東宝の人事部がエンゲージメントに注力する理由――「職場の一人ひとりがいい組織づくりに参加する会社に」

東宝の人事部がエンゲージメントに注力する理由――「職場の一人ひとりがいい組織づくりに参加する会社に」

東宝株式会社
松浦 容子氏
松浦 容子氏
東宝株式会社
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コーポレート本部 人事部 次長

多田 行宏氏
多田 行宏氏
東宝株式会社
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コーポレート本部 人事部 人材開発室 室長

山本 公仁氏
山本 公仁氏
東宝株式会社
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コーポレート本部 人事部 ワークスタイル企画室 室長

角倉 加奈子氏
角倉 加奈子氏
東宝株式会社
コーポレート本部 人事部 ワークスタイル企画室

エンゲージメント活動とサーベイの導入を発案。現在はワークスタイル企画室にてエンゲージメント活動の事務局と健康経営に関する業務に携わっている。

宮下 郁也氏
宮下 郁也氏
東宝株式会社
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コーポレート本部 人事部 ワークスタイル企画室

2021年7月にWevoxを導入し、エンゲージメント活動に取り組んでいる東宝株式会社。経営陣へのアプローチから社内浸透の取り組み、そして、目指す「自走する組織」に向けて、これまでの取り組みと今後の展望を、事務局として活動を牽引する人事部の皆さんに伺いました。

※取材時(2023年3月)の役職になります。

社内のコミュニケーション不足、組織に対する不満・不安を解消するために

―御社は、2021年7月にWevoxを導入し、エンゲージメント向上に取り組まれています。その経緯を教えてください。

角倉:コロナ禍を契機に、社内のコミュニケーション課題で解決したいこと、また、人事が個別に相談に乗るだけでは拾いきれない、社員一人ひとりの気分や言いたいことを見える化するツールとして、エンゲージメントサーベイが必要だと判断したことが、導入の大きな理由です。

さらに過去にさかのぼると、私個人が人事部内の若手情報交換会で、スターバックスコーヒーさんのエンゲージメント活動の記事を紹介したことがきっかけとしてありました。それが2019年11月です。そのときは具体的な行動に繋がることはなかったのですが、そうこうしているうちにコロナ禍に突入します。映画館や演劇劇場の休館、在宅勤務への移行といった、体験したことのない事業や働き方の急激な変化により、社内の空気が悪化しているように感じました。そこで、改めてエンゲージメントについて考えてみたいと思い、もう一度人事部内の若手情報交換会で話をしたんですね。

すると、「やっぱり社内のコミュニケーションが圧倒的に足りなくなっているんじゃないか」「コロナ禍が拍車をかけたために不満や不安といった形で噴出しているんじゃないか」「人事部が客観的に数値化したり、皆が自分の今やこれからの会社について話し合える機会をつくらないといけないんじゃないか」といった意見が出てきました。こうした意見を受け、人事部全体の会議でサーベイ導入について提案したところ、皆が乗ってくれたんですね。実はかつて人事部の管理職の間でも、エンゲージメントについて研究し、サーベイ導入を探る動きがあったそうなんです。提案するか迷いもありましたが、若手情報交換会にオブザーバーとして参加していた多田の後押しがきっかけとなりました。そうして、私と今は異動した社員、松浦、そして部長の伴田の4人で、導入に向けて週に1〜2時間ほど時間をとって、議論を重ねた上で上申を行いました。

―サーベイツールにもいろいろありますが、比較・検討はされましたか?

角倉:2〜3社のサービスを比較しましたが、Wevoxにしようというのは割と早く決まりました。というのは、アトラエさんにコンタクトをとって話をしていく中で、「エンゲージメントの状態をスコアで把握はできますが、そのスコアの背景がわかるのは御社だけです」という話をいただいてピンときたんです。自分たちが数値を見て何をするかを決めていけるサービスの方がきちんと運用できるだろうと、迷うことなくWevoxに決めました。

―そういった検討を経て、2021年2月に経営陣と社長の承認を得られたそうですが、経営陣にはどのようにアプローチをして協力を得たのでしょうか?

松浦:「エンゲージメントは健康経営の一つとして大事なものである」という提案をしました。というのは、一度、2020年12月にエンゲージメントサーベイの導入提案をストレートに行った際、反対を受けて承認されなかったんです。主な反対理由は、無記名のアンケートのみでは「要求の言いっぱなし」になるのではないか?人事部員が社員から直接声を聞くことも必要なのではないか?という懸念でした。

そこで、再提案に向けて作戦を練り直していたところ、ちょうど、エンゲージメントサーベイの話とは別に経営陣から「健康経営を推進したい」という話が下りてきました。それを受けて、「エンゲージメントは社員の健康とも密接な関りがあり、健康経営に資するものである」という説明にして、健康経営の計画の中にエンゲージメント調査を入れて提案したところ、承認を得られました。会社の方針とどうマッチさせるかは、導入においても大切なポイントなのかなと思います。

1年目のスコアを分析し、2年目以降の方針・施策を決定

―では、2021年7月に実際に導入されてからは、どのような取り組みをされてきましたか?

角倉:1年目は、まずは事務局だけでスコアを見て分析し、松浦や伴田を中心に各部門の部門長とスコアを見ながら話すことに注力しました。

松浦:各部門のトップにいる部長に対して、月1回、スコアが出るたびに当該部門のスコアを共有して、変動の要因を考えてもらうということをしていました。例えば、「人間関係」のスコアが落ちていたら、その月に何があったかを考えてもらうなどです。

進めていくうちに、自身のマネジメントスタイルに思いを馳せる発言や「上長にもシェアしていいか」という話が出てきたり、別の部長向け研修会で「自部門のスコアを高めるためにどういうことをやっているか?」というやりとりが起こったりと、エンゲージメントが部長の間で少しずつ浸透していることを感じていました。他方で、部長にスコアを見てもらうだけだとチームでアクションを起こすところまではなかなかいかないので、各チームの社員にもスコアを見てもらう必要があるなという思いが私の中に生まれてきたんです。

角倉:加えて、アトラエさんに経営レポートを作成していただき、2021年12月にコーポレート本部を管掌する役員に共有しました。

そして、2年目に入るにあたり、やはり、現場からの行動を促すには、きちんとエンゲージメントやスコアについて理解してもらった上で社員皆にスコアを開示し、自分ごととして見てもらう必要があるだろうと考え、スコアの現場開示に向けて準備を進めました。ただ、いきなり現場に開示するのは様々な面でハードルが高いことなので、まずは社員に現状を知ってもらうために、1年間のサーベイ結果を分析した「1年検証レポート」というものをアトラエさんの力を借りながら作りました。そして、2022年8月に経営陣全員にレポートを見せて報告を行い、次に、ほぼ同内容の情報を一部経営陣の感想も添えて全社にも開示し、エンゲージメントに対して現場・人事・経営が三位一体で取り組んでいくことを宣言しました。

この反響が結構大きくて、エンゲージメントサーベイに懐疑的だった人たちからも「自分たちが感じていた雰囲気って数字になるんだね」という感想があり、サーベイ実施の意義を理解してもらえた感触がありました。

―1年目のサーベイからは、どのような組織課題が見えてきましたか?

角倉:傾向としてはっきりと出たのは、「これからの東宝を作り支える世代(30代、40代、役職についていない管理職)のエンゲージメントが低い」「活躍を期待したいダイバーシティ人材(女性・中途採用者)のエンゲージメントが低い」「『挑戦する風土』のスコアが低い」という課題です。

東宝は様々なエンタテインメントを創り広める会社ですが、そこで「挑戦しにくい」のであればそれは特に大きな課題だと感じました。そこで、社内の「挑戦する風土」の現状をより詳しく把握するために、Wevoxのカスタムサーベイの仕組みを使って事務局が質問を考え、「チャレンジ・挑戦」に特化したサーベイをしてみました。結果から見えてきたのは、約79%の人が東宝でチャレンジ・挑戦したいと考えたことがあること。他方で、チャレンジ・挑戦をしづらいと感じる人たちの理由には、業務量の多さやチャレンジ・挑戦が反対されるシチュエーションがあることなどです。そこで、この結果を経営層に報告、全社にも公開した上で、特に「挑戦する風土」の醸成に力を入れることを社長に宣言してもらいました。そして、「TOHO CHALLENGE AWARD」や、Slackを活用して「ありがとう」を伝える施策「Thanks for YOUプロジェクト」などを行うことを宣言したのです。2023年はそれらに注力していこうと考えています。

また、並行して、2022年10月から、室以上かつ3名以上の組織においては、現場の管理者にオンラインで説明会を実施した上で、直接Wevoxにログインしてスコアを見られるように閲覧権限の設定を変更しました。そして、スコアを元に自分たちの組織について考え、話す対話の機会を持つよう促しています。

現場での対話を推進し、自走できる組織を目指す

―事務局の皆さんが並々ならぬ熱意でエンゲージメント活動に取り組まれていることがお話から伝わってきました。皆さんの事務局としての思いや、職場の皆さんへのメッセージを改めてお聞かせいただけますか?

松浦:エンゲージメント向上の取り組みはまだまだ途上で、今、チームごとに対話をしてもらっていますが、対話の機会をうまく活用できているチームもあれば、まだ十分に活用しきれていないチームもあります。うまく活用できているチームでは、チームに良い影響が出ていることがスコアにも表れているので、エンゲージメントの考え方を皆が共通の認識として持ち、対話や改善策を自分たち決めたりする動きをもっと浸透させたいと思っています。

多田:先ほど角倉からも話がありましたが、そもそもエンゲージメントサーベイを始めるきっかけが、会社の雰囲気が少しずつ悪くなっていって、それに付随して離職者も増えてきたことがあります。私が人事部に着任したのは2020年4月で、その前は関西に3年間いたんですが、関西には、東宝のモットーである「朗らかに、清く正しく美しく」を体現した社員が結構いて、古き良き雰囲気がまだ残っていました。ところが、東京に戻ってくると、朗らかに働けている社員が少ない。かつては、ちょっとした後押しや、背中を支えるといったことを社員同士でほどよくできていたのに、個々の業務量や責任が増え、余裕やゆとりがなくなってしまっていたんです。

今回のプロジェクトの一番いいところは、提案してくれた角倉をはじめとした人事部の若手社員たちの根っこに「会社を変えたい、かつての東宝を取り戻したい」という思いがあることです。この思いを無駄にしないよう、なんとか会社を挙げて推進しなきゃいけないと思いました。東宝が持つ良き雰囲気を体現する人間は間違いなくいるし、根っこにそういう魅力を持っている社員は多いはずなので、その「朗らかさ」を取り戻すというテーマを個人的には持って、このプロジェクトに臨んでいます。

山本:ここ10年くらいの間、会社の成長をうたって、組織や理念の見直し、アニメーション制作など新しい事業へのチャレンジ、映画や演劇劇場などの王道の事業の改善と成長などを並行して行ってきました。そうして事業が拡大・成長していくに従って、忙しさに変わり、従業員が少しずつ疲れてきてしまっているのではないかと感じています。

労働組合からも数年前から「エンゲージメント」というワードを出されるようになってきました。ただ、本質的に追求すべき課題が何かというところは、労働組合も、私たちも明確に言語化できていなかったので、Wevoxのような科学的な根拠や考え方が担保されているサービスを活用するのは、いいことかなと感じています。

エンゲージメントは、主観の集合体です。だから、スコアは自分たちの主観で変動するし、時期によっても変動します。1年に1回の調査ではそうした変動がわかりませんが、パルスサーベイという形で定点観測することによって把握できたのは非常に大きいところです。とはいえ、スコアに惑わされるのは本質的ではないと考えています。組織としてのあるべき姿を忘れずに、その姿の実現を目指して活動する中で結果的にスコアがついてくるのがベストだなと個人的に思っています。

宮下:社員全員にとって出社が楽しくなる会社を作りたいなと感じています。会社としてウェルビーイングの実現に向けた動きも出てきていて、それにはやっぱりワークエンゲージメントってすごく重要な要素ですよね。さらに、東宝のパーパスは、「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」です。健全な娯楽を提供する人間のエンゲージメントが低くて、健康でなかったなら東宝の目指していきたい作品を作れないのではという問題意識もあるので、その点でも、エンゲージメントは会社として重視すべきだと思っています。

角倉:社内の皆さんに向けた説明会でも話したことですが、エンゲージメントはそのときの心の状態なので、それ自体が評価されたり、いい・悪いと判断したりするものではないということは繰り返し伝えていきたいと思っています。

サーベイのスコアは、そのときスナップショットとして撮ったものが残っているだけなんですよね。だからこそ、スコアの背景に何があるのかを皆で対話することが大事です。これは、当初の課題感にも結びつきます。今まではざっくばらんに何でも話せて、困ったらお互いに手を差し伸べていたのに、どこからか分断されているような雰囲気になってしまっていた。言いたいのに言えないからうまくいかない、といったことが散見されるようになってきてしまった今、コミュニケーションを媒介するものとしてスコアがあることで、皆が冷静になれるのかなと思います。スコアをもとに、チームの振り返りはもちろん、自分自身の振り返りも含めて、どう良くしていきたいのかということをぜひ言葉にして、対話をしていただきたいなと思っています。事務局としても、言語化の機会をつくるために、現場に仲間を広げる仕組みやワークショップの機会などを今後、どんどん社内につくっていきたいと思っています。

Engagement Run!で推進者としての知識をつける

―皆さんは、2022年8月からエンゲージメント向上アカデミー「Engagement Run! Academy」にも参加されています。参加の経緯を教えてください。

角倉:管理者にスコアを開示するにあたり、社内にスコアの見方などを広めていくための知識を付けたい、また、事務局のメンバーの間で共通言語を持ちたいという考えがありました。というのは、事務局のメンバーは全員、兼任でこの活動をしているため、どうしても共通言語が作りにくいという課題があったんです。参加することで共通言語ができるのでないかという期待があり、まずは希望者から参加してみようということになりました。

―参加されての所感や学びになったことなどを教えていただけますか?

宮下:私は、2022年11月に参加したShare Room(他社交流)の「多様性の時代の世代間ギャップについて感じることをシェアし合おう」というクラスで対話の力を感じたことが印象に残っています。参加者4名のうち1人が相談者となって、残りの3人がある意味無責任に解決策を考えようという内容です。

当時は、学生から社会人になって半年くらいで、上は自分の保護者くらいの世代から様々な世代の人たちがグラデーションでたくさんいる環境に、理由もなく漠然ともんもんとしていた時期でした。それで、「大学時代にスポーツをしていて体格がいいせいか、精神まで強靭に見られることがコンプレックスなんです」と会社の人には言えない繊細な悩みをチームのメンバーに相談したら、「確かにそういうことってあるよね」「でも気にしなくていいよ」などと、解決策含めすごくフランクにやり取りしてくださって、対話の力ってこういうことなのかなと感じた楽しい時間でした。

山本:内容に共感したのが、「ジョブ・クラフティング」に関するクラスです。これまで自分も、細かい仕事であっても動機付けや意味付けをして意欲を高めて取り組むことを意識していました。そうやって、目の前で取り組んでいる仕事の意義を自分自身で考えてやりがいを見出すことは大事なんだなと、再確認できました。

あとは、Engagement Run!そのもののとても良いところが、他社の方と交流できる点です。ずっと同じ業界にいると、気づかないうちにその業界の視点に凝り固まってしまうことがあります。別の業界や多種多様な方と様々な視点で議論することで、客観的で冷静な視点を持てるのがいいところだと思います。

松浦:私が面白く感じたのが、「智慧の車座」のクラスです。参加者の方1人の悩みに対してほかの参加者の皆さんが質問して悩みを解消してもらうという内容です。面白いと思ったのが、悩みを抱えている人に対してほかの参加者は1人1つだけ質問ができて、それに対する回答は深ぼりせず、質問だけを回していくという進め方です。

根掘り葉掘り質問して周りの人だけが満足することにはならず、悩みを抱えている人が周りからの質問にじっくり考える仕立てが、管理者やチームリーダーに向けた関わり方のヒントになると思いました。自分が悩みを解決してあげるのではなく、質問を投げかけることで内省を促し、悩みを解消してもらうという体験をしてもらえるといいなと思います。

角倉:「智慧の車座」のクラスは私が松浦にオススメしました。私が実際に参加して自分の悩みを聞いてもらった際、1人で考えて壁にぶつかっていたことに対して、皆さんがフラットに「こういうことも考えられますよね」などと話しているのを聞いて問題が外在化された感覚があったんです。そうやって、抱え込んでいた悩みが自分の中から取り出されて客観視できたことにとても感動しました。すごく面白いなと思いましたし、いい意味で衝撃を受けたので、絶対に受けたほうがいいですよと薦めたんです。

あとは、エンゲージメントと主体性の関係に関するクラスがすごく面白かったです。クラスの中で出てきた、「主体性とは人生の責任を自分で引き受けることだ」といったフレーズにはっとしました。自分は会社を良くするために、エンゲージメントの考え方を導入しようとしてきたけれど、知らないうちに人生についても考えていたんだと気づき、エンゲージメントには本当にゴールがないことを思い知りました。同時に、この考え方って、さほどエンゲージメント活動に乗り気じゃない人にも、「あなたの人生に関係あるんですよ」とメッセージングすれば共感してもらえるきっかけになると考えています。エンゲージメントを通じて「もっと会社を良くしたい」とか、「もっと良い人生を生きたい」と思っている人たち同士の共鳴を生み出していきたいですね。

社員全員が、エンゲージメントを自分ごとと捉えられる組織に

―では最後に、今後どのような活動をしていくのか、また、どのような組織にしていきたいかという展望をお聞かせいただけますか?

多田:先ほども少し話しましたが、朗らかな会社の雰囲気を取り戻すというのが個人的なテーマです。私は人事という職業柄、いろんな社員と面談をすることが多いですが、やっぱり、人って話していると明るく元気になってくるんですよね。最初はちょっと暗い表情をしていたのが、面談が終わる頃には晴れやかな顔になる。それは、いろんな思いをアウトプットできているからというのはもちろん、相手と言葉のキャッチボールをすることで、お互いにちょっとハッピーになるんですよね。その気づきを社内にどんどん増やしていきたいですし、そのためにいろんな人を巻き込んで、対話ができるようにしていきたいと思っています。

また、僕は社内のメンバーを中心とした「東宝ゴジラ」という草野球チームに所属しているのですが、メンバーは皆、「野球をする」ということを軸に、すごくまとまっているんです。このチームでエンゲージメントサーベイをすると、めちゃくちゃ高いスコアが出そうだなと思うくらいです。もちろん、ビジネスと趣味という違いはありますが、目指すべき組織像はこの身近な野球チームにあるんじゃないかと個人的に思っています。ものすごくウェルビーイングが繋がっている集団でもありますし、上の人間をいじれるくらいの心理的安全性があるこの集団の中では、安心安全に活動できるというマインドになれるんです。これをうまく社内に置き換えていければなと感じています。

山本:コロナ禍で在宅勤務ができるようになり、オフィスに集まる機会がすごく減ってきたことで、雑談力というものがますます問われるのかなと思っています。仕事のヒントを得たり、仕事が進めやすくなったりなど、雑談をすることで繋がることもあって、その大事さを感じています。

ただ、人事や会社ができることって限られていると思うんです。スコアをもとに打てる施策は打つけれども、やっぱり、各部門で対話を進めていただくしかないんですよね。対話を進めて、言葉のキャッチボールの中でできることがあるので、事務局としては、キャッチボールが簡単にできる組織であるよう雰囲気づくりを手伝えればと考えています。

宮下:個人的に課題に感じているのは、人事と他部門との意識の乖離です。月次でエンゲージメントに関するWEB社内報を作り、サーベイ結果や今後の活動内容について共有をしていますが、人事部から他部門に異動した同僚から話を聞く限りでは、人事と現場とでは意識の乖離があるそうです。現場に余裕がないという面もあると思いますが、自分ごと化してもらうためにどのようにアプローチしていくかが、これからの事務局の課題だなと思っています。

また、私はこれから入社2年目に入り、ジョブローテーションで人事を離れる予定です。今、肯定感を強く持ってエンゲージメントの施策や事務局の活動に携わることができています。今後の異動先でもエンゲージメントについて誰かに伝えていくこと、現場から見た人事やエンゲージメントの見え方などについて、事務局の皆さんに共有することが、自分にできることかなと思っています。

松浦:先ほど、「1年検証レポート」の話の際に挙がりましたが、スコアの傾向として、「これからの東宝を作り支える世代(30代、40代、役職なし管理職)のエンゲージメントが低い」「活躍を期待したいダイバーシティ人材(女性・中途採用者)のエンゲージメントが低い」という傾向がある一方で、私が属する50代や、部門長・次長クラスは皆エンゲージメントが高いという不均衡が生じています。働きがいを持って働けている人がいる一方で、そうじゃない人にしわ寄せがいっている。

そうではなく、どこにもしわ寄せがいかず、皆が自分の仕事の中でやりがいを感じられる環境を作っていきたいと思っています。各職場で、チーム単位で対応してもらうことが一番ですが、会社の仕組みや人事制度の見直し、業務量の偏りの是正、意思決定の方法の見直しなど、ハード面からもアプローチできるところがあると思うので、少しずつ取り組んでいきたいと思います

角倉:極端な言い方かもしれませんが、ゆくゆくは事務局がなくなればいいなと思っています。現場で自分たちの組織を好きになって、自分たちで良くしていくのが、まさに自走する組織で理想とする形です。

東宝って、映画や演劇が好きで、「この会社に入りたい」と思って入社した人が他の業界さんよりは多いと思います。実際、社内でも映画や演劇についての会話が盛んにされているので、皆、事業に対して愛着はあると思うんですね。その中でも、会社とどこか歯車がかみ合っていない部分には、対話を中心としたエンゲージメント活動を通して、歯を足したり、うまく回るように油を差したりすることで、会社の好きなところを増やせると思っています。それを各組織、そして会社全体でできるようなお手伝いを、ぜひ事務局ではやっていきたいと思っています。

具体的には、2023年度は「チャレンジ元年」としての一連の取り組みを進めていきます。それから、先ほど松浦も話した通り、人事部の強みである制度面の手入れにも注力していきたいですね。こうした取り組みを続けながら、東宝という組織全体が自力で走っていけるような、仕組みづくりと気持ちづくりを実現していきたいと思います。

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