
管理職を支援する新たな取り組みへの挑戦〜効果的なマネジメントのための実践事例〜【Teamwork Sessionレポート】

2019年に株式会社あおぞら銀行に中途入社し、キャリア採用業務を担当。2021年より現部署に配属され、人事制度の企画立案業務を担当。2022年に従業員エンゲージメントに関する社内プロジェクトを立ち上げ、2023年2月よりWevoxを全社導入し、現在も活動中。
Wevoxの活用事例を学び合うユーザー参加型イベント「Teamwork Session」。今回ご登壇いただくのは株式会社あおぞら銀行の武田 尚任さんです。Wevoxを「管理職のマネジメントツール」と位置付けている同社では、社員の負担を最小限に抑えた方法で活動を継続しています。今回は、活動支援の内容や実践事例について詳しくお話しいただきました。
本日のテーマは「管理職を支援する新たな取り組みへの挑戦〜効果的なマネジメントのための実践事例〜」です。どうぞよろしくお願いいたします。
東京・四谷に本社を構えるあおぞら銀行は、かつては日本債券信用銀行という名前で銀行業務を行っていました。2001年にあおぞら銀行という名前に変更して再スタートを切り、その後東証一部への再上場、公的資金の完済などを経て現在に至ります。最近(2024年5月)では、大和証券グループ本社と資本業務提携契約を締結したことが話題になりました。
国内に20の本支店と、海外に5つの拠点を持っており、従業員数は連結で約2,500人、銀行単体で約2,000人の規模となっています。Wevoxに関しては、銀行単体の約2,000人に対して毎月展開をしている状況です。

当社の利益の中心は法人向けの融資や投資のビジネスですが、この法人向けのビジネスは本店が中心です。その他の20拠点では共通業務として個人向けの金融商品の販売を、そして地方支店ではそれに加えて地域金融機関向けの金融法人営業を行っています。
銀行=支店で法人の営業もあれば個人の営業もあるといったイメージをもつ方もいるかもしれませんが、当社の場合はメガバンクや地方銀行とは異なるユニークなビジネスモデルを持っています。
個人向けのビジネスで言いますと、住宅ローンに関しては業務として取り扱いは行っていないというのも一つの特徴かもしれません。
Wevox=マネジメントを支援するツールとして位置付け

今回のテーマについてお伝えすることは2点あります。1つ目はWevox全社導入という挑戦です。
当社はWevoxを管理職のマネジメントサポートツールとして捉えて全社展開をしています。全社展開をする上で特に我々が重視していることは、社員の皆さんの負担をできる限り減らすと共に、Wevoxの価値や必要性を実感してマネジメントに活用してもらうことです。言うのは簡単ですが、全社員にWevoxを浸透させていくことは大きな挑戦だと感じています。
2つ目は長期戦を意識したWevox運営です。私たち人事部も長期戦になると覚悟してWevoxの有効性や活用事例を諦めずに伝えていくことが必要だと感じていますが、それには人事部自身が無理なくWevoxを運営していることが重要です。担当者が変わっても継続できるような工夫も必要となってくるのではと考えています。

続いて具体的な内容についてご説明します。当社では6ヶ月間のトライアルを経てWevoxの全社導入を行いました。
当社でのWevoxの位置づけは主に3つあります。1つ目は「働きがい」に関する取り組み強化です。年1回の従業員アンケートでは、働きやすさを感じている社員は全体の8割という高い割合を占める一方、働きがいに関しては6割を下回る状況にありました。このため、働きがいと相性のいいWevoxを働きがいの取り組み強化の一環とするのは自然な成り行きでした。
2つ目は、部室店マネジメントを支援するためです。年1回の従業員アンケートは自社内のツールを使用して無記名で調査をしますが、結果の集計は各部門単位までとしており、結果の活用も役員や人事部が中心となっていました。一方、Wevoxは従業員アンケートではカバーできない部・支店などのユニットで集計が可能なので、既存の従業員アンケートとは違い、現場を支援するためのツールとして活用することが可能となります。
3つ目は、現場がリアルタイムで結果を把握し、活用することによる現場主導のPDCAの実現です。Wevoxを導入することで、毎月のPDCAにつながる情報がリアルタイムで確認できるようになり、部室店全体やグループ単位、個人単位での様々な取り組みが期待できます。

当社では、年1回の従業員アンケートは成果指標で、Wevoxのキードライバーは影響指標になると捉えています。
無理のない継続をモットーに隔月サイクルでイベントを開催
全社導入にあたっては、どのような言葉で「従業員エンゲージメント」を説明すべきか悩みました。当社にはエンゲージメント投資部という部署もあり、エンゲージメントという言葉で混乱を生じさせないような工夫も必要でした。

全社導入を検討しはじめた段階では「従業員エンゲージメント」を「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態」や「活力、熱意、没頭を備えている状態」のような言葉を使って説明をしようと考えていました。
ですが、このような抽象的な言葉だけでは、具体的なイメージが湧かず、どんどん沼に入っていくことに気付き、全社導入の説明にあたっては、あまり従業員エンゲージメントそのものには詳しく触れないでいく方向性になりました。出した結論としては9つのキードライバーの結果を総合して従業員エンゲージメントと呼び、従業員と組織の関係性に着目した概念であるという表現を用いて説明をすることにしました。
組織で何か新しいことを始める時には、未知の言葉に対するアレルギーというものは必ず出てくるものです。今回のケースでは、Wevox導入を通じて、これから従業員エンゲージメントを理解していこうという説明ができたのがよかったと思っています。

このような背景を踏まえて、当社ではWevox全社導入について2段階の目的を掲げています。まず1つ目は従業員エンゲージメントの測定です。毎月測定し、結果をリアルタイムで確認するだけでも十分な価値があると考え、目的の1つとしました。そこから、管理職を中心に、同僚や部下との対話につなげてチームの課題に対処していくことを次のステップとしています。導入から1年強が経過していますが、この目的は変わりません。

続いて、Wevoxの基本設定をご紹介します。毎月回答する社員の心理的・時間的負担に最大限配慮して、できる限り本音で回答してもらうことを重視した設定を心がけました。例えば、コメント機能は使用せず、閲覧権限についても個人結果は本人以外分からない設定を採用しています。記名式ですと、どうしても心理的な回答負担は生まれてしまいますので、この点を考慮したものです。
その他の閲覧権限は必要最小限に留めました。例えば、とある課長が隣の課の結果を見たいと思った時、システム上では自分の課の結果しか見ることができないので、必要に応じて部長・担当部長から必要な結果を還元してもらうなど随時対応してもらっています。この基本設定でWevoxを活用して分かったのは、チームの結果を管理職やメンバーまで還元する人と、全く結果を還元しない人がいるということです。
結果を還元する人の中には、還元した相手との対話までをセットにして活用していますが、結果を還元しない人からは「還元することで部下による回答への忖度、上司への忖度が生まれて本音を回答してくれなくなるのでは」という声が一定数ありました。
当社の場合、課長を含めて3〜4人のチーム編成などユニットの小さい課が多いので、普段顔を合わせているメンバーに対して結果を課レベルで還元するやり辛さがあるのだろうと理解しています。
結果の還元に正解はないと思っているので、部長や課長自身が主体性を持って無理なくWevoxを活用してもらうために、様々なやり方があってよいと考えています。

また、当社ではWevoxの活用支援として、隔月サイクルでのイベント開催を目指しています。隔月サイクルにしているのは、人事部が無理なく継続できる取り組みにするためです。
期末や期初は人事評価制度の運営などで忙しくなるため、この時期に毎月イベントを開催することは非常に難しいです。無理なく継続できる頻度を現実的に考え、隔月開催を決めました。具体的なイベントとしては、Wevox導入の初年度に、任意参加の管理職向けのワークショップを定期的に行いました。導入2年目の今期はWevoxを活用したアクションの試みを聞く、役員や部長へのインタビューを配信しています。インタビューだけでなく、これまで開催したイベントは全て公開していて、全員がいつでも録画視聴できる仕組みにしています。Wevoxを使いたいと思った時、すぐに内容を確認できる状態にしておくことは、Wevox浸透を目指す上でとても重要だと考えています。

また、導入から半年経過した2023年6月には、Wevoxの結果の見方を具体的に解説するワークショップも開催しました。小項目をいくつか掛け合わせて注視すべきポイントを紹介したり、とある部長と課長にインタビューした内容を記事にまとめて紹介したりもしています。

加えて、導入から9ヶ月後には、3名の部長に協力してもらってのパネルディスカッションも開催しました。パネルディスカッション自体は非常に好評だったのですが、45分弱の内容となり、気軽に視聴したい人にとってはすべて見るには重たいコンテンツになってしまいました。Wevoxの活用に消極的な人には、もう少し時間を短くして気軽に視聴できるコンテンツが必要と考えており、これ以降パネルディスカッションのような時間のかかるイベントの開催は控えています。
また、我々人事部もイベントを通して色々な経験をしましたが、イベント運営の様々な負担も感じており、運営側の負荷についても軽量化が必須だと学びました。
スコアを毎月観測しているからこそ分かる組織の状態
導入当初は回答率が90%を超えていましたが、そこから徐々に下がっていって、今は80%台前半をマークしています。
社員の皆さん一人ひとりの回答するしないの判断は、現場でWevoxがちゃんと活用されているか、管理職の皆さんが発信しているかどうかに尽きると思っています。今後も管理職の方々に対してWevoxの活用支援を地道に継続して、回答率を上昇させられるように努力していきたいです。
総合スコアについては、1年強に渡って毎月定点観測をしているので、様々な振り返りができています。スコアの変化に気付くことができるのも毎月やっているからこそですし、この気付きをきっかけにして、これからもWevoxの価値をどんどん見出していこうという空気感へと繋がりました。

こちらは導入直後のWevoxの結果です。「挑戦する風土」に関しては課題認識を持って取り組みを続けているので、現在はこの時よりも2~3ポイント上がっています。

ここからは、先ほど紹介したスコアの活用例をご紹介します。アトラエさんにもご協力いただいて、昨年度は役員との結果報告会を2回開催しました。役員全体でキャリアコースや世代別のWevoxの結果を議論する非常に重要な機会ですので、定期的に開催していく必要があると感じました。

また、当社では目標設定の策定に関する通知文書において、Wevoxの結果に関しては画像のような形で例示をしています。
スコアを目標にしてしまうと様々な弊害があると認識していますので、「目標設定にWevoxが必須」と伝えるのではなく、「あくまで定点観測をするための参考指標として活用してください」という表現に留めています。

また、人事部の意見交換でも、スコアの結果は活用しています。Wevoxの活用の王道は、管理職の皆さん同士で結果を用いたディスカッションをして相互理解を図ることだと思います。ですが、自分でファシリテーターをやってみて、ディスカッションの難しさをひしひしと感じました。
参加メンバーも10名程いるので発言しにくいですし、自身のマネジメントのやり方や結果について話してくださいと促しても、なかなか上手くいきませんでした。
そんな中でやって良かったと思うのは、最初に全員で動画を視聴することです。YouTubeに上がっている動画を10分程見て、そこから意見交換をすると、議論が深まりやすくなると実感しました。動画の内容に対してディスカッションする形式は、話しやすくて盛り上がるので、とてもお勧めです。
運用を継続するには精神的・時間的負担の削減が鍵

最後に、今後の展望についてです。Wevoxの導入から2年目に入りましたが、今後の活用については、認知から理解、共感、体現までの4ステップで整理しています。当社の現状は示されている割合の通りで、2023年12月に実施した管理職向けのアンケートの回答を基に振り分けました。
レベル2の「理解」は、全体の6割を超えており、Wevoxの結果を把握して業務の参考にはしているものの、具体的なアクションは行っていない人が多いと考えられます。今期は、この6割の人達をレベル3のアクションの試みまで持っていければと考えています。
現在の取組みとしては、レベル3としてアクションを行っている9%の方達に「マネジメント×Wevoxインタビュー」と題するインタビューを行って、事例を紹介するイベントを実施しています。このイベントは、隔月開催を目標にして継続しています。

「マネジメント×Wevoxインタビュー」では、あえてマネジメントという言葉を先に持ってきて、インタビューのメインはWevoxではなくマネジメントだということを示しています。内容としては、役員や部長といった立場の方々がマネジメントとして実践していることなどを語ってもらっています。
インタビューに答えてくれた方の中には、Wevoxの結果を管理職全体で毎月ディスカッションして、メンバーとの関わり方やメッセージの発信について毎月PDCAを回している方もいました。「全ての課題(の原因)はコミュニケーションに尽きる」という言葉がとても印象に残っています。
また、毎月部下と1on1ミーティングを行っている方にもご登壇いただきました。
正直Wevoxはあまり見てないよと笑いつつも、「Wevoxはマネジメントサポートという側面もありつつ、管理職を育成するツール」だとお話しされていて、その言葉もとても印象に残っています。
また、このインタビュー配信には、Wevoxを運営する側の立場からしてもやりやすさを感じています。というのも、ライブ配信や録画撮影をやって、そのまま配信するだけにしていますので、インタビューをして文字起こしする負担もありません。また、1名のインタビューなら長くても30分くらいで終えられるので、手頃なコンテンツとしても有効です。
当社は毎月10日にWevoxを配信し、5営業日後に結果を集計しております。管理職の方はこのタイミングでしかWevoxの結果を見ていないと思うので、このタイミングで動画を紹介できれば、どんな活用ができるのか関心をもって見てもらえるのではないかと考えています。今期は「マネジメント×Wevoxインタビュー」をどんどん配信していくつもりです。

これまでの取り組みを振り返ると、「全社員が毎月Wevoxに回答すること」の価値を感じています。私は特に毎月回答するという点に価値を見出しています。色々な方にWevox活用のインタビューをしてみると、Wevoxをうまくマネジメントに活かしている方は、Wevoxの価値=毎月の定点観測と捉えている方が多かったです。
運営側として、できる限り回答者の心理的・時間的負担を軽減して、Wevoxの活用方法を強制しないスタンスを貫いてきたからこそ、現場サイドも我々も負担をそこまで感じずにここまでやってこられたのだと思っています。毎月の定点観測については、今後も継続していきたいです。
また、「可視化の分かりやすさと対話の重要性」に関して、スコアが可視化することで、管理職の皆さんがスコア改善に意識を向けるようになっており、効果は絶大だなと感じています。その一方で、スコアだけでチームの状態を理解してしまう方もいたり、個人結果が分からないと何もできない、対話しても結局解決できない問題だと感じている方もいます。そもそも対話に至らずに、結論を決めてしまい、その結論が本当に正しいのかな?と感じてしまうケースもあります。こういったことも含めて、Wevoxを導入して改めて対話の重要性と難しさに気付かされました。
最後に、「マネジメント×Wevoxへの共感の追求」についてですが、対話の重要性を理解していながら行動するのが難しいという方に刺さるキラーコンテンツは、やはりマネジメントを上手くやっている自社の社員の実践事例だと思います。
マネジメントを上手くやっている人の共通点は、対話やコミュニケーションを重視していることであり、この点を録画配信で繰り返し伝えていく必要があると考えています。マネジメント×Wevoxへの共感の追求を軸にして、これからも様々な取り組みを続けていく所存です。
ありがとうございました。最後に皆様へのメッセージをお願いします。
従業員エンゲージメントは捉え方が難しい概念なので、その中で運営していくのは本当に大変だなと日々感じています。長期戦を覚悟することも大事だと思うので、またこうして皆さんと集まり、様々な意見交換をさせていただけるとありがたいです。ご清聴ありがとうございました。
<編集部コメント>
社員の皆さんへの働きかけや浸透に関する工夫について詳しくお話しいただきました。自社でも取り入れられそうな内容があれば、是非真似してみてください!






