージメント活動に活かせたことなどについて教えてください。

出川:クラスの資料を、マネージャーが集まっていろいろと議論する時間にちょこちょこ使わせていただきました。私が共有する内容に対して興味を持ったマネージャーが「これってどういう意味かな?」と尋ねてきてくれたり、私が見せなかった資料に関して「関連する資料をあとでもらえないか?」などと話してきてくれたりしました。

また、「毎日15分でできるエンゲージメント改善行動」などクラスで紹介されたプチワークを、メンバーとのコミュニケーションのTipsとしてシェアすると、「すぐに使えるし、面白い」と見てくれていました。

活動の歩みを止めないことが、変化に繋がる

―この半年強を振り返って、所属するチームで起こっている変化があれば教えてください。

出川:組織の風土を短期間で変えるのは難しいことを実感しているので、この質問への回答はすごく悩ましいです。今の部署に異動してきて1年半になりますが、異動前の部署でも同じような課題感を持ち、同じようにいろいろと取り組んできたものの、達成感を得られるまでの成果を挙げることはできませんでした。今も、取り組んでいることに効果はあるのだろうか?変化している部分を見つけることはできるけれど、本当にそれでいいのか?といったところを常に悩み続けています。

だけど、やり続けることを諦めたり、止めたりすると何も変わらないので、今は効果が見えなくてもやり続けて、何年後かに「ああ良かった」と思えればいいかなと思っています。

―長期的な視点で考えているということですね。とはいえ、マネージャーさん同士で相互理解を図るなど、新しい動きをされているので、少しずつ変化が起きているんだろうなと感じました。永田さんはいかがでしょうか?

永田:年に一度のメンバーがマネージャーを評価する機会に、フリーコメント欄に「またエンゲージメントについて共有してください」と書いてくれたメンバーが2名ほどいたのが、自分にとってポジティブな変革かなと思っています。

あとは、22年の春ごろに、仕事に対して少しいっぱいいっぱいになっていた若手メンバーに対して、面談のたびに担当業務にアサインした理由やこの先への期待などを伝え続けたところ、今はすごくイキイキと業務に向かってくれています。エンゲージメントについて学びながら、自分が理想とするコミュニケーションを心がけてきた成果が表れているのかなと思います。

他方で、マネージャー1人ができることには限界があることも感じています。エンゲージメントは、マネージャーが何かをしただけで高まるものではなく、メンバー自身が互いに個性を認め合いながら「どんなサポートをしたらお互いが楽しく働けるか?」といったことを考えられるようになることで高まっていくものだと思います。その意味で、今はまだ0歩か1歩ぐらいしか進んでいない状態で、これからやっていきたいことがふつふつとわいてきているところです。

―趙さんはいかがでしょうか?

趙:変化は大きく2つあります。1つは、私自身に、組織に関する各種調査結果を見る際に、数字に踊らされるのではなく、本質を見極める意識がセットされたことです。これは、エンゲージメントについて学ぶ中で「調査結果のスコアは主観の集合体で、事実と異なる部分もある」「でも、メンバーの主観も事実なので、そこから自分たちがどんなチームになりたいかを描いて課題を深堀し、スコアを活用していくことが大事」だから、「数字に一喜一憂するのではなく、本質を捉えよう」という気付きを得たからです。

今期はグループ内で独自のESアンケートを実施してES担当のメンバーが集計・分析しているのですが、担当のメンバーにも、数字に踊らされるのではなく本質を見極めていこうという意識を同じようにセットできたと感じています。

2つめはメンバーの変化で、組織や業務のあり方について、他責から自分ごとに、そして自分ごとをみんなが支援して「みんなごと」として考えるようになってきています。これまでは、どこか主体性が弱く、腹落ちしないまま毎日のオペレーションに取り組んでいた面がありました。それが、チームとしての一体感が高まり「こうしてみたい」「こういうオペレーションはどうですか?」と組織を超えて改善の提案をするような成長、進化が見られます。

―「みんなごと」という考えが素敵ですね。

趙:一人ひとりのチャレンジをみんなが支援し合えるユニークな組織でもあるので、そこは強みにしてこうと話していますね。

エンゲージメントは、一人ひとりの幸せと、事業・社会への貢献に繋がっていく

―では最後に、エンゲージメントという考えや、今日お話しいただいたエンゲージメント活動は、チームにとってどのような価値があるとお考えですか?

永田:エンゲージメントの取り組みをやっていくと、一人ひとりが仕事に前向きになり、さらには、プライベートとのバランスも取れていくと感じています。そして、誰かのエンゲージメントが上がったから他の誰かのエンゲージメントが下がるという奪い合う関係ではなく、エンゲージメント活動を進めることで「幸せ=Happiness」の総和が増えていくとも思うので、そのベースを高めていきたいですね。

趙:ハピネスの創造が弊社の事業の根幹です。この事業に携わるからこそ、「一人ひとりの人生が明るく豊かなものとなるように」という想いを大切にしています。一人ひとりが事業を通じてポジティブに変わっていってほしいですし、愉しく活き活き仕事をしてほしい。

これらはエンゲージメントなくして達成することはできません。一人ひとりの想いと行動が事業貢献や社会貢献に繋がっていくと思うので、みなさまと共にエンゲージメント活動の輪を広げていきます。

出川:2人の話にとても共感していますし、私も同じ考えです。チームでエンゲージメント活動に取り組んでいくと、最終的には一人ひとりの幸せに繋がっていくと思うので、メンバーみんなが幸せでいる状態になっていけばいいなと思っています。

会社の風土として、みんな誰かのことを思いやったり、誰かのために何かをしたりすることが好きな傾向があり、そこがすごく強みだなと思っています。でも、自分が幸せじゃないとせっかくの強みが発揮できません。一人ひとりが幸せでいることを前提に、「誰かのために」という強みを最大限に出していくことで、社会を良くする組織であり続けたいですね。

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