全国各地で働く4000人の心を動かす!KDDI Sonic-Falcon人事部の6つのエンゲージメント施策 【Teamwork Sessionレポート】

全国各地で働く4000人の心を動かす!KDDI Sonic-Falcon人事部の6つのエンゲージメント施策 【Teamwork Sessionレポート】

KDDI Sonic-Falcon株式会社
根井 裕之氏
根井 裕之氏
KDDI Sonic-Falcon株式会社
人事部

2012年にKDDIへ入社し、営業や販売促進部でのイベント企画などを経験。その後、会社の設立と同時に立ち上げメンバーとして人事部に参画した。千葉県在住で、趣味は天体観測と、業務での活用がきっかけとなった動画編集。一種類だけ作れるラテアートを特技としている。

橋本 さおり氏
橋本 さおり氏
KDDI Sonic-Falcon株式会社
人事部

料金回収の督促業務からキャリアを始め、バックオフィス業務や顧客体験価値向上の業務を経て、2022年の会社設立時に人事部へ異動。現在は人事制度の整備や組織力向上を担う。大阪府出身で、趣味は一人での温泉旅行。休日に長時間寝ることが特技であり、ストレス解消法でもある。

全国の拠点で約4000名の社員が勤務し、帰属意識に課題があったKDDI Sonic-Falcon株式会社。同社は「人財が全て」との考えのもと、組織の一体感醸成に取り組んできました。

組織状態の可視化を目的にエンゲージメントサーベイ「Wevox」を導入し、見えた課題に対して「支援」「人間関係」「承認」の3要素に注力。全社員対象の1on1や心理的安全性研修、感謝を伝え合うポイント制度、経営層の現場訪問など、多角的な施策を展開しました。「対面」「実態」「継続」を重視したこれらの取り組みにより、設立から約3年で組織や共に働く人たち、あるいは仕事にエンゲージメントを感じる人を着実に増やしてきました。

本レポートでは、エンゲージメントと真摯に向き合い、業績向上を目指す同社の取り組みについて、人事部の根井様、橋本様にお話しいただいたTeam Work Sessionの様子をお届けします。

「人財が全て」を掲げるKDDI Sonic-Falconとは?

根井: 皆さん、こんにちは。KDDI Sonic-Falcon、人事部の根井と申します。

非常に多くの方にご参加いただいていると伺い、実は社内外の知人からも「セミナーをやるんだね」とスクリーンショットが送られてきたりして、とても緊張しています。しかし、このような場ではリラックスしてお話しすることが大切だと思いますので、精一杯頑張ります。弊社の取り組みをありのまま、飾らずにお伝えすることが重要だと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

橋本: 人事部の橋本と申します。よろしくお願いします。まずは、弊社の紹介をさせていただきます。

弊社は、KDDI本体から個人向けの営業と販売の機能を切り出す形で、2021年12月に設立されました。そして翌年2022年6月から、KDDIのサービスを提案・販売するプロ集団として事業を開始しています。

社長の小田は、営業畑で成果を積み重ねてきた、まさに営業のプロフェッショナルです。販売や営業現場の苦労、大変さを誰よりも理解しているため、社員に対する思いが人一倍強い経営者です。「お客様との繋がりを大切に、一番身近に感じてもらえる、頼れる存在であること」を目指しています。同時に、KDDIグループの中でも特に地域に密着した会社として、地域での就業を希望する優秀な人財の活躍の場を広げていくことを目指して運営しております。

事業内容としましては、店舗販売支援事業と、au PAY取扱店開拓事業の二つがございます。社員数は約4000名で、営業部隊は沖縄を除く全国に展開しており、地域に密着した営業活動が行える体制を整えています。

橋本: また、サステナビリティの取り組みとして、SDGsの目標達成に貢献し、全ての人にとってより良い未来の実現を目指しております。

健康経営の取り組みとしては、経済産業省及び日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に初めて認定されました。事業開始当初から月1回の1on1や社内ウォーキングイベントなど、継続的な取り組みが評価された結果です。社員が健康で働き続けられる環境を整えることは最も重要なことだと考えており、今後も一層力を入れて取り組んでまいります。

橋本: 弊社のスローガンは「最大の機動力で最高の営業力を」です。これは社員から募集して決定しました。私たち販売・営業のプロ集団が自覚を持ち、最高のパフォーマンスを発揮してお客様に喜んでいただきたい、という思いが込められています。

感覚だけに頼らない。エンゲージメントサーベイがもたらした確かな手応え

根井: 続いて、エンゲージメントサーベイとして「Wevox」を弊社がなぜ取り入れることになったのか、その導入背景と目的からお話しします。

根井: 弊社は「人財が全て」と考えている会社です。と申しますのも、自社で開発した商品を販売しているわけではなく、利益の源泉は通信商材を販売する「人」、つまり社員だからです。何よりもまず人財に重きを置いており、社員が心から意欲を持ち、長く働き続けたいと思える会社にしていきたいと考えています。

そのために必要なものが「エンゲージメント」ではないかと考え、導入に至りました。エンゲージメントが高い組織は、社員の意欲や繋がりが深まり、組織のパフォーマンスやお客様の満足度にも直結すると考えています。

このエンゲージメントサーベイをどのように活用するのか、という目的の部分ですが、まずは数字のデータとして評価指標を設定し、進捗を可視化することです。営業部門には実績という確立された数値指標がありますが、私たち人事部には離職率や採用数といったものはあっても、組織力のような部分を測る定量的な指標があまりありません。定性的な指標ばかりでは、どうしても推測の域を出ないと感じていました。そこで、エンゲージメントを数値化し、進捗を可視化するために導入を決めました。

ただし、この数値データを社員に展開して、単に低い項目を改善するよう現場に指示するためのものではありません。あくまでも、私たち人事部が今後の取り組みの改善策などを考えるための基礎資料として、このデータを活用しています。

では、エンゲージメントサーベイを導入して3年間で、スコアがどのように変化していったかをご説明します。

根井:まず、直近の実績です。今週の初めまでサーベイを実施しており、その結果、スコアは75となりました。右の棒グラフを見ていただくと、徐々にスコアが向上しているのがお分かりいただけるかと思います。

根井:つづいて、各キードライバーの数値の推移をまとめたものです。最新のデータはまだ反映できていませんが、全てのキードライバーで上昇傾向にあることが見て取れます。総合スコアで見ますと、導入した2022年11月には68だったスコアが、2025年5月には74、そして先ほどの8月の結果で75まで上がりました。結果として、実質7ポイントほど上昇させることができました。

弱点克服より「長所を伸ばす」。エンゲージメント施策の核心

根井: では、この成長を実現するために、どのような施策に取り組んできたのかをここから説明します。

まず施策の方向性として、9つあるキードライバーの中から、私たちは「支援」「人間関係」「承認」の3つにフォーカスしました。この3つを選んだ理由は二つあります。

根井: 一つ目は、弊社の長所を伸ばしていこうと考えたからです。特に「支援」と「人間関係」は元々高いスコアでした。一般的に、日本人は短所を克服しようと考える傾向があるかと思いますが、人は苦手を克服するよりも長所を伸ばす方が、取り組む側としては着手しやすいのではないでしょうか。例えば、受験勉強で苦手科目を学習するのは気が進まなくても、得意科目なら進んで取り組めた、という経験に近いかもしれません。長所を伸ばすことで、社員全員が取り組みやすくなるようにしたいと考えました。

二つ目は、この3つの項目を伸ばすことが、他のキードライバー、つまり全体の向上に繋がるのではないかと考えたからです。例えば、「支援」をすることで自己成長が促されたり、やりがいや裁量を持って職務を全うできたりと、他の項目を押し上げる効果が期待できます。逆に、他の項目、例えば「職務」だけを上げようとすれば、社員がやりたい仕事に裁量を持たせることで簡単に上がるかもしれません。しかし、それだけでは他の項目は向上しませんし、会社としてはマイナスに働いてしまう可能性もあります。そのため、私たちはこの3項目にフォーカスして取り組みを進めてきました。

具体的に取り組んだ施策の中から、6つをピックアップしてご紹介します。「1on1」「心理的安全性」「ポイント制度」「FALCOMMU(動画ポータルサイト)」「トップからの発信」、そして「社員意見の集約」です。一つずつ説明していきます。

1. 1on1

根井: まず、1on1です。これは今、世の中的にも広く行われているかと思います。社員を育成していく上で最も重要な施策だと考えており、弊社では組織の全ての階層の人が1on1を受けられる体制を構築しています。管理職であるライン長、その下にいる営業担当、さらにその下で店頭で働く販売スタッフ、という階層がありますが、ライン長が営業担当と、営業担当が販売スタッフと、という形で実施しています。

根井: 1on1の導入と定着は、3つのフェーズで進めました。

フェーズ1では、「Kakeai」という1on1支援システムを導入し、まずは実施率の定着を目指しました。「まずはやってみてください、慣れてください」というところからのスタートです。

フェーズ2では、クオリティの向上と効果の認識を目標としました。実施率をさらに絶対的なものにするため、1on1の実施率を会社の業績KPIに設定し、実施することが当たり前の文化を作ったのです。

また、「Kakeai」のシステム上で交わされたメモの内容を人事部で確認し、次に繋がるような対話ができているか、点と点で終わらず線になるような記録になっているかなどをチェックしました。さらに、私と橋本が実際に1on1を行っている様子を動画で公開しました。これは橋本には内緒で撮影させていただき、もちろん後から承諾を得て公開しましたが、これが社内で大きな反響を呼び、皆さんが1on1に興味を持つきっかけになったと感じています。

フェーズ3では、組織のミッションと自己成長の達成支援に取り組んでいます。ここでは「言語化」と「メモの定着」を意識しています。例えば、部下から相談があった際に、上司がすぐに答えを示すのではなく、「どうすれば解決できるか」を部下自身の言葉で言語化してもらうのです。これにより、社員自身の成長にも繋がると考えています。また、より精度の高いメモを記録することも徹底しており、現在はこのフェーズを進めている段階です。

2. 心理的安全性

根井: 次に、心理的安全性です。これも最近よく耳にする言葉かと思いますが、心理的安全性とは、単なる仲良し集団のことではありません。仕事において時には意見が衝突しても、それが会社を良くするための議論として成立する環境こそが、心理的安全性の高い状態です。この正しい理解を社員全員に持ってもらうため、研修やワークショップを実施し、共通認識を育んできました。

ただ、研修だけでは一過性のものに終わってしまうため、「NGワード」と「推奨ワード」を設定しました。年間を通してこれらの言葉を意識してもらうことで、心理的安全性を常に意識する文化を醸成しています。

こうした取り組みの結果、「心理的安全性アワード2025」において、ゴールドリング賞を受賞することができました。私たちの取り組みが外部から評価されたことを社内で共有し、全社的な意識の向上に繋がったのではないかと考えています。

3. ポイント制度

根井: 続いて、ポイント制度です。これは、社員の業務外での貢献などに対して、感謝の気持ちをポイントとメッセージを添えて送り合う制度です。付与されたポイントは、商品などに交換することができます。ポイントを送る際には、必ず感謝のメッセージを添えることを必須にしています。

送るポイント自体は10ポイントなど、ごくわずかなものですが、この感謝のメッセージが互いにとって嬉しいものであったり、普段はなかなか言えない気持ちを伝えるきっかけになったりしています。この制度を通じて、社内のコミュニケーションも活性化してきたと感じています。

4. FALCOMMU(動画ポータルサイト)

根井: こちらは、社内限定のYouTubeのような動画ポータルサイト「FALCOMMU」を立ち上げた取り組みです。新商品の説明といった業務的な内容はもちろんですが、それ以上に社員のプライベートな一面を紹介するような、ユーモアのある内容の動画も配信しています。これにより、社員同士のコミュニケーションが非常に深まっていると感じています。

弊社の社員の多くは、各地の家電量販店などの店頭で働いており、事務所に来る機会が少ないため、会社への帰属意識が生まれにくいという課題がありました。そこで、少しでも会社との接点を持ってもらうためにこのサイトを始めました。動画に登場したある関東エリアの社員は、今では全国の社員が知る存在になり、「ああ、あの人ね」と認知されるようになりました。非常に良いコミュニケーションツールになっていると感じています。

5. トップからの発信

根井: 次に、経営トップからの発信です。社長は毎年、全国を横断する座談会を実施しています。弊社には全国に100以上のグループがありますが、社長が実際に全ての拠点に足を運び、社員の声を聞いているのです。その場で、これまでにご紹介したような組織力向上のための取り組みについても説明してもらっています。

この座談会で社員から直接聞いた意見が、実際に制度化された例もあります。こうした経験が、社員のエンゲージメント向上に大きく貢献しているのではないでしょうか。また、副社長には、半期に一度の経営方針発表会の中で、これらの取り組みについて話をしていただいています。この発表会には全国のライン長が一堂に会するため、組織の要であるライン長に対して意識を醸成するという狙いがあります。

6. 社員意見の集約

根井: 最後に、社員意見の集約です。これは、私自身が全国各地で実施される研修やイベントに参加し、現場の社員の皆さんと直接コミュニケーションを取ることで、様々な意見をいただいているという取り組みです。やはり、直接対面して話すことで、普段は言えないような本音も話してくれるのではないかと考えています。

そして、これらの施策を連動させることも非常に重要だと考えています。例えば現在、1on1と心理的安全性を組み合わせ、「1on1で心理的安全性を高めるにはどうすれば良いか」といったテーマで、それぞれの取り組みを支援してくださった会社様にご協力いただきながら、取り組みを推進しています。各施策を独立させず、連携させることが重要です。

打ち上げ花火で終わらせない。「対面」「実態」「継続」という譲れない3つのこだわり

橋本: 最後に、施策を成功させるための私たちのこだわりを3点お話しします。「対面」「実態」「継続」です。

橋本: まず「対面」ですが、先ほども少し触れましたが、リアルなコミュニケーションだからこそ伝わり、そして伝えられることがあると考えています。実際に社長が現場に赴いて話を聞くだけでも、社員のエンゲージメントは向上します。対面だからこそ言えることがあると信じ、ここにこだわっています。

次に「実態」へのこだわりです。本部の施策が、現場の実態と乖離した自己満足なものになってしまうケースは少なくないと考えています。私自身、営業時代にそういった経験をして非常に嫌な思いをしたので、絶対に同じことはしたくないと思っているんです。本当の意見はどうなのか、現場の実態はどうなのかを、先ほどの「対面」の機会を通じて把握しながら、施策を進めています。

最後に「継続」へのこだわりです。施策もその効果も、一過性で終わらせることはありません。途中でトーンダウンすることなく、最後までやり切ることを徹底しています。事前に練り上げた施策は、成功するという自信を持っています。途中で課題が見つかったとしても、そこで諦めるのではなく、最後までやり抜くことで、施策は成功に繋がっていくのだと考えています。

プレゼンテーションは以上となります。ご清聴ありがとうございました。


質疑応答パート

Q. 心理的安全性を、研修やNGワード設定だけで形骸化させず、全社に浸透させるために、他にどのような工夫をされましたか?

根井:おっしゃる通り、それだけではなかなか浸透しないと考えています。そのため、常に心理的安全性に触れる機会を作ることが必要です。特に、組織の上に立つライン長や経営層の役割が重要だと考えています。弊社ではライン長向けの研修や情報発信の場が数多くありますが、その全ての機会で、必ず心理的安全性を意識してもらえるような内容を盛り込んでいます。

例えば、毎年ライン長向けに対面で実施している1on1研修では、必ず「心理的安全性を高める」というテーマを扱っています。社長が全国を回る座談会でも、社員からの質問は営業実績のことよりも、職場環境やエンゲージメントに関する内容が多く、自然とそうした対話が生まれる場になっています。

Q. ここまでの取り組みをされていて、社内の雰囲気は実際どうなのでしょうか。社員の皆さんは「もう十分良い会社だ」と感じているのか、それとも「まだ足りない」と感じているのでしょうか。

橋本: スコアを高めることだけが本質ではないと考えています。弊社は営業会社ですので、販売実績によって社内の雰囲気やエンゲージメントスコアが左右される部分はあります。実績が良い時は雰囲気も良いですが、その状況が常に続くわけではありません。苦しい時や状況が悪い時に、どう組織運営の舵を取り、スタッフ一人ひとりに丁寧に向き合えるかが重要です。

そのためには、ライン長のマネジメントスキルを今後も磨き続ける必要がありますし、時代の変化に合わせてコミュニケーションの取り方も変えていかなければなりません。現状に安心することなく、些細な変化を見逃さないようアンテナを張り、何か問題が起きた時にすぐ対処できるよう、取り組みを継続していく必要があると考えています。

Q. エンゲージメントが向上した先に何があるのか、その上位目標との紐づけはどのように説明されていますか?

橋本: エンゲージメント向上の先にあるものについてですが、弊社の場合は「売上」と明確に紐づけています。先ほど、実績が良い時と悪い時で雰囲気が変わるという話をしましたが、やはり売上が上がらない時にどう改善していくかを考えると、それは会社の組織風土や、人と人との対話に行き着きます。人間力も含めて組織を強くしていかなければならないという会社の指針がありますので、エンゲージメントの向上は、最終的に事業の成果に繋がるものとして位置づけています。

Q. 心理的安全性の取り組みで設定された「NGワード」「推奨ワード」はどのように選定されたのでしょうか?また、そのワードは定期的に見直されるのでしょうか?

根井: ワードの選定については、毎年ライン長向け研修をお願いしている全研プラネット様と協議しながら決めています。その中で印象的だった言葉や、社員が意識しやすく、かつ効果的だと考えられる言葉を選んでいます。具体例を一つ挙げると、「why(なぜ?)」という言葉をNGワードに設定しています。例えば部下がミスをした時に「なぜこうなったの?」と聞くと、相手を責めているように聞こえてしまいがちです。

そうではなく、「どこでミスをしたの?」「いつミスをしたの?」というように、5W1Hの「why」以外の言葉を使うことで、相手は「自分自身が責められている」のではなく、「ミスという事象について問われている」と心理的に感じやすくなるためです。

この取り組みは今年から始めたものなので、今後は年度ごとに内容を見直していきたいと考えています。

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