
【Teamwork Sessionレポート】「先手の面談」で社員をサポート!注目ベンチャーの執行役員が語るWevox活用法

2009年慶應義塾大学を卒業後、住友商事株式会社に入社。2013年からは一貫してM&Aを担当し、世界30ヶ国以上を回る。投資を通じた企業成長や社会貢献で、様々な成果を出す中で「社員が幸せな会社でなければ、社会に貢献する会社にはなれない」という自身の信念を見出す。この信念を、セルソース代表の裙本と共有出来ると確信し、2022年にセルソース株式会社へ入社。現在は執行役員 経営企画本部長としてDX・海外・PR・社内企画など多岐に渡る分野をカバーしながら、ヒト(Human)を起点とした新時代の経営スタイル実現に向けて取り組んでいる。
Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回は、セルソース株式会社 執行役員 経営企画本部長の細田 薫さんにご登壇いただきました。セルソースに入社するまでは人事の経験がなかったという細田さんですが、Wevoxはどのように細田さんの活動を後押ししているのでしょうか?
平木(司会):本日のテーマは「注目のベンチャー企業執行役員が語る、事業と組織を加速するためのWevox活用事例」です。どうぞよろしくお願いいたします。
細田:私は1年ほど前まで住友商事にいまして、その後セルソースに転職しました。自身のスローガンとして「目に映る人々を幸せにするところから世界を変えていきたい」という言葉を掲げています。セルソースに入社するまでは人事を経験したことがなく、ずっと海外M&Aに従事していました。ただ、ブラジルやウクライナの現地の会社に勤める中で、「社員が元気になり、幸せになることが、企業の成長、そして全ての社会課題の解決に紐付く」と強く感じ、人事の道を志しました。経営企画本部という名前ですが、ベンチャーということもあり、人事以外にもPR・DX・海外・企画・営業戦略と本当に幅広い分野を任せていただいております。
セルソースは再生医療関連事業を営んでおり、医療機関の黒子としての役割を担っています。皆様が我々の再生医療サービスを受ける場合は、医療機関で採取した血液や脂肪が弊社に届き、弊社が成長因子や幹細胞に加工してお戻ししたものを医療機関で投与してもらう形になります。こうした過程で、多くの患者様はセルソースという会社がいたことを知らないまま治っていくことが大半ですので、再生医療のセントラルキッチンみたいな存在と捉えていただければと思います。
弊社では、一般的なESG経営(Environment、Social、Governance)ではなくHSF経営(Human、Social、Future)を標榜しており、「人が社会課題を解決して社会に影響を与えることで未来は変わる」と考えています。
また、我々のパーパスから行動規範までのストーリーを簡単に紹介させてください。我々のパーパスは「未来を変える」、ミッションは「全ての人生に自由を、医療に革命を」でして、医療に革命を起こすという使命を通じて未来を変えていくことを目標にしています。

そして、バリューが6つあり、さらにそれを「行動規範」に分解した、22個の「セルソース思考22」があります。
我々の社員は、この22個に自分たちの行動が沿っているかを自問自答しながら日々を過ごしています。

このHSF経営を方針として持ちながら、バリューや行動規範を体現し、ミッションを果たし、そしてパーパスを実現するという考え方が、我々の人的資本経営の軸となっています。

では、徐々にセルソースの実態に迫っていきたいと思います。まず、セルソースの業績はおよそ年率70〜80%で伸びていて、税後利益で見ると年率100%以上の伸びを示しています。営業利益は創業来黒字が続いており、直近では10億円を超えました。

このような数字なので、よく「爆速成長しているしずっと黒字だから問題なんてないですよね」と言われますが、当然そんなことはありません。社員数が増え続けていく中で、皆さんもご存知の「100人の壁」で言われているような、コミュニケーションや採用の問題は我々も全部経験しています。
私が入社時の社員数は90人弱、そして現在は133人なので、ちょうど100人をまたいだタイミングですが、現在もありとあらゆる問題が起きています。その問題を、4つの課題という形でご紹介します。
透明性を確保して社員の不安を解消

1つ目の課題が、色々な意味での多様性が増すことです。年次や能力など、ありとあらゆる違いがある人たちの人数が増えているため、左右・上下・斜めのいろんな形でのコンフリクトが発生します。それは人とのトラブルだけでなく、事業上のトラブルにも発展します。
2つ目の課題が、教育が間に合わない間にリーダーやマネージャーに就任してもらう場面が起きることです。どうしても、マネージャーの役割が必要になったときに、まだタイミングとしては早い人を任命するしかないときあります。こうした場合でも、人とのトラブルや事業上のトラブルが起きます。
3つ目の課題が、社長と社員のコミュニケーション密度が下がることです。30〜50人や70人規模の会社だと、社長と社員が分かり合えていることが多いですが、100人を超えると密度が下がっていくので、社員側からすれば「自分はもう社長から見てもらえてないのでは」といった不安感が生まれます。こうした状態が生まれると、心理的安全性とエンゲージメントがダウンして生産性が悪化したり、離職率の悪化へとつながったりするわけです。
逆の視点では、4つ目の課題として社長側が社員の状態がわからなくなるパターンもあります。状態がわからないが故に組織課題の発見が遅れますし、課題認識も中途半端になり解決策の質が下がります。
ですから、去年私が就任してからはこのようなイシューツリーを作り、こういった課題に対してソリューションを当てていこうという動きを続けています。

続いて、そうした課題に対してどのような解決策を講じているかを説明します。この図の右端のボックスが各課題に対する目的に当たります。
1つ目の多様性については、「inのレベルを上げる」ことで対応をしています。レベルというのは優秀かどうかではなく、よりカルチャーフィットした人材に入ってもらうためのチェックポイントを明確化するといった意味合いです。そのために、面接ガイドラインを作り、面接官のフィードバックシステムを導入しました。面接官の横に人事がついて、良くなかったところを指摘したり点数をつけるなど、面接のクオリティを担保する取り組みを半年ほど前から続けていて、上手くいっている実感があります。
2つ目の教育の問題については、「育成スピードを上げる」ことを目的にしています。最初のDay90(3ヶ月間)では、何を教育するのか、どういう人間関係を作ってほしいのかを定義してオンボーディングプログラムを導入します。それから、どうしてもOJTではリーダー、マネージャー気質が身につかないので、リーダー・マネージャー育成プログラムを導入して、リソースをかけて社員を鍛えていくようにしています。
3つ目からはWevoxが登場しますが、不安感が増している社員に対して「徹底的な透明性を確保しよう」を合言葉に、Q&Aを全開示しています。4つ目では、「可視化の徹底と、迅速な活動・行動」をとっていくために、Wevoxのデータを活用しています。
Wevoxを活用した社員状態の可視化にあたっての前提条件として、我々は実名でサーベイを実施しています。ただし、実名情報にアクセスできるのは私と人事部長(セルソース内の呼称はHR戦略部長)だけで、私たち2人以外は社長も含めて誰もアクセスできません。
ただし、第6回以降は自組織の点数に限って権限を徐々に付与し、現在は部長までならスコアを閲覧できる状態です。実施内容は、パルスサーベイが月に1回、カスタムサーベイが半期に一度です。設問数は常に32問で、回答率は何が何でも絶対に90%を下回らないよう努力しています。というのも、N数が下がるとどんどん意味のないデータになってしまうと考えているからです。この辺りが弊社におけるサーベイの前提条件です。
サーベイを取った後に何の反応もない状態では徒労感が出てしまいますよね。弊社では、本部長以上宛には1〜2営業日で速報を送付、5営業日以内には各組織に組織別のレポートを提出して、そこから本部長や部長がアクションを取ります。つまり、アンケートを取って1週間以内には必ず何かしらの動きや変化があるわけです。
レポートに関しては、Wevoxからもいろんなレポートが取れると思いますが、我々はExcelで独自に計算式を組んで、データを流し込むと自動的にレポートが出るようにしています。これはWevoxのレポートに問題があるのではなく、その時々で見たいデータが変化するので、自分たちで計算式を作り替える必要があるためです。
社員を4つのゾーンに分けてモニタリング

続いて、Wevoxの具体的な活用事例をご紹介していきます。まず、社員状態の可視化のために使用している特徴的なものとして、標準偏差を使って2軸で分解したこのグラフがあります。例えば一番右上に位置する大きな水色の丸の人は標準偏差が0なので、32問に対して全て100点を入れていることが示されています。とある質問には0〜20点、とある質問には100点といったように点数がまばらな人は左側に寄っていきます。そのうえで、下にいくほど低い点数の人になっていき、たまに80点や100点をつけている人が左下に位置します。右下に位置している人は、おしなべて低い点数しかつけていない人ということになります。

この分布をそれぞれのグルーピングで定義した図がこちらです。右上は基本的に高い点数ばかりつけている「問題なしゾーン」ということで、大きな問題はないだろうと考えられます。左上は、総合点は高いものの気になっている点がいくつかある人たちなので、固有のネックポイントの深刻さなどを見ながら対応していきます。
左下は「光あるダークサイドゾーン」と呼んでいるグループで、全体的に点数は低いけどところどころ高い点数がある、つまり会社に対して好きなところもあるという状態なので、まだ可能性はあります。このグループの人たちを上の1や2に寄せていくことができれば、より良い会社になっていけると考えています。
右下は危険ゾーンです。おしなべて低い点数をつけているにも関わらず、人事側が把握できてないことがあれば速攻で手をつけに行く、重点モニタリングの対象となっています。
このグラフ以外にも、いろんなスコアリングやグルーピングをしていますが、基本的には私はこのグラフの四象限を特に意識して毎月チェックしています。下の方にいる人たちは当然悪化していく人たちが多いので、ここに対して手を打ちつつ、真ん中の人たちが上に上がっているかどうかも常に見ている感じです。

次のWevox活用事例は、先手の人事面談についてです。この図は、先ほどのグラフに「面談予定」という文字が足されたものですが、弊社では毎月必ず最低7人は面談をするというルールを設定しています。この図はあくまでもサンプルですが、10点以上悪化した赤色になっている人、ある程度高い点数でも悪化傾向にある人たちなど、HR戦略部長と2人で選んで面談しています。
これを「先手の面談」と呼んでいますが、私の経験上、後手の面談はほぼ意味がありません。問題が表面化している場合の大半は、その人が完全にダークサイドに行っちゃっているので、相当コストをかけないと光がある方には行かないんですよね。そのため、ダークサイドになる前に先手の面談ができるように、先程のグラフを活用しています。

先手の面談ではWevoxが役に立ちます。特に便利だと思うのは、「最近どうですか」みたいなやり取りが一切必要ない点です。このシートの左側が面談で使用するチャート画面ですが、最初の質問から「ここのスコアが下がってますけど、何かありましたか?」と聞けてしまうので、とても解像度の高い会話ができるんです。私が人事ド素人にも関わらず1回の面談で結果が出ていると思えるのは、このチャートのおかげですね。また、本人が書いた点数を本人が見るので言い訳もできないですし、納得感を持って受け止めてくれます。
さらに面白いことに、自分で低い点数を入れているのに「本当ですか?」なんて言って全然覚えていないパターンもあったりするんです。そういう人の場合は、話していくうちに「そういえばこういうことがあったから、この点数になったのかもしれません」と本来なら絶対に聞けないような深いインサイトが、面談開始から5〜6分で出てくることもあります。こうした定量化・可視化は、Wevoxを使っていて良かったなと思えるところですね。

最後にご紹介するのが、「つながり」の可視化です。弊社では、半年に1回カスタムサーベイを実施する時に、「最も繋がってると思う社員5人と、その5人を除いて他部署で繋がってると思う人5人の合計最大10人を上げてください」とお願いしています。このグラフでは、そのカスタムサーベイで「つながりがある人」として選ばれた人、選ばれた数が表記されています。
パレートの法則のような感じですが、この「繋がっている数」と「エンゲージメントスコア」は明確に相関します。逆に言うと、左端の人は、社内での繋がりが濃くエンゲージメントが高い人ですので、辞められたら非常に困ります。それに、左側の人がダークサイドに染まったら、つながりの濃い人たちが影響を受けるということなので、つながりの可視化は非常に人事の役に立っています。
行動で示すことが信頼を獲得するための鍵

4つ目のWevox活用事例が全開示Q&Aシステムです。Q&Aを全開示しているとお話ししましたが、このようにNotion上にパルスサーベイの皆さんからのコメントを載せています。画面は隠していますが、私とHR戦略部長が30〜40ぐらい寄せられる質問全てに回答します。
答えられないものは他の人に振って回答してもらっていますし、スライドの下にも書いてあるとおり、全てに「応える」ことは当然できません。ですが、自分が聞いた質問や意見に対してちゃんと回答してくれる、ちゃんと反応があるということは心理的安全性を生むと思っていますし、こうした取り組みの甲斐もあり、出てくる意見や質問の数もどんどん増えています。
大体の場合、初回の反応が一番多くてその後は減っていくのが常ですが、弊社の場合は今も増え続けていますし、意見を取り入れて実装したものもあります。これを全社員が絶対に見られるところにおいて会話をする、というスタイルは結構上手くいっていますね。また、このためだけにわざわざQ&Aを取るのではなく、パルスサーベイのついでに聞いているので、記入者側も回答者側もコストが少なく済んでいます。
個人的な意見としては、サーベイを有効活用するには絶対に実名がいいと思っています。というのも、最終的には課題を解決しないといけないわけですが、単なる属性データだけではどうしても解決できない問題というのが発生するからです。誰かに見られているなら本音を書かなくなるのでは?という人もすごく多いですけど、「本当にHR戦略部長と私しか見れないよ」と言い続けてそれを実行すると、信じてもらえるようになります。
そこで社長が少しでも知っていたりするとおしまいですが、我々は本当に誰にも開示していないので、有言実行を続けることによって、回を増すごとに信用を獲得しているのだと思います。
一方で、本来なら自分の部の点数を部長や本部長が把握して自分で考えて動くのが理想ではありますが、定量化することの最大の問題点は「コンテクストを無視して比較可能な“数字”になってしまう」ところです。ですから、ちゃんと理解させてから数字を見せないと、「あっちは75点なのに僕のところ65点だからもうダメですね」みたいな反応が生まれてしまいがちです。
なので、僕はリーダーシップ研修の時に「75点と65点ではなく、75“キログラム”と65”メートル”だから比べないでください。あなたが前回64点で今回65点になったのならそれは64メートルと65メートルで同じだけど、別の組織はフィートだったりキログラムだったり全然違うものなので、横は見ないでください」と伝えています。
この教育はなかなか時間がかかるもので、弊社も6ヶ月目になって初めて部長までにスコアを開示しましたが、早い段階から全開示するとかなり問題が起きると思います。
弊社がWevoxが優れていると思う点は、極論“UXだけ”です。“だけ”と言っても、私はすごいバリューだと思っています。私の周りではWevoxや他のサービスを使っていて、Google Formsに切り替える方もいます。
エンゲージメントサーベイは、究極的には「アンケートを取っているだけ」なので、機能としては大体可能なのですが、Google Formsだとポチッと押して回答を選ぶ時に脳の中にノイズが入るんですよね。その0.1秒で、「この回答したら人事にどう思われるかな」とかいろんなノイズが入るわけです。
その点、Wevoxの回答のUI/UXは素晴らしくて、一瞬で回答が終わっちゃうんですよね。だから、面談をした人たちがほぼ全員、「本当に僕の回答ですか?」と聞いてくるほど無意識に回答をしてくれるんです。
こちら側としてはそうしたノイズのない情報が欲しくてアンケートを取っているので、考えさせて取るアンケートでは意味がないと思っています。そういった意味では、Google Formsなどは機能としては同じかもしれないですけど、UI/UXが全く優れてないものを使うとなると本質的には課題が解決されないので、その点がWevoxの強みかなと。別に言わされてるとかじゃなくて(笑)、本当にそう思っています。
最後に、冒頭にも申し上げた通り、私自身もHR分野で勉強中でして課題・問題も多数あります。そういったところをいろんな方と共有して、一緒に悩んで解決して、一緒に世の中の社会課題を解決していきたいと心から思っています。
質疑応答
平木:ありがとうございました。回答率が90%を下回らないようにとお話しされていました。利用企業様の中にも回答率にお悩みになられている企業さんがいらっしゃるのですが、下回らないコツや工夫点があればぜひ教えてください。
細田:「回答をしたら意味がある」と感じさせることが、回答率を高位安定させるための基本だと思います。必ずフィードバックがある、必ず結果がわかる、上司に変化があるなど回答することでのバリューを感じさせることが大切です。Q&Aの全開示は回答率を上げるためでもあります。
また、回答していない人に直接回答を促すといった泥臭さも大事ですね。私は回答していない人を知っていても問題がないので、「前回答えてくれなかったけど、次回は回答してね」と直接会う機会があれば声をかけています。
あとは、本部長にはメンバーに回答させる義務を負ってもらっているので、「あなたの部の現時点の回答率は◯◯パーセントですよ」と前日に必ず連絡をしています。そして、本部長が自組織のSlackチャンネルで、「今うちの部は○○パーセントらしいので皆さん回答してください」と書いてもらうなどアクションを起こしてもらっています。
平木:回答率に向けてかなり地道に活動されているんですね。先ほど「先手の面談」というお話の中で数値を見せていただきましたが、実際の数値を見ながらお話しされるのでしょうか?また、そのスコアを見た時にどういう優先順位で判断されているのでしょうか?
細田:開始から1分ぐらいアイスブレイクしたら、そのまま画面に数値を出して説明します。みんな見たことがないものなので、まずはその表の説明に少し時間をかけますが、それが終わった後は画面を指さしながら点数について話を進めます。
いい部分はわざわざ触れる必要がないので、基本的には絶対値として低いものと、差分として下がってる傾向にあるものの2つに絞り、面談の前日に自分で用意した質問を投げかけていく形です。
面談相手は「人事に呼び出されたよ」みたいな反応がやはりあります。ただ、「一緒に課題解決をしたい」と最初にちゃんと説明していますし、自分の点数を自分で見ることに関しては意外とみんな好反応というか、興味は持ってもらえています。
平木:ありがとうございます。それでは、参加者の皆さんからの質疑応答へと移ります。
質問者:弊社は自立的な取り組みを促すために、各マネージャーに自組織のスコアの閲覧権限を付与しています。そして、離職者が多い組織のマネージャーに対して、組織の活性化で成果を出しているマネージャーのスコアを見てもらい、分析をしてもらっています。つまり、部署のスコアの横比較をしている状況です。そうした部署間でのスコアの比較は避けた方がいう話もありましたが、弊社の状況についてどうお考えでしょうか?
細田:スコアをマネージャーに開示すること自体は問題ないと思いますし、横比較は補助要素としてはいいと思います。ただ、「あっちが高くてこっちが低いのは何でなの?」と聞いてしまうと、「いや、向こうは最近新卒が入ってきてちょっと点数上がっただけですよ」とか、色んな言い訳ができてしまいます。
我々も全社平均のベンチマークとの差分は取っています。そこには比較要素も一部入ってはいますが、各部長と課題解決をすると考えた時には、自分の組織の前月、前々月と比べてその人になぜそう変化しているかを質問するようにしています。同じ月での回答結果においても、Aの項目が80点でBの項目が50点だとして、「何でこの項目はこんな高いのに、こっちの項目は低いの?」と聞くと、どっちも同じ組織の点数なので納得して要因などを考えてくれます。
一方で、「隣の部の点数は高かったけど、あなたの組織はなんで低いの?」といったような質問をしてしまうと、言われた側は「それは知らないですよ」みたいな話になってしまいます。そうならないように、横比較はあくまで補助要素として、とにかくその人の部署に集中した議論をするように心がけています。
質問者:実名式について検討したことはあるのですが、どうしても従業員の抵抗感や組合との話などで難しい面があります。実際に実名式を導入するにあたって、従業員からの反応にはどのようなものがありましたか?
細田:抵抗感はありました。それこそ1回目2回目の時に、「実名式にしたら意味ないんじゃないですか」や「何故、実名式なんですか」といった質問が実名で入ってくるなんてことが起きました。
でも、サイボウズさんの言葉を借りれば、「説明責任と質問責任」の両方があるんです。「会社」なんてものは存在しなくて、全てのやり取りは社員対社員。社長だって一社員で、新しく入ってきた人も一社員です。説明する側は当然ですが常に実名です。であれば、質問責任を負う側も実名でなくてはならない。
そして、無記名だと必ずモラルハザードが起きます。ですから、絶対にモラルハザードを起こさずに自分の発言に対してはしっかりと責任を持つことは文化として徹底させています。
また、行動指針であるセルソース思考にある「自責思考、自分ならどうする」を徹底するという意味でも、無記名は選択肢にはなかったですね。モラルハザードが起きると、大事な意見を持っている人が「ここに言っても無駄だな」とコメントを書かなくなり、良くないコメントする人が増えてきます。
そういう意味でも、絶対実名の方がいいと思います。そのためにも、とにかく「絶対に信じてください。僕しかこのデータは見られません。セキュリティは担保しますから」と伝え続けました。
質問者:Q&Aについて回答をしていくと、社員から「お客様のような意見」が上がってくることがあるのですが、回答する時に意識されていることはありますか?
細田:例えば、「これがこうなってるのはおかしい。直すべき」といったような、バイアスが強くかかっている質問の場合は、「課題設定にバイアスが掛かっています。もっと俯瞰的な視点を持ってください」と返すなど、厳しめの回答をしています。
周りからは厳しすぎるんじゃないですかと言われますし、これが合っているかどうかはわかりませんが、説明責任・質問責任の考え方を貫くべく、バイアスがかかって相手に失礼になるようなコメントをする人に対してはちゃんと意見を言います。
133人全員が見てるので、「ああいう姿勢なんだ、やっぱり経営層はちゃんとしてるなぁ」と思わせる意味でも、かなりストレートに答えるように意識していますね。
質問者:人事の皆様が主導して高い回答率と納得感を引き出されている印象を受けましたが、受け手側から「これって強制だよね、ここまでやる?」といったような意見が生まれることはありますか?
細田:頻度高く回答を依頼しているので、一部そういった意見は発生してると思います。ただ、「母集団がちゃんと定義できないと分析が出来ません。つまり、あなたが回答しないことが隣の人の迷惑になります」と利他の精神を発生させるようなアプローチで依頼しているので、大きなハレーションは起きていないと思っています。
質問者:従業員の皆様が、御社の行動規範を常に意識していると感じられるようなエピソードがありましたら教えてください。
細田:実は去年の12月に全部作り替えたので、まだ浸透フェーズです。なので、今は毎月「全社ラジオ」と呼ばれるものを配信しています。7ヶ月ほどかけて、僕と社長が2人でセルソース思考を3つずつ、どういう思いを込めて設定したのかを紹介しています。
通勤途中に聞いてもらうように促しているのですが、その結果として変わってきたと感じるところはありますし、ラジオの評判自体も良かったのですが、そうした変化が世に現れているかどうかはまだわかりません。ただ、みんながそれを受け入れる土壌自体は作れているかと思います。
平木:ありがとうございます。では最後に皆さんにメッセージをお願いいたします。
細田:私自身、まだWevoxを導入して7ヶ月目ほどでして、試行錯誤しながらやっているところです。そんな状態ではありますが、皆さんの参考になるようなお話ができていたら幸いです。私たちは敵でも何でもなく、仲間でしかなく、全員が手を繋いで取り組んでいけばいいと心の底から思っています。このTeamwork Sessionを通じて、輪が紡がれていること自体も素晴らしいと思いますし、私もいろんな方と繋がって研鑽を深めていけることを願っています。
今日に終わらずに、いろんな形でお会いできたら嬉しいですし、イベントなどでお会いした時にはぜひお声掛けください。人の力、Wevoxの力で、日本だけでなく世界を良くしていきたいなと思っています。これからもよろしくお願いします。
(編集部コメント)
スコアとの向き合い方について深く考え、職場の人たちがどう受け止めているかを考えながら、毅然と取り組みを進める細田さんの姿勢が印象的でした。自社でも真似ができそうな取り組みがあればぜひ参考にしてみてください!







