
「カルチャー変革には“非公式な場”が重要だ」——みずほリース中村社長の組織論とミドル層の実践

中期経営計画2025で「リース会社から大きな飛躍を遂げお客さまと共に未来を共創するプラットフォームカンパニーへ」を掲げ、社員から提案された「おもろフェス」をはじめとした組織カルチャーの変革を経営としてバックアップしている。

新規事業開発に携わりながら、おもろフェス第2期の運営メンバーを務める。

おもろフェス第2期の運営メンバーとして、他社との交流イベントを担当。
みずほリースが2024年10月にスタートさせた、社員主導のカルチャー変革活動「おもろフェス」。他社との交流イベント、部署を自慢するプレゼン大会、シャッフルランチなど、社員が自ら企画して動かす、長期的な活動です。金融という、リスクをいかに小さくするかを突き詰める世界にある会社が、なぜ「おもろい」を掲げるのか。社内からも、はじめは戸惑いの声が上がりました。
2024年10月からの第1期、2025年10月からの第2期を経た今、社内の空気は明らかに変わりつつあると言います。応援する声が増え、「継続したほうがいい」という回答は約8割に。他社との交流イベントを3回重ね、思っていたよりもずっと「堅くない」自分たちを発見しました。
カルチャー変革は「非公式な場」でこそ動く。そう語る中村社長の組織論と、それを現場で形にしてきた2人の実践を伺いました。経営から見た景色と、現場でもがきながら進めた景色。その往復のなかに、トラディショナルな組織がカルチャーを変えていくときのリアリティがありました。
発端は、次世代リーダー層からの提案
— カルチャー変革を目的とした活動「おもろフェス」の狙いや背景を教えてください。
中村:まず、「おもろフェスをやるぞ」と私が言ったわけじゃないんです。2023年の第1四半期から第2四半期にかけて、次世代のリーダー層にグループディスカッションをしてもらいました。この会社にとって必要なこと、経営への提言を考えてほしい、と。
その前提として、みずほリースにはもっと幅広い事業に挑戦できるポテンシャルがあると思っていました。中期経営計画でも、目指すべき姿を「プラットフォームカンパニーになる」という言い方をしている。ただ、これまでのみずほリースは堅実で真面目、どちらかというと保守的で、前例のないことをやるのに時間がかかってしまう会社でもあった。

現代はテクノロジーの変化も地政学リスクもあって、3ヶ月に1回くらいは外部環境の認識を見直し、必要に応じて戦略や施策をアップデートしていかなければいけない時代です。正解があること、前例があることだけをやっていて、お取引先に価値貢献できる環境じゃないよね、と。むしろ正解のないこと、前例のないことをやっていくなかでこそ、自分たちのポテンシャルは活きるんじゃないかと思っていました。
そういう話をしているなかで、中堅クラスの社員から「自分たちのカルチャーを変えるために、社員主導のイベントをやってみたいです」という提案が出てきた。それが2024年10月からの第1期の活動に繋がりました。
笠原:あの活動は3ヶ月ほどかけてチームに分かれて議論し、最後に役員の前でプレゼンをするというものでした。「おもろフェス」は、名前も含めて、そのうちの一つの班から出てきた案なんです。
かといって、明日から急に「面白いことを考えよう」と言われても、そう簡単に動くものでもない。ひと言で言えば企業カルチャーを変えなければいけないよね、と。じゃあ具体的に何をするのか。掛け声だけで終わらせず、実際にアクションをしてもらうための施策の一つが、おもろフェスでした。
バックアップはする。何をするかは皆で決めてほしい
— いろいろな案があったなかで、おもろフェスをバックアップしようと決められたのはなぜでしょうか。
中村:自発性や自律性は、会社組織にとって非常に求められるものです。一方で、当時のみずほリースには十分でなかったし、恐らく社員も感じていたのではないか。それを自ら「自分たちでやりたい」と言い出したわけですから、バックアップするというのは自然な流れかなと思います。
会社として、経営として、ぜひバックアップはする。だけど何をやるか、どうやるかは皆さんで考えてくださいと。
— 「バックアップしてほしい」という声が出てきたこと自体にも、意味がありそうですね。
中村:気持ちはよくわかりました。新しいことをやろうとすると「本当に必要なのか」と感じる人がいるだろうな、というのは当時から想像できました。実際に始めてみたら、そういった声が社内から聞こえてきました。
そういう環境のなかでスタートしたので、バックアップしてくれというのもわかるし、しなければいけないというのも理解できていました。
他社と組んで、自分たちのカルチャーに気づく
— 第1期と第2期では、内容も変えたそうですね。
笠原:第1期はもっとカジュアルな内容で、LINEスタンプをつくってみようとか、デジタルを絡めたイベントが中心でした。数ヶ月かけてやるというコンセプト自体は変わりません。

第2期は、そこにもう少しビジネス要素を入れようと考えました。あわせて、第1期は自分たちのなかだけで完結していたので、第2期は外の人たちと一緒に物事を進めていく経験を、なるべく多くの社員にしてもらいたかった。
また、他社のカルチャーに触れることで、自社のカルチャーに対して、いつもと違う気づきがあるといいなというのも狙いとしてありました。
— 他社との交流イベントについて、実際にやってみての学びや気づきをお聞かせください。
笠原:最初は、「他社交流」というお題目はわかるけれど、何をしたらいいんだろう?というところからのスタートでした。
1回目は我々が何もわからないので、ほとんど受け身で、日本ペイントさんにお手本を見せていただいた。2回目はカゴメさんと、社員同士が交流するワークショップをやりましたが、企画はあくまでカゴメさんに主導していただいた。そして3回目は、企画も含めて我々が考えて、自分たちのオフィスにルネサンスさんに来ていただいて実施しました。そういうステップを踏みながら、運営メンバーも学び、成長していきました。
また、アトラエさんには全面的にバックアップしてもらい、全体企画や他社との繋がりづくりにおいて、助けていただきました。
齋藤:特に学びになったのは、イベントの中身よりも、参加者が参加しやすい空気感のつくり方でした。カゴメさんにもワーク実施の経験豊富な方がいらして、一緒に考えながらも、経験のなかから引っ張っていただいた部分がありました。
そうやって学んだことを持ち寄って、3回目は我々から「こういうイベントにしたい」と提案させていただいて形にできた。しかも「健康経営」という会社のテーマを一つ掲げてできたのは、本当によかったなと思っています。
笠原:わからないことも、もがいているうちにだんだん道が見えてくる。そういう経験は大事なんだな、というのが改めての気づきでした。メンバーが途中から「もう僕がやります」というマインドになっていってくれたのは、すごく嬉しいことでしたね。
齋藤:3社とも、現場で働く社員の方が「会社をよくしたい」という熱い思いを持ってエンゲージメント活動に取り組まれていて、人を巻き込んでいる。その姿は、参加したメンバーも感じていたと思いますし、我々運営側も非常に刺激を受けました。あまりみずほリースにはいないタイプの社員の方から刺激をいただけたな、と。
— 2026年5月には、半年以上かけた第2期の集大成となるイベントも開催されました。私も見学させていただきましたが、新オフィスの広いフロアに非常に多くの社員が集まって、すごい熱気でしたね。
齋藤:イベント企画の一つとして、アトラエさん、カゴメさんの方にご登壇いただいて、越境の価値についてお話しいただきました。みずほリースの関係者が話すことも大事ですが、社外の方に実際にその重要性や価値を語っていただけたのは大きかったと思います。ウェブで聞いていた方も多かったようですし、特に若手にとっては普段なかなか聞けない話だったはずです。視座を高めて、自分たちもそう動いてみたいと思ってくれる人が、1人でもいればいいなと。

あと、これはイベントでもルネサンスさんとのワークショップでも感じたんですが、社外から見たみずほリースがどう見えているかって、あまり聞く機会がなかったんですね。ルネサンスさんには事前に「我々は結構保守的で堅い人が多いので、イベントのときは盛り上げてください」とお願いしていたんです。ところが終わったあとに、「いや、びっくりしました。自由な発想でいろんなアイデアを出していて、全然堅い印象じゃなかったです」というフィードバックをいただいて。
変わってきている過程を見ていただいたのかもしれませんが、我々が思っている以上に、実はそんなに堅くないのかもしれないな、と。自分たちが思っているのと、外から見えているのは違うんだな、という発見がありました。
中村:新本社の階段のところに「共創アート」といって、アーティストの方に下絵を描いてもらって、そこに社員が参加して仕上げていくというのをやったんです。265人参加しました。内装をデザインしてくれた会社さんもびっくりしていましたね。他の会社でも同じようなことをやったけれど、こんなに来たことはなかった、と。
— イベントへの参加には積極的なタイプが多いんでしょうか。
中村:社交性がある人が多いんですかね。イベントへの参加率は本当に高いんですよ。クリスマスパーティーもすごく集まりましたし。自分たちのことをアクティブじゃないと思い込んでいるんだけど、実はアクティブなんだ。それは他社さんとの交流のなかで非常に感じました。
「暇そうでいいですね」から、応援の声へ
— 2年目のおもろフェスを終えての手応えは、いかがでしょうか。
中村:第1期の人たちは最初ということでいろんな苦労があったと思いますし、第2期は第2期で、それをどう広げるかが非常に難しかったのかなと思います。そのなかでいろんなメニューを揃えてもらいました。他社交流だけじゃなくて「部店自慢」といって、各部が自分たちをどうアピールするかを動画でつくってもらったりもしました。

おもろフェスの取り組みの一つであるシャッフルランチも参加者が増えています。意外と、いろんな人と知り合いたがっている人が多いんだな、と。みずほリースは今、中途採用が多く、近年は採用数の半分がキャリア採用の年もあります。そういう方にとっても、他の部署の人を知る、コミュニケーションを取るきっかけになる。
直近ではファミリーデーも実施して、ご家族を含めて140〜150人くらい来てくれました。家族の方が、社員がどんな場所でどんな感じで働いているのかわかるようになる取り組みです。
一体感が出るようなイベントを本当にいろいろやってもらっていて、感謝しかないですね。
— 多くの気づきを得ている活動ではありますが、カルチャー変革を進めていくうえで難しい部分もあるかと思います。
齋藤:現場目線で言うと、やっぱりまだ納得できていない人がいるのも事実だと思います。なんで今こういう活動をやっているのか腹落ちしない方。ぶっちゃけ、私も最初におもろフェスが始まったときは「これって何だろう」と思っていました。
ただ、中村社長がおもろフェスの重要性というより企業カルチャーの重要性について何度も発信してくださったことで、少しずつ自分のなかでも納得感が得られました。第1期に運営メンバーとして関わっている人が隣で動いている姿を見て、少しずつ理解できてきて、自分も共感して第2期をやらせていただいている。
まだ疑問に思っている方々を巻き込むには、継続が大事だと思っています。経営が重要性を発信し続ける。そして私のように共感した人間が、活動している姿を見せていく。それしかないかなと個人的には思っています。時間はかかることですが、自分の身の回りで1人でも共感する人やカルチャーについて考える人が増えたのであれば、今回取り組んだのは非常によかったなと。
笠原:今回のテーマは、他社と交流することに加えて、もう一つ、マジョリティ層をどうやって取り込むかでした。第1期はいわゆるアーリーアダプターというか、賑やかなことが好きな方を中心にわーっと盛り上がっていくという構図だったんです。その盛り上がりを周りで見ていた人たちに、「これは自分たちの会社の将来のために必要な取り組みなんだ」と思ってくれる人を1人でも増やせるか。
そのために、今回の運営メンバーは前回とは違う人になるべく手を挙げてもらいたかった。結果、新メンバーで40名近く。前回と合わせると、自分たちで予算を取って、自分たちで考えて、いろんな人と話しながら実現する経験をした人が、もう100人くらいにはなっています。
それから、第1期のときはこの取り組みに対して少し厳しいコメントもあったんですが、今回はそれが減りました。
今回は皆さん応援してくれて、現場で運営を担う若手も中堅もシニアもいましたけど、応援する雰囲気は明らかに変わったかなと思います。アンケートでも、形はどうあれ次回以降も継続したほうがいいという意見が8割ほどありました。

— そのうえで、今後の課題は。
笠原:とはいえ、2回くらいで社員の半分以上に伝わるかというと、そんなに簡単ではないんだろうなとも思っています。
我々のなかでは今「熱量」がキーワードになっていて。熱量を持った人をたくさん増やすというのは、ミドルマネジメントの重要なミッションの一つなのかなと。まず自分たちがそうならなきゃいけないですし、その輪を広げていく。そういう人が増えていく組織になれば、マジョリティ層の取り込みなんてあえて口にしなくても、徐々に広がっていくんじゃないか。
それが最終的には一番いい形だと思うんです。イベントがなくても自然に面白いことや新しいことに取り組んでいける。そうなると本当に強い組織になるんじゃないかなと、おぼろげながら思っています。
カルチャーを変えるのは、IQよりもEQ
— 中村社長は、ここまでのお話を聞いていかがですか。
中村:みずほリースには、いろんなポテンシャルがありますが、自分たちで自発的に動き出さないと正解はわからないし、価値創造もできません。ただ、従来はどちらかというと受け身になりがちな面もありました。そうした姿勢を変えることは、カルチャーを変えることと同じです。
カルチャーを変えるというのは、氷山理論じゃないですけど、3割の見えているところだけじゃなくて、7割の見えていないところを変えなきゃいけない。意識だけじゃなく、無意識のところも変えていく。それをIQ的な論理性だけで変えられるかというと、やっぱりEQが必要になってくる。齋藤君が言ったように、共感してもらうことがすごく重要になる。
共感してもらうためには、会社の正規のルートである縦の組織、縦の権限のなかで、社長が副社長に言って、副社長が常務に言って、そこから部長に……という伝わり方ではダメなんです。非公式なイベントでしか伝わらないことがある。おもろフェスは、そういう役割を担ってもらっているんじゃないかなと思います。組織が動くのは、IQだけじゃなくてEQがものすごく大きい。その重要性を、おもろフェスのメンバーが改めて気づかせてくれました。
— イベントでしか伝わらないもの、というのは?
中村:端的に言えば「人となり」ですよね。仕事だけではわからない部分っていっぱいある。飲んでもいいし飲まなくてもいいんですが、コミュニケーションのなかで趣味とか人生観とかを話すことで、「ああ、この人はこういう人なんだ」という理解が進む。
それがまた仕事のしやすさ、ものの頼み方、コワークの仕方に繋がってくる。何よりも、一緒に働いている人がどんな人なのかを好奇心を持って知るというのは、すごく重要なのかなと思いますね。
— 越境の価値も、そこに繋がりそうです。
中村:越境は、異質なものを知る機会ですよね。異質なものを知ることで、新結合じゃないですけど、掛け算で新しいイノベーティブなものが生まれてくる。同じ世界にいると、何もイノベーティブなものは生まれない。だからおもろフェスは、組織で楽しいことをただやっているんじゃなくて、事業そのものに、本当に未来に繋がってくる取り組みなんだ、と。その本質的な理解が、もっともっと必要だなと思っています。
組織の強さは、どこから来るのか
— 人となりを大切にする、好奇心を持って人を見るという考え方は、中村社長のなかでどう形成されていったのでしょうか。
中村:あえて言えば、高校のときのサッカーの経験でしょうか。一人ひとりの技量が必ずしも相手を上回っていたわけじゃないのに、絶対に負けないという気持ちで、格上と思われているところに勝ってしまう経験があって。なんでだろうなと自分なりに考えていました。
あとから考えると、やっぱりチームワークとか組織力なんですよね。今のサムライブルーもそうですが、個の力だけじゃなくて組織力もある。勝つか負けるかというところに、個人の力も組織力も効いてくる。それがすごくベースにあります。

もう一つは、みずほフィナンシャルグループにいたときの経験ですね。営業統括を担ったことがあり、傘下に部が30個くらいあったんです。どんな人が部長でリーダーシップをとって、どんなパフォーマンスを出しているのか。その頃、48チームで2ヶ月くらいかけて、フットサル大会をやったんです。
そういう非公式な場があると余計にわかるんですよ、いろんな組織の特性が。強い組織にもいろいろあるなと。管理統制が取れていると、まあ強くはなる。だけど、なんとなく社員が活き活きしていない。強くて、しかも構成メンバー一人ひとりが活き活きしている組織は、管理統制というよりはチームワークがよくて、リーダーシップもあって、ワイワイガヤガヤ言える組織だなと。組織を比較しながら勉強する機会があったな、というのはありますね。
— 目標や数字との向き合い方も、そこに関係してきそうです。
中村:私は昔から、目標達成に向けて全力を尽くすことは当然ですが、結果は環境要因にも左右されるものだと捉えています。何勝何敗かの世界のなかで、自分のやりたいことをやる。
ただ、組織運営者になってくると、そうは言っても勝たないといろいろなステークホルダーに影響してくるので、勝たせようと全力を尽くします。そのためには、この1年で儲かることと、2〜3年かかることと、4〜5年かかること。短期の列車、中期の列車、長期の列車をどう走らせてパイプラインマネジメントするかが重要になってきます。
— 役割を明確にする、と。
中村:そうです。それって、要は戦略があるかどうかなんですよね。戦略をちゃんとつくってアクションプランに落とせば、その人その人の役割分担が決まってくる。この人は今期の収益に貢献することを多くやる人、この人は今期はそんなに儲かる会社を担当しないかもしれないけれど、来期・来々期に必ず芽が出るものを担当する人、と。役割分担を明確にすることで、働く側の安心感や納得感も生まれる。
そうした安心感、納得感があったうえで、一人ひとりが活き活きと働き、力を発揮することが戦略実行においては必要不可欠です。だからこそ、おもろフェスのような取り組みも応援しますし、エンゲージメントなどの考え方も重要になってくる。そうやって、シンプルに繋がっていることなんだと捉えています。
AI時代に、「何のために働くのか」を問える会社へ
— 最後に、これからみずほリースをどのような会社にしていきたいか、展望をお聞かせください。
齋藤:面白そうだと思って自ら動いて、何でもチャレンジできる、行動できる。そんな組織になったら強いのかなと思います。まずは自分自身から、何事にも興味を持って、アンテナを高く、視座を高く、というのを意識していきたいです。
私自身、これからは自分だけじゃなくて、若手社員の背中を押してあげるようなことをやっていきたいなと。思いを持っていても、なかなか踏み出せない人も一定数いると思うんです。そういうところをしっかり感じ取りながら、関心があること、チャレンジしてみたいことがあれば背中を押せる。そんな先輩になっていきたいと思っています。
笠原:他社から見たときに「みずほリースって面白いことをやっているな」と思ってもらえる組織になるといいなと思っています。ビジネスでもいいし、こういうイベントでもいい。そう見えるためには、いろんな新しいチャレンジが必要です。
そのためには、好奇心を持って、解のないことを自分で考えて動いていく。結果として失敗することもあるでしょうけど、失敗が悪ではないというのは、相当現場に根付いてきている印象があります。あとは一歩踏み出して経験を積む。それをやり続けると、面白い会社になっていくんだろうなと思います。

中村:これからの組織を考えたときに、無視できないのがAIの存在です。
おそらく今後数年で定量的な仕事は、ほとんどAIがやってくれるようになるでしょう。あとはアイデア、人とのコミュニケーション、人を動かすこと、戦略立案。そういうものを人が中心になってやっていく。AIを使いこなしながら、人ならではの価値を発揮していくことが重要です。
アメリカの大手テック企業では、哲学者を顧問やアドバイザーとして入れて、どこまでAIがやるべきなのかを真剣に考え始めています。そのうち、AIと人との関わり方を専門的に考える役割が、より重要になるのではないかと思います。
そうした変化があるなかで、「何のために仕事をしているのか?」と問い、対話し、考え続けることはすごく大切なのかなと思います。
会社として、10年後くらいはファイナンスや事業投資を引き続き中心にやっているんだろうなと思いますが、20年後、30年後はもう読めない時代になっています。今のAIの変化の激しさを考えると、思っている以上にもっと変化しているはずです。そのなかで、どれだけ変わり続けられるか。そして、そうした変化を、「面白い」と思って動ける人が集まる会社になれるかどうかだと思います。
そういう会社を目指すうえで重要になってくるのは、「何のために働いているのか」をお互いに語り合えているかどうかです。人となりを知って、一人ひとりが活き活きと働ける。そういう会社であり続けることが、遠回りのようでいて一番大事なんです。








