「自走する組織を生むために」JTグループの組織開発チームが本気で取り組む支援活動

「自走する組織を生むために」JTグループの組織開発チームが本気で取り組む支援活動

「個人と組織」、「個人と仕事」などとの繋がりを示すエンゲージメント。近年経営指標としても注目を集めるエンゲージメントは、1つの決まった形があるわけではなく、10の組織があれば10通りの形が存在します。このシリーズではエンゲージメントサーベイ「Wevox」と共に、組織づくりを行う企業のエンゲージメントストーリーを届けていきます。

今回はご紹介するのは、JTグループ全体の組織づくりを支援する、株式会社JTビジネスコム人事グループ組織開発チームのストーリーです。グループ内の組織づくり支援をミッションとする同チームでは、社内イントラでの支援サイト運用や、組織ごとの悩みに即したソリューション提供など精力的に活動しています。「各組織が自らの意志と行動で組織づくりを行う」ことを目指す同チームの3人に、これまでの取り組みや組織の変化などを語っていただきました。

主体性を生むための選択制のサーベイ

-組織開発チームのみなさんは、JTグループ全体の組織づくり支援を積極的に行っています。みなさんの活動事例が、特に大手企業の組織づくりの参考となるのではないかと思います。

梶山:ありがとうございます。私たちの知見が少しでもご参考になればうれしいです。

ーでは、まずは組織開発チームがどういうチームなのか、教えてください。

梶山:はい、組織開発チームはJTビジネスコムの人事グループに所属するチームで、JTグループ全体において、各組織に応じた、組織づくりの支援を担っています。

グループ全社の各組織から寄せられた相談やお悩みに対して、カスタムメイドで課題を可視化したり、組織づくりに関わるワークの紹介やファシリテーションをしたりする役割を担っています。社内イントラで組織づくりに特化した支援サイトを設けて運営を行っており、社内啓発にも力を入れています。

秦:昨年まで、私たちのチームはJT人事部に属しており、JTグループ全体におけるサーベイの仕組みを変えていく取り組みも行ってきました。サーベイの事務局機能は、これまで同様にJT人事部が担っていますが、昨年までは各組織に対する支援活動と並行して、力を入れて取り組んでいましたね。

植村:サーベイの設計はすごく工夫していて、おそらくあまり例のない取り組みになっています。なぜ、どう、サーベイの仕組みを変えたかについても、紹介しますね。

-では、JTグループ全体のサーベイをどう変えていったか、そして現在みなさんが行っている支援活動について。この2つを詳しくお聞きしたいと思います。まずは、サーベイの変更について教えていただきたいのですが、どのように仕組みを変えたのでしょうか?

梶山:2019年にサーベイの方法を大きく変え、現在の形になっています。2019年までは、JTグループ全社一律に同タイミングで同じEES(従業員意識調査)を実施していました。ただ、2万人以上の社員が一斉に回答するので、分析や結果のフィードバックまでに4カ月ほどかかるという課題を抱えていました。

また、働き方や組織に対する価値観が多様化するに伴い、同一の指標だけで組織状態を把握することが難しくなっていたのです。

-それで、サーベイの仕組みを変えようと。

梶山:そうなんです。まずは毎年実施していた全社一律のサーベイの頻度を3年に一度にすることとしました。そして、これとは別に各組織が自分たちでサーベイツールを選び、組織長が実施頻度やタイミングも決められるようにしよう、という形にしたのです。

植村:そこで、私たちはサーベイツールのラインナップを準備することになりました。最終的にラインナップは6種類のツールに絞られ、その中の1つにWevoxがあります。

ーなるほど。選択制にしたということですね。確かに、珍しいですね。

梶山:JTグループと一言で言っても、たばこ事業や医薬事業、加工食品事業など様々な領域の組織があります。各組織にふさわしいサーベイを実施できるようにしたい、という考えが根底にはあります。

植村:それから、組織づくりは、やはりそこに所属する人たち、特に組織長が中心となって行ってほしいという思いもあるんです。そのために、「サーベイを何にするか、いつ実施して、結果をどう活かすか」といったことを各組織で考えてもらいたい、という思いもあります。

-各組織の主体性を育むという狙いもあるのですね。サーベイをしない、という選択肢もあるのですか?

植村:はい、あります。それでも、初年度から全体の80%に近い組織がサーベイを実施しています。任意でその割合ですので、みなさんが組織づくりに高い関心や意欲を持って取り組んでいる表れではないでしょうか。

-すばらしいですね。

梶山:こうしたサーベイの仕組みを変える動きが2019年から2020年にかけてあり、一段落したところで、JTグループの間接業務を行うJTビジネスコムの人事グループに機能移管されることになりました。サーベイ運用はJT人事部が担い、私たちはグループ全社の組織づくり支援に専念しています。

具体的なアクションを生み出す支援サイト

ーでは、続いて支援活動について伺っていきます。具体的に、どのような支援を行っているのでしょうか?

秦:まず、一番大きいのが冒頭に触れた組織支援のための専用サイトです。このサイトでは、私たち組織開発チームへの相談申し込みや、様々な組織づくり支援のメニューを閲覧できます。

植村:他にも、グループ内の組織づくりの事例を紹介する記事や有識者にご登壇いただいて、組織づくりに係るtipsをお話してもらう記事コンテンツなどを揃えています。

-すごい数のコンテンツがありますね。ここを見ているだけでも、いろいろなことが学べられそうです。

梶山:このサイト運用は2018年からスタートしています。最初は組織長クラスが限定的に見られるものだったのですが、試行錯誤を続け、現在では社内イントラにアクセスできる全社員が閲覧できるようになっています。

植村:全体の設計としては、Why、What、Howがしっかりと伝わることを心がけています。Whyの部分は「なぜ、組織づくりが大切なのか」を、有識者インタビューのコンテンツなどを通して伝えています。

Whatの部分では、私たち組織開発チームがどのような支援をするのか、他の組織がどのような取り組みをしているかを事例記事で伝える。そして、Howの部分では具体的な取り組みの方法を支援メニューという形で掲載しています。

ーなるほど。どのような相談が来るのでしょうか?

秦:ざっくりとした課題感から相談がはじまる場合もありますし、「支援メニューに書いてあるこのワークショップをやってみたいのですが…」という具体的な相談もあります。

植村:ざっくりとした課題感からでも、サイトを参考に具体的なアクションに結びつけやすくはなっています。組織づくりの相談は抽象的な話になりやすいですが、この支援サイトのおかげで行動を伴った話にしやすいですね。

梶山:このサイトの認知度向上とともに、組織開発に係る取り組みの裾野が徐々に広がり、2019年度は10件ほどだった相談件数が、今年度は半年ですでに大小合わせて約60件の問い合わせを受けています。

-すごい伸びですね!

秦:大事にしているのが、コンテンツを作るのと同時に、しっかりと社内に発信していくことです。社内向けのSNSがあるのですが、そこで週2回、サイトコンテンツ更新の度に「新しい記事が掲載されました」ということを発信しています。

そうやってコツコツと続けることで、そのタイミングでは読まれなかったとしても、いざ困りごとが発生したときに「そういえば、支援サイトで似たような悩みの事例記事が投稿されていたな」とふと思い出してくれるときもあるはずです。

植村:実際、事例記事に感化され、相談してくれる組織は多いです。事例記事は、私たちが行った支援の内容だけでなく、組織長のコメントもしっかり載せるようにしています。そうすることで、「他の組織長はこれだけ力を入れているんだ、自分たちも頑張ろう」という意欲を持ってほしいのです。

組織課題のほとんどは正解のない「適応課題」

ー支援をする中で、組織の変化を感じる瞬間はありますか?

植村:とある組織長の方が、組織づくりに対して強い当事者意識を持ってくれるようになった瞬間はすごく覚えています。というのも、その組織長から最初に相談をいただいた際は、「みなさん、組織づくりのプロなんだからおまかせしていればいいんですよね?」というスタンスを持っていました。

秦:ワークショップをこちらにまかせて、自分は参加しないこともあったんです。その組織長には打ち合わせの度に、「それではいつまでも組織は変わらない。組織長が主体的に動かないと意味がありません」ということを伝えていました。そして、一度ワークショップでファシリテーションを体験していただいたんです。

すると、そのワークショップが終わった後で組織長から、「みなさんが、言っていたことがわかりました。自分が現場に立って、組織を変える動きをしないといけませんね」ということを言っていただいたんです。

植村:こういう変化こそ、私たちが願っているものです。私たちは支援をする役割ですが、話し合いや取り組みはその組織の当事者たちで行わなければ意味がありませんからね。

ー大きな変化ですね。

秦:組織長やリーダー層の方が組織課題を「技術的問題」つまり、どこかに正解のある解決策だと認識していることがあります。だから、「組織開発チームなら答えを知っているだろう」と相談をしてくる。でも、組織課題のほとんどは正解がない、「適応課題」と言われるものです。適応課題で大切なのは、当事者同士で話し合いをし、みんなが納得のいく解を見つけていくことです。

植村:そういう意味で、先ほどお話しした組織長は組織の課題を「技術的問題」ではなく「適応課題」だと捉えられるように変化したのだと思います。

-皆さまが組織に伴走することで、課題の捉え方を変えられるケースもあるのですね。

梶山:そうですね。やはり、メンバーの顔を見ながら対話をすることで得られる気付きは多いです。みなさんに、そうした機会を提供していくのが私たちの役目ですし、そのために支援サイトをより充実させていきたいですね。

ー支援を行うには、組織開発の知見が必要かとは思いますがどのように学んでいますか?

植村:これまでいろいろな種類の研修やセミナーを受けてきましたし、本なども読んで、3人で情報交換したりしています。あとは、最近Wevoxがスタートしたエンゲージメントや組織開発について学べるオンラインアカデミー「Engagement Run!」に3人とも参加しています。

梶山:Engagement Run!はすぐに使えるワークや知識を得られる点が、これまでの研修やセミナーとの大きな違いですね。まさに、実践型のアカデミーで、自分たちの活動ともリンクしているので、とても助かっています。

秦:コロナ禍の中で、学べる場が減ってきています。オンラインで受けられるEngagement Run!では毎月いろいろな内容のクラス(授業)があり、毎回期待以上の内容なので貴重な場として活用させていただいています。

-組織開発に対するみなさんの本気度合いが伝わってきます。みなさんのような存在がいることが、JTグループの強みの1つでもあると感じています。最後に、これからの展望を教えてください。

梶山:最終的には私たちのようなチームが存在しなくても、各組織が自走して取り組んでくれることがゴールだと考えています。とはいえ、そこにたどり着くにはまだまだ長い道のりです。簡単には変わらない、という前提のもとで、コツコツとノウハウや支援メニューを充実させていき、粘り強い活動を行っていきたいと思います。

植村:これまで、組織開発チームは「研修屋さん」と見られることが多かったのも事実です。それが、支援サイトのリニューアルや各組織への支援で見られ方が変わってきて、いろいろな組織の変化が生まれるようになってきました。これからは、単発的な支援ではなく、中長期的に伴走しながら支援する形が増えていくように、引き続き今の取り組みに注力していきたいですね。

秦:植村が言うように、中長期的な支援が増えていくと思いますが、その難しさも同時に発生すると思います。時には、組織状態が悪くなっていくケースも出てくるでしょうし、そうした際にどのような支援ができるかはまだまだ知見として溜めていかなければいけません。Engagement Run!での学びも含め、組織開発の支援者としてどんどんレベルアップしていきたいです。

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